その1 会社がつぶれた理由を本人から


ショッキングな題名の本のご紹介。
会社をつぶした社長がその「言い訳」を書いた本はなかなかないです。
そういう意味でこの本は非常に勉強になりました。

Yasuda


実はワイキューブの安田社長の本は3年くらい間に、
「検索はするな」という本でご紹介したことはあるのですね。

あの頃は、ちょうどサイバーエージェントの藤田社長の本を
取り上げた直後で、
「若い経営者もなかなかよいこというな・・・」
と感心したので、つい若手経営者の安田社長をご紹介したのでした。

「ちくわの穴の開いている理由をよく考えよう!」

という何だか結論がよく分からない?本でしたが・・・。

そのワイキューブが、あの東北大震災があった2011年3月30日に
民事再生法の申請をしていたのですね。
それで最近「敗軍の将兵を語る」というような意味で、最近出版されたのでした。


まずこの本の内容を取り上げる前に、今まで
「経営に役立つ本」というタイトルで、
数多くのの経営者の書いた(もしくは書いたであろう)本
を取り上げてきましたが、
会社をつぶしてしまった社長が書いた本を、このブログでご紹介したことに
まず心からお詫びしなけれならないと思います。


「検索はするな」という本が書かれた理由まで、
この「私、社長ではなくなりました。」に詳しくありましたが、
要するに、
「本を売って、メディアからの取材を増やす」
そのために書かれた本であったのですね。
内容云々というより、とにかく多く売って会社の知名度をあげるという理由です。
つまり、会社のブランド戦略の一環として本の出版を続けてきたのですね。
その戦略に私はまんまとひっかかってしまった訳です。
本当に売れたのか?という疑問まで感じてしまいます。

この方の書いた本でもう一冊「1000円札は拾うな」という本もあります。
これも30万冊のベストセラーになったらしいのですが、
今アマゾンでなんと「1円で!」いくらでも買えます。

こういうことを言うと怒られますが、「作られた」ベストセラーでなかったか
とさえ思うのです。

自社で大量に買ったり得意先に無理に買わせたり、
ビジネス本くらいなら、ベストセラーを作ることはできるのです。
ワイキューブはそういう作られた「はりぼて」の会社でもあったということが
この本を読むとよく分かります。

「こうやって会社はつぶれていくのか・・・」

そういう意味でこの本は間違いなく経営に役立ちます・・・。



その2 バブル絶頂で会社を設立

昨日「ワイキューブという会社はハリボテの会社であった」と
ついまた、いつものように「筆を滑らせて」しまいましたが、
本心としては「なんだ!ワイキューブもやはりそうか!」
と安心もしたのですね。

日頃、税理士をしていることで、顧問の会社の内情は誰よりも分かります。
「隣の芝生」ではないですが、
「隣の会社」がよく見える時もあるのですね。
ですから、経営者本を読んだくらいで、
「ワイキューブって会社は素晴らしい!」と
思わず絶賛してしまっていたのです。
でも内情はというと・・・。
それがこの本でよく分かりました。
外見からはやはり分からないものなのですね・・・。


安田社長は1965年(昭和40年)、大阪生まれ。
高校卒業後オレゴン州立大で生物学を専攻します。
5年ほど渡米していたらしいですが、前回ご紹介したソフトバンクの
孫正義氏と同様ですね。
ただ、この海外留学(遊学?)は孫氏ほど役立たなかったみたいですが
帰国後、とりあえず「リクルート」に契約社員として入社します。

「リクルートに入社したのは社長になるための修行」
と、最初から起業を目指していたそうです。


ところでリクルート出身の経営者多いですね。
なぜ多いかこれを読むと分かります。
リクルートとは人材業界で断トツ、
人材市場を開拓してきたパイオニアです。
しかも優秀な人材を集めることに長けた会社で
自社の媒体を使うために広告費用がほとんどないにもかかわらず、
多額の費用もかけ優秀な社員を集めていたそうです。

営業もかなり厳しかったみたいです。
強烈な営業手法、個人的に今話題の野村証券を思い出しました・・・。
野村証券にも優秀な社員は多かったのですね。
こちらの営業も厳しかったですが。
でも人材関連ビジネスがよいところは「規制業種」ではないところなのですね。
だからいくらでも起業開業ができる。
金融機関出身者は勝手に銀行や証券会社が設立できませんからね・・・。


