その1 埼玉県白河市にある老舗企業



100年企業のものづくりはひとづくり




今回は老舗企業のお話ですね。

株式会社田野井製作所。

本社は埼玉県白河市。

 

「田野井製作所?」

「何の会社?」

「埼玉県の白河市?どこ??」

 

すいません。

田野井製作所も何をやっているかも

そして白河市も知りませんでした。

でもだから読書はやめられないのですね。

知らないことが学べるからです。

 

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まず埼玉県白河市。

地図で調べました。

よく利用する関越高速道路の蓮田SAの先ですね。

春日部大高マラソンでよく行った庄和公園の近く。

そして有名な東武動物公園の近くのようです。

マラソンで走ると分かりますが、

のどかな田舎町。(失礼!)

 

そして田野井製作所。

創業はなんと!1923年!まさに100年企業。

 

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社長は田野井優美氏。

なんと!
5代目なのですね。

100年も続く老舗企業ならそうでしょう。

写真でお分かりの通りお若い女性社長ですね。

 

この本の副題の通り、まさに

「5代目社長の奮闘記」

なのですね。

 

何をやっているのかというと

「ねじをつくる工具」

を作っているのですね。

機械系のお話は苦手なので、ここは真面目に

読みました。

「ねじを作っている」のではないのですね。

「ねじを作る工具」

です。

 

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ねじの雄ねじを作るのがこの「タップ」

 

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ねじの雌ねじを作るのがこの「ダイス」

 

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 これが本社。

 

この写真驚きます。

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しかも何と!

築50年と築46年の建屋があるのです。

しかもいまだに現役。

 

見た感じで税理士業26年の身として

「田舎のどこにであるような古ぼけた工場」

の雰囲気ですね。(すいません)

 

 

でもこの会社は専業メーカーとして

業界第3位!なんだそうです。

なかなか勉強になるお話なので

ご紹介していきましょう。





その3 業界3位


「ちなみに業界最大手はシェア65%前後の上場企業で、

2番手のシェアも25%ほどあります。

残りを中小メーカーで分け合う形になっていて、

TANOIは全体で3番手という位置づけです。」

 

 

「本当にこの田舎の工場が第3位?」

疑い深い私はつい調べてしまいました。

 

でも冷静に考えたら、上位2社でシェアの90%を

握られている寡占業界なのですね。

 

残りの1割を中小が奪い合う過酷な

業界ともいえるのでしょう。

 

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1位はオーエスジーでしょうね。

1938年創業。

創業者はゼロ戦を製作したあの中島飛行機(現富士重工)に

お勤めだった方です。

最新の外国製工具に触れて

「何としても国産のタップを作る」

といって愛知県で独立したそうです。

場所柄でしょうけど、

トヨタ自動車からの大量受注につながり

その後発展した会社です。

 

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上場企業と書かれていたので

得意のEDINET分析。

 

売上高1477億円

経常利益213億円

 

素晴らしい企業ですね。

国内首位どころか世界シェア33%の

世界トップのメーカーですね。

 

22年11月期で海外売上高比65%ですから

圧倒的な強さですね。

 

そうは言いながら

 

「最上位の会社は工具の総合メーカーですが

私たちはタップとダイスの専業メーカーです」

 

自信と誇りでは負けないということなのでしょう。

 

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因みに業界第2位は彌満和(やまわ)製作所

でしょうね。

非上場のようですから売上高は分かりません。

HP見る限りは世界進出しているようですから

かなりあるのでしょうね。

この会社も1923年創業。

まさに「同期」ですね。

ライバル企業であることは間違いのないでしょう。

東京が本社で米沢、福島など各地に工場もあるようです。

 

これら優良企業を相手に

「業界3位」

と宣言するところが、実に気持ちよいと思いませんか・・・。





その3 主治医になる!


この本を買った瞬間に思ったのですね。

「これは100周年をきっかけに作られた

ブランディングの本」

だと。

題名から

 

「ものづくりは人づくり」

このあたりから、

 

「会社のイメージを上げ、良い人を採用したい」

 

そういう意図なのでしょう。

でもそうだと思ってもあえてこの本を

よく読んでみたのです。

 

「ブランディングの本」だろうが「ウソは書いていない」

はずだからですね。

 

100年続いた理由がこの本に、盛りこめられているのです。

企業が100年どころか10年続くことも

なかなか大変なのです。

そのノウハウがたった1650円で教えてもらえるのです。

 

私としても1650円でノウハウを教わり、

企業へのアドバイスのヒントになるのです。

 

ですから前回ご紹介したオーエスジーの企業を徹底的に

研究しても参考にはならないのです。

売上高1000億円も超え世界進出を

果たしている企業の真似は簡単にはできないからなのです。

 

業界3位ながらもがき苦しんでいる中小企業の方が

遥に参考になるのです。

 

田野井製作所が

「オーエスジーを超えるにはどうするか?」

 

などという議論はきっとしていないでしょう。

(すいません。想像です。)

最初に申し上げた通り、

「専業メーカーとしての矜持」

を持っているのです。

 

本を読んでよく分からなかったのですが

 

「ドクターセールス」

 

このフレーズ分からないですよね。

 

「ドクター? 医者でしょ。セールスは販売??」

 

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本の説明では理解できなかったのですが

会社のHPみたらすぐ分かりました。 こちら

HPにある「田野井の強み」

で真っ先に出てくる表現。

 

