その1  インターネットの驚愕の黎明期


またまた経営者本。読書の"夏"です・・・。


成功の92か条


今話題の本ですね。幻冬舎の戦略につられ、また思わず買ってしまいました。
別に私がプロ野球の楽天ファンという意味ではありません・・・。


やはり、インターネットの雄「楽天」がどこへ向かっていくのか。
また何故楽天がここ10年あまりで急速に伸びたのかその理由を
知りたかった訳です。


でも、あれだけ忙しそうな三木谷社長が、本当に本なんか書き上げている
暇があるかどうか?不思議に思いますよね。


これも、先日訪れた出版社の方に確かめたくらいです。
これは内緒というか、当たり前かもしれませんが、経営者本のほとんどが
「ゴーストライター」の方が書いているそうです。
ただ、当然勝手に想像で書いているはずもなく、やはりかなり綿密な
ヒヤリングや打ち合わせの上、出版しているそうですね。
だから、この本の8割、9割は三木谷さんの言葉と考えていいのでしょうね。

まず、この本は非常に読みやすいです。
ほとんどの単元が、3ページほどに細切れになっています。
見出しが多すぎるくらいなので、はっきり言って簡単に読めてしまいます。
まあ、それも出版社の戦略か・・・と思いつつも、やはりこの「三木谷語録」
非常に参考になります。


一単元ごとに何を言っているのか考えながら読むといいですね。
特にネット通販を考えている方にはバイブルかもしれませんね。
きっと役に立つと思いますので、少しご紹介していきましょう。


まず楽天のショッピングサイトは1997年5月にオープンしたのですね。
たかだか12年ほど前のことです。
そのときの最初の売上高いくらだったか想像がつきますか。
これは非常によいお話です。
私はこれから開業した人に対して、「何万回も」ネタとして
本当に言い続けるでしょうね。


先日も新聞報道されていましたが、いまやインターネット通販の売上高が
コンビニの売上高を抜いてしまっているそうです。
でもその12年前のインターネット通販「黎明期」はどうであったのか?


本当に驚愕する数字が出ています。


楽天のショッピングモールへの出店数わずか13店舗!
そして5月の売上高わずか14万円!!




その2  楽天だって最初は大変だった・・・


スタート時の楽天の出店数わずか13店舗!
そしてスタート月の売上高わずか14万円!!


これでめげなかった三木谷社長!それがすごいです。
「14万しか売れなかったのでなく、14万円も売れたのだ!」
その当時インターネットでは日本人はものを買わないと
思われていたそうです。


「1万円の商品が14個売れたのか?
100円の商品が1400個売れたのか?」
「お客様がなぜ楽天市場で買ってくれたのか?」
「なぜ買ってくれたか理由を探し出し、それを増やす努力をすれば
その14万円は何倍にも、何百倍にもなる・・・」


確かにそうですね。
なるほどと思いました。
その努力を繰り返すことによってそれから10年たって、
楽天の年間流通総額は1兆円!を越えたそうです。


出店数の増加についても相当努力されたたようです。
当時の出店料は月額5万円でした。
それも6ヶ月分の前払いシステム。
よく分からないインターネットのショッピングモールへの出店を
30万円も先払いで、出店する企業がどれくらいいたか。
事実一年たってもわずか100店だけだったそうです。
出店する側も毎月5万円回収できなければ
当然出店する意味がない・・・。


多分楽天ができて一番きつかった時期ではなかったでは
ないでしょうか。


そのあたり、あまり詳しくふれていませんが
たった6人の社員で日本全国を相手に必死の営業をしたそうです。
本当はそのあたりの努力も書いて欲しかったですね。


でも2年目は倍になり、3年目になると月100件ペースで
出店が増加したそうです。
結果的に今の出店数は2万8000件になったそうです。


この本はベンチャーの方、起業家の方に参考になります。
特に
「1兆円の売上は始めは14万円だった・・・」
これは本当に言い続けましょう。


読みながら、自分の開業当初の売上を思い出しました。
楽天が1997年5月開業なら、当吉田信康税理士事務所は
1996年3月です。ほとんど変わりませんね。
3月の売上は80万円!でした・・・。
(自分でも忘れられない数字です。詳しくはそのうち「夢をかなえるゼイ」で・・)
でも私のほうはそれからあっと言う間に
楽天に抜かれて!?しまったのですね・・・。


まるでパリーグの楽天の後塵を拝する名門「オリックス」のようですね。
(オリックスファンの皆様。変なたとえでスイマセン・・・)





その3  楽天が生き残った本当の理由


楽天のビジネスは、誰でも成功したと思うのでしょう。
だからこそ題名どおり「成功の法則」として出版した・・・。


でもその成功は、やはり紙一重だったと思うのです。
その本当の成功の理由をどうしても知りたいと思うのです。
だから開業時「・・・な苦労した」、「もう倒産するかもしれない・・・」
まあそんな弱音も吐かなかったと思うし、ましてや今更
そんな苦労話は彼には似合わないのでしょうか。


