その1 わずか30歳で新社長に 



絶対絶命でも



今年第一弾!
とにかく読んで勇気の出る本ですね。
何といっても字が大きいので?すっと読めてしまいます。


主人公は、「石坂産業」石坂典子社長。
昭和47年生まれですから、まだわずか40台そこそこ。
この方が石坂産業の創業者で父親である石坂好男氏から
社長のバトンを引き継いだのが、平成14年の弱冠30歳のとき。


現在では何と
「所沢産廃銀座を立て直した女」
「所沢のジャンヌダルク」
とまで呼ばれているそうな。


この石坂産業は、もともとは所沢の「産廃業者」でした。


平成11年(1999年)2月1日に、久米宏さんのニュースステーションで
所沢の「ダイオキシン問題」が取り上げられ、
産廃業者が大パッシングを受けてしまいます。
このお話はご存知ですか?


平成10年当時には所沢は「産廃銀座」とまで呼ばれていたのですね。
何と焼却炉が64炉もあったそうですが、
このテレビの影響で産廃業許可取り消しの住民訴訟が
起こされてしまうのですね。


まさに「石坂産業も出ていけ!」とまで言われてしまいます。
しかもその当時会社は15億円もかけ焼却炉を作ったばかり。


本の題名の通り
まさに絶体絶命になってしまいました・・・。




その2 本当はネイルサロンをやりたかった 



今まで多くの経営者本を取り上げてきました。
最近本を手に取った瞬間、もうこの本の趣旨が分かるように
なってきたのですね。
多くの経営者本は「ブランディング」です。
つまり、「こんな素晴らしい経営者なのですよ。」
「こんな立派な会社なのですよ。」と
会社を「ヨイショする」マーケティング戦略の一環です。
もっと広く言えば、リクルート戦略ともいえるかもしれません。


「では、この石坂産業の本は何だろう?」
こうやってブログでご紹介する前に、つい考えてしまいました。
私になりにこの本で見つけたのは、「事業承継本」なんだと。


でも冷静に考えると少しおかしいですね。
創業社長がまだ全然元気なのに、わずか30歳の娘に
社長を譲ります。
創業社長が急死したでも、重病になったのでもないのですね。
この本では
「社長をやらせてください。」
と本人から言ったと書いてありました。


「ホントかよ〜。」


すいません。つい突っ込みたくなりました。
石坂典子社長は、もともとはネイルサロンを開きたかったそうです。
それで開業資金稼ぎで家業を手伝っていただけです。
しかも、当時世間からも地元からも嫌われた「産廃業者」・・・。


多少脚色もあるかもしれませんが、「事業承継の実話」ということで
そんな観点から何度も読み返してみました・・・。




その3 取締役社長という意味 



ではその事業承継に関しての大事な記述。


『父とのさまざまな葛藤・対立を経て平成14年(2002年)、
「永続企業にする」というミッションとともに、私は2代目社長に
なりました。私が「取締役社長」、父が「代表取締役会長」という
微妙な立場でした。』


何となくカッコイイ書き方ですが、「物事の本質を鋭く突く」?
吉田ブログとしては、ここは激しく突っ込みます・・・。


まず「取締役社長」という言葉ですね。
これに違和感のある人は商法をよく分かっている方です。
「取締役社長」というのは法律用語ではないのですね。
ズバリ「俗称」です。これも呼ばれる呼称で、「専務」とか「常務」と
同じです。


大企業なら最近はやりの「業務執行役員制度」というのがあり、
このあたりうまく使い分けているのですが、舞台は中小企業ですからね。
法律的には、誰に「代表権」があるかなのですね。

 


Photo

(石坂産業登記簿一部)

 


本質を突く吉田ブログとしては、きちんと裏を取り付けるために
石坂産業の登記簿謄本を調べてみました。
(こんなことまでするのは私くらいでしょうけど・・・)
やはり推察通り、ずっと石坂典子氏はただの「取締役」だったのですね。
「代表取締役」の交代は、ずっと先の平成25年8月30日なのですね。


これは対外的に見ても明らかなことなのですね。


でも当時は「社長交代」としたかったのでしょう。
それは何故か?
これはハッキリ書いてありませんが、その当時莫大な借金をして
許可取り消し騒ぎで、まさに会社存亡の危機にあったからなのですね・・・。


「社長交代しますから許してください・・・」


そんなエクスキューズだったのでしょうか・・・・
(すいません。ハッキリと勝手なこと書きます。)




その4 銀行が積極的に融資? 



