その1 日経私の履歴書から



japanettakata


日本経済新聞の私の履歴書に今月はジャパネットたかたの
高田明さんが出ていますね。

もう毎日朝が楽しみで仕方がない。
日経新聞を後ろから読む人も多いでしょうね。

「こんな面白い方なのか・・・」

それでネットで検索して飛びついた本ですね。
やはり予想以上でした。
これは私の履歴書のネタ本でしょうね。


ジャパネットたかたは、ずいぶん前に取り上げましたね。こちら
あのテレビ通販の有名人の高田明氏がスパッと社長を辞めて
長男に社長の座を譲ったのですね。
それを解説した本でしたが、今回は高田氏そのもの。
非常に魅力的な方ですね。



ではまず、私の履歴書の解説から入ります。
私のブログの熱心なファンならもう分かりますね。
私の履歴書の正しい読み方として、(私しか言っていない?)


「MMT理論」があるのでしたね。

M=Mother(母)
M=Meet(出会い)
T=Take The Chance(チャンスを掴む)

すべての成功者はこれが当てはまるのですね。
この点から解説してみましょう。


高田氏は1948年(昭和23年)生まれ。
私の一回り上なのですね。現在68歳。
でも、お若く見えますね。

長崎県の平戸が故郷。
そこで両親が写真館を始めたのがルーツですね。



まずM=Mother(母)
ですが、母親の実家は平戸で海運業をしたり蒲鉾の製造販売を
手広くしていた商家。
その血を受け継ぎとても社交的であったそうです。

こういう生い立ちがやはり大事なのですね。
こういうことを書くと怒られてしまうかもしれませんが、
母親がサラリーマンの娘ではダメなのですね。
「天才的な営業マン」高田明氏がなぜ誕生したか
これこそ秘密なのです・・・。


その後M=Meet(出会い)と
T=Take The Chance(チャンスを掴む)

をえて大成功したのですが、この本で分かったこと。
中高大と本当に真面目に一生懸命生きていたことですね。

中学校から英語の塾に通い、バスケットボールに夢中になり
県大会まで。
高校でも一生懸命勉強し、大阪経済大学では、
ESSに入り英語をひたすら勉強。

卒業後機械メーカーに通訳として採用されたものの、
なぜか3年ほどで退職・・・・。


しかし、高田氏は通訳ができるほど語学が堪能だったのですね。
英語とジャパネット・・・?
まったく結びつかないところが非常に面白いですね・・・。





その2 英語の通訳から故郷のカメラ店


故郷平戸で家業のカメラ店を手伝うようになったのは
1974年(昭和49年)25歳の時。
カメラ店といっても、主な仕事はホテルの宴会でのスナップ写真や
観光地での記念写真を観光客に売ること。
当時はカラー写真が普及し始めていた頃だったのですね。



Photo

 



頼まれていないのに、こっちで500枚、あっちで700枚と
一晩で1500枚から2000枚もスナップ写真を撮って
それを徹夜で現像して、6時からの朝食会場で並べて売るのですね。


カメラ店というより、観光地で勝手に撮った写真を売りつけるような
言い方悪いですが「ヤクザのような」仕事ですね。



書きながら思い出しましたが、30年以上前に、新婚旅行で行ったハワイで、
奥さんと参加したサンセットディナー・クルーズで、
頼んでもいない写真を売りつけられました。
いくらか忘れましたが相当高かったと思います。
買わないとタダでは済まされないような感じで・・・(失礼)


これこそが「ジャパネットたかた」の原点なのです。
けっして高田氏を非難するわけではないのですが
ここからスタートなのですね。


こういうお仕事から、売上1700億円もの大企業に育て上げた
高田氏の才覚なのです・・・。
ここが面白いのですね。



学生時代からあれだけ必死に勉強した英語は一切関係ないのですね。
不思議と英語とはまったく関係のないヤクザのような仕事・・・。(失礼!)


