その1 今話題の立ち飲み屋

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年初から「常識を破る非常識シリーズ」を取り上げてきましたが
まさにそれにぴったりの本が登場しました。


題名の通りの「俺のイタリアン」と「俺のフレンチ」というお店を
ご存知でしょうか?


ガイヤの夜明けなどビジネス関係の特集や、それこそワイドショーあたりで
何度か紹介されていますから、結構有名になってきていますね。


いわゆる「立ち飲みのイタリアン・フレンチ」なのですが
テレビの映像で見る限り、大人気、大行列ですね。
ピーク時には2時間待ちになるそうです。


それもそのはず、ミシュランで星をもらったような有名シェフが
通常なら3万円してもおかしくない料理を3000円くらいで提供!
アベノミクスの真逆の、まさに価格破壊ですね。


これを仕掛けたのが坂本孝氏。御年72歳。
なんとブックオフの創業者です。


ブックオフが5年ほど前、スキャンダラスな事件が起きて、
社長とともに当時会長であった坂本氏が解任されました。


本人いわく、
「余生はハワイに移住して好きなゴルフ三昧でも・・・」
と思ったそうですが、
京セラの稲盛氏が69歳でJALの再建を託されたことに
非常に刺激を受けあえて起業。


何を隠そう、この坂本社長も「稲盛教」の信者だったのですね。
稲盛さんの教えによりブックオフを大きくしたのだそうです。


稲盛さんは以前取り上げましたが、やはり信者が多いのですね。こちら


この坂本氏の半生にまず興味を持ちました。
これも彼いわく、


「2勝10敗」の人生。


これ見た瞬間に、私のブログの熱心な読者なら、
すぐピンと来ますね。


「1勝9敗」として自らの半生を綴ったユニクロの柳井氏の
ことをたとえているのですね。こちら


でも坂本氏は、柳井氏より年齢もビジネスキャリアも長い。
だからこそ、「もう一つ勝ちもしたし一つ負けたくらい柳井氏より経験豊富だ!」
そういいたいのでしょうね。


しかし古本の販売から、飲食業界へのまさに「殴り込み」
これに強烈なベンチャー・スピリッツを感じるのですね。
でも本人いわく


「『立ち読み』と『立ち飲み』でほとんど一緒さ・・・。」





その2 三ツ星シェフがなぜ立ち飲み?



坂本社長が前身のバリュークリエイト株式会社を設立したのが
2009年11月。
最初は串焼き屋の店をやったのでしたがうまくいかなかった。


それもそうでしょうね。坂本社長はやはり飲食の素人でしたから・・・。
そこに料理人森野忠則氏と元証券マンだった安田道男氏が
加わります。
面白いコンビです。でもこのベストマッチの異業種三人組が
力を発揮してきます。


従来型の串焼き屋に限界を感じて、三人で視察に。
ここがポイントでしょうね。
これはサイゼリヤの社長から、ストアコンバリゾン(競合店視察)が
いかに大事であるかを以前学びましたから。
成功する大繁盛店は皆これをやっています。
前回ご紹介した「岡むら浪漫」も開業前に必死にやっていました・・・。


そこで発見するのですね。
現在東京で流行っている飲食店はどういうところかを。


「立ち飲み」と「ミシュランガイドの星付きのレストラン」
なのですね。
要するに、「極端に安い店」と「極端に高い店」
そこに気が付いた三人は、この両方の勝ちパターンを合体しようと
思いつくのですね。


これは正直「素人だから」思いついた発想ですね。
普通の飲食店経営者なら、奇想天外の事なのです。
これこそ、「常識を破る非常識」


読みながら、
「そんな店あり得るかよ〜。」
「ミシュランの三ツ星レストランのシェフが
立ち飲みなんかやるはずがないではないの。」
皆思うはずです。


ブックオフでどれだけ稼いだか分かりませんが、
金に飽かしてシェフを買いあさろうとしたのでしょうか。
恐縮ですが、それこそ「道楽」といったら言い過ぎでしょうか・・・。


事実この社長はフレンチもイタリアンも好きでないと
ハッキリ書いています。
好物は和食。蕎麦天ぷら、寿司など・・・。
そんな素人が思いついた発想ですね。

Shinbashi

 