安田社長は売上トップも取ったこともある優秀な営業マンだった
みたいですが、わずか2年ほどではリクルートを飛び出します。


1990年(平成2年)に25歳の若さでで早くもワイキューブを設立します。
早いですね。

でも私なりにここで突っ込み。
1990年というとまさにバブルのピークですね。
日本で一番景気の良かった頃です。
起業開業は誰でもできるくらい簡単だったと思うのですね。
わずか2年ほどしか社会経験のない「新米の経営者」にとって
最初からスタンスが少し甘かったのではないでしょうか。
その甘さが最後の最後まで。
これはこの本を読むとよく分かります・・・。



その3 成功の法則

今まで数多くの起業家を見てきましたが、
独立開業の「成功の法則」について、いろいろ思うのですね。
今のところ

「ビジネスモデルの早期確立」

これが「成功の法則」ではないかと思っています。

安田社長のように、大手の会社から独立するケースでは、
安易な「ビジネスモデルの確立」は、自分が開拓したお客さんを
持っていって独立することなのですね。
リクルートのように広告代理店などの業種に多いのではないでしょうか。
他にも飲食店や、美容室などの起業にも多いですね。

でもこういうケースは簡単に「ビジネスモデル」は確立するのですが、
長続きしないのですね。
そんな会社もたくさん見てきました。
安田社長が、リクルート時代に全国トップになった営業力は
やはり、「リクルート」という「金看板」があるからこそできた訳なのです。

安易な独立をした多くの人が、あとから
「金看板があったからこそできたのだ」と気が付くのですね。
安田社長は、事実25歳で独立起業してから、
この「ビジネスモデル確立」に5年ほど試行錯誤します。

最初に手掛けたのは「アメリカ日本人観光客向けの新聞」だったそうです。
学生気分が抜け切れていない、「学生さん的」ビジネスですね。
「学生ベンチャー」にありがちな短絡的なビジネス。
これに見事失敗して2000万の借金を作ってしまう・・・。

結局リクルート時代に手がけてきた人材採用の仕事を
再びやっていくしかなくなります。

でもここで安田社長の取った「失敗の法則」は
まだまだビジネスモデルが確立していないのに
多額の「福利厚生費」をつかってしまったのです。
グアム旅行にラスベガス旅行・・・。すごいですね。
まだ15人くらいの規模なのに会社の儲けを
社員旅行で大判振る舞いしてしまいます。

安田社長の福利厚生に対する考えがこれです。

「会社が社員を大事にすれば、社員はきっと顧客を大事にする。
そうすれば売上も伸びる。福利厚生を充実させれば会社は絶対つぶれない。」

そう信じていたのです・・・。
これが間違いだと分かったのは、残念ながら会社をつぶしたあとだったのですね・・・。



その4 「あせり」は禁物


ワイキューブが設立して5年くらいの1995年頃、
社長が30歳の時、孫氏のソフトバンクを始め、
ガーラ、デジキューブ、デジタルガレージ、サイバーエージェント・・・
若手起業家がどんどん台頭してきますね。

そんな中にあって、「鳴かず飛ばず」だったワイキューブは
あせりを感じてきます。
こういう「あせり」というのは危険ですね。
これも中小企業の現場を見てきている税理士として
非常によく分かるお話ですが・・・。


あせった社長は、まず無理して東京進出を果たします。
東京事務所の社員がわずか10数人の時に、
新宿アイランドタワーという高層ビルのワンフロワーを
借りてしまいます。
坪4万円で300坪というから月1200万円!
それに内装費3000万ほどかけて豪華な東京事務所を設置します。

その時の売上が5億円、利益が3000万円足らず。
どうしてそんなことができたかというと、
「銀行が貸してくれたから・・・」
この発想がすごいのですが、当然ですが入居しても、すぐ解約して
半年後撤退しています。
想像できますが、これだけで1億円くらいは借金を作ったのでしょう。

どうもこの方の経営スタイルに疑問を持たざるを得ないのですが、
この社長は、借金についてずっと「美徳」だと考えていたみたいです。

それを検証するために先日ご紹介した彼の著書「1000円札は拾うな」を
アマゾンで1円で買ってみました。(本当に一円で買えました!)
これにも

「借金も財産のうち」

そうはっきり書いてありました。
「借金は資産でなくて負債だろ!」
という税理士的な真面目な突っ込みをすぐしたくなるところですが、
「借金はしなければ損である」のような書き方です。

ワイキューブは本当に「借金体質」の企業経営なのですね。
これも中小企業にありがちなお話です。

この安田社長は、借金や企業活動によって獲得した資金を
人とブランドに無尽蔵に投資していきます。
昨日ご紹介した「福利厚生費」も人への投資の一環です。

「優秀な人材と会社のブランド力があれば、売上や利益は
いつでもついてくるものだ」

と思っていたからなのですね。

これも残念ながら、あとから間違いだと気が付くのです・・・。




その5 失敗の法則

お花見に浮かれるのはいいのですが、
この本で言いたいことはまだまだたくさんあります。
最初に申し上げましたが、倒産した会社の社長自ら書いた本は
そうそうないのですね。
それをあえて公表しているのです。
商売柄、傾いた会社のことは内部事情も含めたくさん知っています。
でもやはり専門家として守秘義務があるので、
当たり前ですが公表できません。
でも、この本の内容を多少公表しても文句は言われないでしょうね!?

