その1 森永さん亡き後はこの方しかいない
昨年はずいぶん森永卓郎さんの本を
取り上げましたね。
でも一人ばかり取り上げて、その考え方が
やはり正しいのかどうか?
もっと幅広い視点から考えるべきかなと、
年末年始また本を読み漁っていました。
森永さんつながりで
「ザイム真理教と闘う!救民内閣構想」
という本も読んだのですね。
元明石市長の泉房穂との共著です。
泉房穂氏もなかなかの方ですね。
この方はまた研究したうえで、
どこかでまた発表した思います。
この本の中で
「毒まんじゅうは中身があんで皮が女」
がまた出てきたのです。
以前ご紹介した官僚生態図鑑の中で
この表現を言っていましたね。
官僚を揶揄する強烈な表現。
これどうやら、嘉悦大学教授の高橋洋一氏が
言っていると書いてあったのです。
高橋洋一氏非常に興味を持ちました。
以下Wikipediaから。
1955年9月12日生まれ。
出身は東京豊島区巣鴨なのです。
なんだ!私は池袋なので
まさに「同郷」ですね。
上池袋ですから、本当にすぐそばです。
都立小石川高校卒です。
私は都立竹早高校ですからなんと!
同じ41群!(かなり古いお話)
でも私より5年先輩ですから、
都立高校全盛期ですね。
当然でしょうけど東京大学合格。
東京大学理学部数学科卒業後に
経済学部に学士編入学。
東京大学卒業後は大蔵省入省。
つまり、東大出で大蔵省とは
「絵にかいたような」エリート官僚。
エリート官僚の証明として、
30歳の時の1985年に
国税庁高松国税局観音寺税務署長
になっています。
その後プリンストン大学客員研究員
などを歴任。
2001年には小泉純一郎内閣で
経済財政政策担当大臣竹中平蔵の
補佐官。
2006年の第一次安倍晋三内閣で
首相官邸政策スタッフ。
2008年3月に退官するまで
内閣参事官として活躍。
すごいキャリアですね。
それで高橋洋一氏に非常に興味を持ったのですが
すぐ日経新聞の広告でお見受けしました。
これがその本です。
Youtubeも調べたら、なかなかの
この方は有名なYoutuberなのですね。
強烈な財務省批判・・・。
その2 天下りをズバリ切る・・・
実はこの本森永卓郎さんの官僚生態図鑑と
同じことを言って始まっています。
「2024年8月26日DIAMOND online
財務省出身の社外取締役報酬ランキング」
官僚生態図鑑にでていたので
アップしておきましょう。
「およそ100人は全員私の知っている人で
『こいつこんなにもらっているのか!』
驚いて見ていた」
そうです。
高橋氏の年齢は69歳ですね。
ちょうど同年代くらいの方が多いので
当然知っているのでしょう。
この高橋氏が第一次安倍政権のときに
天下り規制をした張本人なのです。
一時的に天下りは減ったが、その後にまた
復活しているそうです。
この多額の報酬はまさに
天下り官僚の「毒まんじゅう」だといっています。
驚くべきことは、この多額の報酬もらいながら
何もしていないのだそうです。
まさに「まんじゅう食べるだけ」
「基本的には何もしない。
月に一回ぐらい、それも午前中か午後の数時間だけ
ちょこっと行って、すぐ帰る。
もちろん車の送り迎え付きである。」
森永さんの本読みながら腹立ちましたが
この「元財務官僚」の方が正直に吐露していることに
また驚きませんか。
でもこの記述に対して腹立ちますね。
「私がさらに悪質だと思うのは、
最終的にはその天下りの報酬は、
自民党総裁選の候補を推したりする
『寄付金』にも流れている
ということである。
天下りで使い切れないほどの多額の
お金を手にし、それを政治家に流す。
推し活といえば聞こえがいいが、
もちろんそんな微笑ましい話ではない。
むしろ恥ずべき話なのに、政治家も
「お金を流してもらう」ため、天下りを
大目に見ていることがほとんどなのだ。」
かつて安倍総理のブレインだった方が
これを暴露しているのです・・・・。
その3 正しいプライマリーバランスは
(財務省HPより)
ここで高橋先生の重要な指摘。
「プライマリーバランス」の問題ですね。
消費税が5%になったのが1997年。
私が税理士になったのが1998年。
今は10%ですね。
ずっと消費税増税の論議がされていましたね。
必ずでてくるのがこの「プライマリーバランス」
「プライマリーバランス」とは
