その1 35歳の若さで球団社長!


常識の超え方



今回はマーケティングのお話。
こういうテーマを取り上げる税理士は少ないでしょうね。

税理士の商売柄、つい節税など税金のことを考えてしまいます。
商売の根本なのですが、経営者にとっては、とにかく「売上を増やせばいい」
だけのことなのですね。
それで経営者の代わりに税金のことを考えてあげればよいのですが、
経営者と一緒に売り上げを増やすことも考えたいのです。
こういう発想になる税理士も少ないでしょうか・・・・。


今回は横浜DeNAベースターズのことを取りあげてみます。

まず最初にお断りしなければならないのですが、
野球についていえば、私は「巨人の星」を見て育った世代。
「王長嶋」は神として信奉してきたくらいの!?巨人ファンです。
正直「大洋」なんてあまり興味なかったのですね・・・(古くて失礼!)


しかし、この本読んで少し、常識を超えたような気がしております・・・。

年に何度か巨人戦を東京ドームに見に行きますが、
対横浜戦などはドームの半分はチームカラーの青色に染まります。
一球ごとに

「GO!GO!筒香!!」

など盛り上がるのですね。
確かに横浜DeNAは変わったと思います・・・。



著者は、池田純氏。1976年生まれ、現在40歳。
この方の略歴は、早稲田大学を卒業後、住友商事、博報堂を経て、
2007年31歳の時にDeNAに転職しています。
住友商事、博報堂というエリートキャリアからベンチャーのDeNAへ。
なかなか面白い転職ですね。


34歳の時の2010年にNTTドコモとDeNAとの
ジョイントベンチャーの初代社長として、事業を立ち上げ
初年度から黒字化した実績があります。

翌年2011年、35歳の時に、DeNAが横浜ベイスターズを
買収。
それでその実績を買われ、なんと35歳の若さで球団社長になったのですね。


Photo_2

 


その後のDeNAが横浜ベイスターズの経緯です。
これみてびっくりですね。
2011年、DeNAが買収した当時の横浜の財務内容は
最悪ですね。
52億円の売上に対して赤字はなんと24億円。
社長就任時にそもそも5年契約だったらしいのですが
この5年間でベイスターズを改革していきます。


2016年にはついに売上100億円超え!
さらに初の黒字経営に・・・。

なぜこうなったかを見てみましょう。


「GO!GO!筒香!!」





その2 儲かっているDeNAだから?



しかし、この決算数値を見て驚く人も多いのではないでしょうか?
赤字が大きすぎますね。

確かに2016年にようやく黒字転換しましたが、
それまで当初の3年間は毎年20億円!
普通の企業なら絶対潰れていますね。
やはりプロ野球という特殊な業態だからでしょう。


「選手の年棒だけで毎年20億から50億円もの
投資が必要」と書いてありました。
なかなか超難しいビジネスなのでしょうね。


さてそのビジネスの本題に入る前に、DeNAの説明から。

このDeNA創業者の南場さんを以前取り上げましたね。こちら
創業して1000億円企業に育て上げながら、
震災直後の2011年5月に
「病気療養中の旦那さんのために」
なんと突然社長を退任してしまいましたね。


2012


2012_2

 

 

その2011年までの実績です。
売上は倍々ゲーム。
ベイスターズ買収当時には当期純利益が300億円もありましたから、
赤字が20億くらい出ても単なる「節税」ということだったのでしょうか。

それより、広告宣伝の意味合いの方が強かったでしょうね。
新興企業であるDeNAにとっては、
毎日、新聞テレビにDeNAの名前がでれば
毎年20億円くらいは宣伝費と考えれば安いものなのでしょうか・・・。


しかし、その本読んだ誰しもが想像したと思いますが、


「南場さんのいなくなったDeNAはどうなってしまうのだろう?」


2013


2013_2


(DeNAのHPより)


残念ながらこうです。

万年最下位のベイスターズがCSに出場するくらい強くなり、
観客動員数も増え、黒字にもなった5年間だっと思います。


でも一方で本家本元の親会社のDeNAは
この5年間で知名度が上がった割には・・・・。





その3 社長の大事な仕事はマーケティング


ではその売上をどうやってあげてきたのか?
こういうこと興味ないですか?
これこそマーケティング!


