その1  この本を取り上げる理由


ユニクロ・ウォッチャーの私としては発刊されてから気になっていた本でした。


ユニクロ

一年半ほど前しつこくユニクロ・ネタをアップしましたからね。
そのときの結論は
「ユニクロのSPA『製造小売業』は確かにすごいと思いますが、
この戦略では売上5兆円は到達できないと思います・・・」
ということを、「僭越ながら」書いたと思います。


予想通りといったら、大変失礼ですがユニクロは失速しているのですね。
震災後どこも失速しているので、一概にユニクロだけとは言えないとは
思いますが・・・。


この本を最初購入するのをためらったのは、「週間文春から依頼されたから」と
巻頭に書いてあるからなのですね。
要するに「週刊誌ネタ」=「ゴシップ記事」ではないかと思っていたのですね。


まずこの表紙が怪しい色ですよね。
しかも題名からしていかにも「週刊文春的!」ですね。
「影」というのはだいたい予想つきますからね。
「安売りの理由は・・・だ!」みたいな。
「アルバイトを低賃金で雇っているのではないか」とか、「中国の労働者を
こき使っているのではないか」、なんてゴシップ記事ということでしょうか。


どうも週刊誌的で、ここに取り上げるほどでもないと思っていたのですね。
ところが買って読んでみて驚きました。
この著者は、わずか1年ほどでユニクロに関して書かれたあらゆる文献に
目を通して研究しているのですね。
単なる雑誌記者とか評論家とは違うのは、それを検証しているのです。
実際に柳井社長に取材に行っていますし、発祥の地の宇部や
国内のユニクロ店、中国でのユニクロの製造工場まで突撃取材しています。


私もユニクロ・ウォッチャーとして、
「ユニクロは実際・・・ではないか」
と思っていたことがズバリ書かれているのですね。


それと何よりも参考になったのは、ユニクロのライバルとされる
スペインのZARAまで行って取材しているのですね。
ユニクロとZARAの比較は実に参考になります。


ここに、震災不況を脱する「処方箋」を見つけたと私は思うのです。
ユニクロなど大企業に対抗して中小企業が生き残る術です。
日本がダメだから安易に海外に出ればよいというだけでもなさそうですね。


しばらくご紹介していきましょう。





その2  ユニクロの店員に愛想のない理由


この本の前半は、以前取り上げた柳井氏の書かれた「成功は一日で捨て去れ」と
「一勝九敗」の内容が何度も出てきます。
私のように、ユニクロ通?の方はこのあたり読み飛ばしていいところでしょう。
でも読みながら、自分の書評を反省してしまいました。
本の抜書きが多いと実に読みにくいのですね。
自分お言葉で解釈して書かないといけないのですね・・・。


ところでこの本を読んで、久しぶりにユニクロに行って買い物しました。
テニス用かマラソン用のスポーツウエアでも買ってみようかと思ったのですが
私に合うような大柄のサイズがあまりないのですね。
それで仕方がないので、680円のランニングシャツと「3枚990円!」の
下着を買いました。
なかなか機能性が高く、しかも安くてよかったのですが、
この本を読んだからでしょうか。店員に注目してしまいました。


ユニクロの店員は、本社できめられた「マニュアル」で仕事が細分化され
すべて統一されているのですね。
例えば、「レジでは一人15秒」で処理しなければならないそうです。


ユニクロの店員はどうも愛想がないと思いませんか。
「今日はいい天気ですね」とか
「今度の新商品はこれです。いかがですか?」
なんて気さくに話しかけられたことないですね。


これも多分マニュアルに書かれているのでしょうね。
マニュアルには、お辞儀の仕方から、立っている時の姿勢、
それこそ腕の組み方(右手を上にするか、左手を上にするかまで!)
すべて書かれているのです。


どうしてそこまでするか分かりますか。
このアルバイトの問題もあとで詳しく解説しますが、
ユニクロの全従業員約3万人のうち、実は正社員が3000人、つまり10%しか
いないからです。
ということはそれ以外の90%がアルバイトと契約社員でまかなっているのです。
(ただし、派遣社員はいないと書かれていました)


