その1 政府につぶされた三木谷案




競争力


楽天のパリーグ制覇に因んで、楽天シリーズ開幕です。


楽天の三木谷社長の本はずいぶん前に取り上げましたね。
楽天の創業時からの苦労話など結構参考になりました。こちら


今や日本経済をけん引する若手経営者の一人ですからね。
2012年12月に発足した第二次安部晋三内閣で、
いわゆるアベノミクスの「産業競争力会議」のメンバーにも
若くして選ばれたのですね。


その提言書が2013年6月に取りまとめられました。
ところが、どうやらこの会議のことはあまりニュースにも
出てこなかったのです。
どうしてか?
これを読むとよく分かります。


当初この会議では民間議員4人でスタートしたのですが
最後は10人になったそうです。その増員されたのが官僚サイドの議員。


始めは「規制改革」を旗印に民間主導で、抜本的な策を
打ち出すつもりだったのが、結局は「官僚につぶされた」のが
実態だったみたいです。


その時、同時に三木谷社長が取りまとめたのが、
「Japan Again」という提案書。


彼はよほど悔しかったのでしょう。
経団連に対抗する組織「新経連」も作り、この提案書とその考え方を
もっと世に問いたいと考えたようです。
それでこの本は出版されたのです。


三木谷良一氏とは、三木谷社長の実父です。
知らなかったのですが、神戸大学経済学部教授だった方で
日本金融学会の会長まで務められた経済学の権威。


提案書が「握りつぶされかかった」4月から7月にかけて
その親子対談を17回にも及んで行ったそうです。
その父との対談集となっていますから、実に読みやすいです。


ただ構成上、「Japan Again」という提案書を
解説するような本ですね。


途中経済用語の難しい単語「シュンペーター」とか「ケインズ」など
いろいろと出てきます。


「親子でこんな経済学の難しい議論をしているのか・・・」


妙に感心してしまいます。
「こんな博識な三木谷社長はさすがだな・・」


そう思うかもしれませんが、個人的な見解なのですが
「オヤジさん」との難しい経済論議は「読み飛ばして」
三木谷社長の「言わんとしていること」を追っていくと
すっと理解できます。


彼のいう「日本の進むべき方向性」をご紹介していきましょう。


「楽天の日本一」を祈りながら・・・。
(私は巨人の星の時代から巨人ファンですが・・・)





その2 ガラパゴス論



三木谷社長のいいたいことはたくさんあるのですけど、
一番考えさせられたのは「ガラパゴス論」ですね。


「ガラパゴス」って分かりますか?
携帯のことを「ガラケー」と呼ぶこともありますね。
あれこそ、まさに「ガラパゴス」。

Galapagos

 

ガラパゴスとは、そもそもエクアドルから西方約900kmの太平洋上に
浮かぶ諸島のことをいいます。
これだけ遠いと、他の島々との接触がなく隔離された状態だから
独自の進化を遂げた動植物が多く存在しているのですね。


まさにそれに例えているのです。
日本も島国ですから、他国と接触しないで、独自に進化したものが
多いということなのです。


具体的にいうと、特にIT技術などで国際規格と違う方向で
進化してきています。
日本の携帯に関して言えば、ワンセグ、着メロ、着うた、
赤外線通信、電子マネーなどいろいろ多機能ですね。
これこそ、「ガラパゴス」
世界標準とは異なっているのですね。
Iモードというのも日本でしかまったく通用しません。


このガラパゴス化を三木谷社長は、非常に危惧しているのです。


「だからこそ、世界標準で戦えない」のだと・・・。


ではなぜこれだけの「ガラパゴス化」が生じているのでしょうか?
三木谷社長はズバリ指摘しています。


「経済産業省主体の保護政策」が諸悪の根源であると・・・。


昔、「護送船団方式」という政策がありましたね。
まさにその名残が、「経済産業省主体の保護政策」


つまり、日本独自の基準や、非関税障壁を作って、
日本のマーケットだけで企業が成り立つようにしているのですね。
経済産業省が「過保護な企業」ばかり育て上げているから
国際舞台で戦えない企業になっていく・・・。


もっといえば、世界標準で戦えない企業は潰れてしかたがないと
までいわんとしています。


例えば世界では「スマートテレビ」が売れているそうです。
スマートテレビとはテレビにパソコンやインターネットの機能が
ついたもの。実に便利そうですね。
でも日本ではあまり普及しないですね。
なぜかというと、


「そんなものが売れたら、テレビがインターネットになって
テレビをみなくなるから・・・」


そうなると困る人がでてくるのです。
テレビを見なくなると広告収入が入らなくなりますからね。


だから、総務省や経済産業省が中心になって、
国内しか通用しない独自の方式をわざと作っているのだと・・・。
スマートテレビなんか作らないで、4Kでも8Kでも高品質なテレビを
作らされているのですね。
本当は世界の人々はそこまで高品質なものを求めていないのです。
だから世界でまったく売れない・・・。
これもガラパゴス・・・。


お分りになりましたか?
ガラパゴスの意味・・・。




その3 社内公用語を英語にした本当の意味


楽天自体のガラパゴス化を阻止するにはどうしているか?