大手企業ではここまでできないかもしれませんね。

 

機械オンチの私ですから、

 

「工具の中でタップが最も難しい」

 

その表現でも腑に落ちました。

 

改善事例が多く掲載されています。

 

「タップの費用はTONOIに切る帰る前に

年間1億円だったのが、現在400万円!!」

 

「ホントかよ〜。」

 

と突っ込みたくなりますが、

大真面目に

 

「お客様を元気にする主治医になりたい」

 

製造業で「主治医」という表現はなかなか

面白いと思います。

 

「田野井の強みは何か?」

 

これを突き止めたからこそ

こういう「主治医」という表現になったのだと思います・・・。




その4 事業承継のお手本


それとこの本は「中小企業の事業承継」には

大変参考になるお話ですね。

しかも創業100年にもなる老舗企業ですからね。

 

田野井優美氏が入社したのが2002年。

26歳の時。

それまでの経歴は、高卒後ヘリコプターの免許を

取るためにカナダに「遊学」。

そのまま語学学校に通い、バンクーバーで

優雅な留学をしていたらしいのですね。

 

まあ、さすが「老舗企業のお嬢様」ですね、

入社当時は

「親の金を使って海外で遊んできた道楽娘」

とみられていたらしいのですね。

きっと本当でしょう

(失礼!本の表現通りですから)

 

田野井優美氏が副社長になったのが

2009年。33歳の時。

まだ入社して7年ですからね。

 

「私自身の無知や経験不足、

『小娘のいうことなんか聞けるか』

という社員からの反発、

『経営を任せて大丈夫なのか』

という取引先や金融機関の不安」

 

これは正直なところでしょうね。

2008年のリーマンショックの直後です。

リーマンショックで売上8割減。

その後3年間は赤字続きだったという状況ですね。

 

「私はあわてて本屋に直行。中小企業経営に関する

指南書を何冊か買って読んだり、

いくつかの経営セミナーに通ったりもしました」

 

でもここで開き直るのですね。

「私がキチンと経営を勉強していたら

『自分には建て直せない』

と役員を引くけなかったでしょう。

幸か不幸か無知でした。」

 

でもここで最大の功績は

品川にあった東京本社を埼玉に移したこと。

 

当時賃料は月70万円あったそうです。

当然先代の父親は大反対。

それを押し切った手腕は素晴らしいですね。

 

あとこれも読み飛ばすところですが、

業績低迷時の株価が低い時に

100%所有に買い戻したそうです。

これは専門的なお話ですが、過去上場公開を見据えて

資本政策を進めていたのでしょうね。

 

2013年。37歳ながら代表取締役社長に就任。

この時父親はまだ65歳。まだまだ健康そのもの。

 

ただこの本よく読むとよく分かります。

実質的な事業承継は2020年の

先代の代表権の返上の時だったのでしょう。

 

 

2023年の創業100周年に向け、

一気に加速していきます・・・。

 



その5 ぜひ工場見学を!


冒頭「100周年記念のためのブランディングの本」

と申し上げましたが、表現が良くないですね。

実質社長になって3年あまり、

今まで自由にできなかった改革を

思い切って実行しているのでしょう。

 

よくコンサルタントがいうネタがふんだんに

入っていますから、

「TANOIがこうなってほしい」

「TANAIがこう進んでほしい」

そんなコンサルタントが指導することを

まとめているような気もします。

 

経営者本を取り上げ続けて10年以上。

主だったコンサルタントの本は読んでいますからね。

 

「工場改革は5S活動から始まった」

 

「5S」などはどの経営改革の本にも

出ていますからね。

 

「整理・整頓・清潔」

 

これを基本としたそうですが、

築40年、50年の工場ですからね。

これはせざるを得ないでしょう。

 

「ビフォーアフターシート」

「業務改善は『1秒1円』でお金に換算」

「中小でもデータドリブン経営」

「毎年発行している経営方針書」

 

これもコンサルタントが言いそうなことですね。

「社長と飲みニュケ―ション」

なんて私が大好きなネタ。

これこそ稲盛経営学そのものですからね・・・。

 

特に採用のところは、たいへん申し訳ないですが

いかにも採用専門の広告会社が書いたような記述。

 

「オフイスは残業ゼロ」

「表彰制度の活用」

「有給取得率は71%を達成」

「サンクスカード」

「春のバーベキュー」

 

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一度工場見学してみたいですね。

どんな素晴らしい工場なのでしょうか。

HPにもでていましたが、

どんな方でも見学は可能のようです。

 

しかも田野井社長の講演会付。

これで1万5000円は安いと思いませんか。

 

 

コンサルタントの意見を取り入れながら

必死にこの老舗企業のかじ取りをされる

田野井社長にぜひお目にかかりたいと

思いますね。

 

最後に「ここは絶対コンサルタントは書くはずがない」記述。

 

「新規事業はスナック経営」

 

いいですね。

最後に社長の人柄が出ますね。

どこか「銀座のママ」の雰囲気ですからね(失礼!)

 

どこでやるのでしょうか?

白河市?

せめて春日部あたりでしょうか?

 

こんな中小企業の成長のやり方があるのかと

大変勉強になりました。

ありがとうございました。

 

(ガンバレ! 100年企業シリーズ おしまい)









 

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