その1  日本復興のキーワード「フリー」


震災から一ヶ月。
もっと前を向いていきましょう!


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久々に書評を。
実は東京税理士会の新春講演会で勧められたのがこの本でした。
ご存知の方も多いのではないでしょうか。
昨年のベストセラーですから。
でもちょっと分厚いので買うのを躊躇する本ですね。


さすが課題図書としてあげられるだけのことはあります。
東京の税理士なら必ず読んでいる?本でしょう。
ビジネスマン必見の本です。
1月に買ってから3回読み返したところで、
アップしようかと思っていたところであの震災でした。


しばらくは「自粛」していたのですね。
それでその間、4回目を読み返した時、やはりこの本はこれからの
ビスネスの方向性を考えるために絶対必要な本だと
本当に思ったのですね。やはりご紹介しようと。



クリス・アンダーソン氏は、あの「ロングテール理論」で有名な方です。
この理論は私もこのブログで何度かご紹介しましましたので
ご存知ですね!?


Webビジネスの重要な理論です。
例えばこのフリーの本をアマゾンで買おうとしますよね。
昨年のベストセラーでも定価は1890円です。
でも中古品なら800円ぐらいでたくさん売られています。


昨年では「恐竜の頭」でたくさん売られていた本でも、
今買うとまさに「恐竜のしっぽ」なのですね。
これが「ロングテール理論」
(分かりますか・・・?)


普通なら、フリーとは「タダ」と思いますよね。
フリー・ペーパーのようなイメージなのでしょうか。
しかし、Webビジネスでもこれも重要な言葉と気がつきます。


例えば、私もこのブログ3年ほどやっていますが
まさに「フリー」です。
読んでいる方から「お金」もらっていないし、(当たり前!)
このサイト運営者にも「お金」払っていない。
本当なのですよ。


そんなことたまに聞かれることもあるのです。
「どうして毎日あれだけの文章書けるのですか?」
「何かお金でももらっているのですか?何か効果があるのですか?」


これがまさに「フリー」なのです。
この本読んでみて「フリー」の意味を再認識しました。
「フリー」という言葉は、
日本復興のための「キーワード」だと私は思うのです・・・。





その2  情報経済の中でのフリー


大震災のあとの日本経済。
本当に心配ですね。
消費は冷え込むことは間違いないと思います。


価格を安くしても売れないものは売れない・・・。
どうしたら売れるか。
「タダ」にすれば・・・。
これこそまさに「フリー」


しかし、「タダ」では儲からないですよね。
営利を追求するのが企業ですから。当然ボランティアではありません。
この矛盾をどうやって解決するか?
そこにこの「震災不況」を突破する処方箋があると私は思うのです。


この本はかなりボリュームがあります。
4回読み返しても分からないことも多いし。
前半の「フリーの経済学」なんて正直よく理解できません
だいたい今まで経済学者が研究さえしたことないらしいですから。


フリーの経済(つまりモノをタダで配って販売促進すること)は
今から100年以上前まで遡るらしいです。
ゼラチンを売るために、「レシピ本」をタダで配ったこと。
使い捨て剃刀をタダで配ることで、剃刀の替え刃を売ったこと。
これが人類最初のフリーだと説明がされています。


要するに
「あるものをタダで配ることで、別の需要を生み出すこと。」
これがこのフリーの経済効果なのでしょう。


タダそのものは儲からないはずですが、
タダということを「エサ」に別のものを売ることですね。
これはまだ人類史上わずか100年しか存在しない
販売手法なのでしょうね。


マクドナルドから「タダ」のコヒーチケットをもらって、
ハンバーガーとポテトをつい注文してしまう。
携帯電話をタダであげて月々の使用料を取る。まさにこれですね。


このあたりは皆分かるのでしょう。
でもこの方は「Webの権威」なのです。
やはり着眼点が違うのです。


20世紀のフリーと21世紀のフリーはまったく異なるのだと。
ここが難しかったところですが、経済事情が違うのだと。


「20世紀はモノの経済である原子(アトム)経済で
21世紀は情報通信の経済であるビット経済」


よってフリーの性質も違うと主張しています。


昨日タダのブログのお話をしましたが、
最近京都大学のカンニング事件がありましたね。
あれで「Yahoo智恵袋」が、かなり取り上げられましたね。


まさにあれもタダ=フリーなのです。
ブログやYahooなど情報通信の世界ではフリーの意味するところが
ちがうのですね。
ではYahoo智恵袋で誰が儲かっているのでしょうか?





