その1  超お勧めの脱サラ起業物語


読書の秋!猛暑の秋!?ですね。
寝苦しい夜には読書が一番。
また私の好きなコテコテの脱サラ起業物語を見つけました。


日本一の変人経営者.jpg


CoCo壱番屋というカレーショップご存知でしょうか。
私が税理士になる前の修行時代、新宿駅前のこの店に良く行きました。
ほんとうに美味しいカレー屋さんです。


ただあの頃は薄給だったので、何も入っていない一番安いカレーばかり
食べていました。
「税理士になったら、全種類トッピングして・・」
という夢があったのを思い出しました・・・。


題名のとおり、日本一の変人経営者です。(失礼!)
25歳で起業し、その28年後の53歳の若さでなんと引退して
しまうのです。
見事な決断ですね。


この方の生き方すべてが参考になるかどうか分かりませんが、
これから独立企業される方には、間違いなく有益な情報でしょう。
またFC(フランチャイズチェーン)の成功物語として
これからFCに加盟しようとしている方にも
参考になるお話ばかりです。

名古屋で素人が始めたカレー屋をチェーン展開し、
なんと全国で1000店舗にまで拡大させたパワーは
ものすごいものがあります。



まず企業理念からご紹介。

「ニコ、キビ、ハキ」

ニコニコ いつも笑顔でお客様に接します。
キビキビ いつも機敏な動作でお客様に接します。
ハキハキ いつもさわやかな態度でお客様に接します。


これを全従業員に徹底させます。
そのためにどうしているのか?
先週ご紹介した、「松下幸之助理論」ですね。
意識を変えるには頭からでなく、行動から変えるのでしたね。


毎朝全員でこれを唱和するそうです。
これはすぐ真似できそうですね。
全国で1000店舗にしよう!と考えている起業家の方は
ぜひ毎朝やってください!


「私はいつも笑顔を絶やしません。
笑顔は感謝!笑顔は意欲!笑顔は協調!
今日も一日よろしくお願いいたします!」




その2  ココが一番!


宗次社長は、24歳のときに脱サラしてまず名古屋で
喫茶店を始めます。
しかし、それまでの社長の経歴にすさまじいものがあります。
まさに個人情報なのですが、これは社長も語っているように
全国で「講演会ネタ」らしいので、少しご紹介しておきましょうか。
本当にこれだけで感動してしまいます。


宗次社長は昭和23年(1948年)生まれ。
ねずみ年で私とひと回り違うのですね。
ただ、生い立ち不詳の天涯孤独で
児童養護施設で3歳の時に養父母に引き取られます。
ただ不幸なことに、養父は競輪キチガイで
一家は破綻状態。その養父も高校1年のときガンで
亡くしてしまいます。
貧乏のどん底で15歳になるまで「電気のある暮らし」を
経験をしたことがなかったそうです。


そんな生い立ちから、学校を出ると猛烈に働きます。
不動産会社に勤め、すぐさま頭角を現したのですが、
24歳で脱サラしてしまうのですね。


やはりそこらへんの「脱サラリーマン」とは
もともとの根性が違うみたいです・・・。


ところで名古屋の喫茶店とは、「モーニングサービス」が有名ですね。
喫茶店でモーニングを注文すると、トーストどころか
きしめん?など3、4品つけるそうです。
でも当時からそんなサービスは一切しなかった。
これは一つの経営哲学だと感じます。


当時はコヒー一杯150円くらいの高級志向の喫茶店が
流行りだした時代です。
メニューを工夫したり、自分のカップをボトルキープするのような、
「マイカップサービス」を考えたり、とにかく接客術とアイデアで勝負して
大繁盛店にします。
しかも2店舗まで拡大させました。


ただ普通ならここで満足して、喫茶店のオーナーで
終わっていたのでしょうね。


でもこの方のベンチャースピリッツがすごいのですね。
3店目はカレー専門店でやろうと考えた。
でもこの時点では、申し訳ないですがカレーに関しては
まったくの素人なのですね。