学ぶべきところは、どうやったら売れるか必死になって
考えたこと。
この観光写真で真剣にマーケティングを学びます。
生きた経営学ですね。

 


1975年(昭和50年)27歳の時に4つ下の奥さんと
結婚します。
この奥さんと二人三脚でジャパネットたかたを発展させます。
長い間総務人事担当の副社長として働いたそうですから
この奥さんの影響は計り知れないのですね。



結婚して長崎県の松浦市という町で「カメラのたかた」の
支店を任されます。
人口も3万人ほどの小さな町。
支店はテナントビルのわずか3坪。


月商55万円ほどの3坪の店からスタートし、
大企業に発展させたのですから、本当にすごいと思いませんか?

ここで参考になるのは、
 
「一年で月商300万円にしよう!」

と二人で必死に努力したこと。


新婚旅行にもいかず、二人で必死に働きます。
本当に300万円達成した時は、奥さんと手を取り合って
喜んだそうです。


「できない理由ではなくて、できる理由を探そう!」


この方の強烈な人生訓です。
一生懸命やると、できることが見えてくるそうです。
三坪の店から始めてみませんか・・・。




その3 開業2年目にラジオCM


ビックカメラやヨドバシカメラなど東京で家電量販店といわれるところは
皆「カメラ」がつきますね。


「どうしてカメラ屋が家電を売り出したのだろう?」


普通の人はそう思いますよね。
この本を読むとその理由が良く分かりますね。


何度も書きますが、ジャパネットたかたは「観光地の写真屋」が
スタートなのですね。


「今を一生懸命生きていれば、売れるものや時代の流れが
見えてくるようになるんですよ。
カメラを必死で売っていなければ、ビデオカメラが売れるとは
予想できなかったと思います。
ビデオをやっていなければ、他の商品も見えなかった・・・」



いつの間にか家電量販店になってしまっていたのですね・・・。
たぶん、ビックカメラやヨドバシカメラも同じだと思います。


今やデジカメが主流ですから、フイルムで撮影することはなくなりましたね。
昔は写真屋さんでフイルムを現像してそれをプリントしていたのですね。
現像代とプリント代がかかったのです。
1枚30円とか20円ってかかるのです。
当然価格競争があったようですが、高田氏は当時35円で売っていました。



1982年(昭和57年)に「23分仕上げ」という現像機が
発売されました。
高田氏は当時で1台800万円もするその機械を即導入したそうです。
価格競争をスピードで勝とうとしたのですね。




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また、1985年(昭和60年)にソニーが家庭用の8ミリビデオ
カメラを初めて発売したのですね。


直感で「これは売れる!」と思ったそうです。

 

写真屋はフイルムを預かる際に住所を聞きますね。
しかも、現像すればいくつくらいの子供がいるとか、
おじいちゃんと同居だとか情報も分かります・・・。
その情報から、訪問販売して売りまくったそうです。


写真屋が家電量販店に化けるカラクリはココです!
まさにいつのまにか家電屋になっていく感じですね。
こうしていくうちに年商は2億円を超えてきます。

 



ついに、1986年(昭和61年)独立します。
なんと37歳の時です。私も37歳で独立ですから同じですね。
でも私と全く違うのはすでに、社員は10名以上。
その他アルバイトやパートが12人。

 


独立した翌年に宣伝にラジオを使います。
なかなかの「攻めの」経営者ですね。


「フイルム1本5円!」


という特売情報をラジオで流して集客。
5円なんかで売ったら、当然それ自体は赤字ですが、
宣伝と割り切っていたようです。


しかも、


「カメラのタカタ♪ タッタカタ♪ タッタカタ〜♪ 」


というコピーを考えてプロに曲をつけてもらって流します。

独立開業2年目にラジオCMですからね。
やはりこの方はすごいですね・・・。





その4 Take The Cance !


