その1 日経平均4万円になった今こそこの本!



わが投資



話題の書ですね。

3月1日に発売されて、連日の株価高騰。

日経平均が4万円越えを目の当たりにして

まさに「清原ご祝儀相場」!?

 

題名の通り、

市場はいったい誰に微笑むのか?

これが知りたくて皆購入しているようです。

 

ただ最初に申し上げますが、

日経平均が今後まだまだ上がるとか、

これから暴落するとまで書いておりません。

そのあたり、今流行っている

「投資初心者向けのNISAの始め方」

というたぐいの本とはまったく異なります。

 

でもこの伝説のファンドマネージャーの生きざまを

知ることができて結構感動しました。

 

この清原達郎氏。

1981年(昭和56年)あの東京大学を卒業後

なんと! 野村證券に勤務しているのですね。

会社の大先輩です。

当然名前は知っておりますが、

会ったことはありません。

 

まあ、私のような私立大学体育会系の野村マンと

東大卒のエリート(今は違うけど当時は完全にそうでした・・・)

とは違うのでしょう。

 

入社していきなり、海外投資顧問室。

「周りは皆英語ペラペラの人だった」

ようですが、それも当然でしょう。

スタンフォード大学でNBA取得。

当時のエリートは2年間の遊学ができたのですね。

その後ニューヨーク支店配属。

91年にゴールドマンサックス東京支店に転職です。

 

私のような84年入社の「ドメスティック営業部隊」

とは重なるところはまったくありません・・・。

 

しかし、バブル時にこういう海外留学組が

高額でヘッドハンティングされていたのですね。

やっかみで言う訳でもないですが、

野村證券も転職を促すような高額な制度留学を

実に「無駄に」やっていたと思っております・・・。

 

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投資顧問会社をいくつか経て、タワー投資顧問の部長に。

清原氏が一番有名になったお話。

2004年で長者番付で1位になったのですね・・・。

 

納税額が36億円!です。逆算すると

100億円の収入。

会社経営者でも大地主でもなく、「一介のサラリーマンで」

です・・・。

現在推定資産800億円!!

日本最高のサラリーマン!!



その2 野蛮だったころの野村證券


この本は40年前の野村證券のこと、特に

{40年前の野蛮だった頃の野村證券}

がなまめかしく書かれていて

結構懐かしく読みました。

 

清原氏が野村證券に入社した時代に経験したこと。

 

「野村證券の営業マンが、儲かる株を見つけて

顧客に買ってもらったら2年で3倍になった。

この営業マンは優秀なのでしょうか?」

 

答えは真逆なのですね。

こういう営業マンがいたら支店長に

ひどく叱責されたのです。

 

私も正直そんな経験があります。

「この株は間違いなく3倍になります!」

そういって買ってもらった客がいたとします。

翌月少し上がってきたら

「どうしてあの客を売らせて違う株を買わせないのだ!」

支店長から怒られる訳ですね。

「3倍になると言って買ってもらったので・・・」

また怒られます。

時には

「どうしてそれを売って投資信託にしないのだ!」

「あの方は株が好きで買ってもらった訳で・・・」

またまた怒られます・・・。

 

きっと清原氏もこの理不尽な営業姿勢に

疑問を持っていたみたいですね。

 

私から見たら海外のエリート営業マンかと

思っていたら、この記載

「海外では本社の『腐れ玉』をはめるのが仕事・・・」

これは個人的はショックでしたね。

 

それどころか

「顧客にどれだけ儲けさせた」

という自慢は一切しませんでした・・・。

まあ、当時のことを思い出しながら、

なぜ自分は投資顧問会社を立ち上げたのかという

「懺悔」をこめた理由なのでしょう・・・。

 

「まったく清原氏との接点はありませんでした。」

と書きましたがそうはいっても清原氏との接点が

どこかなかったのか探しました。

ありました!

彼は野村證券のニューヨーク支店で

転換社債を使った「ヘッジ取引」をやっていたのですね。

それがきっかけでヘッドハントされたのですから。

 

自慢ではないですが、当時私は

本社の転換社債部のディーラーでしたから。

この「ヘッジ取引」は結構勉強しました。

説明すると難しいのですが、

割安の転換社債を購入して株に転換するのですが、

その前にその株を空売り「ヘッジ」するのですね。

転換社債を株に転換するとほぼノーリスクで

儲かるのです。

 

書きながら思いますが、

私も当時多少英語がしゃべれたら

転換社債のヘッジ取引で

外資系の証券会社にヘッドハンティング

されて違う人生があったかもしれないですね・・・!?

(まあ絶対ないか・・・)




その3 お客が損して証券会社が儲かる?