この三木谷さんはもちろん会ったこともないですが、
お顔から拝見するに、プライドがものすごく高そうな気がします。
(これは私の想像です。)


でもそのあたりの本音をどうしても聞いてみたいと思うのです。
何度もこの本を読み返しましたが、どうも本音の部分が書かれていない。
どうも朝礼で話しているような精神訓話的なお話が多い・・・。
誰しも成功しようと思って商売するのです。
その開業時の本音の部分を中小企業のため、
特にネットビジネスをやっていこうと思っている方々のために
もっと公開して欲しかったと思いますね。


「楽天を始めた時、他のインターネット・ショッピングモールは
ことごとく失敗していた・・・
それは、どのような機能を提供するものなのか。どのような優位性があり、
どういうマイナス面があるのか。それを徹底的に考え抜いたのだ・・・。」


確かにそうでしょうね。どんな方でも、どんな商売でも必死になって
考えます。それでメシを食うのですから・・・。
申し訳ないですが、勝てば官軍です・・。


でも、10年以上前のショッピングモール開設時に
「楽天市場の現在から未来までのあるべき姿が、高い山から
見下ろすように、手に取るように明瞭に見えた・・・。」


本当かな?と思ってしまうのです。
確かにインターネットの将来性で勝負していた人は、
その当時星の数ほどいました。
ネットバブルと称される一瞬のよい時代に
その恩恵に与かろうと皆必死の努力をしていました・・・。


その波に乗れた人と、乗れなかった人との差はなんだろうか?
そう思いながら何度も読み返してしまいました。


それともう1つの疑問。
ネットとテレビの融合のお話です。
以前ご紹介した「ウェブとバカは暇人のもの」で
「ネットはテレビを抜いていない。」
との結論に対して三木谷さんはどう思っているのか。


ずばり、「TBSの買収問題」をどう考えているのか?
それが一番興味があったのですが、若干肩透かしを食らってしまいましたね。
やはり活字にはできないお話なのですね。
本音の「成功の法則」なんて、まだまだ発展途上の彼には似合わないし
やはり本気で公開なんてしないのでしょうね・・・。




その4  楽天が発展した理由

三木谷さんはこれからの日本経済界を背負っていただくことになる
若手経営者のホープです。
批判ばかりしていないで、少しは「ヨイショ」もしておきましょう。


一連の経営者本をこのブログでご紹介しながら、
やはりインターネットビジネスの将来像を真面目に
考えていました。
もちろん、現在ネット関係に携わっている方だけでなく、
これかネット関係で起業開業しようとしている方にとっても
この本は重要なのです。
その点もう一度「反省をこめて」触れておきましょう。


楽天市場を始めた時、ショッピングの本質について
大真面目に考えたそうです。
「人がモノを買うのは、本質的にはそれが楽しいからだ」
これが、三木谷さんのたどり着いた結論です。


「だからこそ、毎日のように何万というユーザーが
ホームページをのぞき買い物をしてくれるのだ・・・。」


そうでしょうね。さらにその楽しさをよりアップするために
彼はどうしたか?


10数年前のネットの状態は
「どのショッピングモールのサイトを覗いても、魅力が
感じられなかった。更新頻度が低くて、情報が古い。
バレンタインデーが目前なのに、クリスマス用品を
並べているサイトがあった・・・。」


なるほど。と思いました。
前回「ウエブはバカと暇人のもの」の本でご紹介したとおり、
専門家でなければホームページを作ることが
できなかった時代です。
業者に依頼して、高額な更新料やサイト変更料を払わない限り
サイトのリニューアルはできない・・・。


だからその当時のショッピングモールは楽しくなく
魅力もなかった・・・。


そこに彼は気づいたのですね。
今なら当たり前のことかもしれませんが、
当時のネットビジネス界では
ノーベル賞!?ものだったのでしょう・・・。




その5  ロングテールを理解せよ


個々のショッピングモールが楽しくなるには、
それぞれの出店者が自分の店のホームページを作ることが
絶対条件だったのです。
それに彼は踏み込んだのですね。
つまり、パソコンに触れたことがない人でも、簡単にホームページができる
システムを開発したのです。
ホームページ作成業者の方には悪いですが、そこをクリアしないと
ショッピングモールそのものがなりたたなかったのでしょう。


それとこの本を読んで知ったことですが、楽天がショッピングモールを
やる前は、他のショッピングサイトはサイトの運営者自体が商品を
売っていたと言うのです。
いわゆる「委託販売」ですね。
しかも商品を作るのも、商品の発想も、顧客対応も、ショッピングモール側が
引き受けていたそうです。