なぜワイキューブが倒産したかという「失敗の法則」を、
ぜひこの本から学んで下さい。


リクルート出身の社長は、「古巣の」採用ビジネスを始めましたが、
やはり、リクルートに対抗意識を持っていたのでしょうね。

「新卒採用ビジネス」に特化していきます。
東京に進出した頃、得意先からこんなことを言われます。

「ワイキューブは新卒採用を支援している会社なのに、
なぜ自分たちは新卒を取らないのか?」

ワイキューブはその頃、社員20名ほどで売上3億円そこそこ。
そんな状態で普通新卒は取りませんね。
というか普通新卒の方は入社してこないでしょう。

当たり前ですが、新卒を募集するには広告費用もかかるし
入社後の研修費用もかかりますね。
新卒の学生を一人採用するには何百万円もの費用がかかります。

「会社を大きくするにはここで勝負をかけるしかない!」

社長はここでも「あせる」のです。
東京進出した翌年の1997年に13人学生を採用して
その翌年には21名の学生を採用した。
社員が20名しかいないのに、2年間で34人!

しかも優秀な学生を集めるためにあえて、
月額1200万もの新宿の高層ビルに移ったのです・・・。

「おのずと優秀な人材が集まる・・・」

これもやはり失敗だったとあとから分かるのですね。
新卒一人採用するのに平均で300万以上かけたそうです。
一億円かけて採用した年もあったそうですが
10人しか採用できなかったそうです。
まさに失敗の連続です。
この「失敗の法則」はお分かりになりますね・・・。


中小企業の大きな悩みの一つに「人材」があります。
なかなか育たないものなのですね。

大企業のように多額の研修費と研修期間をかけるのと雲泥の差です。
中小企業では、早く育って稼いでもらわないと採算が合わないのですね。
だから新卒を採用しない理由でしょうけど。

中小企業に一番大事なものは、まさに「人財」・・・。



その6 就職ランキング一位を目指す

安田社長の「失敗の法則」の一つにこれがあります。

「人気企業ランキング一位の会社を目指す」

中小企業が並みいる人気上場企業に、「新卒採用」で勝つには
大変なことです。
それをあえて実行しました。
確かに本業が「新卒採用ビジネス」である以上、
学生さんに人気がでるような話題を提供すれば、
ランキングはあがり、本業での相乗効果もあったかもしれません。
でもやはりやりすぎたのでしょうね。
私はあえて「失敗」だったと断言しておきましょう。


以下本の中からご紹介しますが、確かにすごいです。

名古屋支社をニューヨーク風に、福岡支社をバリ風に、
大阪支社をメキシコ風に改装し、
そして最も力を入れた東京オフイスは、
一階にカフェスペースやワインセラーを設け、
床には大理石を敷き詰めた。
地下に社員専用バーをを作り専属のバーテンダーを雇い、
カフェスペースにはパティシエも雇い、
来客者にはコーヒーやお菓子はすべて無料で提供した。

その専用バーでは社員は無料で飲み放題、
また保養所も設け、そこでの飲食もすべてタダ・・・。

高額の費用をかけて新卒を採用し、さらに、
社員の平均給料までも引き上げたそうです。
平均400万円だったものを750万円!!
社員に対する処遇をこれだけ手厚くした会社はないでしょうね。
考えることはすべてやったそうです。
正直驚異的ですね。


これは
「優秀な人材と会社のブランド力があれば、売上や利益は
いつでもついてくるものだ」

この発想なのですが、
そう信じていた彼は理想の会社を作ろうと努力したのですね。

こういうことをすると結果どうなるのか?
なかなか実践した会社は少ないでしょう。
税理士として非常に興味がありました。

確かに当時の学生さんの間では人気企業になったそうです。
一回の会社説明会に数千人も応募があったそうですから、
人気ランキングが上昇したのは間違いないのでしょう。
しかもマスコミにも多く取り上げられ、かなり宣伝効果も高かったそうです。


