その1  トマムの雲海テラス


まだまだ続く、星野リゾートネタ・・・。
星野ウォチャーとしては、もう一冊ご紹介しましょう。
「星野リゾートの教科書」と同じ著者が書いた、
「星野リゾートの事件簿」です。


星野リゾートの事件簿.jpg


いままでご紹介した本は、「教科書」ということで、いささかお上品な
書き方だったのですが、これは実際のお話をもとに星野経営術を
紹介しています。
この著者の丹念な取材力と洞察力、星野氏への愛情まで感じられる本です。


具体的な再生事案で、いままでの教科書経営を検証できます。
「なるほど教科書経営はブレない」
そう感じることができます。


北海道のアルファリゾート・トマムはご存知ですか。
アルファリゾートの再生のお話から始まります。


私には、ここは本当にバブルの象徴のようなリゾートだと感じます。
北海道のほぼ中央、新千歳空港から車で2時間あまりの場所に
ツインタワーができたのは、まさにバブル絶頂期でした。
バブル崩壊により、その会員権売買に頼った資金繰りが
当然ながら破綻したわけです。


それをどうやって星野社長は立て直したか。
非常に興味があるお話ですね。


これを今までご紹介した教科書的星野流で改革していきました。
ます、教科書どおり、スタッフに自由に意見を言わせ、顧客満足度を
あげることを徹底しました。


今までの経営者は、こんな立て直し策だったそうです。
「コストカット」、「上から命令」、「絶対服従」
どこかの超ワンマン社長が、やりそうな経営ですよね。


星野社長は、この再生を教科書どおり、現場のスタッフに任せました。
特に、冬場はスキーで繁盛するものの、夏場が極端に稼働率が
低下することが緊急の課題でした・・・。


生みの苦しみはあったものの、ようやく地元の方ならではのアイデアが
誕生しました。


それは、夏場に「トマムの山頂で雲海を見せるサービス」を
スタッフ自ら思いついたのです。
地元の方ならではの「気づき」なのでしょうね。
トマムの山頂から見る雲海は本当にすばらしいものらしいです。
雲海テラスはコチラ


それが結果的に大人気のサービスとなり、まさに夏場の稼働率アップに
貢献したそうです。
東京から、現場も行かないでひたすら「コストカット」などと
「命令」しているだけのワンマン経営者では
きっと思いつかないアイデアでしょうね。


トマムの雲海を一度を見てみたいと思いませんか・・・。





その2  メールの使い方

「顧客満足度」こそが、星野経営術を理解する最大のキーワードです。


では実際にあった「事件」でご紹介しましょう。
新入社員のKさんは星野リゾートでこの「顧客満足度」を
叩き込まれます。
新人研修として、全員が必ず3箇所のホテルでのOJTを受けるそうです。
Kさんは、名門旅館の「星のや 軽井沢」と「ホテルブレストンコート」で
まずこのOJTを受け、「星野イズム」を叩き込まれたあと、
「アルツ磐梯」にまた研修で送り込まれます。


そこで、現場で「顧客満足」を考えていないような先輩社員の態度に
何度も遭遇します。
それを見かねたKさんは、そのあとどうしたか?


星野リゾート内では、職場内の疑問や不満などを、直接社内に問いかける
メールシステムがあるそうです。
これはすごいですね。大企業では何か問題があると、普通は直属の上司に
言うのが普通ではないでしょうか。
こういう風にメールで自由に発言できる会社は、なかなか少ないのでは
ないでしょうか。


どんな仕組みかというと、いわゆるメーリングリストのように、
社内の全スタッフに意見を送信できるそうです。
まあ普通の会社なら、直属の上司からどなられるかもしれませんね。
「何で俺に先に言わないのか!」と・・・。


メーリングリストは当然星野社長も見る仕組みです。
それを見た社長が、真先に反応したそうです。しかも
そのメーリングリストに応えるのではなく、
「ガンバレ!新人!!」。
と直接本人にメールをしたそうです。


実にうまいメールの使い方ですね。
これは感心しました。
スタッフは当然ですが、社長も見ているかもしれないという緊張感も
ありますからね。
それに対して、あわてた上司や先輩社員も、改善点を議論するメールが
飛び交ったそうです。


当然ですが、それを社長は黙って見ていたのでしょうね。
トップから指示したら、それでオシマイですからね。
「顧客満足度をあげるにはどうするか?」
それを現場に議論させようとしたのでしょうね。