それもうぬぼれて、「自分のカレーが一番おいしい」と思ってしまった。


だからお店の名前が、
「ここがいちばんや」
それが
「CoCo壱番屋」!!
なんだか、売れない漫才師のオチみたいですね・・。


つまり、「うぬぼれ」がきっかけで、
(失礼ながらそう私は感じるのです)
1000店もの巨大FCが誕生してしまったのですね・・・。






その3  CoCo壱番が発展した理由


ところでCoCo壱番屋のカレーを食べたことは
ありますか。
最初に書きましたように、今から十数年前に
よく何も入ってない「ポークカレー」を食べました。


先日、青山通りを歩いていたら、CoCo壱番屋を見つけたので
思わず入ってしまいました。


Photo_81

 


あの頃よく食べたポークカレーが450円でした。
昔は「トッピングをしてご飯を増量して」食べたかったので
思い切って、カツをつけてご飯増量してみました。
食べると、本当にあの頃の味のままでした。
確かに美味しかったけど、今この飽食の時代の中にあって
飛び切り美味しいグルメ・カレーという訳ではありません。


しかも、トッピングして増量すると、なんと1000円です。
カレーに1000円は決して安くはないのですね。
しかも、皆サラダとかサイドメニューもつけています。
そうなると1000円以上はしているのですね。
青山通りでカレー食べたのだからと思えば安いのでしょうか・・・。


でもこの本を読んで、これがCoCo壱番屋の戦略だと
気がつきました。
社長いわく、

「ライスの量やカレーのルゥの辛さをお好みで選ぶことができ、
さまざまなトッピングができるミックスメニューが豊富なこと」

これが最大の成功理由であるといっています。
それまでのカレーショップではなかったことなのですね。


何となく、カレーを注文して仮に800円としても
「カレーライスが800円か?」
そう思う人も多いでしょう。
それが、ウインナーをトッピングしてご飯を増量して・・・
と自分が注文して800円ならそれは納得して払うことが出来る。


この仕組みを発見した宗次社長が偉かった訳で
これが大ヒットして巨大FCになったのです・・・。


またCoCo壱番屋で、本当に「ニコキビハキ」なのか
それともう一つ確かめたいことがありました。
本に書いてあったのですが、お客さんから
「お水ください。」
と言われたら負けだ。
とありました。
接客業たるもの、お客さんの顔を見て判断しなければならない。
辛いカレーを食べたらなおさらお水が飲みたくなりますしね。
「これがCoCo壱番屋の経営哲学か・・・」


席に着くと私はいきなりコップの水を飲み干して確かめました。
でも店員は何も反応しません。


残念ながら、テーブルに「ウオーターポット」が置いてあったのです。
これはちょっとガッカリしました・・・。






その4  現場第一主義


ここでカレーライスのウンチクを少し。
私が生まれた1960年(昭和35年)にハウス食品から
カレールゥによる「ハウス印度カレー」が発売されました。
昔はカレー粉から作られたようですが、カレールゥが浸透してきたのは
この頃からです。


その後1963年(昭和38年)に「ハウスバーモンドカレー」など
のヒット商品も出ましたね。
世界初のレトルトカレー「ボンカレー」が発売されたのは
1968年(昭和43年)です。


ですから、私の世代は、まさに「カレーライス世代」なのです
もちろん私はカレーライスが少年時代から現在に至るまで大好物です。



さてCoCo壱番屋が誕生したのは1978年(昭和53年)です。
カレーという庶民的で家庭的な料理を、一大ビジネスに
仕立て上げたのですから、時代の流れに乗ったのかもしれません。


でも言えることはこの宗次社長の努力は
並大抵なものではなかったようです。


毎日朝4時には起き、5時前に店に立ちます。
平均睡眠時間は3、4時間。それを30年間続けたそうです。


「創業経営者は現場第一主義で率先垂範で示せ」


これが彼の経営哲学です。
ただ店舗に行ってチェックするのではなく、
スタッフと同じ制服を着て、調理から洗い物、接客掃除などを
一緒にこなしながら、さまざまなアドバイスや注意をすること・・・。


これは見事ですね。
店舗回りで気をつけることは、「掃除」です。
ここにもいました!これも松下幸之助理論と同じですね。
車のトランクには常に、マイほうきやマイちりとりが入っていて
すぐ掃除を始めるそうです。


しかしこの社長は本当にすごいです。
平成8年に「1日も休まないで5500時間働こう」という目標を
掲げ、5637時間本当に働いたそうです。
365日で割ると一日になんと15時間以上・・・!