でも大真面目に取り組みます。
2011年9月。そこでできたのが「俺のイタリアン」1号店。
たった16坪の店。
でもコンセプトは「原価をじゃぶじゃぶかけること」


「金持ちの道楽。絶対に失敗するさ。」と
皆本当に思ったでしょうね・・・。






その3 業界の常識を打ち破る「安田理論」


「飲食業で長く働いていたので、
『原価率は30%以内に納めなくちゃいけない、
その中でお客様においしいと思っていただける料理をつくるのが料理人だ』
と教えられ育ってきました。」


これはパートナーである料理人森野氏が、言っていることです。
これはたぶん多くの料理人が、「業界の掟」のように
思っていることなのでしょう。
30%が正しいかどうか分かりませんが、
人によって「25%でなければならない」そういう人も多くいます。


それをもう一人のパートナーである安田氏が、新たな理論「安田理論」で
挑戦しています。
「回転率を上げることによって、原価率を限界まで引き上げる」
そんな『非常識』理論で「俺のイタリアン」を開店したのですから。


この原価率の問題は、以前サイゼリヤを取り上げてからの
私の研究課題でもありますね
25%ということは、
「250円の食材を1000円で提供する」ということなのですね。
それにどれだけの「お値打ち感」を出すのが、まさに料理人の腕なのです。


サイゼリヤは40%にも引き上げていましたね。
しかも、福島県白河市の専用農場ももっているし、
埼玉県吉川市にもセントラルキッチンの工場もある・・・。


そういうチェーン展開している飲食店に勝つには、
原価率を引き上げるしかない・・・。
理屈では想像つくのですが、業界人としては考えられないことなのですね。


原価を60%以上に引き上げようと努力しています。
本には書いてあったのですが、
『回転率をあげさえすれば(4回転)原価率88%でも大丈夫』と。


「ホントかよ〜。」


業界の人なら誰でも皆思うでしょうね。

ネットで発見したのですが面白い情報がありました。
当初、新橋1号店に行列ができたのは、実は業界の人が並んでいたのだと・・・
信じられない料理人が、それを確かめに本当に並んで食べたのだと。


これも面白いたとえですが、
「新車を買うのは、ライバル企業の社長が真っ先に買う。」


「なるほど〜。」と思いましたね。


それだけ業界に対するインパクトは強烈だったようです。


この脅威の店舗展開の拡大は続きます。
その名も「銀座ドミナント展開」・・・!!




その4 銀座ドミナント展開


「ドミナント展開」とは、昔セブンイレブンが初めて
日本に進出してきたときに取った戦略です。
地域を決めて戦略的に集中出店。
物流コストを引き下げる為です。


それを真似してか、銀座にすでに7店舗も出店しているそうです。
しかも新橋駅から近い銀座8丁目。
イタリアンやフレンチだけでなく、「割烹」や「ジャズクラブ併設店」まで
そこになぜ集中して出店しているのでしょうか?


「一流の人しか集まらない。一流の店だけしか集まらない。」
「銀座を制するものは日本を制する。」


そう坂本社長は考えているからです。
かつては「銀座」というところはそういうところだったと
認めます。
でも正直申し上げて、この「銀座神話」はちょっと古い考えでは
ないでしょうか。
銀座神話を信じているのは、私の年代以上でしょうね。
いまや銀座にだってユニクロがある時代ですからね。


かつて、銀座8丁目は一流クラブが集まる場所でした。
それを当て込んで高級寿司屋が数多くあり、
一種独特の雰囲気でしたね。
でも、そこに「立ち飲み屋」が集中したらどうなるのでしょうか?


「銀座8丁目に20店舗まで増やしたい。」そうです。


この戦略はどうなのでしょうか?家賃だって高いはずです。
本人いわく
「大手企業でこのような戦略が役員会にだされると
絶対否決されてしまう。」


そういっているくらいですから、本当に思い切った
「前代未聞」の戦略ですね。
成功するかどうか見ものだと思いませんか?


