その1 元税務署OB飯田先生の本




税務署3年




たまには税理士らしく税金ネタ。
税理士の飯田真弓先生の本です。
この方は以前取り上げましたね。こちら


なかなかの文才です。
日経電子版でもよく記事をアップされています。
ずっと面白く読んできましたが、それをまとめたような本です。


飯田先生は税務署のOBの方ですが、


「税務署って実はこうです・・・」
「税務調査は実は・・・・・」


というようなお話ばかり。
国家公務員として守秘義務あるのではとは思いますが、
やはり税金の専門家としては貴重な情報です。


税理士会の研修で、税務署の方から「税務調査の受け方」
なんて研修は絶対ないですからね。


税務署OBの方で、こういう手の本は確かによく発刊されています。
一番有名な方は大村大次郎氏でしょうね。
かなり過激な本ばかり。
(この方はペンネームで本名はやはり不詳らしいです。
脱税のやり方まで書くくらいですから、そうでしょうね・・・。)


私も一応税金の本を書く「作家」なので、発刊されている税金ネタの本は
たいていは目を通しているからなのですね。
よく本屋行って、端から端まで目を通しています。

 

さて、前置きが長くなりましたが、飯田先生の本は最初から


「タマ選びもマイナンバーで大きく変わる」


なかなかタイムリーなネタです。

こういうことを書ける方は日本でこの先生だけです。
個人的に大ファンですね・・・





その2 マイナンバーで税務調査はどう変わる


マイナンバーが導入され、きっと税務調査も変わるのでしょうね。
いくら飯田税理士がもと税務署の方だからと言って、


「マイナンバーで税務調査はこうなります」


という情報は絶対取れないでしょうからね。
現状では税務調査が多くなるのは、タレコミ・投書の類らしいです。


クビにされた経理担当者、ケンカして離婚した元妻から
のリークなんてかなり信憑性ありますからね。


税務調査のタマ選び(調査先の選定)のお話がリアルに
でていました。


@ 机上調査


申告している決算書の売上金額、仕入金額、外注費などを同業者と
比べ、多すぎたり、少なすぎたりするお上がってきます。
これをさらに「KSK」という国税庁が誇るシステムからも
情報が流れてきます。
このKSKというシステムには調査官が集めた情報が集約されている
マル秘データシステム。
これは面白かったのであとで詳述します。


A 外観調査


これは本当に調べに行っているようですね。
法人税の決算書に家賃の明細を載せるのですが、
税務調査があると調査官は必ず行っているようですから。


B 内偵調査


これは探偵のように、本当に客を装って事前に一度は
行っているみたいです。


面白いことが書いてありました。
ホストクラブの調査の場合、女性の調査官は必ず
内偵に行くそうです。


女性調査官も大変ですね。
親には仕事でホストクラブになんて言えないですね。


まあ「官費」でホストクラブに行けるのは
税務署くらいでしょうね・・・・。





その3 税務調査の日程変更




税務調査に関して詳しく出ています。
こんなこと解説してくれる税理士は他に居ませんからね。


一般の方も読んでおいた方がよいでしょう。

 

たとえば、税務調査があると税務署から電話がかかってきます。


「8月××日」に税務調査に伺いたい・・・」


普通の経営者ならビビりますね。
初めての調査なら尚更です。電話あったとたん、


「何でウチなんだ・・・。何か悪いことしたのか・・・。」


その気持ちよく分かります。


「でも8月××日は得意先との予定があった・・・。」


さてどうしたらよいのでしょうか。
税務調査の通知は「事前通知」と呼ばれます。
会社に顧問税理士がいれば、税理士の方にかかってくるのですね。
それほど心配はいりません。


「先生、日程変更したら、何か悪印象でも持たれるのですか?」


これもよく聞かれることです。

 

もちろん、調査の日や場所の変更も認められているのですね。


国税庁のHPに詳しく出ているのですね。こちら
「問16 事前通知を受けた調査開始日時については、
どのような場合に変更してもらえるのですか。」


「税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方の
ご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が
分かっている場合には、お申し出ください。」


なお、いったん決めた後に急に都合が悪くなったらどうなるのでしょうか。


「また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、
親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ
変更を協議します。」


税務署も柔軟です。ご心配なく。






その4 SNSも税務署は見ている!



