その1 恐るべきGAFA



amazon


読書の秋に一番のおすすめ本ですね。
著者は成毛眞氏。いわずと知れた元マイクロソフト社長ですね。

題名通り「世界最先端の戦略」が本当によく分かります。
ビジネスマンなら必読の書です。

まず、GAFA(ガーファ)の説明から。
グーグルのG
アップルのA
フェイスブックのF
アマゾンのA
これを称してGAFA(ガーファ)。
これにマイクロソフトのMを足して、GAFA+M
もしくは「ビッグファイブ」と呼ばれています。

 


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この5社の時価総額を現したグラフがコレ。
天文学的な?数字でご説明しましょう。
アップルが1位。
2位がアマゾンですね。
7777億ドルといってもピンとこないでしょうね。
1ドルを仮に100円と計算すると78兆円!!ですね。

右端にトヨタ自動車24兆円、NTTドコモ10兆円、三菱UFJグループも
10兆円です。
このグラフは縮尺がおかしいので、日本を代表する企業と比較しても
比べ物になりませんね。

しかも、驚くべきはこのビックファイブの成長スピードなのですね。

アップルがiPhoneを発売してからまだ10年しかたっていないのです。
フェイスブックは上場したのが2012年ですからわずか6年ですね。

マイクロソフト設立は1975年、アップルは1977年ですから
ビックファイブの中では古参ですが、世の中にコンピュータを
創設したのはご存知の通り。

グーグルはこれはよくいう私のネタですからご存知ですね。
1998年生まれ。

「私も1998年開業ですからグーグルと同じ。
グーグルも私のように急成長した・・・・」

 

さて、問題のアマゾンも1995年に設立。
1995年はウインドゥズが発売され阪神淡路地震が
あった年。
これも私の講演会ネタでよく言いますが
「日本の生産年齢人口がピークを迎え減少した年。」
つまり世の中の転換点で設立された企業なのです。

 

このビックファイの成長スピードはすごいのですが
その中でアマゾンが群を抜いています。
いつかアップルを抜くのはアマゾンとまで言われています。


「アマゾンって本の通販でしょ。」

「日本にだって楽天もあるし・・・」


そう思う人も多いでしょう。
でも楽天の時価総額はわずか1.1兆円なのですね。
アマゾンの70分の1でしかないのですね。
因みにアマゾンの当日配送から撤退したヤマトホールディングですら、
1. 2兆円しかないのです。


ワールドワイドで見たらもう規模が違いすぎます。
本当にアマゾンを知ることで世界最先端の戦略がわかります・・・。





その2 まずamazonの認識を改めよ

amazon=本の通販

と思っている方はまずそれをあらためなければ
イケませんね。

もちろん、本以外にも世界中すべての商品が買えることも
もうご存知だと思います。
ただ通販会社という認識もまったく間違ってきています。


もう今や、あらゆる業種業界に進出しているからです。
例えば、クラウドサービスは世界のシャアの3割を握っているのです。
これご存知でしたか?

もともとは自社サイトのために開発したシステムを
他社が利用できるように、外販し始めたのが始まりです。
アマゾン・ウエブ・サービス(AWS)と言いますが、
日本でも有名な学校法人や官庁までも使っていると聞いたことが
あります。

クラウドサービスの本家本元は、マイクロソフトとグーグルだったのですね。
もともとは小売業だったアマゾンがいつの間にかクラウド業界で
最も大きな勢力になっていると、その元日本法人社長が
驚いているのですからね。

成毛氏すら予想もつかなかったことなのでしょう。


あと「アマゾンのプライム会員」になると、ドラマなど
オリジナルコンテンツやスポーツ配信サービスにも進出しています。
コンテンツ投資額では、アメリカのどのテレビ局よりも
大きいと言われていますから、今後この分野での成長が期待されています。