「産廃業者とはいったいなんだったのか?」
「リサイクルビジネスはどれほど儲かるのか?」


この本読んで考えさせられました。
平成10年当時には所沢は「産廃銀座」とまで呼ばれていた
ということを書きましたが、焼却炉が64炉も。
余程儲かるビジネスだったのでしょうね。
あらゆる業種がこぞって参入したのでしょうね。


ダイオキシン問題が起き上がる直前に、
15億円もの設備投資をして新焼却炉の建設。
よく銀行がカネを貸したと思いませんか?
他の業種では考えられないことです。
裁判を取り下げてもらうために、
社長を交代させただけでなく、その焼却炉を廃炉に
することも約束します。
15億円がまさにパー!なのですね。


本来ならその瞬間に会社は倒産です。
でもそのあとなんと40億円もかけて
「全天候型独立総合プラント」の建設・・・・。


「ホントかよ〜。」


そう思いませんか?
社長交代したばかりの若干30台の新社長に・・・。
さらに驚きます。
資金投入して立派な新社屋も完成させます・・・。
いったいいくらこの会社は資金があるのだろう・・・?
銀行がどれくらい肩入れしてくれたのだろう?
そういうおカネの苦労は一切この本には書いてありません。


すいません。事業承継ネタを言う前に
商売柄ついまた突っ込んでしまいました・・・。




その5 事業承継? 



肝心の事業承継のお話に入りましょう。
石坂典子社長は、「新社長」として社内を改革していきます。
30歳の若い感覚で、「会社案内をつくりたい」、
「経営理念をつくりたい」、「ホームページを作りたい」、
「ISOを取得したい」・・・。
会長は、どうやら職人気質のたたき上げの経営者。
「なんじゃそりゃ?」
ということになりますよね。
もちろん、反対されたこともあったようですが、
二人で話し合って、改革してきたようです。


ただやはり親子ですからね。ここが事業承継の難しさでしょうが、
ここは少し再考になるお話です。
「毎朝8時30分から15分間だけの話し合い」
これをずっと10年間続けたそうです。
15分以上話すとけんかになるからでしょうね・・・。



でもこの本を読みこむと父親である会長は、その間、
「代表取締役」としてずっと全責任とっていたのですね。
朝の6時から社内を見回っていたのです。


石坂典子社長は母親として、子育てしなればならない身です。
子供を学校に送り出して出社するのは8時過ぎ・・・。


社長業はそんなにマナ優しいものではないですからね。
実質「取締役」の立場の社長見習いの立場では、
なかなか大変だったと思うのですね・・・。




その6 戦略コンサルタント? 



新社長が就任してわずか半年で社員の4割が退社。
社長が辣腕を振って、リストラを断行したのかというと
多分そうではないでしょうね。


その頃は産廃業者としての免許取り消し騒ぎがあって、
「石原産業はあぶない」と社内で思う人が多くなって、
古参の社員が皆辞めたのでしょうね。


平均年齢55歳が一気に35歳になって、新社長としては
やりやすくなったのでしょう。


ISOを取得し、3S(整理整頓清掃)運動にも
積極的に取り組み、社内をどんどん改革していきます。

 
「産廃業者」から「環境リサイクル業者」での大転換です。
これは正直時代の後押しもあったのでしょう。


詳細は書きませんが、後半は、

「こんなに会社って変われるの?」

と正直疑ってしまいます。

 

しかも、誰か戦略コンサルタントでも雇ったのでしょうか?
「新・里山資本主義」という里山再生&地域共生ブランドを
図るという、いともマスコミ受けする戦略も大ヒット。


さらに昨年は、「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」も受賞。

 

これだけ注目されれば会社としても知名度もアップしたに違いありません。


・・・といろいろ「事業承継」の観点からご紹介しようと
思いましたが、結局は、この本は「ブランディングの本」なのか・・・。

と最後は妙に納得した次第でした・・・。


本当に環境リサイクルビジネスは何だか儲かりそうですよ・・・。

 
(ガンバレ!未来の最先端企業!! おしまい)

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