その1 メードインジャパンのプライド




靴下


読者の夏!
私の大好きな創業社長の物語をご紹介しましょう。
本当に一代で何かを成し遂げた方というのは
読んでいて参考になります。
とと姉ちゃんもゼロから独立しましたが、
やはり独立開業物語は強烈に胸打たれるものがあります・・・。

 

さて、今回の主人公は越智直正(おちなおまさ)氏。
1939年(昭和14年)生まれですから、現在77歳。
ダンソックス(現タビオ)の創業者です。
タビオというメーカーをご存知でしょうか。


Tabio5

 

 


私はマラソン愛好家ですので、当然知っております。
マラソン向けの靴下としては、多分人気ナンバーワン
だからなのですね。

初めてのフルマラソンもこのタビオを履きましたし、
ホノルルマラソンにも持っていきました。


フルマラソンでは必ずこのタビオの「5本指ソックス」
を履いています。
土踏まずの締め付け具合が良いのと、何といっても丈夫です。


5本指の縫い目から破けたことは一度もありません。
この品質はどこから生まれてかというと、


「メード・イン・ジャパン」


ユニクロなどのように中国などの海外生産は
一切していないのです。


メード・イン・ジャパンの技術とプライド。
この越智社長が一代で築きあげたのですね。


副題の「良い靴下は噛めばわかる」
本当に噛んで確かめるそうです。


この「靴下バカ」(失礼!)を熱く語っていきましょう・・・。






その2 丁稚奉公で猛勉強



ではその主人公「越智直正」氏のご紹介から。


越智会長は、愛媛県周布村(現西条市)という瀬戸内海を望む小さな村に
11人兄弟の末っ子として生まれました。
中学生の時に父親を亡くし、15歳で大阪にあるキング靴下鈴鹿商店で
丁稚奉公を始めます。


時代は54年(昭和29年)頃ですので、
まだ戦後の雰囲気漂う昭和の時代。


「丁稚奉公」などというのは懐かしい響きですね。
大阪のお話なので、少しずれますが、
井沢八郎さんの名曲「ああ上野駅」に出てきそうなシーンですね。
集団就職列車に乗って大都会に乗り込んでいく中卒の少年たち・・・。


しかし、丁稚奉公なんて「死語」のように思えるでしょうけど、
職人の世界に飛び込むというのは、それくらいツラい世界があるのですね。


私自身の体験談ですが、証券マンから会計人に飛び込んだ時、
まさに「丁稚奉公」の世界でしたから・・・。
周りは高卒の女性ばかり。大卒のオヤジ完全に浮いていましたからね・・・。


越智少年の初月給は手取り1500円。
休みは月に半日だけ。
毎朝6時に起きて、店で働く人全員分の食事の用意から片付け、
掃除とはじまり、夜は深夜1時、2時まで。


最初の1週間で逃げ出したくなったそうです・・・。


でもこの越智少年の偉かったことは、
絶えず勉強していたことなのですね。
中卒ながら中国の古典を必死になって勉強していました。
理由は恩師の言葉。


「丁稚に行っても勉強していなければ通用しない。
中国の古典を読め。難しくても分からなくても諦めず100回読め・・・。


なかなか素晴らしい恩師ですね。
この本全般に出てくる中国の名言。これだけで驚きます・・・。






その3 孫子を丸暗記!




越智会長は、中学卒業と同時に「孫子」を読みはじめます。
最初はチンプンカンプンだったものの、18歳になる頃には
13編すべてを暗誦できるようになりました。
すごいですね。


「孫子」とは、フランスの皇帝ナポレオンや戦国武将の武田信玄など
さまざまな歴史上の指導者に影響を与えてきた中国稀代の兵法書ですね。


昨年は大河ドラマ「軍士官兵衛」の影響で孫子が見直されていましたからね。
それでも孫子を諳んじる経営者は少ないのでしょう。


越智会長はもともと頭が良かったのではと正直思いますね。
孫子以外にも、「史記」、「三国志」、「論語」など
中国の古典を片っ端から読んでいきます。


しかし、朝6時から深夜まで働きながら、時間を作っては本を読み
勉強していたのですね。


「丁稚奉公」という下積みの時代ながら、なかなかの根性ですね。

 