このワイキューブの事例を見てどう感じますか?
これが理想の会社なのだろうか?考えさせられました。
本当に良く考えてみてください・・・。



その7 実は粉飾をしていた・・・


すいません。また桜満開ネタで話が途切れました。
企業経営の大事なお話をしていたところでしたね。

「ワイキューブがなぜ破たんしたか」を
経理の専門家として、ズバリ切り込みたいと思います。


ワイキューブが急成長した時期がありました。
2000年(平成12年) 売上7億
2003年(平成15年) 売上15億
2004年(平成16年) 売上20億
すごいですね。
でもご紹介したように、もともと借金体質の会社でした。

ここで副社長兼財務担当という「財務のプロ」を
三顧の礼で迎いいれます。
ちょうどミニバブルの良い時期で、しかも急成長していることもあり、
銀行はどんどん貸してくれます。
この時点でなんと借入総額40億円!!まで膨らんでいきます。

かなり借りすぎですね。
社債まで発行したそうです。
「ワイキューブの銀行担当者はどんどん出世していった・・・。」
銀行に踊らされた面はいなめないのですが、
やはりこの時点で社長の考え方が誤っていたのです。

「借りられるものはすべて借りるつもりでした」
「金利さえ払っていれば一生返済しなくていい」

そんな感覚だったのです。
ワイキューブは確かに、その後も売上40億円まで達します。
でも「利益は1億円にも達したことはない」
そう言っているのですが、これは当たり前ですね。
儲かった利益をすべて、人材やブランドへの投資に費やしてきたのですから。

どう考えても借りすぎですね。
財務体質としては、「借り入れ依存」、しかも「業績が右肩上がり前提」の
かなり脆弱だったわけです。

しかも2007年(平成19年)の年末に、決定的なことが起こります。
その財務担当副社長が辞めてしまうのですね。

「財務の窓口をずっとその人に任せていたので
銀行の担当者に会ったことすらなかった」

中小企業の社長さんでよくお聞きするお話です。
そういう社長も多いですね。
でもこの本で一番驚愕したこと。

「銀行の借り入れをするために粉飾していた・・・」

「黒字だと思っていたら10億円の赤字だった・・・」

とんでもないことをいくら「暴露本」でも書きますね。
粉飾した決算書で銀行から多額の融資を引っ張っていたのです。
民事再生になったそうですが、これを知った債権者はよく怒りませんね。


ワイキューブのことを「ハリボテ企業」と最初書きましたが、
まさに

「借金という空気をドンドン送り込まれていただけのハリボテ」

だったと感じています・・・。



その8 経営者失格か・・・


ワイキューブ・ネタはまだまだ続きます。
この企業がなぜ破たんしたかを知ることは
本当に重要だと思うからです。

現在の中小企業でありがちな「失敗の法則」をこの会社は見事に
演じてくれたのです。
これは、あなたの会社でなくて本当に良かったですね。
「自分は経営者失格だった・・・」
と最後に吐露していますから。


ワイキューブが昨年3月に破たんして、一部マスコミにも
かなり叩かれたようです。

「リーマン・ショックの影響をもろに受けて・・・」とか
「華美な自社ビルを演出するなど過剰な設備投資が災いして・・・・」

と報じられているようです。
でもこの本を読むと本当は違うのではないかと、
会計の専門家として思います。


リーマン・ショックが訪れたのは2008年(平成20年)の秋です。
2008年9月15日にリーマン・ブラザーズが破たんしたことによって
世界的な金融危機へと連鎖したのでしたね。

前回アップしたように、2007年(平成19年)に財務担当副社長が
辞めてしまいます。
その途端に10億円もの粉飾が露呈します。
その当時売上は30億ほどです。
売上のうち3分の1が粉飾の利益というのは
まさに「トンデモナイ」お話です。


会社を破たんした社長からよく聞く言い訳。

「会計の事はまったく分からない。経理に任せていたから」
「専門家(会計士や税理士のこと)に任せていたから」

これは本当によく聞きますね。
でも実際は社長の指示によることがほとんどなのですね。
こんな巨額の粉飾は担当者レベルでできる訳ないのです。
事実粉飾決算書で40億円もの融資を引き出していた。

今叩かれているAIJの浅川社長と同じですね。
銀行だまして調達していたようなものです。
粉飾しているような会社はつぶれて当然なのです。
10億円ものカネがないのに
あることにして決算していた・・・。
資金破綻するのは当然なのです。
多分財務担当副社長はどうにもならなくなって
逃げたのでしょう。
つまりリーマン・ショック以前にこの会社は
すでに破たん状態だったはずです。

この本にも事実
「3年前に民事再生に踏み切っていれば・・・」
と書いてあることからも分かります。


ですから、安田社長は「海より深く」反省してほしいのです・・・。




その9 日本一お金を持っていない社長?


