その1 病気療養中の夫の看病のため・・・



DeNA


DeNAは1999年当時マッキンゼーのコンサルタントだった
南場氏が創業しました。
以来まだ14年ほど。
でもその間、モバゲーが大ヒットしたり、横浜ベイスターズを
買収したりと、かなり急成長している会社です。


そんな南場氏が初めて本を出したということで、
思わず飛びついてしまいました。
私の好きな「創業経営者本」ですからね。


さて南場氏というのは以前、NHKの仕事の流儀で
見たくらいなのですが、コンサルタント出身らしくかなり
知的で情熱的な経営者のイメージでした。


この本では、等身大の素の南場氏に出会えます。
起業開業したい人にぜひ読んでいただきたいお勧め本ですね。
かなり赤裸々に書いてありますので・・・。


ただ個人的な意見から入ります。
2011年5月。あの大震災の直後の事なのですが
「病気療養中の夫の看病に力を注ぐため」
社長を急に退任したのですね。


この報道を聞いて、かなりビックリしました。
確かに、上場企業の社長が自分の病気の理由ではなく、
家族の病気の理由で退任したのですから、前代未聞。


しかも、タイミングも悪かった。
大震災直後で、日本全体で頑張ろう!というムードの中です。


「障がいのある子どもを持つ社員、親の介護をしながら
頑張っている社員」もたくさんいる中で、
やはり身勝手だという意見も結構あったはずです・・・。


日本ではいろいろな職業で、「親の死に目に会えない」という言葉が
よく使われるくらいですからね。


「多分、末期がんか何かなんだろう・・・」


そうは思いましたが、特に理由も詳細に公表されず
そのまま退任されたのでしたね・・・。
この本で、その件について、詳細に書かれています。


「実は、そうだったのか・・・」


そういう意味で、この本は、その時明らかにできなかったことに
妙に感動します。


社長退任後、仕事をそっちのけにして、国内外の専門家に相談して、
闘病プロジェクトを発足させます。
創業のパートナーでもあるナベ(渡辺氏)も、ロンドンから
仕事を放り出して駆けつけてきて、医者と一緒になって
プロジェクトチームを作ってくれます・・・。


がんとなってしまった最愛の人を、看病する姿に
素直に心打たれるのです。


それでも恐ろしいことに再発してしまいます・・・。


その後どうなったかは、ぜひこの本をお読みください・・・。





その2 マッキンゼーのコンサルタントが会社を作ったら・・・



この本が面白いと思ったのは、DeNAがそもそも
マッキンゼーのコンサルタントが作ったということなのですね。


南場氏はマッキンゼーで10年以上働き、パートナー(役員)まで
上り詰めた方です。
その南場氏が、マッキンゼーの入社3年目の川田尚吾氏と
入社2年目の渡辺雅之氏を誘って起業します。
そのビジネスモデルは、マッキンゼーが当時のソネットに
提案したネットオークション。


今ではヤフオクなど、たくさんありますが、1990年代では
まったくなかったビジネスモデルだったのですね。
しかも、そのソネットとリクルートが5000万ずつ出資してくれます。


「こんな持参金つきの起業で、しかもマッキンゼーのパートナーが
経営者なら失敗する訳がないではないか。」


当時は皆そう思ったのでしょうね。
でも経営は「コンサルタントの言うようにうまくいかない」のですね。


「やはりそうか。」


これが妙に納得して、そこが面白いのです。
会社経営の経験のない経営コンサルタントはやはり意味がないのです。


「コンサルタント時代は、クライアント企業の弱点やできていない
ところが目についてしまい、大事なところに気が付かなかった」


「マッキンゼー時代のクライアントにばったり会ったりすると、
今もとても恥ずかしく、土下座して謝りたくなる」


これは南場さんの反省を込めた本音です。
本当にそうなのでしょうね。
ではコンサルタント時代が起業に役立ったかというと、
直接的にはあまりないらしいのですね。
もし将来起業するなら、コンサルティング会社ではなく、
事業会社で修行すべきとまでハッキリ言いきっています。


これも本音なのでしょう。
意思決定のプロセスを重要視するのがコンサルティング会社。
しかし事業リーダーにとって、それと同等以上に重要なのが
「選んだ選択肢を正しくする」
しかも決める時ときも、実行するときも、
リーダーに求められるのは「胆力」なんだそうです。


現在南場さんは「孫社長のかばん持ちをしたい」と書いてありました。
個人的には、これからまたマッキンゼーの社長にでもなったら、
本当によいコンサルができるのではないでしょうか・・・。