「なるほどな」と思いました。
それではショッピングモールは成功する訳はないですね。


楽天市場は、それぞれの出店者に、自分のホームページを作り
商品の発送も、顧客対応もすべて任せた・・・。
当然ホームページの更新もリニューアルもすべて・・・。


それがインターネットの本質であると・・・。
ここでも「ウエブはバカ」でも聞いた、また次の言葉がいえますね。


「誰もインターネットのことが分かっていなかったから・・・」


ここでまた三木谷さんもこう言っています。
「ロングテールを理解せよ。」


ウエブ進化論を書いた梅田望夫が提唱する「ロングテール論」
これはネットビジネスをやる人にととっては定番の理論なのですね。
既存の小売店の常識を覆したという意味でこの理論は納得できます。
ここでアマゾンの例を説明するまでもなく、ネット販売は在庫がない以上
ロングテールで勝負ができるというのもお分かりでしょう。


このおかげで「楽天市場が10年でここまで成長した」
と言い切っています。
さらに
「既存のビジネスは、現実の社会がロングテール化しているのに
ショートテールのビジネスで対応してきたわけだ。それでは
対応しきれなくなったのが近年の不況の大きな理由」
とまで言っています。


おそるべし「ロングテール」!





その6  今後のネット通販の世界


「ネットはメディアになり、メディアはネット化する」

こう三木谷さんは言っています。
「マスコミという既存のメディアは、一対多の情報伝達手段に
よる既存の広告手法に依存している」から
「趣味の多様化の新しい世界観に対応できない。」


とも言っています。
ネット通販の世界ではそうかなとは思います。
ただ、まだまだ「ウェブはテレビを抜いていない」と
思うのです。
これは何度も出てきた「ウェブはバカ」でご説明したとおりです。


この点については、私自身でも1つの研究テーマですね。


例えば、ここ数日、台風や地震の大きな話題がありましたね。
誰もが現在の状況を知りたいがために、テレビをつけたと
思うのです。
インターネットで情報を得ようとした人もいたかもしれませんが
どれほどでしょうか。
速報性ではやはりかなわないと本当に思います。


「近い将来にメディアの中心はネットになろう」
そう三木谷さんは言い切っていますが、これはどこまで
本心かは分かりません。
やはり数年前の楽天とTBSとの統合問題の経緯から考えて
テレビというメディアとしての確立された存在は
もちろん十分意識しているのでしょうね。


これは本には書いていませんが
「テレビとネットの融合」
を当然彼は大真面目に考えているはずです。


台風や地震で日本全国の人が思ったはずです。
「何度も同じ災害場面を繰り返すより、
これから私の関係する地域はどうなのだ?」
もし、テレビからリンクしてネットで地域限定の災害の詳細情報が
即時でつかめたら本当に便利でしょうね。
ニュースで必要なところだけ検索できるような・・・。


これも今思いませんか?テレビが検索できて
「のりピー覚せい剤の話題はもう飽き飽きだ。
芸能ニュースがでないニュース番組を見たい・・・」






その7  日本経済を背負ってください

昨日申し上げた
「テレビとネットの融合」
これを最初に言い出したのは、あのホリエモンなのですね。
ご承知の通り、フジテレビを傘下に入れようとして失敗した。
楽天もTBSとの統合問題について、うまくいかなかった。


やはり保守的なテレビ業界が新興勢力であるネット業界と
手を取り合って行こうなどとは考えもしないのではないでしょうか。


テレビ業界はや特定のグループに独占化とまでいいませんが
寡占化されていますからね。
放送という1つの確立されたビジネスが
ネットという「新参者」に侵入はされたくないのでしょう。


中川淳一郎氏も「ウエブはバカと暇人のもの」
でもこの点が一番いいたかったのではないでしょうか。


「ここまでテレビがネットを敵視しているのはもったいない。
そろそろホリエモンが言っていたテレビとネットの融合を
真面目に考えてもいい時期ではないだろうか。」
(ウエブはバカと暇人のもの より)


本当にそういう時期なのでしょうね。
ここでいう「テレビとネットの融合」とは
「番組で紹介した商品をネットで買える」とか「投票できます」とか
言う程度のものではないそうです。
技術的には私は専門家ではないので分かりませんが
きっとこれはどこかで日夜研究されているのでしょう・・・。


多分三木谷さんは日々これを考えているはずです。
日本で一番初めにこれを成功させれば、また今後10年、20年は
日本経済に君臨していられるでしょう。


いろいろ書いてきましたが、やはり三木谷さんはそこには
触れていません。重大な企業秘密なのでしょうね。


最後に一番感動したお話を。
「楽天では月曜日の朝、社員全員で自分達の職場を
掃除するルール」があるそうです。


三木谷さん一流の組織論の集大成です。
さすが今後日本経済界を背負っていくお方です。(ヨイショ!)


(ガンバレ楽天シリーズおしまい)

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