独立開業2年目でラジオCMをしたというのは
本当にすごいと思いませんか?
私も税理士として20年以上やって、何百、何千という多くの会社を
見てきましたが、独立開業2年目でCMを打つなんて
会社はありませんでしたね・・・。

1986年(昭和61年)の時の年商は約2億円ほど。
本店以外に3店舗あり、従業員もアルバイト歩含め20名強。
税理士としての感ですが、まず利益はそんなに出てはいないと
思うのですね。

それでも
「カメラのタカタ♪、タッタカタ♪、タッタカタ〜♪」
のラジオCMを3年ほど続けます。


一生懸命やっていると時代も後押ししてくれるのですね。
時代は平成に移り、バブル景気に突入。

 


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覚えているでしょうか?
1989年(平成元年)にソニーが発売した「ハンディカム」。


「これは売れる!」

と高田氏は直感したのでしょう。


1台198000円の商品を月に100台売ります。
ソニーの特約店で九州1番になったそうです。
それでも1989年の年商は2億7000万円。

 


ここで高田氏は「ジャパネット」が誕生するきっかけとなった
ビックチャンスをついにつかみます。


私のMMT理論のM=Meet(出会い)と
T=Take The Chance(チャンスを掴む)
が同時に来ることになるのです。

 

1990年(平成2年)3月、地元のNBC長崎放送で
ラジオショッピングをするチャンスを得ました。
ラジオCMを続けたことがここで生きるのですね。

たった5分の持ち時間で、コンパクトカメラを紹介。
それでも効果は絶大で2万円もするカメラが50台も
売れたそうです。

やはりここで高田氏の話術によるとんでもない効果だったのでしょうね。
何となく想像つきますね。

高田氏は「ラジオショッピングは売れる!」と直感したものの
熊本とか福岡などの放送局はまったく相手にしてくれない。

それもそうでしょうね。
創業5年程度で年商3億にも満たない会社が
ラジオの放送枠なんか抑えられるはずがない・・・。

高田氏が諦めているところに
M=Meet(出会い)。
長崎の三河内の店に、
岡山のRSK山陰放送と愛媛のRNB南海放送の幹部が
突然訪ねてきたのです・・・・。

これこそTake The Chance!!
高田氏の話術、タレント性が放送会社の幹部をうならせるものであった
とは思います。


長崎の小さなカメラ屋が長崎はおろか九州から飛び出して
鳥取や岡山でラジオショッピングなんてやるとは
誰も思わなかったでしょう。


常識を打ち破る非常識。

「できる理由を考える・・・」




その5  業界の常識にとらわれない


1989年(平成元年)に2億7000万円だった年商は、
ラジオショッピングを開始してから4年後には
なんと43億1000万円に。
驚異的な急成長を遂げます。


理由は簡単ですね。
「ラジオショッピング何かでものが売れる訳ない」
と皆思っていたから。


当時は1万円以上のものはラジオの通販で売れるはずがない
というのが常識でした。
でもこの高田氏はビデオカメラやワープロなど10万も20万も
するものをどんどん売ります。
まさに「できる理由を考える」
ですね・・・。


「業界の常識にとらわれず、偏見を持たずに商品の魅力さえ伝えれば
売れる」


と信じていたそうです。
これは参考になりますね。

 


もちろん、急成長の陰にはいろいろ苦労もあったと思います。
佐世保の会社が、本当に北海道まで送ってくれるのか、
故障したらどうなるのか、ふつう不安になりますよね。


佐世保にいる社員が全国の地名を全部わかっているはずもないですし、
今みたいにパソコンもない時代です。
それでどうしたかというと、全国の電話帳を取り寄せたそうです。


それとラジオショッピングで扱う商品は、ソニーとか富士フイルム、
シャープのようなナショナルブランドにこだわったそうです。
理由は故障などのアフターケアを考えてのこと。
それは確かにそうでしょう。

 


