その1 WBCで栗山ジャパンは優勝した理由



稲盛15



話題の書ですね。

WBC後から1週間あまり栗山監督はすっとテレビに

出ずっぱりでしたね。

いろいろインタビューされていました。

 

「ダルビッシュをなぜキャプテンに指名しなかったのですか?」

 

まさに栗山流の「リーダー論」が脚光を浴びていましたから。

もともと栗山監督は読書好きで有名ですね。

 

以前、結構研究していた「論語と算盤」が栗山氏の

愛読書であり、日ハム監督時代に、大谷選手にも

読むように「論語と算盤」を渡したのも有名なお話。

 

でもテレビを見ていて知ったのですが、

京セラの稲盛氏の熱心の信者だったのですね。

2019年に稲盛氏に会いに行かれたそうですね。

たまたま会えなかったことが「一生の後悔」と

テレビで発言されていましたね。

 

それくらい稲盛氏に傾倒されていたのでしょう。

 

名経営者と言われ残念ながら90歳で亡くなられたのが

昨年8月24日。

 実は私自身もかなりショックを受けていたのです。

私も栗山監督同様、一度はお目にかかりたかった。

確かに稲盛氏の著書は大方読んでいるつもりです。

 

このブログでも何ども書きましたが、

「盛和会にぜひ入会したかった。」

 

WBC前に著者の方から栗山監督に献本したところ、

毛筆の礼状とともに

「すでに読んだ」

事実も紹介されていましたね。

WBC優勝の陰に稲盛さんの教えがあったのか・・・。

素直に感動しました。

 

「いったい、どういうところだろう?」

 

誰もが知りたいですよね。

 

著者は大田嘉仁(よしひと)氏。

1954年生まれ。

元京セラ常務秘書室長。

稲盛さんが1932年生まれですから22歳も

違うのですが稲盛さんと同じ鹿児島出身。

しかも鹿児島市薬師町という同郷。

西田小学校という同じ小学校に通っていたというのですから

驚きですね。

「側近中の側近」

と呼ばれる方ですが同じ小学校に通っていた後輩なら

なおさら当然でしょう。

秘書として20年間勤め上げ

あのJALの再建のときにも京セラから連れて行った

2人のうちの一人です。

どれだけ信頼を置いていたか分かるでしょうか。

 

その稲盛さんの教えをノートに綴り続け、

そのノートは50冊を超えるらしいです。

 

そのノートから生まれたのがこの本。

稲盛さんからこの世で一番近いところで

稲経営学の教えを直接請うた方が書かれた本です。

まさに

「稲盛経営学の神髄」

かもしれません。

WBC優勝の秘密をご一緒に見ていきましょう。




その2 謙虚さは魔除け


「なぜ俺に、七味唐辛子を渡さないんだ!」

 

この言葉からこの本が始まります。

「七味唐辛子?」

 

自称「稲盛教の熱心な信者」として、初めて聞く

お話なのですね。

 

申し上げた通り、稲盛さんの側近中の側近の方が

書かれた本です。

ノート50冊以上のメモがある方が、最初に紹介するネタが

七味唐辛子・・・。

 

よく読むと大田氏がなぜこの七味唐辛子ネタを

冒頭から解説する理由が分かります。

 

この発言の場面としては、

稲盛さんと秘書の大田氏が一緒に昼食のうどんを

すすっていた時ですね。

 

「なぜ俺に、七味唐辛子を渡さないんだ!」

 

怒られたのですね。

稲盛さんのこの発言の趣旨としては

 

「大田は、相手を思いやる気持ちがないから、

七味唐辛子一つ渡せないんだ」

 

ここで大田氏は気づくのですね。

 

「相手を思いやる気持ちがないのは、

自分のことしか考えていないからだ。

そして相手を思いやる気持ちがないのは

謙虚さがないからだ。」

 

 

稲盛さんの秘書となって数年経った頃のお話だそうです。

 

「謙虚さがない」

 

ことに稲盛さんは気が付いたのだと思います。

七味唐辛子のことでハッキリ言ったのです。

 

もう一つ稲盛さんは大田氏に言っています。

 

「謙虚さは魔除け」

 

ここは、結構考えさせられましたね。

 

「謙虚さが本当に大事なんだ。

少しくらい仕事がうまくいっても、

決して自分の成果だと思ってはいけない。

つねに周囲の人に気を配って、謙虚でいる。

結局、そういう人に、人は集まってくるんだ」

 

さらに

「自信過剰で自分のことしか考えていない人間に

うまい話が来たらどうなる?