一方で、通販だけかと思ってると「アマゾンゴー」というリアル店舗にも
進出しています。

アマゾンゴーとは、その店内の商品を自由にバックに入れ、
店に出ると、アマゾンのアカウントから代金が引き落とされる
仕組みなんだそうです。

つまり、完全無人の完全テクノロジー店舗ですね。
何だか想像つきませんが、店内にはあらゆる角度からカメラが
仕掛けられているそうです。

また法人向けの金融事業も始めています。
アマゾンマーケットプレイズに出店をする企業に
融資するそうです。
売上を完全に把握しているので、これは比較的たやすい事業なのでしょうね。
もちろん、金融業にも進出するとさえ言われています。

アマゾンは何だか分からない会社になってきています。
ただいえることは、アップルやグーグル、フェイスブックと
同じように「テクノロジー会社」であることは間違いないようです・・・。




その3 楽天は勝てるのか??


もう一つの誤解として

アマゾンが何だ!日本には楽天があるさ!

そう思っている方のために「アマゾンと楽天のビジネスモデルの違い」
これはすべてのビジネスマンにとって勉強になるお話ですね。

 


楽天はアマゾンに遅れるとこ2年。
1997年の設立ですね。
私の起業時期と同じまさに「ネット革命創世記」の世代・・・。
楽天は以前取り上げましたね。こちら

インターネットショッピングモール「楽天市場」を開設して、
2000年に株式を上場しました。

楽天も、「楽天トラベル」や「楽天銀行」、「楽天証券」など
金融事業にも進出して、今や70以上のサービスを展開していますね。
アマゾンと同じように、ネット通販を起点に事業を広げている点では
アマゾンの拡大パターンと同じなのですね。

 

でもこの両者はビジネスモデルが全く違うのが分かりますか?


「楽天市場」とはまさに「市場」であり、楽天はネット上に、
軒先、つまりスペースを貸すことにより、出展企業から料金を
もらっているのですね。
つまり、楽天の顧客は企業なのですね。
それに対して、アマゾンの中心はあくまでも、自社で仕入れた商品の
販売だからお客さんは消費者なのです。

当初からまったくビッジネスモデルが違っていたのです。

ただアマゾンは自前の商品の販売だから、当然、
自前の物流倉庫も必要になるし、庫内での在庫管理や
注文準備を受けた際の発送準備などのノウハウも必要になります。

よって、一朝一夕では物流網のノウハウは構築できないのです。
だから、先に楽天が急拡大したのです。

 

でも、いったん物流システムが整備されたら、アマゾンは自社で
すべてまかなうために取り扱う商品量が増えれば
スケールメリットして安く仕入れることができるのです。

この差なのですね。

楽天は現在4万5000店舗でここ数年横ばいらしいです。
お客さんが企業であるから、頭打ち感は否めないでしょうね。

 

さらに、アマゾンも楽天と同じように、数年前に「場所貸し」である
「マーケットプレイス」も始めましたね。
このビジネスも懐かしく思い出すのが「せどり」ですね。
あの発想から拡大したのです。こちら

さらに、他社の倉庫で在庫を抱えるシステム
「フルフィルメント・バイ・アマゾン」(FBA)と呼ばれる
サービスも開始しているのです。
このFBAはすごいです。
FBAを利用するとどんな企業でもアマゾンのインフラが
使用できるのです。
つまり、商品の保管から注文処理、出荷、決済、配送、返品対応まで
すべてをアマゾンがやってくれるのです。

こうなると、もう楽天は勝ち目がないのですね・・・。

あと通販のユーザー側からも分かるのではないでしょうか。
楽天で買うと、知らない企業にカード番号を教えなければ
ならいことがよくありますね。
アマゾンはすべて同一のIDパスワードでOKなのです。

あとアマゾンの方が圧倒的に安い。理由はもう分かりますね。
この差ですね・・・・。





その4 amazonによる死者リスト


amazon世界最先端の戦略がわかる その4

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日本での市場規模を見てみましょう。
2017年のアマゾンの日本での市場規模は、売上規模が
前期から14.4%増の1兆3335億円。
この売上規模は、5位の三越伊勢丹、6位の大丸と松坂屋を
運営するJフロントリテイリングに匹敵します。
1位はイオンの8兆3000億円。
2位のセブン&アイ6兆円にはまだ届きそうにないでしょうけど、
この伸び率から考えれば、3位のユニクロ1兆8000億円はまちがいなく
射程圏なのでしょうね。