このアルバイトを如何に戦力にするかということは、ユニクロにとって
経営上大事なことであったのですね。
それでマニュアル管理され、店舗においても店長やその店を管理するブロックリーダー
で徹底的に管理指導されているのです。


ユニクロの店員に愛想がないのはそういう理由なのでしょうね。
この本いわく「軍隊のような厳しさ」なのだそうです・・・。





その3  マニュアル経営


「ユニクロのアルバイトは軍隊のような厳しさがある・・・。」
これは結構驚きですね。


アルバイトの行動がすべてマニュアルに書いてあり、
こうやりなさいという指示ではなく、
必ずこうしなければならないという命令なのだそうです。


「それはマニュアルに書いて無いので出来ません。」
ということがないようにすべて書いてあるのですね。
今の若い人なら本当にそう言いそうなことですよね。
ということは、自分で判断して、自分で行動することができなくなると
思いませんか。


ここで以前ブログで取り上げた、星野リゾートの社員教育法を思いだしました。
星野リゾートは自分達で考え、自らの「気づき」を大事にしていましたね。
この点大きく異なります。


例えば、ユニクロではアルバイトは、「ユニクロ以外の服を着てはならない」
そうです。マニュアルにハッキリ書いてあるそうです。


でも、これは当たり前のことと言えますよね。
トヨタのセールスマンが、日産の車に乗って営業には絶対行かないですね。
どうやってトヨタの車を販売したらいか、お客さんにアピールするには
「この新車は私も乗っていますが、・・・がいいですね」
と言うに決まっていますよね。
日産に乗っているトヨタのセールスマンから(そんな人はいないでしょうけど)
絶対にトヨタの車なんか買いませんからね。


ユニクロのアルバイトでも、どうやって自社製品を売ったらよいかを
考えれば、多分それに誰でも思いつくと思います。
でもそれをマニュアルに書かないと、ユニクロのアルバイトは気がつかないで
他社ブランドを着てしまうのでしょうか。
「それはマニュアルに書いてありません。」というのか、
そんなことを考えない人をアルバイトに雇っているのでしょうか。


さらに、ユニクロのアルバイトの時給は900円からだそうです。
ずいぶん安いと思いませんか。上がっても1150円なのだそうです。


これは大変ですね。
さらに恐ろしいデータが載っていました。
2005年の内部資料で、一年間で辞めたアルバイトは73%で、
半年以内には46%は辞めてしまうそうです。
時給900円で、今時「軍隊並みに」こき使われたら、
若い人は持たないのでしょうね。
ユニクロの標準店舗の人員40、50名のうち、店長と店長代理のみ2名が
正社員であとはアルバイトだけなんだそうです。


確かに労働集約型のアパレル産業においてアルバイトの戦力化は
至上命題であることは認めます。でも
どうこの「マニュアル経営」がユニクロの弱点のように私は感じ出しました・・・





その4  ユニクロがこれま成長してきた理由


「マニュアル経営」が良いか悪いか。いろいろ異論反論もあるでしょう。
経済成長しているが右肩上がりのときは経営者側にとって、
これほどよいマネジメントはないのですね。


経営側は「この通りやれ!」と指示するだけで、簡単なのですね。
特にユニクロのようにカリスマ経営者のいる企業においては
有効なのでしょうね。


ユニクロが快進撃を続けてきた、「増収増益」の過程では
このマニュアル経営が効果を発揮してきたのでしょう。


この本によると、特にユニクロの店舗経営においては
「店長マニュアル」
「店長代行マニュアル」
「アルバイトマニュアル」
の三種類が各店舗に存在し、まさにマニュアル経営が万能に
なっているそうです。


アルバイトが、先に申し上げたように、「軍隊のような規律で」
マニュアルどおりの作業を強いられ、それを統括する店長代行や
店長自身も本部からのマニュアルどおりの勤務を強制される。
店長はいわば「軍曹」のように、アルバイトという「下士官」を
マニュアルどおり使いこなさなければならないのでしょう。