そういう儲け話に乗ってしまって、結局はみんな失敗し、

すべてを失ってしまうのだ。」

 

納得しますね。

 

「謙虚さは魔除け」

 

本当に「明日からすぐ役立ち」ますね。

お分かりでしょうか・・・。



その3 稲盛経営学の入門書


この本は冒頭、

「現場で仕事をしている働く盛りの人に向けて書いた」

とあります。

だからでしょうか。

実に分かりやすい。

15個のストーリーを噛みしめながら読むと

スッと頭に入ります。

実は、稲盛経営学は「京セラフィロソフィ」を

何度も読み返したものとしては

時に難しいところもあります。

でもこの本はある意味「入門書」のような感じです。

稲盛さんの人生観、仕事観は当然経営者目線です。

それが部下である大田氏の目線で語られているから

かもしれません。

でも、入門も上級もないですね。真理は一つですから。

 

 

「成功も試練です」

 

この言葉をぜひ噛みしめてください。

普通「失敗した時」が試練ですよね。

苦難を伴って

「何とかしよう」

と思うから試練なのですね。

これも稲盛さんの人生観なのでしょうね。

 

「成功したのは自分の努力の結果だと驕りが出てしまう」

「いつの間にか、謙虚さを失い、感謝の気持ちをなくし、

自分の能力を過信し、努力もしなくなる」

 

だから

 

「神様は成功という試練を与え、

その人物を試している」

なるほどと思いませんか?

 

何を神様は見ているかハッキリ書いてあります。

「謙虚さを失い、奢り高ぶるような人なのか」

「会社の気持ちを忘れずに、さらに努力を重ねようと

する人物なのか」

 

きっと栗山監督は、大谷選手にこのことを教えてたのでは

と思いませんか。

大谷選手は誰が見ても大成功だと思いますよね。

お金を手にして楽しいことはたくさんあります。

奢り高ぶってもおかしくないですからね・・・。

 

 

大田氏が名経営者稲盛和夫さんとの秘話が出ています。

ある新聞記者が

 

「稲盛会長は、京セラも、KDDIも大成功させています。

その成功の秘訣な何ですか?」

 

こう聞かれたのですね。

 

「成功?いや、私は自分がまだ成功したと思っていません」

  

「私が目指すところは、はるかに高く、

まだ道半ばなのです。

これからも同じように努力を続けなければ

ならないと思っています」

 

これこそが、成功を続ける秘訣であり、

稲盛さんの生き方なのですね。

 

大谷選手も必ずこの言葉を言うと思います・・・。




その4 過去を否定してはダメ

 

「過去を否定しては、ダメなんだ。

それでは誰もついてこない」

 

この言葉はまさにリーダー論なのでしょうね。

 

ビジネスでは

「新しい職場で、新任のリーダーは、組織を

より良くしようとするあまり、ついつい過去の

問題点を列挙してしまうものだ。

ただ、それでは前任者の過去を否定しまうことになる。

他人の過去は否定してはならないんだ。

そんなことをしていては、新しい職場の人は

誰もついてこない」

 

この言葉を噛みしめた方がいるのですね。

冒頭で申し上げた栗山監督ですね。

 

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WBCの全5回の成績ですね。

第1回と第2回の優勝はまず当然でしょうね。

出場国数は16か国しなないし、最強国のアメリカが

本気で選手を送り込んでいませんからね。

 

 

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でも今回のWBCの戦前から繰り返しでていた映像。

第2回の韓国との優勝決定戦。

ダルビッシュが

「キレキレのスライダー」で

三振で優勝でしたね。

 

その前のイチロー選手の決勝タイムリーヒットは

誰でも覚えているシーンです。

 

第3回と第4回はベスト4どまりでしたね。

 

監督は小久保監督と稲葉監督。

この本を熟読したという栗山監督は、

「なぜベスト4までだったかの?」

などという「犯人捜し」は絶対にやらなかったでしょうね。

 

「それでは前任者(小久保監督と稲葉監督)の過去を

否定しまうことになる。

他人の過去は否定してはならないんだ。

そんなことをしていては、新しいWBCの選手は

誰もついてこない」

 

でも逆に第2回で大活躍したダルビッシュを

あえてキャプテンにはしなかった・・。

理由はもう分かりますね。

前回学びましたね。

 

 

「優勝したのは自分の努力の結果だと驕りが出てしまう」

「いつの間にか、謙虚さを失い、感謝の気持ちをなくし、

自分の能力を過信し、努力もしなくなる」

 

これこそリーダー論。




その5 松井秀喜が一番練習した時は?