これは読んでいて面白かったですね。
現在技術者の半数は外国人なのだそうです。
さらに現在、新卒の技術者の採用のうち7割は外国人。
これなら、日本固有のガラパゴスなんかになる訳ないですよね。


どうしてこれだけの外国人が採用できるか分かりますか?


ここで楽天の有名なお話で「社内公用語を英語」としたこと
が上げられますね。
楽天は2010年から社内の公用語を英語に踏み切りました。
ずいぶん話題になりましたね。


それを聞いた人は
「へ〜。そんなことまでするの?」とか
「楽天に就職しなくて良かった・・・」


その程度の反応だたっと思います。
でもその理由がこの本を読むとよく分かりました。


日本という国は、海外から見たら、働きたい国なのです。
でも優秀な外国人が日本に来てもまず職がないのです。
どうしてか分かりますか?
なぜかというと、英語はしゃべれるけど日本語が
しゃべれないからなのですね。


「なるほど!」


そう思ったのですね。
楽天の「社内公用語を英語」という戦略は


「日本人よ。英語を話せるようになって世界に出よう!」


というより、


「日本で働きたい優秀な外国人はぜひ来てください。
ここでは日本語が話せなくても英語ですべて通じます。」


そういう戦略だったのですね。
あらためて三木谷社長の先見性に驚きました。


事実、楽天にはハーバード大始め、世界各国から有名大学卒の
優秀な技術者がたくさん集まってきているそうです。
こうなると経営陣も日本人だけでは無理とまで言い切っています・・・。


すごいですね。
東北楽天もチーム内をいずれ英語のみにするかもしれませんね。
そうすれば、ヤンキースのジータ選手だって、きっとプレーしますよ・・・。







その4 楽天には修身雇用も退職金もなし


日本の企業に競争力をつけさせるにはどうしたらよいか?


よく出てくる言葉ですが「イノベーションを起こすこと」と
三木谷社長は言っています。


イノベーションこそが経済成長の源泉であると、
著名な経済学者もいっているからなのですね。


ただ三木谷社長は、こうも「過激に」言っています。


「ダメな企業は潰れた方が世の中のためです。」

「たとえば日本航空は潰れた方がよかった。」と。


先日あれだけ力説したJALの復活劇は、三木谷社長としては
我慢ならなかったようです・・・。
稲盛経営を彼は認めないのでしょうか・・・こちら


このあたり、「リクルート用に書かれた」経営者本とは
一線を画すところです。
彼の本音がハッキリ垣間見えます。



もっと手厳しい意見もでていました。


そのイノベーションを実現するには、オペレーション力を
高めることが必要だと力説しています。


昔は日本ではたとえばトヨタ自動車の生産性は高いことで
知られていたのですね。
でもそのオペレーション力が落ちてきていると。


その理由は「雇用の流動化」が進んでいないからだと。
それは「終身雇用制」が弊害になっていると、これも言い切っています。


これはびっくりしたのですが、
「楽天には終身雇用の慣行も、退職金もない」そうです。
どういうことかというと


「楽天の場合、10年から15年ぐらい働いて、すごく活躍して
収入もよかったら居続けるし、そうでなければ別の会社に移るのは
当たり前」なんだそうです。


日本では解雇というと、すぐ「ダンダリン」が飛んできそうですけど?
楽天の場合、「自主早期退職」といいう制度があるそうです。


「事実上の肩たたき」であると彼も認めています。


「ポストには限りがあるからそのポストに満足しなければ
楽天を辞めて他の会社に移る、あるいは起業するのが当然のこと」


そう社長自ら考えているのです。


すごいですね。
これも終身雇用制度という日本的経営を、心から忌み嫌うからなのでしょう。
欧米流というのか、これこそ世界標準なのでしょうか・・・。


どうですか?楽天で働きたくなりましたか・・・?






