その1   星野リゾートとは違う経営


星野リゾートを研究しながら、実は「眞逆の本」も読んでいました。
 

ロードサイドのハイエナ流コスト.jpg


ご存知ですか?
ロードサイドのハイエナと呼ばれる、今話題の若き実業家。
最近よくテレビで見かけますよね。


井戸実氏。1978年生まれですので、まだ若干32歳です。
2006年の28歳の時に株式会社エムグランドサービスを設立し
まだ4年ほどですが、本当に急成長しています。


数字の専門家、税理士としてまず数字を見てみましょうか。
第1期 2007年3月 売上高 3億6716万円 経常利益160万円
第2期 2008年3月 売上高14億7748万円 経常利益330万円
第3期 2009年3月 売上高19億6032万円 経常利益870万円
第4期 2010年3月 売上高48億2291万円


と売上の割には利益がそれほど出てはいないものの、わずか数年で急成長、
2009年11月現在で62店舗を展開しています。
本でもテレビでも言っていましたが、もう今年度は売上140億円(見込み)
テレビでは数年で1000億!を目指しているとも言っていました。


なぜ、これだけ急成長しているのか?
これは一度勉強しておく必要があると思うのです。
特にこれから飲食店を開業しようと思っている方は必見です。


では「ロードサイドのハイエナ」と、なぜ呼ばれるのか。
これは、テレビで何度も紹介されたのでご存知の方も多いのでしょう。


ファミレス、回転寿司など大手チェーン店が撤退した店舗に、
そのまま「居抜き」で入り、独自のチェーン展開をしてきたのです。
しかも、本の題名の通り、コストをかけず、それこそ設備費8000万はかかる
豪華なロードサイド店を、まさに5分の1の1600万のコストで
いとも簡単に出店してしまう・・・。
そんな事業展開です。


一方で星野リゾートは全く違いましたね。
厳選されたホテルで、資本投下して自ら構築したコンセプトのもと、
まったく新しいホテルを作り上げているのです。
そこには教科書に基いたロジックがある・・・。


両社はともに「企業再生」というカテゴリーには入るのかもしれませんが
やはり眞逆の経営術です。
「星野リゾートの教科書経営」とこの「コスト1/5のムダゼロ経営」
と比較して考えてみることは、間違いなく経営に役に立ちます・・・。




その2  独立開業のためのキャリアアップ


まずこの井戸社長の経歴を見てみましょうか。


ロードサイドのハイエナ.jpg



出身は神奈川県。
川崎市で一番偏差値の低い工業高校出身だそうです。
(失礼なお話かも知れませんが、これは本人のブログに
そう書いてあります)
高校卒業後「築地すし好」に入社。ここで寿司職人の修行を
しました。


星野リゾートの社長さんは、慶応大学出身。しかもアメリカの大学院まで
行っていますから、恐縮ですがまったく違いますね。
学歴なんか関係ないと申し上げたいことなのですが
でもこの飲食店の板前修業を体験していることが
あとから生きているようです。


しかしこの方の偉いのは、寿司修行を4年やって悟るのですね。
「このままこの給料でやっていったら、いつ自分の店が持てるだろうか」
それを感じたのはすごいです。


お店の開店のご相談を何度か受けたことがありますが、
ほとんどが、お店を数店経験した上で、40くらいになって
ようやく自分の店を持てたというのがほとんどですからね。


しかも、
「収入面もさることながら、調理に従事していただけでは経営ができない」
そう思ったそうです。


それで30歳までに自分の店を持つことを自分と約束し、
それから、飲食店経営に必要な知識や経験を求めて転職を
繰り返します。


このあたり大事なことですね。
「どうやったら自分の理想の店がもてるか」
真剣に考えた上で転職を繰り返したのでしょう。


それで、まず焼肉チェーン「牛角」を経営する「レインズインターナショナル」に
入社します。
ここで立地開発のノウハウを学びます。


その後、テレビ番組「マネーの虎」で有名になった「小林事務所」に
転職し、経営も学びます。
さらに、「店舗流通ネット」という飲食事業向けの経営支援サービスを
する会社に移るのです。


このときまだ26歳。でも若いながら独立開業のためのキャリアアップを
着実にしてきたのです。
こういう方はお目にかかったことがないですね。


飲食店開業へと順風満帆突き進んでいったのかもしれませんが
ここで大失敗をしてします。
この失敗経験を正直に公開しています。
ここはぜひ学ぶべき点です・・・。





その3  失敗の貴重な経験


井戸社長は、飲食事業向けの経営支援サービスをする
「店舗流通ネット」に働きながら、いろいろ店舗を見て回ります。
かなり優秀なコンサルタントであったと思いますし、
その過程で、店舗の良し悪しを見る目を養ってきたのでしょう。


それで、若干26歳の時に、すばらしい店舗にめぐり合います。
目黒区の祐天寺駅前にある居酒屋です。
「居抜き」物件で、これなら自分でやれば間違いなく成功すると
思えたのでしょう。


現在、井戸社長が行っているロードサイド店を再生する原型となる
ビジネスモデルですね。
出店費用には1200万円もかかったそうです。
これも想像がつくことですが、26歳で1200万円も調達できる人も
いないですよね。
当然まともな金融機関は相手にしてくれず、
結局3歳年長の兄がポンと出してくれたそうです。
その借金は2年で返す約束で、月に50万円の返済額です。
よほど自信があったのでしょうね。


しかし開店当初からまったく予想が外れました。
月商380万円を予想しておきながら、実際は180万円。
飲食店の経営コンサルとは、いかにいい加減なものかも分かります。
でも死に物狂いになって計画通り2年で完済したそうです。
これも、ものすごい経験です。


