その1 たかがビラ配り、されど・・・




ビラ配り




またまた題名だけでアマゾン衝動買い。
でもこれは「当たり」でした。
なかなか参考になり面白い本です。


著者は山田直美さん。1973年生まれということですから
まだ40歳。


8年前の32歳のとき、
大阪道頓堀でわずか10坪で家賃10万円の居酒屋を開店して
今や居酒屋2店舗、リラクゼーションサロン2店舗を運営する
実業家です。


題名見て


「今どきビラ配りだけで売上なんか伸びるか!」


そう誰でも思いますね。


今だったら、
「売り上げを伸ばすfacebook、Twitterの使い方」
「SEO対策で売上1億円」
こんなタイトルの方が売れそうに思いますからね。


それがビラ配りだけでそれらの繁盛店を作り上げたというから驚きです。
大阪道頓堀は飲食店の激戦区です。
通常の路面店なら10坪でも月50万が相場なのに、
わずか10万円というのはどういう店か想像つきますよね。
狭い路地裏にある雑居ビルの中の最悪の立地。
当然通行人にはまったくその存在が知られないお店。
ではどんな集客マジックがあったのでしょうか。



「でもビラ配りかよ・・・」


そう思う方は認識を改めてください。
ビラ配りも結構奥が深いのですね。

 

「どうして当店の売上げが伸びないのだ・・・」

「こんなに美味しい料理を作っているのに
どうして客は来てくれないのだ・・・」


そう悩んでいる店長にお勧めの本です。
しばらくお付き合いください・・・。






その2 ビラ配りの極意



ではそのビラ配りの極意。
結構奥が深いのですね。ここが面白かったですね。


ビラ配りの人がどんな思いでビラを配っているか。ここです。
「とにかくビラを渡すんだ!」みたいな圧迫感は
絶対ダメなのだそうです。
当たり前かもしれませんが、ルールは
「無理やり渡さない。」「追い掛け回して渡さない。」



コツは少量のビラを効率よく渡すこと。
道を歩いている人すべてに機械的に渡してはダメなんですね。


一言で言えば「人間観察力」


10メートル先を見て、


「この人はどんな人だろう。」
「この人はここへ来る前にどこで何をしてきたんだろう。」
「この人は今何を考えているのだろう。」


筆者のお店は居酒屋です。当然ですが、これから飲みに行きそうな人を
見つけることです。
声をかけても無駄だと判断したら、そう人は無視するのですね。



「この人」と思ったら、その観察眼をベースに、どうやって声をかけるのか、
どんな表情をしたらいいのか、どんな姿勢をしたらビラを受け取って
くれるのか、どんな立ち方で、どんな頭の位置が・・・。

 

奥が深いです。
でもこの筆者はそうやって苦労して見につけたのですね。
プロのビラ配りの極意。



たかがビラ配りと言わずに
真面目に謙虚にぜひこれを学んでください・・・。






その3 料理人ではないからこそ・・・


この本の著者の経歴が面白い。


専門学校出て教材販売の会社で就職。全国トップのセールスを記録。
その後不動産会社にも転職してトップセールス。
「スーパーセールスレディ」なのですね。
その後海外留学を経て結婚。



ということは料理の勉強をしたことも居酒屋で働いたことも
ないのですね。
若干30台の主婦がそれこそ「アルバイト感覚で」居酒屋を
開いたのでしょうか・・・。(失礼)



でも外食の経験がないからこそ面白いのです。
ビラ配りの極意を会得した理由がここにあります。



腕のある料理人であればあるほど、


「どうしてこんなうまい料理を食べに来てくれないのだ。」


そう思うのでしょうか。
お店の場所のせいにするかもしれません。


「目抜き通りだったら・・・」
「駅前だったら成功したのに・・・」



そういうことは彼女はまったく思ってもないのですね。


「どうしたら店に来てくれるか・・・。」
「来てくれた人にリピートしてもらうにはどうするか。」


必死に考えたのです。


こんなことは居酒屋の経営者は考えないかもしれません。
参考になる点はまさにここなのです・・・。







その4 VAK理論



この本は単なるビラ配りの本ではないですね。
すべての営業に通じます。



例えば、道の向こうからカップルが歩いてきた。
どちらに渡すべきか。男性か女性か・・・。
では家族連れの4人が歩いてきた・・・
女性3人のグループが歩いてきた・・・。


誰にどう渡して何を話したらよいのか。
これはビラ配りという職種だけでなく、不動産営業だって、
ハウスメーカーなどあらゆる営業でも同じですね。



瞬間に「どちらが、誰が主導権をもっているか」
これを見抜く洞察力。
「どんな話題を振ったらよいのか」その会話力・・・。


これをさらに進化させた面白い理論が書いてありました。


「VAK理論」


これは筆者の発案なのでしょうか。
VはVisual(視覚)、AはAudio(聴覚)、Kは(感覚)
すべての人はこの3分類に当てはまるのだそうです。


それを10メートル先で見抜く力。これはビラ配りの達人の技。
この3パターンを見抜いて、どう話しかけるか瞬時に判断する・・・。
その方に視覚でうったえるのか、感覚でうったえるのか・・・。



これは素晴らしい!
これは単なるビラ配りといったら失礼ですね。
コミュニケーション能力の達人の技ですね。







その5 相手の幸せまで考える



熱く語ってきた「ビラ配りシリーズ」そろそろまとめます。


では最後にこの著者のビラ配り哲学!

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これはすごい!
ここまでなかなか考えられないでしょう。


「ただ私の店に来てほしい」という自分勝手な考え方はダメで、
「目の前のお客様の幸せを考える」
こういう相手軸の考え方・・・。
分かりますか?


たかがビラ配り。されどビラ配り。
その思いが通じたら、ビラを受け取った方は
間違いなくその店にいきたくなるでしょうね。



分かりにくいですか。では具体的なお話を。
この筆者の店はもつ鍋のお店です。
通りがかった人に声をかけたら、


「今日はもつ鍋よりトンカツを食べたい雰囲気なんだよね。・・・」


と、もしこう言われたら、


「トンカツよりもつ鍋の方が・・・」


そう言ってはダメなのですね。


「ではトンカツなら近くに○○さんがありますよ。
あそこは行列ができるくらいに美味しいですよ。」


そういってあげるのですね。


どうですか?これで分かりますか。
すべての商売に通じるお話です。



「どうしてお客さんが来てくれないのだろう・・・。」

そう悩んでいる経営者の方へ金言を送ります。



「相手を幸せにすることが自分の仕事だ。」
そう思えること・・・。



なんだか、もつ鍋でも食べたくなりましたか・・・。



(ガンバレ! ビラ配りシリーズ おしまい)

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