その1 どこにもない「財務の教科書」



経営とお金


以前からポチっとしておいた本でしたが、

ようやくじっくり読むことができました。

 

これは超お勧めですね。

わずか1600円でこれだけの本に出合えるのですから

やはり読書しないと損しますね。

 

永守重信氏。

1944年(昭和19年)8月生まれ。現在77歳。

言わずと知れた日本電産の創業者です。

実は2020年2月に社長を交代して一度退いていたのですが

この4月にCEO(代表取締役会長兼最高責任者)に

復帰したばかりなのです。

 

1973年(昭和48年)に、28歳で京都で日本電産を創業しました。

その時社長含めわずか3人だけの会社です。それからそのベンチャー企業を

売上高2兆円をほこる日本を代表する小型モーター製造会社に育て上げた方です。

 

このたった3人で起業したベンチャー企業がなぜこれだけ成長したのか、

すべてのノウハウが凝縮された本です。

じっくり読んでみることをお勧めします。

 

冒頭に

「金融機関の方もぜひご一読いただきたい」

と書いてありますが、

これはベンチャー企業の経営者こそ、絶対に読んでいただきたい本ですね。

繰り返し読んでいただき「愛読書」にしてほしいくらいです。

しかも、コンサルタントが好きそうなカタカナの言葉が少なく、

平易な言葉で、ご本人の経験に基づき、すべて真実が書かれているので

実に分かりやすい。

すっと頭に入るでしょう。

 

かなり辛辣に書いてあります。

例えば、冒頭から財務戦略のお話。

 

「起業して成功しようと思ったら、会社を興した初期のころから

財務の感覚を磨いておかなければならない」

 「きちんとした財務戦略がなければ会社はつぶれるのである」

 

これはまさに金言でしょう。

 

「様々な経験から、教訓を導き出し、自分なりの原則、戦略を作って

いくことである」

 

それと大事なことも書かれていました。

 

「残念ながら、こういった原則は経営の教科書、財務の教科書には

どこにも書かれていない。私が本書を書いた理由もそこにある」

 

たった1600円でこの永守会長の50年間の貴重な経験から

知りえた「門外不出の原則」がすべてがのっているのです。

これは超お得な本なのです。

 

コロナ後は「経営の原則」こそが重要になると思うからこそ

すべての経営者の方にお勧めします・・・。




その2 企業が何故破綻するか


「破綻した企業がなぜ失敗したかを考えてみよう」

 

厳しい指摘が冒頭から続きます。

「財務への無頓着が破綻を招く」

 

これは経営者なら耳の痛いお話でしょう。

私も税理士としてたくさんの経営者を見てきました。

 

「オレ決算書何てチンプンカンプンだから、

経理部長に任せて・・・」

 

営業畑から社長になった方に多いですね。

それに対して永守会長はテキビシイ。

 

「経理担当に聞かないと分からない、といっているようでは

経営者として失格である」

さらには

「売上高や利益を把握してもバランスシートにまで気が回らない

という人がいるかもしれないが、バランスシートの見方が分からないと

いうのは論外・・・」

もっと手厳しいですね。

お分かりの通り、バランスシートとは貸借対照表のことですね。

会社に今現金がいくらあって、借金がいくらあるのかさえ

分からない経営者こそ破綻してしまうのです・・・。

 

「最後にカギをにぎるのはキャッシュ。キャッシュが尽きるから

会社はつぶれる」

 

これどこかで勉強しましたね。

 

「キャッシュ・イズ・キング」

 

と繰り返し言っておられたエステーの会長でしたね。こちら

でも、さらに永守会長は突っ込んで言っています。

 

「売上より利益、利益よりキャッシュというのが

財務の基本であり経営の原点である。」

これこそ「経営とお金の原則」なのでしょう。

 

キャッシュとともに大事なのは「コスト感覚」。

これは勉強になります。

特に起業したばかりのベンチャー企業には参考になるお話です。

 

「原価を気にせずバーゲンセールのようなことばかりやっているような

会社はつぶれる」

 

まさにそうでしょうね。

この日本電産はM&Aを繰り返すことで成長してきました。

特に経営不振の赤字企業を買収して建て直すようなM&Aをなんと

67社もやってきたのです。

この本で驚いたのは67社も買収して一回も失敗したことがないのです。

67勝ゼロ敗なのです。

これだけでもすごいと思いませんか?