面白いと思ったのは、店長の役割は、
「本部から下りてくる売上目標をクリアすることと、
人件費を抑えることの二つに尽きる」
という記述なのですね。逆に言えばそれ以外はまったくできない。
それではせっかく店長になっても店舗独自の裁量が発揮できないので
面白くないかと思うのですが、やはりその通りだとかかれています。


もし勝手なことをやると、
「なんでマニュアルどおりにやらない」のだと本部から叱られる・・。


ここにこの不況期「一人勝ち」とされてきたユニクロの
成長理由を垣間見た気がしました。


経営学的にはそれが正しいのですね。
会社経営で、
利益をあげるには、「売上をあげる」か「経費を削る」ことの二つしかない。
当たり前とは思いますが、それを全店舗の店長に強制しているのです。


そのためには、「アルバイトを一人で8時間働かせるのではなく
二人で4時間ずつ働かせるようにする」
「風邪などの理由で急な欠勤が出てシフトに影響出ないように
休み時間にうがいを徹底させる」
など細かな指示がマニュアルで強制されているのだそうです。
つまりアルバイトを如何に効率よく働かせ、人件費を抑えるかです。


デフレ・スパイラルで苦しめられてきた中小企業の皆様。
お分かりになりましたか。
その「発信源の企業」はこれほどまでに努力してきたのです・・・。





その5  長時間労働のうわさ


先日のアルバイトをいかに有効に活用するかというのは、
非常に今日的なお話なのですね。
実は結構反響大きかったのです。この点について、熱心な読者からメールも
たくさんもらいましたので、「マニュアル経営」がよいか悪いかも含めて
いずれ続きも書いていきましょう。


また、「マニュアル経営」とともに、この本で「ユニクロの闇の部分」としている
店長の長時間労働があります。
店長は、毎日15、16時間勤務は当たり前のようです。
マニュアルで、「朝レジのつり銭を入れてパソコンを立ち上げること」と
「閉店後レジを閉めて、現金を夜間金庫に入れること」が
店長の仕事としてマニュアルで決められているのなら、
これは当然そうなりますよね。


月間の労働時間は300時間は悠に越え、ここで重要なことは店長というのは
管理職に該当し、残業代もでないそうです。


大卒で入社した方がすぐ店長になれるということで、
これは数年前話題になった「名ばかり店長」ということで問題になりそうですね。
入社数年で、すぐ管理職になってしまうのでしょうか。
多分立派なマニュアルがあるので誰でも店長になれるのでしょう。


一応現在では、その「名ばかり店長」問題があってからは、月間の勤務時間240時間を
越えないようになっているそうですが、本当のところはどうなのでしょうか。



ユニクロのチラシ良く見ますよね。
「バーゲンセール」
の開店時間にビックリしませんか。
朝6時開店!なのですね。
朝6時からお客さんなんてくるのでしょうか。
従業員の方々は本当に大変だと思います。
でも、これは1984年にユニクロ第一号店が、朝6時に開店したということで
「伝統的行事」らしいです。
でも、こんなことからも恒常的に長時間労働になっていないのでしょうか。



実は、今月この本の記述に対してユニクロは、発行元の文芸春秋に対して
出版差し止めなど損害賠償を起しているのですね。
国内における店長の長時間労働のお話などは事実無根だとしているのです。



でも出版されて3ヶ月もたってから急に裁判を起すのも変ですよね。
まあ、あまりユニクロの「闇の部分」に触れて、
私が「ユニクロに出入り禁止」にでもなっても困るので
止めておきましょう・・・。





その6  ZARAとの比較


実は、私が「ユニクロ出禁!」になってでも説明したかったことがあります。
この本を取り上げた理由は、ユニクロの目標とされるZARAのことに触れ
このユニクロと比較したかったのですね。
これはビジネスにおいて非常に参考になるお話だと本当に思ったのです。