その3 創業して4年間は赤字


DeNAが1999年に誕生し、その年の11月、
ネットオークションの「ビッターズ」が誕生します。


その苦労話というか、「ネタ」は何度か読んだこともあるし、
テレビでも何回か聞いたことがあります。
それで、そのお話は割愛しますが、そのあとが大変だったのですね。
2000年3月にITバブルが崩壊してしまうのです。
このあたりの時代背景も含め、前回ご紹介した、
サイバーエージェントと比較しながら読むと面白いのですね。


そもそも、ネットオークションのビッターズなんて
すいませんが知りませんでした。
後発でかなり苦労したようです。
起業してずっと赤字です。
創業時の株主であったリクルートとソネットから資本引き上げを
通告されます。


このあたりまさに、南場氏の経営者としての「胆力」が
ためされたのですね。
マッキンゼーの花形コンサルタントから、
鳴り物入りで経営者になったものの、でも実際の現場はまったく違った・・・。
題名の通り、まさに「不格好経営」。


2001年3月に、親会社のソニーやベンチャーキャピタルなどから
5億7000万もの調達を達成し、この危機を乗り越えたのです。


サイバーエージェントが潰れそうだった時に、楽天の三木谷さんから
10億円を都合してもらって、何とか生き延びたお話を思いだしました。


まさに「胆力」なのですが、DeNAは創業から4年間ずっと赤字。
どんどん資本を食いつぶしていきます。


2003年3月、初めて黒字になりました。
普通の経営者なら、それまでに潰れていても
おかしくなかったのかもしれません。
南場氏はその黒字の決算書を見て、初めて涙を流したそうです。
社長在任12年間で涙を流したのはその時の一回だけ・・・。
南場氏が真の経営者になった瞬間でした・・・。



その時のエピソードが正直書いてありました。
「黒字になって年棒を大幅に上げた。年収に800万に。」


「そんなもんか・・・」


「大幅に」ということだから、それまで多分月収40万か50万か・・
そう思いませんか。
これは正直大したことない額ですね。
普通の中小企業の社長さん並です。


2004年3月の売上が16億円。それで翌年なんと
マザーズに上場してしまうのです。
普通の中小企業の規模なのです。


なんだか、できそうな気がしてきませんか・・・。



その4 たかだか15年で・・・



ではそろそろ、私の良く言う「決め台詞」をアップして
終わりましょう。


「グーグルの誕生は1998年、吉田信康税理士事務所の誕生と同じです」


これに今回はこれが付け加わりますね。


「サイバーエージェントは1998年、DeNAが1999年」


本当にたかだか14、15年しか経っていないのです。
それなのに、グーグルは言うまでもないことでが、
サイバーエージェント、DeNAともに
売上1000億円企業になったのです。


2000世紀の「日本古来の」大企業では想像もできない
スピードで大躍進したのですね。
インターネットという「新産業革命」、「情報革命」により
新たな市場が創造されたからですね。


でも両社とも、この1ヶ月あまり、私の熱心な研究成果で
お分りの通り、地獄の苦しみを切り抜けているのです。
両社とも確かに素晴らしい経営者だとは認めますが、
普通の中小企業とそれほど差はないのです。
1000億企業になるか、中小企業で終わるか、
どこに差があるのだろうと何度も読み返しました。


「紙一重の差」といったら失礼でしょうか。


では、「サイバーエージェントとDeNAの差は何だろう?」
どう思いますか?
私なりに思ったのは、
「組織力と知名度」
ではないかと感じました。


南場氏は人の育て方が実にうまいと感じました。
そのうまさが、この本から溢れてくるのです。
この本を読んだ部下なら誰でも感動するでしょうね。
若干、社内的な「ヨイショ」と将来的な「リクルート」の意味が
ある本ではないかと正直思ったくらい・・・。


「知名度」というのは、お分かりの通り、
ベイスターズの買収ですね。
楽天を例に上げるまでもなく、プロ野球球団を持つことで
日々名前が出ますからね・・・。


DeNAはこれからどうなるだろ?
南場氏とともに期待を込めて感じますね。
売上4000億を目指すと書いてありましたが、
さらに「グーグルやアップルを越えたい」とまで・・・。


確かに「日本初」の企業がなかなか世界の頂点に
たどり着けていないのですね。
ユニクロが先かDeNAが先か・・それともサイバーエージェントか・・・。


DeNAに期待し、これからも応援していきましょう。
でも最後に言いますが、
私は半世紀にわたる熱狂的な巨人ファンです。残念!!



(がんばれ ベイスターズシリーズ おしまい)

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