私が調子に乗って、テニスや卓球などオリンピックネタを続けても
誰も読まないでしょうから、真面目なお話に戻します。
これは非常に参考になるお話です。


お盆休みで同窓会をやった方も多いでしょう。
私も週末に小中学校の同窓会があり、
懐かしくも楽しいひと時を過ごしました。
これをfacebookやツイッターなどのSNSで
写真と共にアップする人も多いでしょう。


しかし、驚愕の事実がここにあります。
このSNSを税務署もチェックしているというのです。

 

「今日は同窓会で○○温泉に来ています」


ある社長さんが、楽しげな写真をfacebookにアップしたとしますね。


調査官は、その写真を印刷するとともに、
その情報をKSK(国税総合管理システム)に入力しているのです。


日時:××年2月1日
場所:○○温泉
氏名:Aさん
企業名:△△株式会社
内容:同窓会で○○温泉に宿泊。愛車は会社の○○・・・。


将来△△株式会社の税務調査に入った時の資料にするのですね。
なんだかイヤらしい〜お話ですね。
税務署にはこういう資料を集める専門の部署があるのですね。


税務調査でこの○○温泉の経費を会社で落としていたら、
まさに税務署の狙い通り!


「これは私的な経費ですよね。」


印刷されたfacebookの写真と共にバッチリ追及されてしまいます。

 

最近では


「クレジットカードのポイントを貯めたいから」


といってわざと立て替えて、カード払いをしたがる社長さんも多いです。
それをつい全額会社の経費にしてしまった・・・・。
そういう類のうっかりやりそうな経費の情報を集めているのですね。


税務署はターゲットなる会社のHPどころか、
社長のSNSもすべてチェックしています。

 

恐ろしいお話です。
友達申請してくるよく知らない方は、きっと税務署の偽名の方かも
しれません!?
企業経営者はfacebookなんてやらない方が良いですね。


お気を付けください・・・。






その5 マイナンバー導入でさらに・・


昨日の「SNSも税務署も見ている」というお話ですが、
よくよく考えると非常に恐ろしいことなのですね。
この本で一番考えさせられたところです。


人権擁護の団体から、
「人権の侵害」
ということを指摘されないでしょうか。

 

誰しもお盆休みくらい楽しいことしたいですよね。
友人たちと温泉にいってそれをSNSにアップする・・・。


それを一方で、「シメシメ」と税務署では入力している人がいる・・・。



何だかどうなのでしょうか。
さらに今年から始まったマイナンバー制度。
これを使うならば、


法人番号××△△株式会社 ××年2月1日 ○○温泉
個人番号××Aさん ××年2月1日 ○○温泉


こんな形でKSKシステムに入力されてしまうのでしょうか。


この情報は厳格に管理され、△△株式会社やAさんの税務調査の際に、
きっと重宝がられるのでしょう。
当然、マイナンバーで銀行口座も名寄せされ、
経費はすべてチェックされます。
例えば××年2月1日で飲食代どころか交通費や土産代を
経費に入れていないか調べられるのです・・・。


ここまで飯田先生は指摘していませんが、
国税当局は当然想定しているでしょうね。

 

でも税務調査はいったい何のためにあるのでしょうか。
国民が必ず悪いことをすると思っているのでしょうか?
これは私がよく使う言葉ですが「性善説」、「性悪説」


例えば、その社長が盆休みに同級生に対して、


「今東京で建設会社やっています。今日はオレがご馳走するよ。
そのかわり、建築のことで何かあったら頼むよ。」


といったらどうなるのでしょうか。
同級生から


「息子が東京でウチ建てたいらしい。あいつに依頼するか・・・」


こうなると立派な経費ですよね・・・。(屁理屈かもしれませんが)


しかし、KSKシステムとはどういうことなのでしょうか。


最近KSKといえば、タレントのDAIGOが女優の北川景子に言った
プロポーズの言葉、
KSK(結婚してください)が有名ですね。


というこは、KSKシステムというのは


「結構・失礼な・苦情の出る」 システムでしょうね・・・。(これも失礼)






その6 調査官は昼食の際にも情報収集



KSKネタはまだまだ続きます・・・。


税務署の方は、昼食を取る時も仕事なのですね。
本当にご苦労さまです。


サラリーマンなら、ランチに安くて美味しいお店を見つけるのも
楽しみのひとつですよね。


例えば、ビジネス街に800円で美味しい鮮魚定食屋が
できたとします。たぶん大行列でしょうね。
こういう店は、テレビや雑誌などで必ず紹介されますからね。


税務署の方はそういう評判の店は必ず行くそうです。
何をチェックしに行くかというと、鮮魚のネタの美味しさでは
ありません。
レジ周りをチェックしにいくのですね。


こういう光景を見たことないですか。
レジは開けっ放しにしておいて、レジの上に百円玉を2枚、
つまり200円を並べて積んでおくのです。
混雑時に大量のお客さんをさばくためでしょう。


税務署の人はこういうときには必ず一万円札を
出すのだそうです。
その1万円札をレジに入れるのかどうか見るためなのですね。
さらに、ここで時間を稼いて、伝票に日付や通し番号が
あるかチェックしているのです。


ここも申し訳ないですが、なんだか「いやらし〜」ですね。


1人づつレジを打っていれば、当然記録に残ります。
それをあえてしていない理由があるのではないかと疑っているのです。
つまり、日付や通し番号がないということで
売上をごまかしていないか確認しているのです。