 

特にコスト意識を徹底することで再生してきた会社も多いようです。

「ショック療法」として記載されていましたが、これ一番驚いたお話です。

 

「部屋にあるごみ箱のものを新聞紙の上にすべて出してもらう。

まだ使えるものが捨てられていないか、チェックする」

 

「ゴミ箱に3割以上使えるものがあった場合、コスト意識を

徹底するだけですぐ黒字化できる会社」

 

なんだそうです。

これこそ永守流企業再生法の神髄です・・・。




その3 KプロとMプロ


「ゴミ箱チェック」

 

驚きましたね。

こんなことやる経営者を初めて聞きました。

今後は大事な「ネタ」としてあちこちで言いふらしましょう。

 

「原始的なやり方のように思われるかもしれないが、

コストについて考えてもらうための非常に効率的な方法」

と真顔で言い切っています。

 

社内のコスト意識を徹底するために

「経費チェック」こそが、この会長の経営とお金の基本のようです。

  

「電気代や水道代、さらにコピー代から事務用品の代金まで、

私が自ら会社の伝票を1枚1枚すべてチェック」

 

これ実際にやるとなると大変でしょうね。

「始末屋」と言い方されていましたが

これは京都独特の表現でしょうか。

通常「始末屋」とは、「むだをしない倹約家」ということですね。

京都の方独特の考え方とも言えますね。

東京では「しまりや」とも言うこともあります。

でも、多少悪意的に「けち」、「しぶちん」という意味が出ますね。

でも、この「始末屋」というのは経営的に大事な考えなのでしょう。

京都に優れた経営者が多いのも、こういう風土からくるのかもしれませんね。

 

この永守会長はM&Aのプロ、優れた事業再生屋でもあるのです。

事業破綻した企業を再生するために、この「始末屋」の発想で

取り組みます。

これは学んでいただきたいところなので、詳しく紹介しましょう。

 

「1円稟議」

買収した企業の経費については、1円からすべて永守会長が

チェックした上で承認。

驚きませんか?2兆円企業のトップ自らが1円稟議とは・・・。

 

「Kプロ」

文字通り経費削減のためのプロジェクト。

赤字企業は経費の管理が極めて甘くなっているからです。

 

「Mプロ」

このMは何だか分かりますか。「まけてくれ」のMですね.

取引先と交渉したり、超多雨策を絞り込んだりして、部材の購入費を

なるべく下げ、同時に生産や設計方法を見直して部際のコストを

朝得るのだそうです。

因みに永守会長の経営理念「勾配こそエース級の人材を配置すべき」

これ納得しますね。

 

中小企業で赤字に陥った会社があったら、まず

「1円稟議」、「Kプロ」、「Mプロ」を実施すべきなのでしょう。

 

経費削減で感動的なお話が出ていました。

2008年のリーマンショックの時ですね。

 

ダブル・プロフィット・レシオ(WPR)という

プロジェクトを始め、コスト改革に徹底的に取り組んだそうです。

 

これどういうことかというと

「売上高が半分になっても営業損益が黒字になるための

コスト改革で、売上高が以前の水準に戻れば、

利益は2倍になる」

 

 

この時社員から幅広く集めた業務の改善案は

数万項目になったそうです。

製造現場でのライン構成の見直しや設備の削減、

原材料費の調達方法の変更など幅広い内容です。

 

コストを本当に下げようと思ったら、事業のやり方を

根本的に見直す必要があるからです。

これもう少し解説すると、永守氏の「井戸掘り経営」という発想。

井戸の水はくめばくむほど湧いてきますね。

「経営改善のアイデア、コスト抑制のアイデアも、この井戸掘りと同じ。

たくさん掘るほど新しいアイデアが出てくる」

こういう経営手法からです。

 

すごいですね。

これによりリーマンショックを乗り越えましたが、

次々とWPRを進化せていきます。

3.11の直後2012年度に第2回目、

このコロナ禍でも2019年度第3回目、2020年度第4回目。

これにより日本電産は、より強力な財務基盤が

確立されたのではないでしょうか。

 

ダブル・プロフィット・レシオ(WPR)をさっそく真似してください。

因みにダブル・プロフィット・レシオ(WPR)は

すでに商標登録されているそうです・・・。





その4 ライバルは京セラ稲盛さん

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京都の偉大な経営者といえば京セラの稲盛さんですね。

日本電産は1973年創業。1959年創業の京セラとでは

そもそもスタート地点で違います。

しかも稲盛氏は1932年生まれ(申年)