元野村證券の社員として非常に面白い本ですが

私しか?たぶん感動しないことを

もう少しハッキリ書きましょうか・・・。

 

数年前に野村證券のトップセールスマンに

会ったそうです。そこで言われた言葉

 

「清原さん、営業の本質は『人間力』ですよ」

 

清原氏はこの意味がよく分からなかったそうです。

つまり、こういうことらしいのです。

 

「客が大損しても訴えられないしクレームにも

ならない。むしろ

『お前と付き合えてよかった』

と言ってもらえる。

これが人間力だ。」

 

40年前なら私も納得したのですが

今もそうなのでしょうか・・・。

 

40年前なら

支店長が大損している顧客を見つけて

担当セールスを呼びつけると、

(一応忠実に原文のまま書きますが)

「大丈夫ですよ。このババア完全にボケてますから。

ほら、私このババアのハンコ持って

いるんですよ。」

「頼もしいなあ。よくぞ言ってくれた!

期待しているぞ!」

 

何だか40年前とあまり変わっていない気も

するのは私だけでしょうか・・・。

 

「今の野村證券なら万が一大損しても

『人間力』のある立派な営業マンに

会えれば安らかな余生を過ごせるかも

しれません。」

 

申し訳ないですが完全な皮肉ですね・・・。

 

エピローグで清原氏の言葉。

これも個人的に感動しました。

 

「野村證券に入社し、『お客が損して証券会社が

儲かること』を疑問に思ってから40年が

経ちました。

今、ようやく『顧客が儲かって自分も儲かる』ことが

実現できたのです。

『これは私の誇りだ』と。」

 

野村證券が出版差し止め請求する前に

ぜひご購入ください・・・・!?




その4 K1ファンドの投資実績


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この本で一番読んでいただきたい図は

こちらですね。

清原氏の作ったファンドは「K1ファンド」

つまり「清原ファンド」というのですね。

 

1998年7月運用開始ですね。

奇しくも私の開業年ですね。

また私と「同期」が増えましたね。

 

その後の25年間の図ですね。

これをまじまじと眺めた上で、

この本をぜひ読んでください。

私はもう3度読み返していますが、

読むたびにまた新たな発見があります。

 

1998年に基準価格「100」でスタートした

K1ファンドです。

2023年に25年間の運用終了までに

基準価格「9100」ですね。

実に91倍にもなったファンドです。

 

でもこの結果を見ただけで、

「運用資産が91倍になった日本最大パフォーマンス

のファンド」

となるのでしょうか?

これが今「投資初心者」の方に、

それこそ

「NISAでも始めてみようか。」

と安易に考えている方にも

よく考えて欲しいのです。

25年間ずっと持ち続けた方は

どれくらいいたのか・・・。

 

よく見てください。

25年間で3度の暴落を経験しています。

 

特に最大なのは2008年のリーマンショック

ですね。

基準価格1875から516までに暴落です。

3割以下ですね。

何より残高に注目。

2700億円あった残高が300億円です。

つまり9分の1なのです。

 

機関投資家が皆解約したのです。

「投資のプロ」である機関投資がこぞって解約。

どういうことか分かりますか。

皆大損して終わっているのです。

 

これが相場の世界です。

結果だけ見たら誰でもが大儲けです。

 

 

「明日上がる株が分かっていれば

誰もが億万長者」

 

「そんなことはありえないよ・・」

 

そう清原氏は伝えたかったのでしょう。

 



その5 これは清原氏の遺作?


日経平均が4万円を超えた今こそ、

この清原氏の「遺作」を読んでいただきたいのですね。

本当に「遺言」のように思えます。

事実、咽頭がんの手術の後、5年間も筆談生活。

そこで彼は思ったのですね。

 

「私には後継者がいません・

私が蓄積してきたヘッジファンド運用の

ノウハウは後継者に承継されません。

それなら全部世の中に『ぶちまけてしまえ』

という気持ちになりました。」

 

これからヘッジファンドのマネージャーに

なりたい方がどれだけいるのか分かりません。

でもこの「新NISA」騒動で、にわか投資家が

世の中に増殖しているのです。

そういう方々こそ、この本を読んでいただきたい。

そして考えていただきたいのですね。

 

「長期分散投資すれば安全です」

 

そんな若手セールスマンの甘言につられて

安易に始めていいものかどうか。

 

「2007年12月〜2009年2月」

リーマンショックの地獄絵図、弱り目に祟り目

 

ここを何度も読み返していただきたいのですね。

専門用語が多すぎて分らないかもしれません。

 

でも単純に表から、基準価格2700から300へと

9分の1になったことで分かるでしょう。

これが相場の世界です・・・。

 

「2004年、2005年に大量に流入した年金基金を

中心に、ファンドの顧客の解約が相次ぎ、我々は約半分の

投資家を失いました」

 

事実運用資産が1875億円から516億円にも

減っていますからね・・・。

 

どん底の記述が実になまめかしい。

 

「最後には私の銀行預金の約30億円をファンドに

ぶち込みました」

 

すごい相場師ですね。

いまや金融資産800億円と言われる清原氏ですが、

この勝負で負けていたら、ただの破産者です。

 

全財産を投資することなんて絶対にお勧めはしませんが・・・。

 

でもこのリーマンショックで解約しなかった顧客だけを

その後大事にしたのです。

 

ジョージソロスの名言。

「自分がすべきは残った顧客のためだけに

最高のパフォーマンスを目指すことだ。

新規の顧客の資金は高いパフォーマンスを

目指す上では邪魔だ」

 

「それ以来新規顧客の資金は一切受け付けていません」

 

ここは非常に感動しました・・・。




その6 リーマンショックをいかに乗り越えたか?