それと戦術もいろいろ考えました。


「金利・手数料ジャパネット負担」


この戦略は見事に当たったと思います。
割賦販売の手数料や金利を負担することにより、
高額な商品を買うことができるのですね。



書きながら気がついたのですが、
当事務所の隣にマルイ中野店があるのですね。
マルイが1960年代くらいに急成長した理由は
家具屋家電などの耐久消費財を月賦で初めて販売したのです。
1960年に初めてクレジットカードを発行したのです。
この戦略はありうるお話なのですね・・・。

 

 



それとこれも参考になるのは「セット販売」


現在では「大型テレビと高性能スピーカー内臓のテレビ台のセット販売」
これが大ヒットしているそうです。


デジカメの時代は「カメラと専用プリンター」をセット販売をしたそうです。
特にデジカメとHP社の複合プリンターのセットは短期間で累計100万台!
も販売したそうです。

なかなか戦略家です・・・。





その6 ついにテレビショッピング!


1994年(平成4年)ついにテレビショッピングを
始めます。
本当に攻める経営者ですね。


そもそも、どんな会社でもテレビの放送枠なんかもらえる訳ないのですね。
その2年前に銀座に自前の広告代理店を作って準備を始めます。


ラジオショッピングは長くて5分、短いのですと1分というのが
あったそうですから、たぶん予算はそれほどかからなかったのでしょうね。
でもテレビは違います。

 


営業努力の成果、ようやく確保できたのが深夜の30分の枠です。


そこに30分の番組を2本作って製作費はなんと1000万円!!

「1000万円の費用対効果は・・・・」


何て普通の経営者なら考えますよね。
考えて、考えて


「深夜にやっても誰も見てるはずがない。
売れなければ赤字。やっぱりやめておこう・・・」


こうなりますね。
しかも、本当にテレビショッピング誰もやったことないのですからね。


高田氏のこのベンチャースピリッツに本当に脱帽です。

しかも、放送にダチョウ倶楽部やモト冬樹などタレントも
頼んで作っているのですからね・・・。
まさにカケですね。


当時はコンビニの24時間営業も広まって深夜族が増えていたのですね。
この深夜のテレビショッピング戦略は当たります・・・。

 


1994年の売上43億1000万円が95年には71億8000万円に。

でも月に放送枠が10本から30本になったそうですから、
1本の製作費が500万円として月に1億5000万円!
年間18億円!!
売上は伸びたものの巨額の広告宣伝費を使ったことになりますね・・・。

 



一方で1995年(平成5年)からカタログ通販と新聞の折り込みチラシを
始めます。
ラジオとテレビに本格参入しながら、紙媒体にも参入です。
すごいですね。

 



考えられることは何でもやってくる高田流攻めの経営術。

この方の経営姿勢はこうです。


「やらなかった失敗はあっても、一生懸命にやった失敗はない」


もっと言えば

「失敗というのは一生懸命やらなかったこと」

ということなのです。


それでも、一生懸命にやっても結果が出ないこともありますね。
その場合は、


「一生懸命にやっても結果が出なかったときには、
『失敗』ではなく『試練』という言葉を使う」


本当に脱帽です・・・・。





その7 自前のスタジオで生放送!


「攻めダルマ」高田明氏とどまることを知りません。
本当にこの快進撃はすごいです。
2000年(平成12年)にはインターネット上に
「ジャパネットタウン」を開設します。


ネットバブルの時であったものの、まだウィンドウズ95が
発売されたもののそれほど普及はされていなかったのですね。


「それほど期待していませんでした」


と本人もいっているので半信半疑ではあったのでしょう。
でも10年後の2010年には年間600億円も売上となります。

 


最近でこそ「メディアミックス」という言葉がよく言われますけど
ジャパネットはまさに、日本初、元祖なのでしょうね。
ラジオやってテレビやってからカタログ。
さらにネット進出と・・・
時代の先駆けですね。


2004年(平成16年)からは、ネットのサイトを
「メディアミックスショッピング」にリニューアルして、
テレビ・ラジオ。カタログの商品をネットで注文できるように
なっているそうです。
実際にはテレビでキャンペーンするとその多くがネットで
注文してくる時代になっているからなのですね・・・・。