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もう一つ栗山監督が、絶対何度も読み返したところ。

 

稲盛さんが松井秀喜選手と対談した時のお話。

JALの機内誌「SKYWARD」での記事なのですが

この著者の大田氏が企画したものだったそうです。

 

松井秀喜選手も稲盛さんの書籍をよく読んでいて、

「稲盛さんの人生、仕事に対する姿勢に感銘を

受けている」

というのを大田氏が知ったから、この対談が実現したのですね。

 

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この対談のことは今でも京セラのHPにアップされています。こちら

2012年3月27日。

 

その対談で稲盛さんは聞かれます。

 

「松井さんが打撃の練習に一番打ちこんだのは、

どんなときですか?」

 

どう答えたでしょうか。

誰もが

「スランプな時」だと思いますよね。

答えは違いました。

「打撃が好調な時ですね。

好調な時は怖くて、とくに練習に打ち込みました。」

 

驚きますね。

 

でもその次の言葉で納得します。

 

「打撃が好調の時は、ホームランやヒットが

自然に打てるものです。

ファンの方も喜んでくれますし、

マスコミもほめてくれます。

ただ好調な時はそう長くは続きませんから、

明日からはホームランやヒットが打てなくなるかもしれないと

思うと、心配で心配で怖くなるんです。」

 

ここで大田氏は二つ驚くのですね。

「あれだけの実力のある方が、自分の実力を

謙虚に受けとめている」

ということと、

 

「松井選手と稲盛さんの仕事哲学の共通性」

です。

「一流の仕事哲学があるからこそ、一流の仕事も

可能になる」のですね。

 

ここでぜひ、二人に共通する一流の仕事哲学を学んでください。

 

松井選手は、

「好調な時こそ、怖がる方がいい」

という考えですね。

稲盛さんも一緒です。

 

有名な経営哲学。

 

「楽観的に構想し、悲観的に計画し、

楽観的に行動する」

 

稲盛さんも仕事をする上で「怖がりでなければ」ならないと

常に言っています。

 

「怖がりだからこそ事前にしっかり準備をしている」

のです。

 

ただ重要なことも書いてありました。

「『怖がり』と『臆病』と混同してはならない」

 

「怖がり」は積極的な姿勢であり、

「臆病」は消極的な姿勢です。

「怖がり」だからこそ前に勧める・・・。

 

松井選手と稲盛さんの共通点。

お分かりになりますでしょうか。

 




その6 リーダーは怖いそぶりをみせてはいけない



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(WBC準決勝メキシコ戦)

 

「一流の経営者は積極的な怖がりでなければならない」

 

お分かりになりましたか?

でもここで非常に大事なことも

触れておかないといけないのですね。

 

たぶんここも栗山監督は300回くらい?

読み返したはずです。

 

「リーダーは怖くても怖いそぶりを

見せてはならない」

 

WBC後に、栗山監督がテレビで言っていましたね。

 

「日本中で注目されているのですから、

試合の前の日は、あれこれ考えて寝れませんでした」

 「最悪の事態を想定し、怖がり、万全の準備を

する必要があるのです」から。

 

ただ本当に怖かったと思います。

 

「負けたらどうしよう?」

 

そう思っても当然でしょうから。

 

でも一たび試合が始まれば、

弱気の顔はリーダーとしては不適格なのですね。

 

たぶん栗山監督が何度も読み返したであろう箇所

 

「優れた格闘家は怖くなっても、ひとたび試合が始まれば、

そのような様子はみじんも見せない。

たとえ強いパンチを浴びても、

何事もなかったように格闘を続ける」

 

WBCの準決勝日本対メキシコ戦を覚えていますか?

たぶん私の生涯見た野球のなかでベストゲームでしょう。

 

先発の佐々木朗希選手が4回にスリーランを

打たれましたね。

 

ここで栗山監督は悔しい顔もまったく見せずに

何事もなかったようなそぶりでしたね。

内心は

 

「先制された!どうしよう?」

 

目の前のバケツでもけりたかったのでしょうね・・・。

 

でもそれをぐっとこらえたのです。

リーダーとしの心得ですね。

 

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それが7回の吉田選手の同点スリーランをよび、

そして最後は村上選手の逆転サヨナラにつながったのでしょう。

 

一方で稲盛さんはJALを再生したことで有名ですね。

誰もが失敗すると思ったプロジェクトです。

「稲盛さんは不安で不安で仕方なかったはず」

と一番近くで見ていた大田氏は暴露しています。

 

でも

「不安感は一度たりとも顔を出すことはなかった」

そうです。逆に

 

「JALの再建は必ず成功する」

と常に話していたのです。

 

栗山監督も同じです。どのような状況下でも

「日本は必ず優勝する」

という顔をしていたのでしょう・・・。




その7 部下をかばうのが上司の役目?