「社長なのだから飲みに行ったりカラオケなんか行かないのか?」
そう疑問にも思いますよね。
事実、現役の社長でいる間は、全くそんなことに興味なく
「ひとりの友人も作らなかった」
そうです。


これには参りました。
「日本一の変人経営者」の意味がお分かりになりましたか?
でも間違いなく、
「日本一働いた経営者」です!






その5  小成功病にかかってはいけない


宗次社長のことをいくら題名に上がっているとはいえ
やはり「変人」と申し上げたら大変失礼ですね。
これは独立起業、そして成長企業になるため
大変参考になるお話だと思うから取り上げているのです。


税理士として大変意外だったのは
この「CoCo壱番屋」が法人化されたのは
開業から5年目を向かえた1982年(昭和57年)でした。
その当時で売上が3億円もあったそうですから
まさに急成長です。
30年も前の3億円ですから、たいへんな売上です。
会社の顧問税理士なら節税策として、もっと前に法人化を
勧めていたはずです。


ただ、これは私の想像ですが、この社長は、節税とか金儲けに
まったく興味ないようです。
そんな気がします。
どこの社長でもそこそそ会社の基礎ができれば、
楽しいことに興味を持ちます。
でもこの社長は、そんなことにまったく興味がなかった。


少しでも金の余裕があったら、自分が楽しむよりも、
仕事に使おうと考えたのではないでしょうか。
さらには、先日申し上げたように「友達さえ作らなかった」!


これが「成功の秘訣」と驚かれるでしょうか。



この成功の秘訣も、先日取り上げた「続・志のみ持参」にも
書いてあったお話なのです。
これもご紹介しておきましょう。


上甲氏いわく、
「小成功病にかからないのが成功の秘訣」ということだそうです。
これはその本の受け売りですが


吉本興業にはタレントが600人所属していて、
そのうち1億円以上稼ぐタレントは10人しかいないそうです。
実際はそのうち半分の300人は100万も稼がないタレントです。
そういうタレントは必死になって頑張りますね。でもそこから
年収で1200万円から1500万円、「そこそこ稼ぐタレント」になると
この「小成功病」に必ずかかるそうです。
この症状は、そこそこ売れてくると、必ず「天狗になり」、


「サングラスをかけるようになり」、さらに
「ゴルフなどの遊びに夢中になり」、要するに
「本業に身が入らなくなる」そうです。
そうなるとそれ以上収入が増えるどころか、「タレント生命が終わる」
そうです。


なぜタレント生命が終わるか分かりますね。
「あの野郎。ちょっと売れてくるといい気になりやがって・・・」
と必ず足を引っ張られるからです。


これは参考になりましたね。


宗次社長のように、成功しても「友達をつくらない」というのは
極端かもしれませんが、「天狗にならない」ことは絶対必要なのでしょうね。


会社で少し利益が出てくると、車買ったり、
ゴルフ始めたりする社長いますよね。(もちろん誰とはいいません)


これを「小成功病」というのです。
大変厳しいお話ですが、税理士としてこの部分は
心して感じいった次第です・・・。





その6  やはり日本一の経営者


あと参考になるお話を二つご紹介しましょう。


まずCoCo壱番屋が巨大FCとなった仕組みです。
まだ創業して間もない1981年(昭和56年)に
早くも新しいのれん分け制度を確立しました。


それは「ブルーシステム」と呼ばれる社員独立制度です。
今ではそれを真似するFCも多いらしいですが、それを考案したのが
宗次社長でした。
しかも、社員が独立するための資格を、勤続2年以上、
店長として3ヶ月以上の経験を必要としたのです。
一方でそれによって一般加盟店の募集はしなくなりました。