その3  タダにして情報を得る


「Yahoo智恵袋」であれ、グーグルの「ストリートビュー」でも
Web上では「タダ」のサービスが実に多いですね。


このITの世界では「フリー」が当たり前になってきているのです。
それをこの著者は説いているのです。
「情報はフリー(タダ)になりたがる」と。


「どうしてタダなの?」
「誰が儲かっているの?」


本当に不思議に思いませんか?
タダの経済学なんてありえないと。
価格競争で100%勝ち続けていかれるレベルですから。


この著者もやはり「グーグル」を例にあげています。
Gメール。
ユーチューブ。
ストリートビュー。
すべて「タダ」ですね。どうして「タダ」なのでしょうか?


この著者がグーグルでの会議に出席したことが書かれています。
会議室には噂に聞く「スナック菓子をずらりと並べた棚」があり
その棚には
「健康に気を使った菓子から、絶対に身体に悪そうな菓子まであらゆるものが
並んでいる」そうです。
会議の出席者は感激して皆喜んで食べます。


ここにグーグルの目指す「フリー」の哲学があるとしています。

「このスナック菓子に10セントでも料金を請求したらどうだろう?」
「お菓子を取る時に考えて取るだろう」と。


「タダで手に入れたものにはあまり注意を払わないから。
フリーでは暴飲暴食。考えなしのムダ、貪欲さを奨励する」と。


ではなぜグーグルはGメール、ユーチューブ、ストリートビューなどすべて
「タダ」にしているのでしょうか?


昨日非常に難しい言葉をご紹介しました。


「20世紀はモノの経済である原子(アトム)経済で
21世紀は情報通信の経済であるビット経済」

であると。
この意味を何度も真剣に考えていました。


「20世紀の原子(アトム)経済」ではタダにして別のモノを売るため」
「21世紀のビット経済ではタダにして情報を得るため」


この違いではないでしょうか・・。






その4  400万もする電子カルテをタダに


「21世紀の情報(ビット)経済では、情報を得るためタダにする」


この意味お分かりになりますか?
この本から、時代をとらえる大事なキーワードだと感じました。

しかもその前提として「情報はタダになりたがる」ということを
理解しておくことも必要なのでしょう。


面白い例示があげられていました。
2007年のアメリカのサンフランシスコのお話です。


ある医療用ソフトウエアの会社が医療用管理ツールのシステムを
「タダ」にしたそうです。


そのシステムはいわゆる「電子カルテシステム」なのですが、
そのソフトウエアの製品は通常5万ドル(約400万円)もするものです。
日本でもどこの医院でも今や使用していますよね。


このご時勢、お医者さんだっていま厳しい世の中です。
400万もするものがタダなら誰でも利用しますよね。
当然すぐさま数千人の方が契約したそうです。


ではなぜ高額な電子カルテシステムの「タダ」が成立したか?
このシステム会社は、どうやらその情報を売って儲けているのです。


例えば契約している医者が2000人いて、一人の医者が扱う患者が
250人いるとしたら、なんと50万件もの記録が集められるというのです。
その50万人分の患者データを売ると、5万ドルのソフト販売代金より
はるかに儲かるそうです。
特定の病気を研究している医療機関では、多数の患者の長期にわたる
医療記録を必要としているので、その情報は高額で売られるらしいのです。


でもここで誰でも思いますよね。

「医者としての守秘義務やモラル、個人情報の扱いはどうなの?」


そこまで書いていないのですが、多分すべて匿名で情報を流すのでしょう。
それを前提として、当然医者と契約をしてから「タダ」で使用させるのでしょう。
どこまで患者の了解を取ったかどうかは分かりませんが・・・。


このお話結構興味がありますね。


では例えばのお話でが、
「会計ソフトのメーカーがタダで我々税理士に会計ソフトを配ったら」
どうなるでしょう?
その会計データからの情報をソフト会社が使用する権利があれば・・・。


こんなことを考える税理士は私くらいでしょうが、
何かヒントがあると思いませんか・・・。






その5  安売りとタダの違い


先週アップした


「会計ソフトのメーカーが、『タダで』我々税理士に会計ソフトを配ったら」


これ結構面白いことに気がついたと一人悦に思っています。
早速、今週当たりソフトメーカーからヒアリングでもあるでしょうか!?


会計ソフトメーカーはソフトを売って儲けているビジネスですね。
それをタダで配ったら、確かに儲からないです。

でもこの「逆転の発想」なのですね。
情報を売って儲けるのです。
そんなこと考える企業がドンドン出てきて欲しいですね。


ここ重要なので繰り返しますが、
「会計事務所が顧問料をタダにする」
という発想ではないのです。
それは単なる「安売り」であって、まさしくダンピングです。


会計事務所がもっている「情報」は確かにものすごいものがあります。
企業や個人事業のすべてが分かります。
例えば生命保険会社なら、まさに欲しい情報ばかりですし、
銀行でもそうです。
それを情報として「売ってよいかどうか」は日本的な議論の
あるところでしょうけど
世界ではそんな観点からビジネスを考えているのですね・・・。


長々とアップしてきましたが、21世紀の「タダの本質」が
そろそろお分かりになっていただけましたか?