理由は楽天との違いでご説明したとおり、強力な物流網です。
「場所貸し」の手数料で儲けている楽天は、直接のお客はあくまで
出店業者ですから物流システムの構築は後手に回っているのですね。
アマゾンの顧客は消費者ですから、当然物流が大事なのですね。
物流網の差で快進撃を続けるのでしょうね。
きっとそのため影響を受ける企業がでてくるのでしょう。

 


アメリカでは恐ろしい言葉でたとえられています。


「アマゾンによる死者リスト」


アマゾンの影響で倒産した会社のことです。

 

例えば、「トイザラス」という世界最大の玩具チェーンが
ありますね。

あれはアマゾンにより滅ぼされたと言われています。
トイザラスは日本にも出店してきて有名でしたよね。
それが何故破たんしたかを知ることは勉強になりますね。


実はトイザラスは2000年にアマゾンと10年間のネット専売契約を
結んでいたのです。
アマゾンはトイザラスが提供する玩具のみを取り扱うと約束していたのです。
それによってトイザラスの公式ページをクリックすると
アマゾンの玩具コーナーにリンクもされていたのですね。

ところが、アマゾンはトイザラスの供給する商品数が少ないことを理由に
他の業者を取り込んだのです。
怒ったトイザラスは契約を破棄して2006年に自社独自の通販サイトを
作り上げました。
しかし、時すでに遅し・・・。
トイザラスはアマゾンに対抗する力がなかったのです・・・。


恐ろしいですね。

日本でアマゾンが2兆、3兆と売上を伸ばすことは、
当然他社の売上を奪うことになります・・・・。

 

「アマゾンによる死者リスト」


にやがて日本企業もリストアップされるのでしょうか・・・。





その5 物流網が唯一弱点


 

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大躍進のアマゾンですが、いったいそのウィークポイントは
何だと思いますか?

物流網が楽天を引き離す最大の武器と申し上げましたが、
実はここが弱点でもあるのですね。

日本では自前の物流を持っていないのです。
日本ではヤマト運輸と日本郵政に依頼しているのです。
これは日本の宅配業の水準の高さからよるものらしいです。
全国どこでも翌日に届くし、配達時間も指定できるわけで、
米国のように広大な国から見たら考えられないサービスなのでしょうね。

アマゾンが配達する個数は2016年でおよそ4億個と
言われています。
推定でそのうち2億5000万個がヤマト運輸です。
その数からしたらヤマト運輸の上得意であることは
間違いないですね。
事実売上の15%を占めているらしいです。

しかし驚いたのはその平均単価。
何と280円で運んでいるのですね。

図はヤマト運輸の利益を表すグラフです。
280円では採算が取れないのでしょうね。
当日配達の撤退を決め、400円に値上げ要請をしたのです。

因みに下は佐川急便です。
佐川急便も以前はアマゾンと取引していたのです。
ところが2013年に契約を打ち切っています。
佐川急便もきっと安く請け負っていたのでしょうね。
アマゾンが値上げに応じなかったからです。
でも皮肉なことに、ヤマト運輸を営業利益で抜くことが
できたのです。
一時は日本郵政が肩代わりをするのではという憶測が
流れたらしいですが、日本郵政自体の総取扱個数が
7億個ですから、キャパ的に無理なのですね。

しかし、4億個を運ぶのに、一個400円かけたら、
それだけで1600億円ですね。
アマゾン自体の売上が1兆3000億円ですから、
莫大な費用負担ですね。
当然、アマゾン自体も日本での物流戦略の抜本的な見直しを
迫られているはずなのですね。