相前後しますが、2001年(平成13年)に、
佐世保に自前のスタジオを作ります。
当時から開始されたCS専チャンネルのためですね。
何となく時代がジャパネットを後押ししてくれていますね・・・。


でもこういうこと書くと失礼ですが、
番組制作会社ではなく素人集団ですからね。
3か月くらいの「突貫工事」でやってのけます。
すごいですね。
さらに、その年の6月から何と「生放送」を始めます。


しかし、スタジオ作りはまさにゼロからの出発。
その素人集団が(失礼!)生放送だとは、
よく「放送事故」でも起こさなかったと思いますね。
むろん周囲から大反対されたそうです。

 


結果的にその後CS放送の他のショップチャンネルとの
差別化をすることができたそうですが、
まさに結果オーライですね。

 


書きながら、つくづく思いますが、
この高田氏は「超ワンマン経営」なのでしょうね・・・。

社内の大反対を押しのけてやったのではなく、
社内で誰も反対を言えなかったのだと思います・・・・。




その8 スキルとマインド、そしてパッション


ジャパネットシリーズまだまだ続けます。

そろそろ反論も出てくると思うのですね。


「あれだけ広告宣伝費かけられたら、ウチの商品も売れるさ・・」

「高田明は天才だからね。あのしゃべりは誰も真似できない・・」



既存ビジネスを打ち壊していった高田氏への妬み、
やっかみもあるのかもしれませんね

でもこうやって経営に役立つ本シリーズでご紹介している理由は、
永年の経営ノウハウがたった2000円足らずで
手に入れることができるからなのですね。


「ウチの商品はどうして売れないのだろう?」


悩んでいる経営者をたくさん見てきました。
取りあえず、高田氏のやり方を真似てみればよいのですね。
そこに絶対ヒントがあると思うのです。

高田氏はラジオショッピングで4年間、
テレビショッピングで22年間、合計26年間も
カメラの前で商品を紹介し続けてきました。


「どうやったら売れるか?」

真剣勝負でやってきたのですね。
この本には書かれなかったですが、
日経新聞の私の履歴書(4月13日付)では、
ふざけたタレントに対して

「もういいです。帰ってください。」

と本当に言って番組を打ち切ったことがあるそうですね。

巨額の宣伝費をかけて、地上波の枠を押さえているのですから
売れなければ大赤字です。
そういう修羅場を26年間もやってこられたのですね。

当然その先人はいません。
高田氏自らが切り開いてきたマーケットだからなのです。


では高田流販売の極意。


「スキルとマインド、そしてパッション」


何だそうです。



ではスキル「技量」から。


テレビショッピングでは、そのスキルやテクニックは
もちろん重要です。
何より大事なのは、


「上手くではなく、分かりやすく伝えること」


テクニック(技術)というと、高田氏の話術のように
上手い下手が左右されると思われがちなようですが、
大事なことは分かりやすく伝えること・・・・。

もっと具体的に言うと、カメラを販売するときに


「コンパクトカメラ」とは言わずに、「名刺サイズのカメラ」
「ズーム」と言わずに、「遠くのものを近づかなくても
大きく撮影できる」・・・・


お分かりになりますか・・・・。




その9 何のために伝えるか


「ミッション」です。

これは「何のために伝えるか」ということです。

高田マーケティング学の神髄なのですが、

「モノを売る時に大切なことはお金儲けを第一の目的にしては
いけない」

ということ。

売り手の本心は知らず知らずのうちに伝わってしまう
ということです。

これを聞いて「ドキッと」とする営業マンも多いでしょうね。
誰しも「利幅の多い商品」を顧客に売りたいものです。
でも「売りたい!」という心は、いとも簡単に見透かされてしまう
ということです。
これは真剣勝負のテレビ通販で永年培った極意でしょうね。