どうもタダというのは「安売り」の究極なスタイルというイメージですよね。
安売りでも価格があることで、やはりそれでも購入者はためらいます。


iPadを買ってみて思ったことですが、「タダ」のソフトが
実に多いのですね。
面白がっていくつも購入?してしまいました。


あのソフト会社は何を狙っているかというと、
当然ですがバージョンアップした有料版の購入です。


でも最初はそう思っていたのですが、
開発側としては、どんなソフトをマーケットが望んでいるかという
貴重な情報でもあると思うのです。
そういう貴重な情報も得られるのです。


そのカテゴリーに絞り込んでさらに開発する・・・。
やはり奥が深いです。「フリー」は・・・。

 




その6  日本復興のために


フリーに関しては言いたいことがまだまだたくさんあります。
東北の復興支援に関しても、この「フリー理論」も役に立つと
思うのです。


今回の大震災で被災された多くの方々は農林業の第一次産業、
工業など第二次産業でした。
原発事故を含めても同様のことがいえると思います。
クリス・アンダーソン氏がいうところの、「原子経済」(アトム経済)です。
これから、農地を耕して・・・船舶を修理して・・・工場を立て直して・・・
いろいろ大変な局面が待ち受けていると思います。


でも21世紀が「情報通信の経済」(ビット経済)であるという観点から
考えたら、情報通信のサービス業なら復興が断然早いと思いませんか。
20世紀型の第一次産業、第二次産業はまさに「ヒト、モノ、カネ」が
必要です。


しかも、第一次産業は海外から農林水産物が大量に輸入されていいて、
第二次産業も海外へ進出するなど、「産業の空洞化」も叫ばれて久しいですね。
本当の意味での復興にはやはりかなりの時間がかかると思うのです。


ということは、パソコン一台で産業が興せる「情報通信の経済」に
進出した方が早いと思いませんか。
しかも、このフリー理論で・・・。


不幸にも職場のなくなった方々がたくさんいらっしゃるのです。
その方々のためにあたらしい産業を創出できないものでしょうか。
「グーグル」だけにやられてばかりいては
ダメだと思うのです。
日本初の新しい産業を若い発想で作り上げ欲しいのです。


私なんかここで思いつくくらいですから、
きっと考えていることでしょうね。


全国の東北出身の経営者に声をかけ、
東北支店や東北子会社を設立してもらう。
21世紀型の新しい産業を構築していく・・・。
どうでしょうか・・・。





その7  フリーの経済規模は限りない


「復興」という言葉毎日、新聞テレビなどマスコミから聞きますね。


もちろん白砂青松の東北の美しい自然はぜひ戻して欲しいのです。
ただ元のように産業が「復興」することは
正直大変な道のりだと思います。
ただ20世紀型の第一次産業、第二次産業の「復興」だけで
これからの21世紀に勝ち残れることができるのでしょうか。


不幸にも震災に被害を受けた子供達の明るい未来のためにも
新しい産業を今こそ起してほしいと思います・・・。


「復興」ではなく、新しく興す=「新興」。


再三申し上げるように、「フリー」という経済自体も
人類史上まだ100年しか経っていないのです。
しかも、ウェブが始まってわずかまだ15年あまり。
あのグーグルでさえ設立されて10年と少し。
それが巨額の経済規模になってきています。
それを冷静に気がつかなければいけないと
この本は言っているのでしょう。


この本では「フリー」の経済規模は

「ひとつの国家規模の経済を持つ」

とも言っています。
これは大変なことになりそうですね。
それを最大限利用して実行した方が
また勝ち残っていくのでしょう。


フリーのオンラインゲーム。
フリー広告。
フリー書籍。


実はこんなものはまだまだ入口のお話なのかもしれませんね。
新しい観点で、新しい価値観。
それで新しい産業。
若い発想でぜひとも取り組んで欲しいと思います。


私も「フリー戦略」やってみましょうか。
日本経済「新興」のために・・・。


仙台に「フリー税理士法人」
もちろん「顧問料もフリー」
「フリーの会計ソフト」を配り、
「フリーのオンランで指導」・・・。



(フリー・シリーズおしまい。) 


がんばれ日本!
がんばれ東北楽天イーグルス!!


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