ユニクロは、もともとアメリカのGAPのビジネスモデルを
参考にしていたといわれます、
事実そうなのですね。
製造小売業(SPA)を全世界で最初に始めたのがGAPですから。


そのGAPを目標に1980年代後半からユニクロは始動します。
その後10年以上も試行錯誤しながら、21世紀に入り、
日本で最初にSPAを確立し、流通革命を起したとされます。



ところでZARAというブランドはご存知ですか。
以前取り上げた柳井氏の書かれた「成功は一日で捨て去れ」では
スウェーデンのH&Mとともにユニクロの目標とされている会社です。


ZARAはスペインの会社。北西部の田舎町に本社があります。
ZARAとはブランド名でその会社は「インディテックス」といいます。
ユニクロがブランド名でその会社がファーストリテイリングというのと
同じですね。


この著者はこのスペインの会社まで取材に行っています。
昨日ユニクロがこの著作を訴えているという怖いお話をしましたが、
このZARAの記述は本当だと思うのです・・・。


ではユニクロとZARAの比較から。
ZARAは世界70カ国以上に4900を越える店舗を構え、
ワールドワイドに展開しています。
従業員は9万2000人。
そのうち8割が正社員。


ユニクロが世界7カ国でわずか136店舗の海外進出にくらべると
断然の差です。
すでにご紹介しましたが、ユニクロの従業員は3万人。
そのうち正社員は10%の3000人しかいません。
その残りの90%はアルバイトが占めています。
これも驚くほどの差ですね。


売上規模でみると
ZARAは今までトップだったアメリカのGAPを抜き、
2010年1月期の売上は1兆3037億円!
その売上高の68%を海外店舗で売り上げているまさに世界企業!


ユニクロは
2010年8月期で売上8148億円
そのうち海外売上高ではまだ10.7%にとどまります。



世界一のSPA企業となったZARA(インディテックス)の戦略は
実に参考になります・・・。





その7  ZARAのすごさ


世界一のSPA企業となったZARAのすごさとは何か!


裏を返せば、日本で快進撃を続けてきたユニクロの「死角」とも
いえますね。
これには関心しました。
ファッションにうとい「おじさん税理士」でありますが、
これは広い意味で、デフレ経済のすべてのビジネスに当てはまると思うのです。
デフレ・スパイラル切り抜ける「中小企業のための処方箋」です!


ZARAのすごさは三点あります。


第一に、『価格設定』の違い。


ユニクロの価格設定とZARAには2倍くらいの違いがあるそうです。
例えば、ZARAの女性用のジーンズは5000円から8000円代中心。
ユニクロの低価格198(イチキュッパ)や298(ニーキュッパ)の
低価格ジーンズとは違いますね。


ユニクロは今までその低価格がウリで、日本発のSPAを牽引してきました。
でもZARAは価格が高くても売れているのです。
不景気でも高く売れる技術をぜひ知りたいですね。
それは何だと思いますか?


第二の点が重要です。


それはまず『スピード』なのです。


ユニクロは中国の工場で委託して製品化していますね。そうなると
商品開発から店舗に並べられて販売するまで1年はかかるそうです。
それに対して、ZARAはどうか!


これは本当に驚きですね。
わずか「2週間」で製品化してしまうのです。
こんな企業は他にないでしょうね。


ファションに詳しい方なら誰でも知っていることらしいのですが
これは勉強になりました。


『人気ロック歌手のマドンナが、スペインの国内ツアーを行った時、
熱狂的なファンが、初日にマドンナが着ていた同じ衣装をZARAで買って、
それを身に付けて最終日に駆けつけた!』


そんな伝説!があるそうです。


お分かりになりますか!初日にマドンナの衣装を見たZARAのデザイナーが
短期間で製品化して販売できてしまうスピードなのです。


すごいですね。
日本で言えば、AKB総選挙の際に、選挙公示日に身に付けていた
前田あっちゃんの衣装を応援するファンがZARAで買って、
それを選挙開票日に着て一緒に祝うみたいな・・・・??