リーマンショックをいかに乗り越えたか

この本で一番感動したところ。

まず気の弱いファンドマネージャーなら

それこそ自死してもおかしくなかったのでしょう。

 

前回で少し解説しなければならない点は、

自己資金を30億円もつぎ込んだところ。

証券ビジネスを知っている方、

それこそ金融機関にお勤めの方なら

すぐ「突っ込まれる」ところでしょう。

 

つまり、証券会社に勤めていていながら、

自分の資金を株に投資することは、

絶対にできないのですね。

これを「手張り」といって原則、証券取引法で

禁じられているからなのですね。

自社株の売買くらいなら許されるケースもありますが、

通常は「6カ月間売ってはいけない」など

社内ルールが厳格なのです。

 

しかし清原氏が運用していた

「プライべート・エクイティ・ファンド」の場合は、

運用担当者が、自己資金を入れることも

あるのです。

 清原氏が行っていた、

「年金運用など機関投資家の世界」でも、

ヘッジファンドのファンドマネージャーなどに、

「自己資金を自らが運用するファンドに

どれくらい投資しているか否かを重視する」

らしいのです。

ただ、冷静に考えればかなり恐ろしいことなのですね。

証券マンがよくいう基本原則、

「投資家の自己責任」

つまり、「証券マンは一切責任を負いません」

の裏腹な言葉なのですが、

投資の責任をこれでは追うことになります。

 

このリーマンショックの時に清原氏は

運用会社のマーケティング戦略上でも

「私自身が自分の全財産を自分が運用するファンドに

入れました」

と強調できたはずです。

でも書きましたように、リーマンショック以降は

新規のお客さんを一切受け付けなかった。

その後、お客さんは本当に喜んだでしょう。

清原氏自身のその自己資金30億円が800億円にも

なったのですから・・・。

 

でも何度も書きますが、投資は結果から見たら

簡単なのです。

その時点での清原氏の気持ち。

 

失敗すれば破綻。金融業界では働きません。

意を決して、「全財産を投資したこと」を

奥さんに告げます・・・。

 

この時奥さんがどう答えたのか・・・。

 

この本の一番面白いところ。

(これは本書でぜひ確認してください)





その7 「投資」依存症とは



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いろいろ書きたいことは一杯あるのですが

そろそろまとめましょうか。

 

何度か読み返しているのですが、

結構難しい。

専門用語が多いからですね。

私のように某野村證券に「無駄に」8年も

在籍したものでも分からないのですから、

一般の方にこの本を理解するのは

ちょっと無理でしょう。

 

でも今は雑誌などで

「資産800億円の清原氏に学ぶ新NISA戦略」

なんて結構もてはやされてますね。

 

しかし、リーマンショックで地獄の閻魔大王に

会ってきた記述をぜひ読んでください。

これが相場なのですね。

 

「損する投資家のパターン」

 

この記述も実に面白い。

 

「矢印あたりで株を買うと、すでに株価は

高値圏なので、ちょっと上がると怖くて

投資家はすぐに売りたくなります。」

 

そうでしょうね。

株価急騰局面ですから連戦連勝で面白いでしょうね。

 

「『成功体験』を連続して経験すると、

嬉しくと脳がマヒ状態になって抜けられず

『依存症』状態になるかもしれません。」

 

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依存症と聞くと、

まさにドジャースにいた「水原通訳」みたいな

お話ですね。

株式投資もある意味、博打と同類ですからね。

最後は「ババを掴み」大暴落で大損。

まさに水原通訳が大損したことと同じことでしょう・・・。

 

清原氏が紹介する物語。

 

昔、北浜(大阪における兜町みたいなところ)で

連戦連勝の大相場師がいた。

勝ちの秘密を探ろうと、ある男がその大相場師を

つけていくと毎日ある神社に行って

願をかけていることを発見。

その話が広まってその神社は大盛況。

その大相場師は200回相場で勝負して

ほぼ全勝。2回しか負けなかった。

しかし、その2回で破産した。

 

 

ニトリの株で10倍になった記述も実に面白い。

結果論からすれば、そのまま持っていれば100倍に

なっていたのです。

1998年に20万株保有して

2004年に10倍になったところで全株売却しています。

 

「パーティが始まったら我々は帰ろう」

 

人と同じことやっては勝てないのです。

それが相場だから。

 

「新NISAみんなで渡れば怖くない」

 

そう今の政府は言いたいのかもしれませんが

どうなのでしょう。

先月アップしたグラフを再掲します。

4万円でNISA始めていいものでしょうか。

 

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最後に清原氏も知っているはずの有名格言で

終わります。

 

「人の行く 裏に路あり 花の山」

   


(ガンバレ! 日本のジョージソロス・清原シリーズ
 おしまい)

 












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