しかもここで失敗した経験が持てたことが重要なのですね。
なぜ失敗したか、それを身をもって学んだのです。
そのときの苦労が、またあとから生きてきます。


東京を代表する一大繁華街の渋谷からわずか3駅の
祐天寺の駅前なら、間違いなく成功すると思ったのでしょう。
しかも祐天寺という土地柄、比較的所得水準が高い住民も多い。


でも「祐天寺は飲む街ではなく飲んで帰ってくる場所だった。」
それに店を持って初めて気がついたのですね。
立地開発をコンサルしてきた方が、念願の自分の店で見事に
外してしまったのです。
さらに失敗した理由として、業務委託した従業員のやる気のなさに
気がつかなかったことと、オープンのタイミングも悪かったことも
述べています。


失敗しても借金が残らなかっただけ良かったとは思いますが、
こういう失敗を若くしてやったことが結果的には良かったのでしょう。


この社長若いながら、実に経験豊富なのです。
社長の人生を変えるターニングポイントがやってきます。
それもまだまだ若干27歳のとき・・・。




その4  27歳雇われ社長で成功!


井戸社長は若き20代の頃にいろいろ経験されています。
その節目節目に決断し、その経験を糧にヴァージョンアップしています。


ただ無意味にサラリーをもらって過ごしている方々とは違うのです。
この点見習うべきところですね。
本当に独立起業には学歴なんて関係ないのです。
昨日ご紹介したように、26歳で地獄の苦しみを味わいます。
それを乗り越えた時に、さらグレードアップした井戸さんに
変わったのでしょうね。


ここでまさに運命の出会い。
その飲食事業向けの経営支援サービスの会社で、
経営不振に陥った焼肉レストランに出会います。
これが、現在エムグランドフードサービスが経営している焼肉レストラン
「いわたき」など6店舗でした。


親会社の経営不振が理由で倒産寸前の状態でした。
しかも、その経営支援サービスの会社も1億円の大口債権者。
想像ですが、その勤務先も連鎖倒産もありうるような状況だったのでしょう。


このときの井戸社長の身のこなしが見事でした。
本人も、この6店舗の経営状況を良く調べていました。
売上高、賃料比率、原価比率、人件費率など検討し、
やり方を変えれば十分経営は可能と判断していたようです。


井戸社長は、食肉の卸会社に6店舗の経営のお話を持ちかけました。
井戸社長のその当時の仕事ぶりから、食肉卸会社の
信用も厚かったと想像できます。


卸会社は子会社を設立した上で、その会社の「雇われ社長」に
収まることになります。


このとき、今から5年ほど前の2005年8月。
井戸社長27歳のときでした。
その1億円の連帯保証人にもなったということですから、
冷静に考えれば「若気の至り」かもしれませんが、
見事な決断力だったのでしょう。


その若さで見事6店舗を立ち直らせます。
新鮮野菜のサラダバーやフルーツ、スープ、カレー、ライスまでが
すべて食べ放題と戦略を買え、さらに次々と出店していきます。
このあたりは若くして十分苦労された経験が生きたのでしょう。


それともっとすごいのが、1年後の28歳のときに、
なんと「雇われ社長」から「オーナー社長」に変わります。
つまり親会社から、店舗ごと、資本ごと買い取ってしまったのです。


2006年9月、躍進企業「エムグランドフードサービス」の誕生です!





その5  今後に期待


冒頭申し上げたように、星野リゾートの社長と比較しながら
ハイエナ流経営術を読んでみました。


どんなコンセプトで、両社はどうちがうのだろう?
わずか32歳で快進撃をしている若きカリスマ経営者が
どんな経営理念かやはり知りたかったわけです。
ただ同じ「再生ビジネス」というカテゴリーに入れては
失礼なのでしょうか。


驚いたのは、井戸社長も「利他の精神」を真先にあげていました。
もうこれは、私の熱心なブログファンなら、もうお分かりですね。
京セラ稲盛会長の掲げるお言葉です。
私と同じ、「稲盛教の信者」だったのですね。


ただ単に、ロードサイド店の撤退したお店を低コストで取得し、
食べ放題の味付けだけで展開しているだけではなかったのですね。


当然ですが、それに「利他の心」が・・・。
要するに「お客様第一主義」ということらしいです。
「美味しいものを安くお腹一杯に・・・。」
実に分かりやすい経営理念ではないでしょうか。


これもご存知でしょうか。この4月に、
全国73店舗をチェーン展開しているステーキの「ふらんす亭」を
傘下に入れました。
同じように「居抜き」で安くチェーン店ごと買ったのでしょう。


実は、当事務所の近くに「ふらんす亭」もあります。
好奇心旺盛な私はすぐ行ってみました。
「メニューを一新しました」
という看板はあったものの、内装もまったく変わらず今までどおりの
「ふらんす亭」でした。
味もそんなに変わらなかったようにも思います。
ただ、残念ながら、他のチェーンのような、「サラダ食べ放題」
「カレー食べ放題」なんてなかったですね。
これからどんな手を打って、このチェーン店を再生していくのか
楽しみですね・・・。


ホリエモンのように、外食産業の「時代の兆児」ともてはやされて
マスコミに登場し続けることで、快進撃を進めていくのでしょうか。
露出すればするほど、ホリエモンのように認知度もあがり
その宣伝効果でフォローの風が吹き続けるでしょう。


このまだまだ若い経営者今後に期待したいです。
ホリエモンを越えるのはあなたかもしれません・・・。


(ハイエナ流シリーズ おしまい)

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