その8  少量多品種


すいません。ユニクロの錦織選手に始まって、ついついテニス、
マラソン・ネタで本題からかなりそれてしまいました。
(いつものことですが・・)
まだまだ言いたいことはたくさんあります。


世界一のSPA企業となったZARAのお話に戻しましょう。
ZARAの特徴は
第一に、価格設定の違い
第二に、スピード
でしたが、


第三に「少量多品種」ということも重要なのです。
ようするに「売れ切れ御免」の戦略です。ユニクロは品目を絞り込んで
大量生産することにより、コストを引き下げたのでしたね。


ZARAはその逆です。製造コストのアップにつながらないのではないかと
思いますよね。
この第二点のスピードと第三点の少量多品種を可能にするには
自社工場を持つことでカバーしているのです。
これは驚きました。
ここまでで十分ユニクロと真逆の企業だと気がつきますよね。
ユニクロは戦略的に自社工場を持っていません。
中国など発展途上国で生産委託し、貨幣価値の差で生産コストを
引き下げるビジネスモデルでした。


確かに安い製品はできるかもしれませんが、海外の工場に委託して
生産を外注すると、どうしても企画から製品が出来上がるまでの時間
(これをリードタイムというそうです)が長くなり、何ヶ月も前に
客の好みを推測しなければならないという危険が常にでてきます。


これに対してZARAは自社工場と物流センターまでを
本社近くに持つことで、企画から販売までのリードタイムを
わずか2週間に短縮できる。
これはすごいですね。


日本にも原宿や青山などでデザイナーが情報収集したファッションを
すぐさまスペインの企画部隊に持ち込み、その2週間後にもう
日本の店頭で売られている・・・。
しかもそれが、大量に売られるのではなく、少量多品種で・・・。
これは間違いなく売れますよね。もちろん多少高くても・・。


しかも感心したことはZARAでは各店舗で、毎日店員が
「顧客が試着したけど買わなかった商品を集めて検討会が行われる・・・
顧客が買わなかった理由が、色なのか、デザインなのか、それとも価格なのか」
そういうデータがすべて本社に集約されるそうです。


それでもう2週間後にそれを取り入れた商品が店頭に並べられる・・・。
これは本当にすごいと思います・・・。





その9  ZARAは売れ残らない  


ユニクロの目標としてきたGAP。日本国内にも多くの店舗がありますね。
私の好きな御殿場プレミアム・アウトレット。
行かれた方はお分かりだと思いますが、入場してすぐ左側の一番良い場所に
大きなGAPのアウトレット店がありますね。
いつもあそこで子供服を買っていました・・・。


ユニクロもそうですがGAPも品番を絞り込んだ、大量生産、大量販売です。
それにより低価格を実現するのですが、常に売れ残りのリスクが伴います。
季節はずれた売れ残り品をこのように「バーゲン品」、
今流に言えば、この「アウトレット」としてさばかなければならないのですね。
どうしてもアパレル業界ではこの「バーゲン」、「アウトレット」というものが
存在してしまいます。


これも勉強になりましたが、アパレル業界では正規の値段で売ったものと
このバーゲン品価格で売ったものと比較すると、
実際の収入は正札販売の60〜70%にとどまるといわれているそうです。


つまりアパレルの商品は全体では平均の値引率が30〜40%になるのですね。
それだけ売れ残って正札で販売できないものが、
常に在庫としてあるということです。


バーゲン・セールは「女性の友」かもしれませんが、アパレル業界では
いわば「必要悪」なのでしょうね。


ではこのZARAはどうか?
値引きの影響は10%にとどまるそうです。
それだけ正札通りに売れてしまうのでしょう。


ここにZARAの強みですね。常に「少量生産」し、マーケットの動向により
売れると分かれば増産する。


これもビックリしたのですが、ZARAでは
「春夏と秋冬のに2シーズンの初めに投入する商品の50%だけを前もって決定し、
その残りの50%をシーズン中に、市場の動向や顧客の反応を見ながら、
追加で投入していく」


これは日本のアパレル業界の常識を知っている人が聞いたら驚きますね。


毎年、真夏に冬服のデザインを考え、真冬に夏服のデザインを
考えている変な業界だと私は思っていましたから・・・・。(失礼!)

