その1 コロナで最も脚光を浴びた台湾の英雄



オードリータン



2020年は何といっても「コロナの年」でしたね。

この一生涯忘れられない年で、もっとも世界中から脚光を浴び注目された

人物と言っていいでしょう。

 

台湾のオードリー・タン氏ですね。

世界中で猛威を振るっているコロナなのですが、

現在でも台湾での死者数は10人にも満たないのです。

感染者も700人足らず。ほとんどが治癒しているそうですから

驚きです。

台湾におけるコロナを完全に封じ込めた英雄です。

 

1981年4月18日生まれですから、まだ39歳なのですね。

4年前の2016年10月に、蔡英文政権において、

わずか35歳の若さで入閣し、無任所官僚の政務委員(デジタル担当)を

務めたのです。

 

世界中から「台湾はなぜ封じ込めたのか?どうしてできたの?」

と不思議がられているのは間違いないのですね。

それで、その立役者であるオードリー・タン氏が書き下ろした本です。

 

これは本当にお勧めしますね。

誰よりも読んでほしいのは、日本の政治家ですね。

 

これほどまでに日本は遅れているのか・・・。

反省とともに何度も読み返してほしいくらいです!?

 

先に書いておきますが、オードリー・タン氏は

「トランスジェンダー」

ということがまず注目されてきました。

この方写真でお分かりになるでしょうか。

もともと男性だったのが、女性への性別移行をされた方なのですね。

「トランスジェンダー」という言葉自体もまだ日本には

まだまだなじまない言葉ですからね。

しかし、トランスジェンダーの人物が世界で初めて

官僚に任命されたのだそうです。

 

それだけでなく、14歳の時に中学を中退して、その後19歳で

シリコンバレーでソフトウエア会社を起業した経験もあるのです。

日本では中学中退の方を官僚にした実績は絶対ないでしょうし、

ちょっと考えられないかもしれませんね。

 

何といっても、台湾の懐の深さを感じますね。

35歳ながら、無任所官僚の政務委員(デジタル担当)に

抜擢した蔡英文政権は、申し訳ないですが日本の某政権とは

まったく違いますね・・・・。

 

「無任所官僚」?と聞いてまず驚きますからね。

20201223-092600

 

この図を見た方が分かりやすいでしょう。

台湾の行政院には、さまざまな部、委員会があるのです。

 

マスク対策一つとっても、「経済部」、「衛生福利部」という二つの部と

少なくとも六つの局がかかわっているのだそうです。

 

こうした部会間を横断する問題を、デジタル技術を使って

クリアにしていく役割がデジタル担当政務委員だったのです・・・。

 

「縦割り行政の打破」とオウム返しに言っている某政治家もいますが

まず反省とともに、やはり1000回は読み返してほしいですね・・・!?

 



その2 デジタル担当の政務委員とは?


オードリータン氏がデジタル担当の政務委員というのは、

日本でいう「デジタル庁の長官」なのかと思いますよね。

 

でも、この本を読んでその誤解が解けましたね。

「私がそのトップに就いたのではありません。」

 

ハッキリ書いてありました。

 

図のように32の部会があり、それぞれのトップがいるのです。

一つの部会では解決できない問題がたくさん出てくるのですね。

まさに「マスク問題」なんかもそうでしたね。

 

「そういう時には、部会間の異なる価値観を調整する人間が

必要になるのです。複数の部会を横断的に見て、その間に橋をかけ、

共通の価値観を見つけ出す」のが政務委員の仕事」

なのだそうです。

 

これこそ、本当の意味での「縦割り行政の打破」ですね。

日本の将来の政治の在り方に、非常に参考になるのではないでしょうか。

 

デジタル担当の政務委員にオードリー・タン氏が

なぜ35歳の若さながらなったのかの「裏話」にも驚きました。

 

もともとは「候補者を推薦してほしい」という依頼だったのだそうです。

ところが、誰もいなかったので、結局本人に就任要請が来たのです。

 

それに対して、彼女が出した就任する条件は3つ

 

1.行政院に限らず、他の場所でも仕事することを認める

2. 出席するすべての会議・イベント・メディア・納税者のやり取りは、

   録音や録画して公開する

3. 誰かに命じることも命じられることもなく、フラットな立場から

     アドバイスを行う

 

すごいですね。日本では考えられない要望ですね。

これに対して、当時の林全(りんぜん)行政院長から「問題ないでしょ」

の一言で入閣です。

 

この開かれた民主主義をたまらなくうらやましく思いませんか?

彼女のデジタル担当として進める「デジタル民主主義」とは、

 

「国民の意見が伝わりにくいとされる間接民主主義の弱点を、

インターネットなどの力により、誰もが政治参加しやすい環境に

変えていこうとすること」

 

なのです。

 

具体的に言うと、台湾のコロナ対策でもっとも効果があった

国民皆保険制度にあたる「全民保険制度」なのです。

有名なお話ですが、

「誰がマスクをいつ何枚買ったか」

をこの健康保険のデータですべて一元管理できたからこそ

マスク対策に効果があったのです。

 

日本の政治家に読んでもらいたいといった理由が

だんだん分かってきましたか・・・。

 



その3 台湾のすばらしい国民性


この本を読んで、台湾という国の「心の豊かさ」を痛烈に感じます。

まず、

「台湾には寛容とインクルージョン『包括』の精神」

があるのです。

 