書きながら思い出しましたが、
前にご紹介した「野村證券第二事業法人部」の
横尾氏が、新宿野村ビル支店長になった時に、
その時の社長に対して「データベース・マーケティング」を
提案したけど、それが却下されて野村證券辞めたのですね。

20年前の野村證券の経営幹部には
「マーケティング」なんて発想はなかったのでしょう。


営業出身の社長さんにはなかなかこういう発想はできないのです。
「昭和の時代」の営業はとにかく「頑張る」こと・・・。
「夜討ち朝駆け」などひたすら靴の底を減らすのが営業。
これが王道とされていたからなのですね・・・・。


池田氏のようにこれからは新しい発想で売上を構築していかなければ
ならないのですね。


マーケティング戦略をいくつかご紹介すると、

「プレミアムチケット化」
チケットが購入することが難しいという顧客心理に訴える作戦

「子ども限定の無料チケット」
野球をする子供の数が減っていることに対する戦略。
同伴する親のチケット収入も当て込む。


「スマートフォンに特化した販売システム」
現在はスマホの購入者が5割から8割。
使い勝手を向上させる。


「イベントのブランド化」
イベント自体のファンも増やす。


なかなか頭の良い方ですね。
その結果、2011年には観客動員数が
110万人だったのを190万にも増やしていったのですね。

Photo

 



それとこれは知らなかったのですが、
シーズンシートを売りまくったのですね。
シーズンシートなんて言葉だけは知っていますが、
「大企業の接待用で超高い」というイメージでしょうか。


Photo_2

 


ベイスターズのHPで見つけましたが、
シーズンシートの料金表です。
バックネット裏の5,60万はちょっと高そうですが
20万位からあるのですね。
野球好きの社長さんのいる中小企業でも買えそうですね。


ただポイントは「お付き合いでシーズンシートを買ってもらっても
実際に来ないと球場全体で盛り上がらない」そうです。
単なる接待用では困るということなのですね。





その5 シーズン・シートは売ればよいというものではない


シーズン・シート戦略はなかなか経営学的に
参考になるお話でした。


売れすぎてもダメなんだそうです。
これは難しいところでしょうね。


「プレミアム・チケット作戦」でチケットそのものが
購入できないと心理的に煽ると

「では年間契約であるシーズン・シートを取りあえず買っておこうか」

そうなりますね。
確かにシーズン・シートは売れるはずです。
年間のチケットを「前売り」でさばくのですから
安定的に売上があがりますね。
でもダメなんです。
結局前売りを買っても実際に来場してくれないと
困るのです。
経営者としての発想が大事でしょう。


前売りを無駄にすると空席が多くなりますね。
そうなると球場が盛り上がらないのです。

「ファンで埋め尽くされた満員のスタンドが醸成する
『非日常感』や『熱狂感』がプロ野球というライブエンターテイメントの
核をなすものである」と・・・。


「なるほど!」

と思いませんか。


東京ドームによく行きますが、東京ドームは空席が多いですね。
確かに白けるのです。
ドーム球場としては、「接待用としてシーズンシート」はドル箱の
はずです。
人気の巨人戦なら接待にはもってこいですからね。
でも実際に使われていない席が多すぎるのです。


熱狂的な巨人ファンは皆外野席です。
だからこそ巨人戦は盛り上がらないのでしょうね。


ベイスターズのファンは確かに盛り上がっていますから・・・。
本当にこここそ巨人軍の幹部に読んでいただきたいところです・・・。

 


あとこれは絶対ご紹介しないといけないことですが
この方のおかげで横浜スタジアムを買収したのです。

実はこれはまったく知らなかったことですが、
横浜スタジアムと球団との契約内容が長年の重荷になっていたのです。

この「球場問題」のおかげで、
大洋漁業(マルハ)からTBSへ、そしてTBSからDeNAへと
身売りが繰り返されてきたのです。

この諸悪の根源を断ちきった池田球団社長の経営手腕は
見事といえるしかないでしょう・・・・。





その6 ハマスタを買収してまでも


聡明なるブログ読者の方々には
私の言いたいことはもうお分かりでしょう。

「ベイスターズがこれだけ頑張っているのに
どうしてジャイアンツは不甲斐ないのだ!」

そうなんですね。
ベイスターズがハマスタを買収し、
ファンと共に球場ごと盛り上げているのです。


球場で販売する弁当の値段や味まで口をだし、ファンが納得するものを
提供し、せっかく訪れてきたファンのために非日常の楽しみを
演出しているのですね。


まさに「おもてなしの心」

それに対して、たまに行く東京ドームの弁当の
「高さと不味さ!」
ジャイアンツ球団はファンをどう思っているのでしょうか・・・。
ジャイアンツも東京ドームを買収してくれ!
とまで言言いませんが・・・・。