野球ネタばかりなので、

もう少しサラリーマンに役に立つ箇所を。

 

稲盛さんが大田氏に

「大田、お前、部下をかばうのが、上司の役割だと

勘違いしていないか?」

 

こう叱責されたことがあるのですね。

これ読んでハッとしました。

私もサラリーマン生活はたった8年しかなかった

のですが、その中で尊敬していた上司が、

常々、

「部下の泥をかぶるのが上司の仕事」

よく言っていたからですね。

 

その上司は、最後に本当に部下の失敗の責任を取らされて

左遷させられてしまったのですね。

「実に、カッコイイ!」

そう思っていたのです。

残念ながらたくさんの部下を持つほど

偉くはならずに脱サラしてしまったので

それを実践はできなかったのですね。

 

「部下をかばうのが、理想の上司であり、

好かれる上司である。」

 

そう思う人も多いでしょうね。

「部下がミスをすれば、その責任はつまるところは

管理責任者の上司にあるわけですから、

部下のミスは上司のミスにほかならない。」

そうなりますからね。

 

でもそれは違うのだと稲盛さん。

 

「お前が部下をかばうから、部下が育たないんだ。

なぜ部下を厳しく注意しないんだ。」

 

稲盛さんはお見通しだったのですね。

「お前は人から嫌われたくないから、

部下を厳しく注意することもできないんだ」

 

図星だったと書かれています。

まさに「利己心」であったと。

 

「このミスはすべて私の責任です」

といったら、稲盛さんは

「いい上司になった」とほめてくれるかという利己心。

 

ミスした部下からは、

「大田さんは部下をかばってくれるいい上司だ」

とおもってくれるかもしれないという利己心。

 

「人から嫌われたくない人間では、部下を育てることも、

強い組織を作ることもできない」

 

ただ大事なところは、厳しく叱責するだけでもないのですね。

 

「何ごとも日々の人間関係が、大事なんだ」

「感謝の気持ちを持って話しているか、どうか」

「思いやりをもって話しているか、どうか」

 

ここは難しいところですね。人間関係に悩む上司は

300回くらい?読み返してください・・・。





その8 JAL再建の伝説の勉強会

 

この本は書きたいことがたくさんありすぎるのですね。

それだけ平易で分かりやすいから。

そうなると15の言葉を全部並べなければならないですね。

 

あとはじっくり噛みしめながら読んでください。

最後にJAL再建の有名な「伝説の勉強会」のお話。

 

大阪で経費節減の勉強会が行われていた時、

幹部社員が100万円単位の節減を発表した後、

伊丹空港のカウンター業務を担当している女性が、

「月々2000円のコスト削減ができています」

と発表したのですね。

 

それに対して稲盛さんは、

「大変な感銘を受けました。」

 

「あなたのように、一人ひとりの社員が、少しでも

会社を良くしようと、工夫を重ねる。

そういう努力が一番大事なのです。」

その意味で、あなたはすでに立派なリーダーだ」

 

「経営者や幹部がコスト削減に努めるのは、

マネジメントが仕事なのだから、

ある意味当然のことです。」

 

「ただあなたのように、お客様サービスを担当する

カウンター業務の社員が、経営者や幹部と同じような

気持ちになる。

そして知恵を出し、コスト削減に努めることは、

とても素晴らしいことです」

 

「一つひとつの金額は確かに小さいかもしれない。

しかし、JALの全社員が、あなたと同じような

気持ちになって知恵を出せば、その効果は絶大な

ものになる。

あなたの発表に込められているフィロソフィに

私は大変感銘を受けました」

 

 

素晴らしくよいお話ですね。

 

著者大田氏はアメリカの大学でMBAまで取った方です。

「経営者、経営幹部が経営戦略を立て、

現場の社員がその戦略に則って仕事する」

それをビジネススクールで教わったのです。

それがまったく間違っていたと知らされたのです。

 

稲盛さんが提唱する「全員参加型の経営」

これこそがJALを再建できた理由です。

もちろん、この箇所も栗山監督は何度も

読み返したでしょうね。

 

最後にこの言葉で終わります。

 

「いい経営者とは、現場の力を引き出せる経営者の

ことだ」

 

(ありがとう WBC優勝シリーズ おしまい)

 

 

 



 



 

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