一方で、丁稚時代13年間、勤め先の大将から商売の基本を
徹底的に叩き込まれます・・・。


なかなか良いことを叩き込まれます。


「商品と残品は似ても似つかない。商品は利益を生み、残品は赤字を生む。」
「計算ばかりするな。キタナイ商売人になる。そろばんは目ではじけ。」
「予算などあるか。予算は発想を限定する。」
「まず頭を使え。次に体を使え。銭は最後の切り札だ。」
「良い靴下を履く人は3割、安物を履く人は3割、中の4割は移り気だ。」


すごいですね。
昔の徒弟制度ですからね。
ひっぱたいても教えることが当たり前の時代。


しかし、これこそ時代なのでしょうね。


今や「丁稚制度」なんかやったら、
ぜったいパワハラなど人権問題や
不当労働、残業不払いなど労務問題で訴えられてしまうのでしょうね・・・。






その4 28歳で独立


越智会長は中卒で丁稚奉公をはじめ、必死になって
仕事覚え、必死になって中国の古典も勉強していました・・・。


すごいですね。でもここで自分のことを思い出しました。
私も31歳で脱サラし、会計事務所という「徒弟制度」に飛び込み、
必死になって試験勉強しましたからね。
本当に夜寝る間を惜しんで・・・。


越智会長が独立したのは1968年(昭和43年)、28歳の時。
残念ながら満を持しての独立ではなかったのですね。
何の準備もしていないのに会社から突然追い出されてしまった・・・。


何だここも私と同じですね。
37歳でようやく税理士試験に受かったら、
受かったとたんに追い出されてしまいました。
否応なしの独立でした・・・。

 


Photo

 


しかし、私と決定的に違ったのは創業の際の心構え。
この創業理念はすごいです。


二宮尊徳の言葉なのですが、これを理念として掲げたことが
素晴らしいと思いますね。

 

さらに5か条の理念。


「ダンは社会正義と共に発展するものとする。」

「ダンは業界の良心である。」


当時は2畳と6畳の二間のアパートでした。
しかし、そんな場所はどうでもよいことです。
大卒だろうが中卒だろうが関係ありません。


こういう志を高く持つことこそ見習うべきです。
しかし並みの28歳ではないですね。


ところで、会社名は「ダン」
男一匹という意味だそうです。
タビオの旧社名です。

 

「ダン」・・・・。
実にカッコイイ名前ですね。
理念とともにこの社名借りて、独立してみませんか・・・。








その5 借金の天才!?



越智会長の経営学は参考になります。


「経営に奇策はありません。原理原則を貫けば必ず道は開けます。
経営者に必要なのは原理原則を身につけることでしょう。
今日までやってこられたのは、中国の古典から学んだ教えを、
すべて判断基準となる「経営のものさし」として
やってきたから・・・。」


こういう経営者は少ないでしょうね。
「孫子」を読み込んで、その意図から経営判断する・・・。
これは正直私には分かりません。でもこんな経営手法があるのですね。
驚きました。

 

あとこの本で参考になるのは「借金の仕方」
これは経営者の方なら熟読していただきたいところです。


創業して5年の1673年(昭和48年)借金の額は7000万円!
しかしこの額に驚きませんか!


昭和48年というと私が中学生の頃、石油ショックがあり、
学生街の喫茶店、神田川、心の旅が流行ったころ・・・。
当時の貨幣価値を比べたら何倍も違うと思うのですね。


若干33歳にしてこの借金を作れるというのはある意味すごいのですね。
よほどやり手だったのでしょう。


でも2日後に期限が来る手形530万円がどうしても払えない・・・。


絶体絶命の時、世話になった社長に相談に行ったら、


「その年で担保もなしで7000万借りられたのは
すごいではないか。」

と逆に驚かれたそうです・・・。


ここで腹が据わったのですね。
関西でも一流の経営者に褒められたら人間変わるものです。
やはり何でも諦めたらダメなのですね。


そこで開き直って信用金庫に頼みに行きなんとか無事に・・・。
ここが一番おもしろいところでした・・・。






その6 靴下専業メーカー特有の悩み





ところでタビオは世界でも珍しい「靴下専業メーカー」なのです。
国内に直営店とFC含め291店舗を展開し、2016年2月期の売上高は
166億円9600万円、経常利益は7億7100万円。
社員数は266人になります。


靴下のカテゴリーでは、日本でシェアは6位。
1位から、岡本、福助、アツギ、グンゼ、助野の次。
でも上位企業は、皆下着やスットッキングの割合が多いのですね。
つまり、純粋に靴下だけを見たらトップ企業なのです。