仕事柄、コンビニやおそばのチェーン店を見ていますが、
FCでこういうシステムがあるほうが、独立開業後大変有益でしょうね。
脱サラしていきなりFCに加盟しても、正直難しいものがありますから。


社員として「ニコキビハキ」など宗次イズムを徹底的に
叩き込まれてから独立するのは、FC店として成功するには
やはり必要でしょうね。


だからどこのお店も失敗せず、店舗が拡大していったのです。
なお、本部への支払うロイヤリティがないというのは
FCシステムとして優れた点だと思いましたね。
(どこのFCとはいえませんが、実際にはこのロイヤリティの支払が
結構大変なのですね・・・)



あともう一つ感動したというか、恐縮ですが思わず「変わった方だ」と
思ってしまった点です。
それは、CoCo壱番屋が2000年(平成12年)にジャスダック上場を
果たし、その後53歳のときの2002年(平成14年)に
なんと経営から引退してしまうのです。


この方には一人息子がいるそうですが、そんな事業承継など
まったく考えもせず、19歳でアルバイトで入社した浜島副社長に
バトンを引き継いだのです。
しかも、その後役員としてとどまらず、
「創業者特別顧問」という肩書きだけで
新社長に全権を委ねたのです。
社長いわく、
「日本一の事業承継の成功例」
でしょう。


本当にすごいお話ですね。
その後、1000店舗が達成したのは2004年(平成16年)
2005年(平成17年)に東証一部に上場します。


日本一の変人経営者かもしれませんが、
本当に「日本一の経営者」だと私は思います・・・。
どうでしょうか。
日本一の味をかみ締めに、一度CoCo壱番屋に行きたくなりましたか・・・。





その7  日本一のカレー好きになりました!


こんなすばらしい経営者の方を最後まで「変人扱いして」恐縮なので
このココイチバンシリーズの最終回で、見習うべき素晴らしいお話を二つ
ご紹介しましょう。


まず、税理士として最も感動したお話です。
1984年(昭和59年)急成長していたCoCo壱番屋に調査官8人による
特別調査が入りました。
1週間もかけて自宅まで調べられたそうですから、査察ではないにしろ
かなり大掛かりな税務調査ですね。
税務署も急成長しているからきっと何かあると疑ったのでしょうね。


ただこの社長はやはりただものではなかったのです。
「ガラス張りの経営経営体質が強い会社を作る」
こういう信念の持ち主だったのです。
お金の出し入れはガラス張りで、「公明正大」をモットーとしていました。


どんなに帳簿をひっくり返して粗探ししても何も出なかったそうです。
その後今まで3度の大掛かりな特別調査など受けても、
一度も修正申告をしたことがないそうです。
これは見事です。
しかも、実にいいことを言っています。


「税金のごまかしがないという事実は、日頃の経営姿勢の表れでもあり、
それは社員に対しても、お客様に対しても、銀行に対しても、
強固な信用につながっていく。
誰からも後ろ指をさされることのない信用の力は、強い経営の源泉になり、
必ずいい会社になっていく・・・。」


最後にまたよいお話。


CoCo壱番屋は開業3年目のまだまだ資金繰りが苦しい時代から
福祉施設への寄付を続けているそうです。


最近では「あしなが育英会」への寄付や地元福祉団体への寄付も
積極的にして、2005年(平成17年)からは経常利益の1%の金額を
チェリティに使うと内規で決めています。


「経営者なら慈善活動や寄付をするべき」
と講演会では声を大にして勧めていて


「余裕ができたら」と理由をを言って寄付しない人は
「一生寄付しない人だ」
と実に手厳しいです。


CoCo壱番屋のカレーを私は本当に好きになりましたね。


日本一の「変人」経営者バンザイ!



(美味しいCoCo壱番屋シリーズ おしまい)









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