 



その10  ユニクロの死角

 
100円ショップに始まり、ワンコイン・ランチ、250円居酒屋、現在の
「デフレス・スパイラル」は枚挙に事欠かないですね。
その発信源の一つでもあるユニクロ。


大震災後の底なし不況の中、すべての中小企業が
いまだにこれに苦しめられいています。
でも一方で、ユニクロの990円のジーンズを買わないで
ZARAの8000円のジーンズを買う人も確かにいるのです。


またこれもよく思うのですが、ドートールのコーヒーが一杯200円なのに
スタバのコーヒーはその約倍の400円もしますよね。
それでもその400円のコーヒーを並んでまで飲む人がいる。


どうしてだろう?そのデフレ・.スパイラルを打ち破る処方箋が
あると思って必死になって読んできました。


結局その理由はなんだと思いますか。
私なりに一つの結論としたいのは、「従業員の差」だと思うのです。
人数の差ではなく、「質の差」、「組織力の差」
といったら失礼でしょうか。
高価格でも納得させる組織力の差ということになるでしょうか。
(こういうこと書くとユニクロ出禁!になるかな・・)


ユニクロは全従業員3000人(現在は4000人を越えていると思いますが)
のうち正社員はわずか10%しかいないのです。

それに対してZARAでは8割が正社員です。
ユニクロでは確かに有能なアルバイトがいるとは思いますが
それだけ定着率が低い現状では、なかなか組織経営にまで
発展しないと思うのですね。

ユニクロのアルバイト全員が、ZARAの従業員のように
「お客さんが試着したけど買わなかったのは、その買わなかった理由が、
色なのか、デザインなのか、それとも価格なのか」
そういう風に思って接客しているだろうか・・・。

そう思うのですね。

アルバイトの言ったことが、すぐ本社にフィードバックして、それに添った商品が、
もし数週間後に店頭で売られたら、それほどうれしいことはないと思うのですね。
従業員としてもこんなにヤリガイのある職場はないですからね。


でもユニクロの本社機能は全体でたかだか数百人です。
それほどの企画部隊は持っていないのでしょう。
多分、(これも想像ですが、これもこの本を読むと妙に納得しています)
柳井社長の「鶴の一声」ですべて決まっていく組織だから
今までは、そんな組織はいらなかったのではないでしょうか。


ユニクロは今まで、フリースに始まり、ヒートテックやブラトップなどの
ヒット商品に恵まれて、そんな組織はいらなかったのですね。
値段だけでほっておいても売れていたから・・・。
でも、このユニクロ自体にも「曲がり角」が来ていると思うのです。


中小企業の皆様。チャンスだと本当に思いませんか・・・。





その11  会社は株主のもの?


まだまだ続くユニクロ・ネタ
昔、ユニクロが登場した時、
「ユニクロの悪口言って100万円!」
というキャッチ・コピーがあったのをご存知ですか。
ユニクロはいろいろ批判されて成長してきた企業なのですね・・・。
といっても私は悪口をいうつもりもありませんが・・。


以前、前著「成功は一日で捨て去れ」を取り上げたとき、
会社は誰のものか?というくだりで、「会社はお客様のものだ」とする
柳井社長の記述に異論を唱えたことがありました。


それに対して、今回この「ユニクロ帝国の光と影」を読んで、
驚愕した事実がありました。


2010年8月時点での株主構成を見ると
「柳井正 26.7% 長男・一海 4.5% 次男・康治 7.9%
妻・照代 6.7%となり、一家四人で45.8%」
これには驚きました。
株の大半を一族で押えているのです。


上場企業で、これだけオーナー持ち株比率をもつ企業はないのではないでしょうか。
もっと言えば、「これで公開企業」といえるのでしょうか?
「乗っ取り」など企業買収をおそれているでしょうか。