社会保障や公共事業をはじめ様々な
行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、
税収等で賄えているかどうかを示す指標。
これが補填するために日本は「赤字国債」と称して
ずっと国債の発行をしてきました。
国債を発行ばかりしていたらしていたらダメ。
日本は財政破綻してしまう。
日本人国民一人当たりの借金は・・・。
そう議論され増税路線をずっと歩んできました。
ちなみに財務省のHPから拝借しましたが、
いまでもプライマリーバランスを主張しています。
この図見ると良くわかりますね。
国債の発行を抑えるには税収を上げなければ
ならない。
つまり増税路線の正当性です。
「財政再建を急がなければならない理由を
日本の借金の多さである。
その額およそ1400兆円。
財務省はしきりに、
『国民一人当たり換算すると1000万円』
『借金のGDPに占める割合は200%で
世界最大級』
と恐怖をあおっている」
これは確かに事実だというのです。
でもこれについて高橋先生は噛みついています。
この次の先生の主張を皆に
知ってもらいたいですね。
「意図的に、ある事実から国民の目を
背けている。それは借金に対する資産の額
である。」
高橋先生はそれが一番分かっているというのです。
「ちなみに国のバランスシートを財務省で
はじめて作成したのは、私だ。」
「資産総額という不都合な真実」
を財務省がずっと隠してきたというのです。
分かりやすい図が出ていました。
政府の言う連結バランスシートですね。
確かに負債が1400兆円もあり、
財政的には問題にみえますね。
でも「政府の子会社」のような日本銀行を
あえて外しているというのです。
これを加えて考えなければ
国のバランスシートの本当のところは
分からいのです。
「資産超過は600兆円ぐらいとなる」
「このように政府と中央銀行のバランスシートを
合体させたものを、
『パブリックセクターバランスシート』
と呼ぶ。」
どうでしょう。
財務省が「深刻だ、深刻だ」といっても
国債の暴落が起こることはありえない
ということなのです。
その4 日本のコロナ危機を救った恩人
日本が果たして財政破綻状態なのかどうか。
この本読むと良くわかります。
経済学の難しいお話がいっぱい出てくるので
ここは割愛します。
でもこの例が一番分かりやすい。
「日本のコロナ危機を救ったのは高橋先生」
本当に思いますね。
「2020年、コロナ対策の公的資金が
いくら必要かという相談が、
当時の総理大臣の安倍さんからあった。」
まさに、高橋先生は時の「首相のブレイン」
だったのですね。
2020年1月のころ。
覚えていますよね。
日本国内で感染者が初めて確認されたころです。
安倍さんはすでに財務省から
「10兆円〜20兆円くらい」
と聞いていたのにあえて高橋先生に
確認したのですね。
「コロナ対策で必要なのは100兆円レベル」
「コロナ対策で100兆円を補わないと
その後失業が激増する。」
財務省は
「これ以上の支出はハイパーインフレになる」
といって反対したのです。
しかも100兆円まで出したら増税だと。
これも覚えていますか?
2011年の東北大震災の時に復興税が
できましたね。
あれと同じ理屈。
高橋先生は「150兆円まで大丈夫。」
しかもここで重要な主張。
「今回国債も出すけど、すべて日銀で
買ってください。
そうすれば利払い費はすべて日銀に
行って、全部戻ってくるというロジック。」
「100兆円もばらまくと不正支出がある」
と財務省はじめ一部反対があったそうです。
でも今から見たら不正支出が一部あったかも
しれないのですが、あの補助金や雇用調整給付金で
救われた企業も多かったのです。
だから従業員の首を切らずに済んだ・・・。
この高橋方式を安倍さんは採用したのですね。
結局安倍さんが30兆円を2回やって
合計60兆円。
その後管さんにバトンタッチして
確かにコロナを乗り切ったのですね。
財政負担なしで、増税なしで、
日本は先進国の中で失業率の上昇が
最も少なかったのです。
当然財務省のいう「ハイパーインフレ」なんて
起こりようもなかった。
これもまさに事実なのですが
2020年度から2023年度まで4年連続
国の税収は過去最高を更新した・・・。
「プライマリーバランス論」
とは本当なの?