きっと宅配業社を買収するか、
それともコンビニを買収してコンビニ受け取りを
増やしていくか・・・




その6 税金を納めない不思議


宅配のお話で、米国に目を向けると、どうもトランプ大統領は
アマゾンを目の敵にしているようですね。
「米国の郵政公社はアマゾンの料金を倍増すべきだ!」
と過去述べています。

実は宅配問題だけではないのです。
税金問題も解説しましょう。
トランプ大統領も、同時に

「アマゾンは税金を納めていない!」
こう攻撃もしているのですね。
これだけ急成長してくると「アマゾン包囲網」も全世界で
張り巡らされているようですね。

永年トランプが言うように
「アマゾンは税金を払っていない」
という問題は日本でもさんざん議論されてきたようですね。
国税庁はどうやってアマゾンから税金を取るか
いろいろと策を張り巡らせてきたようです。

経済居力開発機構(OECD)の租税条約で、


「グローバル企業が進出先の国に支店や恒久的施設(PA 、
Permanent Establishment)を持たないと法人税はかけられない」


と取り決めがされていたからなのです。
このPAというのが「くせもの」で、アマゾンがいくら巨大倉庫を
作っても
「あれは単なる倉庫だから」
と言い張っていたのですね。
日本でもこれだけ売り上げ上げてきているのにです・・・。

国際的な世論をバックに、ようやく税制改正されて2019年から
課税されるようになりました。
ただ一方でこの図を見てください。

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アマゾンから音楽ダウンロードした場合は
まだ課税されないのですね。
ということは、キンドルからいくら大量の書籍を買っても
日本の税収は増えないのですね。
何だかこれもおかしいですね・・・。


ただ根本的なお話をしましょうか。
なぜアマゾンは税金を払ってこなかったか?
答えは簡単です。

「ずっと赤字だったから・・・・。」

1997年にアマゾンは上場しています。
1995年には30万ドルの赤字ということですから、
赤字のまま上場したのでしょうね。
実は上場以来株主に一度も配当を払っていないのです。
当然赤字で、利益がなければ払う必要ないですよね・・・。

上場後1999年に7億ドルの赤字に膨らんでいます。
7億ドル!です!?
日本円で700億円以上の赤字ですね。
この赤字を解消するのに6年もかかっています。

なぜこれだけ巨額の赤字なのか。
なぜこれだけ巨額の赤字でも倒産しなかったのか。
これは勉強になりましたね。
経営学的に一番面白かった点です。
世界最先端の戦略です・・・・。







その7 新規投資で利益が出ない




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アマゾンの秘密の公開です。

まず純利益から見てみましょう。
2014年は何と赤字です。
配当どころではないですね。
2015年から黒字転換して、2017年には30億ドル、

でもトヨタと比較してください。
トヨタの純利益の8分の1しかないのです。
またソフトバンクと比較しても3分の1ですね。

でも最初ご紹介したとおり、アマゾンの株価は異常に高かったのですね。
だから時価総額では比べ物にならないのです。

ズバリ経営方針の違いなのですね。
これは「世界最先端の戦略」として一番参考になるお話なのですね。


一言で表せば
「利益が出ないように新規の投資をし続けてきた」
ということになるのでしょうか。

 

アマゾンの設立当初、1990年代後半はまさに
「ITバブル」
でしたね。

当時の投資家たちも、
新進気鋭の投資家たちの「赤字は投資が必要だから」
という主張を歓迎していたのです。

しかし、そのバブルがはじけ、期待は期待で会わり、
黒字になるどころか赤字が膨らみ続けたのです。

1999年アマゾンの赤字は7億ドル、およそ700億円にも
なります。

2000年6月末には、リーマンブラザーズが
アマゾンは債務超過の瀬戸際にあると警告し、市場では

「アマゾン・ドット・ボム(爆弾)」

とまで呼ばれていたのですね。

日本のIT企業があまた倒産した2000年頃が
アマゾンにとっての窮地だったのです。
それでもアマゾンはその苦しい1年間で
倉庫を2か所から8か所に拡大します。

今やアマゾンの経営手法はビジネススクールでも
必ず取り上げられるらしいです。
確かに当時から「キャッシュフロー経営」であったかどうかは
成毛氏の指摘するように、「言い訳」だったのでしょうね・・・・。