私の持論である「会社は株主ものである」というのは上場企業のことです。
未公開企業は、株主=社長となり、つまり会社=オレですよね。


これでは普通の中小企業と同じですね。
柳井社長が一時、次期後継者とされた玉塚氏へ社長の座をゆずったものの
すぐ更迭して、社長に復帰したことがありました。
それ以降何人も社長候補の方が、名前が上がっただけで、すぐユニクロを去って
いったようです。
会社=オレ ということで普通の中小企業と同じですね。


前著「成功は一日で捨て去れ」では、今後、後継者教育を全社的にやっていくと
書かれていたのですが、実際にはこの子供達を後継者と考えているとも
記述されています。


「一海は地元の小中学校からスイス公文学園高等部に進み、
米ボストン大学、同MBAを取得した後に、ゴールドマン・サックスに入社、
その後ファーストリテイリング傘下のセオリーに入り、ニューヨーク勤務を
経て、現在ユニクロで働いている」


これは完全に帝王学を学んでいるとしか言えないですよね。
次男も横浜市立大学から、三菱商事に現在勤めイギリスに駐在しているそうです。


柳井社長は、世襲をしたいという気持ちはやはりあるのでしょう。
現実的には、万が一相続が発生したら、株の相続権は子供達にありますからね。
この子供達のオーナーとしての立場は保証されているのですから。


ユニクロは、やはり「日本で最大最強の中小企業」ですね・・・。





その12  息子達に期待したい


昨日ユニクロを「日本で最大最強の中小企業」とは言い過ぎましたかね?
そろそろユニクロから「出入り禁止」の通告を受けてしまいそうなので?
「日本復興のためのユニクロ・シリーズ」を、今日で最終回としましょう。


柳井社長の持ち株比率をお話しましたが、
ユニクロのHPによると平成23年2月28日現在で
28,297千株の26.68%です。
今一株1万3000円くらいですから、すごいですね。天文学的数字です。
株だけで個人資産3600億円くらいですね。


どうも税理士という商売柄、
「相続がもし発生したら相続税は・・・」
とついつまらないことを考えてしまいますが、相続税も多分天文学的数字ですね。


でもこの柳井社長という方は、そんな節税対策にあまり興味がなさそうにも
思えてしまいます。


ユニクロのHPには過去の有価証券報告書がすべてアップされているのを
ご存知ですか。こちら
これ見ると、ここ20年間の業績推移から、持ち株の推移まですべて分かります。
上場以来、持ち株比率はほとんど変わっていないのですね。


20年前にかつては証券マンだった私も当時を覚えていますが
その頃はまさにバブルです。
「上場して節税しましょう!」というのが流行り文句でした。


でもこの社長はそんなことに耳を一切傾けずに、この20年間、
業績を上げることだけにまい進してきたのですね。



上場企業でありながら、オーナー企業でもあるユニクロ。
このワンマン社長がやはり「この会社のキー」でもあり「アキレス腱」でもあり、
「柳井を辞めさせるのは柳井だけだ」
と最後は結んでいます。
ユニクロ帝国の最高司令官を「ヤナ・ジョンイル」とまでいう人もいるそうですから・・・。



でも子供達が成長し、ユニクロの経営にもっと関わってきたら
こう言ってほしいですね。


「オヤジ!朝6時からバーゲンなんて誰も来ないよ。
第一従業員が可愛そうだし。やり方古いよ!」


「自宅にゴルフ練習場を作るなんて成金趣味だよ。オレが山口県全部の
ゴルフ場を買っておいたから、毎日ゴルフでもやっていなよ。」


もしこう言ったらどうなるでしょう?
そうしたら、柳井社長は烈火のごとく怒るでしょう。
でも心の奥では泣いて喜んでいるはずですよ。


「ユニクロの闇」とは柳井社長の心の奥に潜む「闇」だと、
私は思うからです・・・。


(日本復興を祈りつつ、炎のユニクロ・シリーズおしまい。)

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