坂本社長は将来的に上場公開を視野に入れているそうです。
その陣頭指揮を取っているのが、元証券マンの常務の安田氏。
なんと野村証券出身だそうです。


ここでも「本当かよ〜。」
とあちこちネットで調べましたが
なんと私と同期入社1984年組。


これは驚きました。
この写真で一緒に写っているはずです。
まさに「同期の桜」こちら





その5 回転率と原価率との関係



この元野村証券の「同期の」安田氏を、正直私は存じ上げません。
どこかで会ったことがあるかもしれませんが、
少なくとも向こうも知らないでしょうね。


まあ野村証券には「同期会」なんてものは
そもそも存在しないからなのです。
ネットの情報によると、同期の誰よりも早く部長になったくらいの
非常に優秀な方みたいです。


「同期の誰よりも早く辞めた?」私なんて足元にも及ばない方ですね。
彼はその後外資系の社長になってから、坂本氏にスカウトされたようです。



再三坂本氏が熱く語っている「安田理論」
これはまさに飲食業界の常識を覆すものです。
安田氏は証券ビジネスのスペシャリストであることは認めますが
飲食ビジネスでもその力を発揮しているようですね。


その安田理論を坂本氏が解説してくれています。
これは飲食店ビジネスの方に参考になるのではないでしょうか。
(普通の経営者なら怒り出すかもしれませんが・・・)


安田理論とは、『回転率を上げることによって、原価率を最大限まで
引き上げる』という、業界では「非常識」な理論です。


実は今年の1月に「俺のシリーズ」のやきとり店が蒲田駅に
出店しました。
「やきとり一本59円」
という超安売り店。
テレビでも何度か見ました。


イタリアンやフレンチにとどまらず、ついに焼き鳥居酒屋まで
進出です。


驚異の原価率はこうです。
焼き鳥が57%、刺身85%、一品料理70.2%
すごいです。平均原価率70.7%


普通の居酒屋なら潰れてしまいますね。

ただ焼き鳥には当然「ビール!」ですから、
ビール以外にサワー、ホッピーなどの原価率は
もっと低くて25%。
ここで儲けるのですね。
フードとドリンクの比率を65:35にすれば
平均原価率51%までになるという読み。
通常の飲食店なら、せいぜい3回転。
これを営業時間を昼の12時から翌朝4時までにします。


そうするとなんと「4回転から9回転」
9回転というのはすごい数字。
まさに非常識!
安田理論で飲食業界に革命を起こそうとしているのですね・・・。




その6 上場公開ははたして可能か?


2012年11月1日に「俺の株式会社」が、新たに設立されました。
まさに上場公開を視野に入れてのことです。


「2013年10月の決算では月の営業利益が2000万円を
越える」と予想しています。
すごいですね。まさに急成長ですね。


「早くて2014年10月にはIPO」と言っているくらいですから
鼻息はかなり荒いですね。
本当にわずか数年で上場公開にまでもっていけるのでしょうか。
この快進撃がどこまで続くか、業界の方々は戦々恐々なのでしょうね。


雑誌やWEBなどでは、
「ブックオフが上場したときにストックオプションで一億もらった
社員がいた・・・」


そんな話をしながら、安田常務が「三ツ星シェフ」を勧誘していると
書いてありましたね。
かなりきわどい「勧誘トーク」だと思いますが、どうなのでしょうか?


立ち飲み屋さんがわずかそんな短期間で上場まで
持って行けるのでしょうか?


最後に気になったことを。
ブックオフが急成長したときに、新刊書店が大打撃を受けたのですね。
古本の流通マーケットを新たに開拓した坂本社長の
偉大な功績は確かに認めます。
しかし、一方で既存ビジネスにも莫大な影響を与えたのですね。


事実この本にも書いてありましたが、


「ブックオフが500店舗にまで拡大したとき、新刊書店が500店舗潰れた・・・」


「そのことに対してかなり攻撃を受けた」と。



新たに市場創造するということはそういうことなのですね。
今回、そういう「生き証人の」坂本社長が、
新たな飲食店業態を作ろうとしています。
「俺の」シリーズのお店が出来ればできるほど、
既存の飲食店も淘汰されていくのでしょうか。


回転率を上げるということは、他店の客がその分奪われるということ
なのでしょう。


「歴史は繰り返される」とよく言います。
スーパーが台頭したおかげで古くからの商店街が淘汰されました。
まさにあれと同じです。


新しい飲食店形態ができることにより、
そんな危惧も少なからずしています。

Ton


今後この「俺のシリーズ」に目が離せませんね。
一度飲みに行きたいと思っています。
しかし、個人的には吉田類さんが通っているような、
昔ながらの「赤ちょうちん」が私はやはり好きです・・・。


(すいません。最後にコアなネタ・・・ こちら
写真は新高円寺のご存知「焼き鳥 屯」)

 (がんばれ 俺のシリーズ おしまい)

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