その8 最先端のキャッシュフロー経営


まだまだアマゾン研究は続きます。
しつこく申し上げますが、この本を10回くらい読めば、
今後の世界最先端の戦略がよく分かります。


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「キャッシュフロー経営」のお話でしたね。
直近14年間のリアル数字が出ていましたので
アップしましょう。
この表をこれも100回くらいながめると
アマゾンの世界最先端の戦略が見通せることになります・・・・。
とにかくリアル「キャッシュフロー経営」の勉強になりましたね。


左側がご説明してきた、純利益の数字です。
確かにここ2年くらいは23億ドル、30億ドルと
驚異的に伸びていますが、それまで2012年と2014年は
赤字になっていますし、それほど多くは出ていませんね。

まず、キチンと説明しましょう。
左から2番目が「営業キャッシュフロー」ですね。
これは、「単純に売上から仕入を引いた値」、つまり「売上総利益」、
簡単に言えば「粗利」ですね。
アマゾンは右肩上がりに成長していますし、本業がきちんと
現金を生み出していることが分かりますね。
因みに右端が売上高です。
これも右肩上がりに上昇していますから、それに伴って
本業の利益が増え続けていることが分かります。

大事なのは、真ん中にある「フリーキャッシュフロー」と
その右隣の「投資キャッシュフロー」ですね。

「フリーキャッシュフロー」とは営業キャッシュフローから、
事業拡大に必要な設備投資など投資を引いた数字。
つまり、まさに文字通り「自由に使えるカネ」ということですね。

これはまったく右肩上がりではありません。
理由はまさにその「投資キャッシュフロー」。
巨額の金額を設備投資に当てていることが分かります。


ハッキリ言えば、
「本業で稼いだカネをほとんど投資に回している」のですね。
こんな企業は通常ありえないでしょうね・・・。

特に顕著なのは2012年です。
純利益が3900万ドルの赤字でありながら、
37億ドルもの巨額な設備投資をしています。
以降、ここ6年間は10億ドル単位の巨額設備投資。

2017年にはついに、100億ドルもの投資です。
日本円にして1兆円規模!!
赤字でもこんなに巨額な投資をし続けているのです。
これこそがアマゾンの秘密・・・・。




その9 CCCが秘密のカギ


年間1兆円も投資できる企業は世界でアマゾンだけかもしれませんね。
こんなことは中小企業ではまったく参考にならないお話ですね。

ではこの本で一番参考になるお話をしましょう。
こういう発想でビジネス展開をこれからしなければならないのですね。

そのキーワードとは
「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」(CCC)
という言葉ですね。
正直初めて聞いた言葉です。
「キャッシュフロー経営」なんて教科書的な経営学を
勉強するより、この「CCC」こそ学ぶべき経営学ですね。

CCCとは
「仕入れた商品を販売し、何日間で現金化されるかを示したもの」

中小企業の経営者に、このCCCをきいて即答できる方は
どれくらいいるのでしょうか?

例えば、小売世界大手のウォルマート・ストアーズの場合、
このCCCはプラス12日だそうです。
つまり、商品を仕入れて販売して、代金を回収するまでに12日を
要するということですね。
はたして12日は良い数字かどうか分かりませんよね。

一般的には小売業の一般的なCCCは、
プラス10日〜20日程度なんだそうで、
ウォルマート・ストアーズは比較的良い方ということが
分かりますね。

でも、ここからがまさに経営学なのですが、売上代金を受け取るまでの
運転資金が必要だということが分かりますか?
プラス12日で回収できるといっても、売上が大きくなれば
なるほど1日に必要な運転資金も大きくなるのですね。
ウォルマートは日本円で年間60兆円もの売上がある会社ですから、
その12日間となると2兆円です。
その2兆円を自己資金か借入金で賄わなはなければ
ならないのです。

ではそのアマゾンのCCCはどうなのでしょうか?