まあ・・・お仕事ご苦労様です。


さらに、この次が大事。
あの「KSKシステムに入力」しているということです。


もちろん、正しく申告していれば大丈夫です。
もし問題があれば、この本の題名の通り3年は泳がせるのでしょうか・・・。


そして3年後・・・・。





その7 せどりも3年泳がせる



「せどり」というお話が出ていました。


ご存知ですか?このせどり。
大分昔ですが取り上げました。こちら
「こんな商売があるのか!」
ホントに感心したものでした。


私もamazonのヘビーユーザーの一人ですから分かるのですが、
新刊本を買う時に、新品の値段と中古品の値段を
必ず見比べます。
「ちょっと読みたい」とか「少し調べたい」という理由で
購入するときは迷わず中古品を買うことにしています。
送料257円払っても安ければです。


さて、中古品の出品者は本当に申告しているのでしょうか?
結構儲かる商売だと本当に思います。
事実さまざまは出品者から購入していますが、
「○○ブックセンター」とかいかにも店名のようになっていますが
本当に個人名で送られてくることも多いですね。


きっと税務署のKSKシステムには、出品者のリストが
あるに違いありません。
官費でせっせと購入している人がいそうですからね・・。


だから申告に関しては

「アルバイトだから・・・」

とか

「サラリーマの副業だから・・・」


では済まされないのでしょうね。


Amazonのシステム使って、銀行振り込みでしょうから。
税務署にパソコン抑えられたら簡単にアウトでしょう。


この本のタイトルのように「3年間は泳がされ」
3年目に見つかるのでしょうね。


では「2年で止めておいたら」どうなるのでしょうか?
・・・飯田先生は教えてくれませんでした・・・。
まあきっとダメなのでしょう・・・。





その8 手ぶらでかえす訳にはいかない?



楽しいオリンピックのお話をいつまでもしたいところですが、
真面目に税金ネタを続けます。



卓球の15歳伊藤美誠選手が
「先輩たちを手ぶらで返すわけにはいかない」


と言っていましたが、


税務調査に来た調査官を「手ぶらで帰す」!?ことは
良いことなのでしょうか?


我々の専門用語!?で「お土産」と言われるお話です。
税務調査も1日潰して来るわけですから、
彼らの最低限の「日当」くらいは稼がなければいけない発想はあるのでしょうか。


でも飯田先生は、「お土産肯定派」ではないようです。
申告に間違いがなければ「申告是認」として税務調査が
終了することがあるからなのですね。

 

そんなことより、調査官は調査をしながら経営者の人柄を見ているのです。
ここが大事なのですね。


例えば、普段仲間と一緒に食事して、ワリカンで払おうとするときに、
領収書をもらおうとする人がいますよね。


そういう場面を見て、


「この人はいつも自分が食べた食事代も必要経費に
いれているのだろうなあ」


と思うのだそうです。
調査官の悲しいサガでしょうね。


飯田先生はそういうことにならないように
良いことを薦めていました。


「すべての領収書の裏に、4W1Hを入れよう」


@ どこで、 A誰に、B、何を、Cなぜ、Dどのように
これを領収書の裏にメモするように薦めているそうです。


確かにここまですれば、


「この領収書は経費かどうか」


自分で判断できるのでしょう。
これはお勧めですね。実際にはかなりメンドクサイかな・・・。
最低限「なぜ支払ったか」さえあってもいいと思います。


しかし税務調査の際に、すべての領収書にこれが書いてあれば
税務調査官は、感動して、きっとそのまま逃げ帰るでしょうね!?




その9 調査官の営業成績とは?


では最後に国税内部告発ネタ!?


「調査官の出世は、調査税額に比例するのか?」


これはいったいどうなのでしょうか?
税理士としてこれは知りたいところですね。


通常時の事業会社では、
「営業マンの出世は、売上に比例します」


これはサラリーマンなら「当たり前田のクラッカー」!?(古いネタ?)


飯田先生は、


「そんなことないですよ。取ってきた税金が多い人が出世するなら、
事案の取り合いになるではないですか。部門で何件しないといけない、
みたいな割り振りはあったように記憶していますけど。
少なくとも、税金の額で調査官が出世するなんて
話しはなかったです。」


(Aさん)「では、お国のためにって感じなんですか?」


(飯田先生)「いやあ、それもないです。」


ではいったい何を考えて調査官は仕事しているのでしょうか?
私自身突っ込みたくなりました。


たぶん「本音と建前」という部分かなと思いますし、
きっとこれ以上、飯田先生は書けなかったのでしょう。


そろそろ、お後がよろしいようで・・・。





(ガンバレ! 税務署女子第一期生シリーズ おしまい)

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