そう思ってしまいませんか・・・・。
その5 それでも日本経済新聞は・・・
高橋先生の主張を詳しく解説しようとしたら
また今日の日本経済新聞のトップ記事ですね。
「日本の債務残高は国内総生産(GDP)の
2倍を超え、主要先進国で最悪の水準にある。
日銀が金利引き上げを進めるなか、
黒字化は財政健全化に欠かせない。」
日本経済新聞の主張です。
プライマリーバランスを黒字化しないと
日本はたいへんなことになるかのような
書き方です。
国民民主党が「年収の壁」の引き上げ
という減税を求めていることは
「とんでもない」
と言っているようですね。
高橋理論を学んでくると、あたかも日本の新聞が
財務省の都合の良い主張をしているようにも
思えてきてしまいます。
「自分たちの利益のために
『あえて恐怖を煽っている人たち』
もいるのだ」
高橋先生は
「財務省のポチ」といって批判しています。
天下の日本経済新聞もポチにしまうのでしょうか。
「財政再建を達成する代表的な方法は、
『歳出カット』『経済成長』『増税』
の三つ」
といっています。
このうち『歳出カット』とは
一筋縄ではいかないそうです。
本来なら『経済成長』については
財務官僚にとっては「論外」なんだそうです。
だが、ウラで糸を引く財務省は
「日本を財政的に破綻させないためには
増税しかない」
としたいのでしょうね。
2024年7月時点で税収が72.1兆円で
4年連続最高となったのです。
「こういうときこそ、いろいろな補助金を
チョロチョロ配るのではなく、減税するのが
いちばん簡単だ。
2024年6月には消費減税などをすればよかった。」
「この際公共投資をたくさんして、経済を上向きに
持っていったほうがいい。」
その6 外為特金とは
為替の問題が、実に分かりやすく
解説されていました。
「外国為替資金特別会計」(外為特会)
というもの。
ネット上で見つけた財務省作成の表ですが、
これで分かるでしょうか。
為替相場の安定のためにこの外為特会が
為替介入するというもの。
これだけ円安にぶれていたら
かなり外貨準備高は上がっているそうです。
これは国民が知らないことなのでしょうね。
「外貨準備は先進国の中でもとびぬけて高い」
そうです。
「200兆弱ドル債を持っていて、
その含み益は40兆円ある」
「これこそ財務省の外為特会の含み益を
『円安埋蔵金』といっている」
「2年間消費税がタダでも大丈夫ような
話にもなってくる」
「取得原価1ドル110円くらいのときのドル債を
150円で売ったら、1ドル40円くらい儲かる」
なぜ売らないのでしょうか。
こういう指摘もありました。
「バイデン氏は円安がアメリカのデメリットに
なっていることに最後まで気づかなかった」
「トランプ氏が大統領に返り咲いた今、
円安はアメリカのデメリットになるのを
知っているから、急にプレッシャーかけて
くるだろう。」
高橋先生は為替が1ドル110円から120円に
なってしまうことすら予想しています。
でもこの指摘。
高橋先生は
「日本だけ外貨準備が飛び抜けているかというと
これまた天下りのため」
200兆ドルものドル債は財務省の金庫の
中にはないのですね。
民間の金融機関が預かっていて、財務省は
それに対して多額の保管料を払っているのです。
財務省ははたして、本当にそういう機関?
なのでしょうか・・・。
その7 森林環境税って何?
(東京都日の出町HPより)
いろいろ書きたいことあるのですが
森林環境税について、これは税理士として
「突っ込んで」おかないといけないですね。
高橋先生がこう明確に指摘されると
これは「呻って」しまいますね・・・。
国としてどう反論するのでしょうか・・・。
まず
「森林環境税は2024年6月から
一人年額1000円がとられている」
のですね。
ハッキリ噛みついております。
解説すると、東日本大震災に伴う臨時的な措置として、
町民税と都民税に年間500円ずつ引き上げられたのが、
令和5年度で終了したのです。
表にするとこうなります。
「これはけしからん話で、税理論から
まったく正当化できない。
こんなのがまかりとおっているのは、
変だ」
かつて住民税に震災復興税として
年額1000円払っていたのが期限が
切れたのです。
地方税ですから総務省の所管ですね。
高橋先生が忌み嫌う財務省ではないのです。
「期限が切れるから今度は森林環境税として、
国税として国民に払ってもらおう」
と総務省が考えたそうです。
でも
「国税でとっても仕方ないので
給付金として地方公共団体にばらまく。」
でも確かに森林のないところもありますよね。
逆に森林のある地方では従来から森林税も
とっているところもあるのです。
これは二重課税で不公平ですね。
もっと税理論的に勉強しました。
地方税というのは、本来
「これこれしますから、メリットのある方は
払ってください」
という「応益税」
が基本。
一方国税とは、所得税で分りますね。
個人の支払い能力に応じて払う税(応能税)
という考え方。
国税でこのような応益税をとっているのは
いままで聞いたことがない。
もっとハッキリ書いてありました。
「あらゆる意味で、過去にも海外にもなかなか
見当たらないほどひどい税金である」