アマゾンのCCCはなんと!「マイナス28.5日」なんだそうです。
このマイナス28.5日というのを信じられますか?

極論すれば
「物流倉庫にある商品が販売される28日前に
すでに現金になっている」
ということなのです。

誰でもアマゾンで物を購入したことがあるでしょうから、
これなかなか理解できませんね。

アマゾンで仮に本を買う時に、
「1カ月前に入金してください」
なんて言われたことないでしょうから・・・。

でも、これが本当のアマゾンの秘密です。
これを理解することが、世界最先端の戦略です。
そのために、この本は30回読んでください・・・・。





その10 マーケットプレイスになぜ投資したか?


もう一度キーワードである
「キャッシュ・コンバージョン・サイクル」(CCC)
を説明します。

「90円で仕入れたボールペンを100円で売る文房具屋」
で例えてみます。

今日仕入れたボールペンの代金をその場で卸業者に支払い、
それが売れたのが1か月後だったとします。
その1か月の手元の現金はマイナスですね。
その現金の状況を把握するのが、「キャッシュフロー経営」ですね。
しかし、さらにその現金がいつまで回収されるのが、この「CCC」なのです。
この文房具屋はCCCは「プラス30日」です。
小売業としては一般的なレベルのかもしれませんね。

また日本の出版社のCCCは、一般的にプラス180日なんだそうです。
つまり、日本の出版社は、だいたい出版から6か月後に
入金されるのが慣例なのです。
「出版不況」といわれて久しいですが、180日間出版社は借入金どで
「食いつながなければ」ならないのです。
CCCということが、いかに重要かわかりますね。


CCCは通常プラスになると思いがちですが、
ラーメン屋の例が出ていました。
ラーメン屋は日銭が入りますね。
それに比べて材料や人件費は後払いなのです。
CCCがマイナスということになります。
ラーメン屋が新規参入されやすいというのは、
先にお金が入り、開店時の資金が少ないからなのですね。

 

また、ネットメディアがCCCはマイナスになるそうです。
会員サイトの場合、会費は前払いが多いですね。
またネット広告もクリックした途端に入金される仕組みです。

あとこの本には書いてありませんが、私はすぐ気が付きました。
メルカリがその典型的な例なのでしょう。
中古品を出品して売れてもすぐ現金はきませんね。
ポイントと称する「疑似通貨」に化けているからです・・・。

なかなかこのあたりヒントになりませんか・・。


しかし、アマゾンのCCCのマイナスの理由は公表していないのです。
作者の成毛氏も、これは解明していないようです。

 


Photo_2

 


最後にアマゾンの売上構成をアップしておきます。

本業の小売りの比率は、今では60%に
落ちてきているのです。
それに対して「マーケットプレイス」は18%と
伸びてきています。
いままでこのマーケットプレイスに巨額の投資をしてきた理由が
これで分かりますね。


これ守秘義務があるので公表できませんが、
顧問先にアマゾンに出品しているところもあるので
分かるのです。
実際にものが売れても入金されるのがかなり遅いのです。
2〜3カ月先です。
この間、アマゾンはこの「金利なしの」巨額の資金が自由に使えるのですね。
5年前の2013年に19億ドルも「無利子」の資金と書いてありましたから
いまやその何倍何十倍の資金を使えるのでしょう。
これこそアマゾンのCCCが30日もマイナスな理由ではないでしょうか。


潤沢なキャッシュを配当にも回せず、巨額投資をし続けることが理由が
そこにあるのです。


何度も書きますが、中小企業にはアマゾンそのもののビジネスは
絶対真似できません。


でも「CCCがマイナス」にする経営は規模の大小を問わず
できるはずです・・・。
これこそ世界最先端の経営術です・・・・。

 

(がんばれ!アマゾンに負けるなシリーズ おしまい)










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