なかなかうまいシステムです。
星野社長は実にうまくITを使いこなしていると感じましたね。
現場から離れた東京で、星野イズムを「遠隔操作」しているのです。


まあこれは「リクルート向けのネタ」かも知れませんが・・・。





その3  環境問題  

「エコロジカル・ポイント」というキーワードもあります。

環境保護ということは、リゾート開発をする同社にとっては、
確かに矛盾するテーマですね。
でもここまで、「エコ」を経営目標に掲げているホテルは
少ないのではないでしょうか。


よく低価格をうたい文句にするホテルで、あえて「エコ」と称して、
タオルや歯ブラシも浴衣さえも置かないところもありますね。
確かにそれもエコなのでしょうけど、この星野リゾートは真正面から
この環境問題に取り組んでいます。
これは他のホテルでは多分真似できないでしょうね。


軽井沢の星野温泉ホテルの時代から、この環境問題に真剣に
取り組んできたそうです。
敷地内で水力発電もやっていたとは知りませんでした。


その星野温泉ホテルを取壊し、「星のや 軽井沢」を建設しようとした際に、
新たなエネルギーシステムを導入したそうです。
地中の熱をヒートポンプで活用するシステムで
その導入には、なんと!十億単位の巨額な資金が使われたそうです。


星のや 軽井沢.jpg


これはすごいですね。
これは星野グループの社運をかけた一大プロジェクトでは
なかったでしょうか。
結果どうなったか?


現在「星のや」は施設全体で使うエネルギーの7割をこの自然エネルギー
によってまかなうことができるようになりました。
今流行の「二酸化炭素の排出量」を大幅に削減できたわけですね。


巨額な資金の回収も、当初予定の5年を大幅に上回り、なんと
1年10ヶ月で回収したそうです。


見事ですね。
当然ながら、「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」なんかも受けた
ということも納得できます。
これはこれで宣伝効果も大きいのでしょうね。


「星のや 軽井沢」は2005年のオープン以来、
新聞や雑誌の一度は泊まってみたい温泉旅館で、常に上位に入ります。


一泊2食付で5万位するそうですが
本当に一度くらい(本当に一生に一度でも)泊まってみたいと
思いませんか・・・。(こちら)





その4  人材育成


星野リゾート・シリーズ最後に、「人材育成」について
ふれてみたいと思います。
どんな企業でも、この「人」の問題が大事ですね。
実際には育成以前の問題として、なかなか定着率が上がらなかった
そうです。


星野社長は


「社員が定着してこそ、一人ひとりが業務の習熟度を上げることができる。
それがサービスの質を高め、顧客満足度向上につながる」


こう考えています。
やはり旅館業の顧客満足度向上には、「人」がすべてなんでしょうね。
この「人」の問題に関し、先日ご紹介した教科書のとおり、
「スタッフの気づきを意識してもらうための議論」
が大事となります。
これは星野社長ご自身の経験からくる経営術だそうです。


星野社長が1991年に父親から経営を引き継いだ時、
会社の古い体質を変え、ムダや非効率を解消する必要を感じ、
トップダウンにより、事業を改革していきました。
その結果、改革により成果をあげていく一方で、社員が一人またひとりと
退職していったそうです。


なぜ辞めていったか。
それは、命じられて動くことに疲れたと同時に、自分の意見を主張する場が
なかったからなのです。


このあたりサラリーマン経験者なら誰でも想像つくことでしょうね。
それで星野社長は変えたのです。


「自分の判断で行動してもらうことで、社員のやる気を高めよう。
言いたいことを言いたいときに、言いたい人に言えるようにしよう。
そしてどんどん仕事を任せよう。」


社内を改革していった訳です。
これに裏づけとなる「教科書」があったことは、すでにご紹介したとおりです。
ここは自信をもって改革したのでしょう。
だからこそ成果がでたのです。


2007年11月に伊東の旅館「アンジン」が星野リゾートによって
再生されました。
それを主体となって再生したのは、入社5年の若干28歳の総支配人です。
それも新スタッフの社員とパート40人をわずか1ヶ月で開業前の
トレーニングを終えたそうです。
ご紹介した教科書どおりの「意見を出し合い、議論を重ねて決める」研修で
皆一人前のスタッフに成長したということです。
星野リゾートでは、これを「文化創造プログラム」というのだそうです。


すごいですね。
星野リゾートの「ぶれない」教科書経営。
参考になりましたでしょうか。


ぜひ真似して、貴社オリジナルの
「文化創造プログラム」を作ってください・・・。


(星野リゾートシリーズ おしまい)

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