その8 消費税は本来は地方税
これこれしますから、メリットのある方は
払ってくださいという「応益税」
個人の支払い能力に応じて払う税「応能税」
この論点は今後大事なのでしょう。
高橋先生の本を最近片っ端から読みだして
おりますが、なかなか勉強になります。
「目から鱗」
というのでしょうか。
いままでの不勉強を反省しながら
読んでおります。
今後また論点となるであろう「消費税」。
高橋先生の指摘の通り、
「財務省は常に消費税増税を考えている」
ようですからね。
「消費税は応益税でしょうか?それとも応能税?」
この本読んでわかりました。
高橋先生の持論のようですが、
「消費税は本来は地方税であるべき」
これを主張されております。
どういうことかというと、
「消費税は所得税や法人税に比べて
景気に左右されない税金。だから、
景気に関係なく、恒常的に必要なものに
役立つ税」
「地方公共団体の公共サービス」
がまさにそれに該当すると言うのです。
「ゴミ収集から教育、福祉に至るまで
実際、地方自治体には景気に関係なく
必要なものが多い」から。
だからまさに「応益税」だといわれるのでしょう。
ただここで税理士として多少解説すると、
消費税率10%のうち7.8%が消費税率で
2.2%が地方消費税率なのですね。
でもその2.2%は直接地方には分配は
されていないのです。
どうやらここが問題のようです。
実際は
「財務省が全国各地から消費税を吸い上げて
その一部を総務省が『地方交付税』として
各地に分配している」
という状況。
でも結果的に
「日本全国を見渡してみると、空港やら道路やら、
『要らないはずなのに作ってしまったもの』
が多くあるというのです。
これ確かに地方都市に行くと感じますね。
「立派な庁舎がある町は景気が悪いところ」
と・・・。
地方消費税として、つまり地方税として分配したら
勝手に要らないものは作らなくなるだろう。
分かりますね。
何に使うかを地元民に説得しなければ
ならなくなるから・・・。
私も確かにそう思います・・・。
その9 リテラシーが低いマスコミ
(高橋先生が予測する新聞発行部数の予測)
「リテラシーが低いマスコミ」
高橋先生がずばり言い当ててますね。
ここ数日のフジテレビの中井問題を見ていても
本当に思いますね・・・。
「私はかれこれ20年間、新聞を購読していない。
これは本当である。」
まったく信用していないかのようですね。
専門家なのだから、経済のことは新聞なんか
読まなくても分かっているはずでしょうね。
でも
「むしろ経済を専門家としない人こそ
日本の新聞や経済紙を読まないほうがいい。」
「経済の知識をマスコミに頼っている人に
とってはたまったものではない。」
これ正直驚くのですね。
私が某野村證券に入社した40年も前の
こと。
入社して一日目からの研修で
毎日ルーティーンのようにやらされたのが
「日本経済新聞の読み合わせ」
でした。
結構これは大変でした。
証券会社の朝は早いのです。
朝7時には出勤していましたが、
会社着くとインストラクターが
「今日の日経のポイントは何だ?」
聞いてくるのですね。
毎日早起きして必死になって読みました。
ですから、日本経済新聞の内容が
間違っているなんて思ったことないほど
刷り込まれてきたのです。
「日本経済新聞のいうことは正しい」と。
私の同級生も40数年間。
毎日疑うことなく日経新聞を熟読してきたのでしょう。
でも高橋先生に言わせたら
まさに一刀両断。
今や
「財務省の手先に成り下がっているマスコミ」
「日本のマスコミから情報を得るのは
無意味であるところか有害である」
とまで・・・。
その10 社会を正しく見るフレームワーク
(フジテレビに天下った総務省キャリア官僚)
高橋先生の理論なかなか参考になりますね。
何より自分自身まだまだ不勉強であることが
良くわかりました。
高橋先生流にいえば
「社会を正しく見るための『フレームワーク』
が欠けている」
のですね。
「オークンの法則」
「フィリップス曲線」
「GDPギャップ」
これくらい理解していないと
経済を語る資格がないそうです。
勉強もしていないのに、財務省のいうことを
鵜呑みにする「リテラシーが低いマスコミ」
をずばり
「財務省のポチ」
とまで馬鹿にして言っていますね。
マスコミも政府に牛耳られているのが
ここ数日のフジテレビ中井問題で
明らかになっていますね。
フジテレビの役員に
総務省の官僚が天下っていたのですね。
この方3年も前ですが、
東北新社の虚偽決済して接待も受けていたと
問題になった方。山田真貴子氏。
よく覚えているのですが、
私の同級生でしたから。
昭和35年生まれで昭和59年早稲田卒。
ただ私とは全く接点もないです。それもそのはず、
エリート官僚の道を駆け上った方。
これで天下り問題が再燃しそうですね。
「マスコミがポチ」である理由・・・。
いろいろ書きたいところですが
これくらいにしておきます。
高橋先生のご指摘をよく踏まえて
日本の税制を今後も真面目に
考えていきたいと思います。
高橋先生どうもありがとうございます。
おかげで目から鱗が落ち過ぎました・・・。
(頑張れ! 世界の高橋先生シリーズ おしまい)