伝える前に、「なぜ、何のために」売りたいのか。
「なぜ、何のために」伝えたいのか、
これを真剣に考えてきたということです。


ジャパネットたかだは、地上デジタル放送への移行期に
大画面の薄型テレビを売りまくりました。
その「ミッション」の込められたセールストーク。


「皆さん、42インチの大画面テレビがリビングに来たら、
格好いいでしょう。お宅のリビングが一気に生まれ変わりますよ。
大きなテレビがあったら、自分の部屋にこもってゲームを
していた子供たちもリビングに出てきて、
大迫力のサッカーを観たりするようになりますよ。
家族のコミュニケーションが変わるのです・・・・。」


どうでしょうか?
テレビの機能や性能には一切触れませんね。
これこそミッション・・・。



最後に「パッション」
高田氏はあの甲高い声で有名ですね。
でも地声は低いそうです。
なぜ固く聞こえるかというと、「伝えたい」という気持ちが強いから。
何となくわかりますね。
「もぞもぞ」言っていたら何も伝わりませんから。


それと大事なことは「気力」なんだそうです。
「この商品の魅力を伝えたい」と強く思うこと
これが大事。

生放送で同じ商品を販売してもよく売れるときと
そうでないときがあるそうです。
これはズバリ、「気力」の差です。


「スキルとマインド、そしてパッション」


これは納得していただけると思います・・・。




その10 世阿弥


高田明氏は、世阿弥を非常によく勉強されているのですね。
これは先日湯川弁護士の「ほどよく距離をおきなさい」で
ちょうど世阿弥について勉強したところでしたので
正直驚きました。こちら


世阿弥を研究することで、経営学にも通じるものがあるのですね。
経営者に世阿弥は好んで読まれているようですね。


Photo

 



ついでにこの本も読みました。
なかなか世阿弥について分かりやすく書かれています。


でもまず「離見の見」を高田氏も薦めていますね。
テレビショッピングでは最適な考え方なのでしょう。
「離見の見」の高田流の解釈としてよりリアルで
分かりやすいのでぜひご紹介しましょう。


世阿弥は能を舞う時に「3つの視点」があると説いています。
「我見の見」、「離見」、「離見の見」の3つ。


「我見」とは自分の側から相手を見る視点。

能でいえば、舞台にいる演者が客席を見ているのが我見。


「離見」とは、相手が自分を見る視点。
能でいえば観客が演者を見ているのが離見です。


では「離見の見」とは、自分自身の姿を離れた場所から
客観的に眺める視点のことを言うのだそうです。


これを能でいえば、
「舞台にいる演者が、あたかも幽体離脱でもするように
視点を見所後方に移動させて、俯瞰するように
舞台と客席の全体を見て、観客の視線で自分の舞を
みること」
何だそうです。


テレビショッピングに置き換えると、
売る側が、商品の特長や性能を説明して
「これいいでしょう」
と一方的に購入を進めているのが「我見」です。


これに対して、テレビを見ているお客様のシーンを想像して
「こんなふうに使うといいと思いませんか?」
と相手の立場で提案できるのが「離見」。


そして、離見で気づいたことを、どのように伝えれば
お客様の心に届くか、伝え方の方法まで考えることができるのが
「離見の見」


「離見と離見の見が大切なのは、能など舞台芸術やテレビショッピング
だけではありませんよ。他のビジネスでも、政治でも教育でも医療でも、
あらゆる世界でコミュニケーションが重要な役割を果たす場面では
同じことが言えると思います」


これは本当にそう思います・・・。




その11 明日の朝刊を見てください


世阿弥研究まだまだ続きます。
高田氏が薦めていた本を何度か読み直しています。


「風姿花伝」
ですね。

Photo

 


なかなか素晴らしい本ですね。
確かに経営に通じるものがあります。


ジャパネットはチラシを一度に4000万部刷ります。
これに数億かけます。
またテレビコマーシャルに億単位の資金を投入します。


普通の経営者なら絶対に躊躇する額でしょうね。
でも見せ方を、世阿弥を参考にしているのです。

 