オードリー・タン氏はトランスジェンダー、つまりマイノリティと

呼ばれることもある方なのです。それなのに

「マイノリティが多数派に対して具体的な提案を行えば、

 多数派は喜んで耳を傾ける」

という土壌があるというのです。

 

また、台湾には「鶏婆」(ジーボー)という言葉があるそうです。

これは「母親のようにおせっかいでうるさい」という意味で、

これも台湾における重要な価値観になっているそうです。

 

 

これら精神が土壌になっているからこそ、

デジタル社会を推し進めるにあたって

「一人も置き去りにしない社会改革を実現する」

という精神が生まれるのです。

 

「誰も置き去りにしないインクルージョン。」

素晴らしいと思いませんか。

 

台湾のテクノロジー政策においても、これらの重要な価値観が

ベースとなっているのです。

 

台湾と日本の共通点として、中小企業が多いことが言われます。

ただ日本と違っているこの価値観があるから、中小企業の取り組み方が

違うのです。

 

新しい概念、例えばAIのような新しいテクノロジーが

出てくると大企業でなく、真っ先に中小企業が飛びつくのだそうです。

 

その土壌としてうらやましく思ったのは、

「台湾にはAIスクールのようなものがあり、中小企業の経営者が

このような問題に取り組むことができる仕組み」

がすでにあるのだそうです。

日本では「IT音痴の経営者」は申し訳ないですが多いです。

そんな「IT音痴」ではきっと台湾ではビジネスができないのでしょうね。

 

 

つまり、デジタル・イノベーションが日本よりはるかに進んでいる

のですね。

でも重要なことは

「イノベーションとは、より弱い存在の人たちに優先して提供されるべきもの」

という考えです。

つまり、

「わずかな部分あるいは少人数のためのイノベーションによって、

弱者を犠牲にしてはならない」

 

そういう考えが徹底されているのです。

 

「台湾がなぜコロナを制圧したか」

根本的なところが分かってきましたか・・・・。




その4 どらえもんとのび太の関係


何だか訳の分からないコロナ禍の2020年でしたね。

もう仕事納めの日が来てしまいましたので

「オードリー・タン・シリーズ」もまとめましょう。

 

読みながら本当に感心しますが、実に素晴らしく優秀な方ですね。

「AIの未来を語る」にはふさわしい方だと本当に思います。

しかし、ところどころ難しすぎて何度も読み返してしまいました。

 

ただ申し訳ないですが、

「日本がAI後進国に本当になってしまった・・・」

と考えてしまうのは私だけでしょうか。

 

AIに対する考え方は、ぜひ学んでいただきたいところです。

 

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「AIと人間の関係は、ドラえもんとのび太のようなもの」

 

これ分かりますか?

「ドラえもん」は一つのAIと言えますね。

「ドラえもんの役割は、のび太くんがやりたくないような

ことをさせたり、のび太くんに何かを命令して実行させたりすることは

決してありません。

のび太くんを成長させるのが、ドラえもんの目的であるはずです。」

 

「無条件にドラえもんを信頼しているわけではないはずです。

むしろドラえもんにおんぶに抱っこでは、のび太くんにとって

社会との相互交流は難しいものになってしまいます。」

 

「なるほど!」と思いませんか。

ドラえもんをAIに置き換えたらよく分かるのではないでしょうか。

 

さらにデジタル担当として、もっといいことも言っています。

 

「AIは人工知能『Artificial Intelligence』と呼ばれますが、

むしろ補助的知能『Assistive Intelligence』とらえた方が

よいのではないかと考えています。

AIは人間の選別に使われるようなものでは決してなく、

あくまでもソーシャル・イノベーションを進め、

人間社会をより良くするために使われるものでは

なくてはならないはずです。」

 

すばらしいですね。AIの考え方を学んでください。

 

あと台湾の世界における役割に驚きます。

 

 

「台湾シリコンバレー計画」は桃園(とうえん)を拠点として、

台湾全土を対象としているそうです。

グーグルのアジア最大の研究開発総本部は台湾にあることも

初めて知りました。

太平洋に埋没された光ファイバーケーブルが台湾に直結している

のです。ちなみに香港にはつながっていません。

 

シリコンバレーで起きた問題をアジアで解決することは

もう常時行われているというのです。

これも2021年のビジネスのヒントになりますね。

 

この本の最後の言葉に驚き感動するでしょう。

 

「こんな不正義が二度と起こらないために、私は社会に対して

何ができるだろうかと。

この問いを、怒りに対して抱き続けることで、怒りは建設的な

エネルギーとなります。

そうすれば、誰かを攻撃したり何かを非難したりせずに、

前向きな新しい未来の原型を作る道に止まることができます。」

 

こういうことを自由に発言できる方を政府の要職に置くことができる

台湾をたまらなくうらやましく思いませんか。

日本で起きている政治のことを、攻撃したり非難しても

何も変わらないのです。

それを建設的なエネルギーに替えることで

新しい日本が見えてくるのでしょうね。

 

未来の指導者オードリー・タン氏にいろいろと

教わりましたね。

 

2021年のコロナ後の新しい道筋が見えてきましたか。

 

来年こそはいい年になってほしいですね。

来年ももっともっと頑張りますよ!

 

では皆様よい年を。













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