その5 生え抜き社長がダメな理由


三木谷社長は、


「終身雇用制度の下では、やはり生え抜き社長しか生まれない。」


そういっています。つまり、
「生え抜き社長ではダメだ。」と考えているのですね。


その終身雇用制度への批判を、ちょうど現在行われている「日本シリーズ」を
例にあげて説明しましょう。


まさにジャイアンツの原監督が、そうですね。
特に原監督は「ジャイアンツ愛」という言葉を作ったくらい
「こてこての」ジャイアンツの生え抜き。


一方楽天の星野監督は、ぞ存知の通り、中日出身。
「そんなことに拘っているから強い選手は育たない」
彼のポリシーみたいですね。


このあたり、プロ野球とは比較できないでしょうけど、
ビジネスの社会でも、雇用をより流動化し、
競争原理を働かせるために、彼が考えていることは、
ある意味うなずけるお話だと思いました。


ここで説明したいのが、「ホワイトカラー・エクゼプション」という制度。
多分聞いたことないでしょうね。
こんな恐ろしいことを?彼は考えているのですね。


これは、「ホワイトカラーに対して、役職手当など厚遇する代わりに
使用者側に解雇事由の権利を与える制度」
だそうです。


これも、ダンダリンが聞いたらすぐ飛んできそうなお話ですね!?


この制度は主にドイツにおいて行われ、雇用の流動化が
進んでいるというのです。


特に、弁護士事務所、会計事務所、コンサルタント事務所など
「プロフェッショナルファーム」として認められると
即採用されるらしいので、我々のような業界には好都合なのでしょうか・・・。


日本でも2007年の厚生労働省の案では、年収900万以上の
ホワイトカラーに導入することが提案されたこともあるらしいです。
彼の提案では、彼は年収900万どころか、
400万以上でも導入すべしと考えているみたいですね。


これが実施されると、私のような年代になってから、「ハンコ押すだけの」高給取りは
日本では存在しなくなってしまいそうですね。


でもやはり、この三木谷提言も、「日本的ガラパゴス政策」を
取り続けたい経済産業省あたりに、多分握りつぶされたのでしょうね・・・。


三木谷社長は、なかなか恐ろしい男だと気が付いてきました・・・。






その6 真の国際化とは


日本シリーズがそろそろ佳境に入ってきたので、
この楽天シリーズをまとめましょうか。


インターネットという新分野で、自らビジネスモデルを作り上げた
実績と自信からでしょうか。
三木谷社長は、10年先、20年先を見て経営しているなと
感じるのですね。


だけど、どうも日本では規制が多すぎて自由にできない、
そのもどかしさを感じているのです。


重厚長大型の古くからの大企業、その集団である経団連と、
霞が関の官僚達が、こういう新しいビジネスモデルだけでなく、
日本の発展を阻害しているのだと・・・。


今までも、そしてこれからもその「規制」と
彼は戦っていくのでしょう。
でもそこにビジネスチャンスがあると考えているのです。


例えば、三木谷社長は「TPP」に関しては、当然賛成です。
海外からの安い農産物が入ってきたら、日本の農業は大打撃を
受けるかもしれません。でも彼は


「国全体で見て、その産業はつぶれるかもしれないけれども
他の分野で勝つからいいでしょう。」


そう考えているのですね。産業構造の大規模な変革が
行われるからこそ、そこに商機があると考えているのです。


当然ですが、日本の企業はもっと海外に出て戦うべしと言っています。


例えば、ユニクロのように安い労働力を求めて、中国に進出して
安価な衣類を作って、それを輸入して大成功しましたね。


でも、これからもっとインターネットのビジネスが拡大して来たら
B to B(企業間取引)からB to C(企業と消費者との取引)が
より活発になると考えています。
まさにそこに楽天のビジネスチャンスがあるのですけど、
分かりますか?


日本の消費者がユニクロの日本の店舗で買わなくても、
中国のサイトから直接購入できればもっと安いのですね。


「これはなるほど!」と思いましたね。


サービスの分野でもすべてネットで完結したら、
それこそ、その会社は日本いなくてもいい。
法人税の安いシンガポールにでも移して、
そこから日本にサービスを提供すればいい・・・。


この税金のお話はまたいつか解説しましょう。
彼の考える国際化非常に勉強になりました・・・。

 


いつの日にか、巨人の監督に松井秀喜がなり、
イチローがオリックスの監督になる。
そして両者が日本シリーズを戦い、指示はすべて英語。
選手には、大リーグから戻った日本人選手と
本当の大リーガーばかり・・・。


世界で戦うということは、まさにこういうことなのですね・・・。
楽天の勝利を祈りつつ・・・。


(ガンバレ楽天シリーズ おしまい)

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