またつい悪い癖で「筆を滑らせて」しまいましたね。

安田さんを「極悪非道のAIJの浅川社長と同じだ!」
なんて・・・。
会社を倒産させた罪はやはり重いと思うのですが、
「どうしてワイキューブは破たんしたのか」
これを彼の著作三冊を何度も読み返して考えてみました。

筆には人格が表れるのですね。
そういう意味では悪い人ではなさそうです。
本人いわく「経営者失格」だけだったのでしょうか・・・。

会社の社長さんでよく
「経理のケの字」
も分からない人にお目にかかります。
自分の会社の売上も利益も分からない・・・。
そういう人に会社の決算内容を理解していただくのは
顧問税理士として大変なことです。

営業畑から社長になった方に多いですね。
数字が分からないというより興味がないという方です。
多分安田さんはそういう方だったのではないでしょうか・・・。

でも彼の経営手法は確かに面白いとは思いました。
利益をすべて投資するという発想です。
例えば決算前に1億円の利益が出ている会社があったとします。
顧問税理士として相談を受けると

「社長!税金は4000万でますね・・」

多くの社長は税金を払うことはキライです。

「4000万!なんてもったいない!」

何度そういうことを言われてきたか・・・。
安田さんだったら、企業の福利厚生やブランドのために使うのですね。
1億円で会社にワインセラーやカフェを作り、豪勢な社員旅行を実施する・・・。

こういう経営手法がよいか悪いかを彼は実践したのですね。
でもこれも顧問税理士として
「4000万の税金払っても6000万の資金が会社に残ります。」
これも良く説明します。

毎年1億円の利益を出し続ければ、10年で6億円の資金が会社に残り
会社の財務体質の強化のためには必要なのです・・・。

なかなかそれに納得していただく社長も少ないのですが・・・。
それなら社長の給料がもともと低すぎたのですね。
これもコンサルタントの小山昇さんもよく言っていますが

「社長の給料は社員の10倍とっておかしくない」

これ本当に思います。
社長は社員の100倍責任重いのですから10倍でもおかしくないのです。
事実彼は今回の民事再生と同時に自己破産したそうです。
会社で税金払うくらいなら、社長の給料を増やして蓄財すべきなのですね・・・。
安田さんは、破たんしたとき個人財産500万も持っていなかったそうです。
こうも書いています。

「日本一お金をもっていない社長だ」

何だか愛すべき社長さんだったように感じています・・・。




その10 借金性のわな


「経営者の仕事とはお金を使うことである」

この発想は確かに面白いと思いますが
ブランドや福利厚生にどんどん資金を使っていましたが
リーマン・ショックの波をもろに受け、
新卒採用ビジネスが急速にしぼみます。

湯水のように使って採用した自慢の新入社員も
どんどん辞めていく・・・。

会社にワインセラーがあろうが、豪華な保養所があろうが
年収1000万だろうが会社の行く末が不安になったら
そんなことは関係ないのですね。
従業員230人から80人まで一気に減ったそうです。

もうこうなると負の連鎖です。
40億円の借金の金利すら払えなくなってしまうのです・・・。


ここで粉飾の功罪を書いても仕方がないのですが、
投資した資金がどんな効果であったか、
つまり「儲かったかどうか」も分からなくなるのですね。

しかも借金をし続けると本当に会社が
「儲かっているかどうかすら」分からなくなります。

これは高名なコンサルタントも学者も誰も言っていませんが
「借金性のわな」
と私は名づけています。

おカネがなければ会社が儲かっていないと分かりますが
借金体質だと儲かっていなくてもカネがあるから、
経営者が錯覚してしまうのですね。

 

この本の最後に

「これまで社長としての20年は資金繰りの歴史だった」

こんな本音が書かれています。
きっとそうなのでしょうね。
安田さんに正直同情してしまいます。
やはり愛すべき経営者だったのですね。

「ワイキューブはどうして破たんしたか」
これをずっとここ数日考えていたら
先日やっていた「カンブリア宮殿」でその答えが分かりました。

 

スターバックスの最高経営責任者ハワード・シュルツの名言

「ただし周りには多くの経験を積んだブレーンをおくべきです。
いい企業家には直観力があり、すぐれたブレーンがいるはずです。」


安田さんはすぐれた直観力はあった。
でもすぐれたブレーンがいなかったからなのです。
信頼すべきブレーンがいればワイキューブは
破たんしなかったのだと今でも思っています・・・。


(ワイキューブシリーズ おしまい)

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