「風姿花伝」に
「秘すれば花」
という名言があります。

 


例えばジャパネットが1998年に打ち出した有名なCMを
ご存知でしょうか。


CMで
「明日の朝刊を見てください」
とやったのです。
もちろん、全国初です。
これは大変なサプライズだったらしいですね。


まさに「秘すれば花」ですね。



しかし、一度見せてしまったら、もう秘したことには
なりません。それはビジネスも同じ。
常に新しいことに取り組んでいかなければならないのですね。



もう一つ、「風姿花伝」に


「いずれの花か散らで残るべき。散るゆゑによりて咲くころ
あれば、珍しきなり」


去年の桜と今年の桜は同じですよね。
それでも皆が毎年、新鮮な気持ちで桜を喜ぶことができるのは、
世阿弥はこう説明しています。


「花が変わるのではない。それを待つ人の心が
新しくなっているのだ・・・・。
桜は散ってしまうからこそ、次の年にまた花を咲かせることが
できる。桜は春の短い間しか咲かない。だから人々は桜を
楽しむことができる。
真夏に桜を咲かせてみても、人々を喜ばすことは
できない・・・。」


なるほどと思いますよね。


世阿弥は舞台もそれと同じだというのです。
あらゆる花を持っていて、観客が一番見たいと思う花を
見たいと思う時に咲かせなければならない。


お分かりですね。
これはテレビショッピングでもビジネスも同じことなのです・・・。




その12 物まねの極意


明日からゴールデンウィークですね。
日経新聞の私の履歴書も終わりに近づきましたので
そろそろまとめましょうか。


これだけ熱くジャパネット経営学を語ってきたのは
理由がありますね。


ジャパネットがテレビショッピングを初めて
20年ほどで売上1700億円の巨大企業に
変身させました。
その前のラジオショッピング時代からもそうですが、

「ラジオやテレビで売れるはずがない」

と誰からも言われ続けた高田氏がその逆境、アゲインストを
見事はねのけてきたのですね。
その理由をぜひ知っていただきたいのですね。


「できない理由でなく、できる理由を考える」


ここにヒントが絶対あるはずですから。

 



最後に申しあげたいことは、
ジャパネット経営学を「マネ」してみませんか?
ということなのです。


「テレビ通販をすぐやりましょう!」


ということではないのですが、世の中の流れは
確かに通販なのですね。
ユニクロの売上の構成比率のうち通販が確かに
伸びているらしいですね。
今後通販のビジネスが今まで以上に広がるのは、
間違いないと思うのです。

 


この「物まね」というのは、高田氏の愛読書の「風姿花伝」から
学んだものです。


その第二章は「物学条々」(ものまねじょうじょう)
なのです。
つまり、「能の基本は物まね」なのですね。


能は、女性や老人、神や鬼など9つのタイプが演じられ、
そのそれぞれの役を演じるにあたっての心得が
記されているそうです。
姿かたちなど単に物まねすればよいのではなく、世阿弥は
「この理『ことわり』を知ること、まことの物まねなり」
と言っています。
これは難しいと思いますが本質なのでしょう。

 


高田氏のセールストークはぴか一ですね。
現在ジャパネットには多くのMCがいるそうですが、
まずこの物まねから入るそうです。


経験の浅いMCでも、先輩MCの売れたときの話し方の完全コピーを
させます。
一挙手一投足まで徹底的にまねます。
視線や表情、身振り手振り、身体の動き、間、
放すスピード、緩急と言ったセリフ以外の部分まで・・・。

 



売上の上がらない経営者の皆様。
営業マンにジャパネットの録画を見せて、
どうやって売っているかを「真似」させることも
大事なのではないでしょうか・・・。

 



(ガンバレ! ジャパネットシリーズ おしまい)









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