Photo

 

 


面白い表が載っていました。
プロ野球12球団の選手年棒です。


一位はソフトバンク。
合計年棒と平均年棒はすごいですね。
その次が「我がジャイアンツ」
これだけ出していながら、あの成績・・・。

それに対してDeNAはどうでしょう。
選手合計年棒は14億円!
12球団ダントツの最下位なのですね。


平均年棒も最下位なのですね。
プロ野球の最低年俸は協定により1500万円ですから
いかに低年俸の選手が頑張っているということでしょう。


ハマの4番は現在筒香選手ですね。
2016年の年棒は1億円でした。
それをあえて3倍増の3億円にしたと書いてありました。

年棒をアップした時に筒香選手は
「ありえない、考えられないくらいの額」
と答えたそうです。
球団の平均年棒を考えたらまさにそうでしょう。
それに応えるべく活躍を彼は見せてくれました・・・。


「戦力を買うか育てるか」
ということを論じていましたが、
「しっかりとした、チーム作りの方針と共に
生え抜き選手を中長期的に育て上げ、その過程をファンと共に
歩む・・・。」


素晴らしいですね。
私もジャイアンツからベイスターズに鞍替えしましょうか・・・・!?




その7 ジャイアンツも頑張れ!


熱く語ってきた「ベイスターズ・シリーズ」
私のような「にわかベイスターズ・ファン」には
いろいろご紹介すべきところは多いのですが、
そろそろまとめましょうか・・・。
まあ、これはすべて「ジャイアンツ・愛」の裏返しなのですね。


「経営のプロ」の経営手法はお分かりになりましたでしょうか。

 

「日本のGMはなぜ元プロ野球選手なのか」

これは強烈な巨人批判ですね。
先日、ジャイアンツのGMに元巨人の投手だった鹿取氏が
なったばかりですからね。

「勝つための戦力を用意し、監督・コーチ陣も含めて
勝てる陣容を整えるのがGMの役目」
なんだそうです。
GMとして野球を知っていることは重要なのかもしれないですが、
やはり経営者なのですね。
海のむこうのMLBでは、野球経験のないGMも多いのだそうです。
却ってしがらみのない野球未経験の方の方が、
思い切った改革をできりのかもしれないですね。



ベイスターズがハマスタを買収したように、
ジャイアンツが東京ドームを買収するためには
しがらみのない方が絶対必要なのでしょう。


池田氏はハマスタを買収したあと、
「本物の球場メシ」を開発して提供したそうです。
不味くて高い弁当ではファンが納得しないからなのですね。


ベイスターズの若手選手寮「青星寮」で提供されてきたカレーを
「青星寮カレー」を提供したり、

唐揚げ「ベイカラ」

ホットドック「ベイスターズ・ドック」
をファン向けに開発したそうです。


大ヒットしたのが、
「ベイスターズ・エール」と
「ベイスターズ・ラガー」のオリジナル「地ビール」ですね。

「ベイスターズ・ラガー」を飲んでみたいですね。
これ聞いただけでハマスタに行きたくなりませんか。


こういうことをできるのが優れた経営者でしょう。
球場では永年、出入りの弁当業者がいるわけですし、
ビール会社としては、まさに「ドル箱」の売り場ですからね。
そのしがらみを「叩き切ること」こそが真の経営者なのでしょう。


あと最後になかなかいいことも言っていました。

「球団経営はもうかりすぎてもいけない」

これは一般企業に参考になるお話なのでしょう。
やはりファンあっての球団という考え方なのですね。
ファンに還元しなければならないのです。


「球団社長はファン投票で選ぶべき」

これも素晴らしいですね。


「AKBの総選挙」!?ではないですが、
ジャイアンツの球団社長も毎年ファン投票で選んでほしいですね。
ファンが納得したトップなら、心から応援するのでしょうね・・・・!



(ガンバレ!! ベイスターズ・ シリーズ おしまい)





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