でもどうして靴下だけを扱う企業がないのか?
これは経営者には参考にしてほしいのですね。

 

ズバリ「季節変動商品」だからなのです。
売上が上がるのは「冬場」、でも資金繰りが苦しい「秋冬物」の
仕入を夏場にしなければならないのですね。

だからこそ、タビオは資金繰りのピンチの連続だったのです。
靴下専業メーカーも他にはあったとは思いますが、
きっと資金繰りが詰まって自然消滅してしまったのでしょう。


靴下の業界の勉強になりましたが、靴下の製造の最低ロットは
300デカ(1デカ=10足)、つまり3000足なのですね。
どのデザイン、色の靴下も均一に売れるわけでないから、
売れの残りはすべて残品。


ここを聞いただけで、いかに難しい商売だと気が付くでしょうか・・・。


越智社長の素晴らしいところは、この靴下業界特有の難問を
解決してしまったこと。


これはぜひ参考にしていただきたいのですね。

それは今流にいえば


「サプライチェーン・マネジメント」!!






その7 タビオ独自のシステム






Photo

 


タビオは1970年代からこの
「サプライチェーン・マネジメント」(SCM)
に取り組んできました。


SCMとは、マーケティング用語なのですが、
これは簡単に言えば、「売れる商品を売れるだけ作る」仕組み
です。

原材料の調達から、生産、物流、販売に至る一連の流れを管理する
手法です。


これには、当然のことながら、情報誌システムの構築がカギと
なります。

この「SCM」は勉強になりましたね。
これはアパレル以外にでもどの業界でも応用ができる仕組みなのでしょう。


図をよくご覧ください。

靴下工場とは自社の工場ではありません。
社外の協力工場ということです。
タビオは自社工場を持たないからなのです。


ポイントは、「タビオは協力工場には、一切発注していない」ことです。


コンピュータを共有することにより、
工場対してに「何がどれくらい売れているか、現在の在庫はいくらか」
という店頭の情報をすべて流します。
工場側は、自社が担当する商品で売れ行きのいい商品があれば
早めに増産に着手し、鈍化すれば減産なり生産を中止するのです。
これにより、不良在庫、つまり「死に在庫」をなくす仕組みです。


なかなか面白い仕組みだと思いませんか?
越智社長は、何度も書きますが中卒であり、コンピュータの
勉強なんかしたことありません。


かつて、ご紹介しましたが、サイゼリアやニトリを育てた
渥美俊一先生のような優秀なコンサルタントがいたわけでも
ありません。


この越智氏がきっと中国の古典を基に、
すべて考え付いたものです。
その経緯は、この本に詳細に書かれています。


越智氏のこれは「持ちネタ」なのでしょうね。
なかなかここは面白いところでした・・・。





その8 サムライチェーン・マネジメント




越智社長は、このSCMのことを自ら

「サムライチェーン・マネジメント」

と呼んでいます。
決して卑下している訳でも、チャカしている訳でもありません。


日本にこだわり、越智社長は海外生産をしてきませんでした。
タビオは日本の工業規格(JIS)を上回る業界最高の
品質基準を設定している理由がここです。


海外では無理なのです。「サムライ」という日本独自のものを
作りたかったのでしょう。


このシステムを大手アパレルメーカーがすぐ真似したそうです。
そのシステムに経理システムまでいれて導入しようとしたが
やはり失敗したそうです。

ここは会計の専門家として勉強になりましたね。
私なら、京セラのアメーバ経営をすぐ思い出してしまいますから。


これは会計のためのシステムではないのですね。
靴下を製造している協力工場が、共存共栄するための
「在庫把握」が目的のシステムだからです。


そのため大事なことは「理念を共有」することです。


「いくらコンピューターシステムが立派でも、道具にすぎません。
システムを使う人が、その目的をしっかり理解して取り組まない限り、
決して機能しない・・・」


本当に、素晴らしい経営者ですね。


この点はアメーバ経営も、「フィロソフィー」が大事であったことと
同じですね。こちら

システムとフィロソフィーは車の両輪なのですね。
アメーバ経営でいう、稲盛さんのフィロソフィー。
サムライチェーン・マネジメントでいう越智さんの理念。

これは妙に合点がいきました・・・。


まだまだ書きたいことはたくさんありますが、
これくらいにしておきましょう。


この本には越智語録がちりばめられています。
ぜひ経営者の方には学び取ってください。

 

(ガンバレ! サムライチェーン・シリーズ おしまい)

 

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