永守氏は1944年生まれ(申年)で

ちょうど一まわり違うのです。

 

「同じ創業経営者として尊敬するとともに、超えるべきライバルとして

闘争心を燃やしてきた」

 

一回り年上の大先輩を「ライバル」と言い切るところが

すごいと思いませんか。

最初に出会った頃は、創業して10年ほどたったころ。

まだまだ駆け出しのベンチャー企業だった日本電産に対して、

京セラはその頃にはすでに大変な勢いがあり、

稲盛氏の名前も轟いていました。

会食が終わっても当然のように会社に帰って仕事するくらいで、

稲盛氏のハードワークぶりに驚いたというのです。

 

「成長企業のトップはこうでなければならないのだと、

さらに仕事への情熱を燃やした」

 

経営の原点として永守氏の掲げる言葉

 

「情熱、熱意、執念」

「知的ハードワーキング」

「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」

 

この経営の原点「三大精神」は

京セラを追いかける中で出来たのです。

 

素晴らしいですね。

でも、私も稲盛教の熱心な信者ですから、

稲盛さんの著述はすべて読んでいます。

だから、どこか稲盛氏の経営哲学と似ていると

感じるのです。

 

ただ「経営観はまったく同じという訳ではなかった。

M&Aへの考え方も違ったし、経営とはもっと泥臭いものだ」

と思っていたそうです。

 

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永守氏が30周年記念として新社屋を建てた記述が

実に面白い。

京セラが95メートの新社屋を建てた直後に、

なんと100メートルの新社屋を建てたのです。

竣工式に当然稲盛さんを招待した訳です。

 

稲盛さんは「社長室を見たい」と言われ案内したら、

部屋の中にある一つの植木に目をとめ、

 

「社長室になんで植木がおいてあるのか」

 

と質問されたのです。

 

「これは買ったものでなくて、新社屋のお祝いで

いただいたんですよ」

 

これはそうでしょうね。

新社屋でなくても、創業…年のお祝いで胡蝶蘭が

社長室に飾ってあることは良くありますね。

 

でも次に放った稲盛さんの言葉。

 

「もらったものだといっても、この植木に毎日、

水をやらないといけない。

この植木が枯れたたときには捨てに行く必要がある。

それは誰がやるのか。

そんなことをやっていたら、日本電産はいつまでたっても

京セラを追い越せないよ」

 

驚きますね・・・。

お祝いでもらったものでも、そこからコストが発生するのです。

 

「そこまでコストに敏感な稲盛さんの姿勢に、

京セラの強さを改めて感じた」

 

遠い存在だった京セラに対して、強烈な闘争心を絶えず燃やし続けてきたことで

日本電産は成長することができたのも事実です。

 

日本電産の連結売上高は2021年3月期に約1兆6200億円。

一方京セラは1兆5300億円。

ついに初めて追い抜いたそうです・・・。





その5 金融機関との付き合い方

 

第4章「金融機関とどう付き合うか」

 

ここはベンチャー企業経営者なら、くりかえし読むことを

お勧めしますね。

 

永守会長は28歳の若さで起業し、急成長しました。

でもそれは銀行との闘いの歴史でもあったのです。

 

「銀行でのあの屈辱を思えば、休みの日だろうと正月だろうと、

いくらでも身を粉にして働ける」

 

創業期は「担保がない」、「実績がない」、「年齢が若い」

融資を巡ってそれだけつらい経験を味わったというのですから。

 

創業した1970年代はオイルショックの影響もあり、

日本経済は混迷していた時ですからね。

中小企業やベンチャーにやすやすと資金を出してくれる

銀行はなかったのです。

 

「金融機関との付き合いにおいて何より大事なことは、

あきらめないこと」

「融資交渉は断られることから始まる」

これは金言ですね。

 

「捨てゼリフをして他の銀行に飛び込んでいては

道が開けてこない」

 

ではどうしたらいいのでしょうか?

「人との付き合いを突破口にすれば、

物事が進み始めることができる」

 

「支店長とも次長とも担当者とも、そして本店の幹部ともつきあう」

 

これはなかなか高度な技ですね。

ある程度の規模実績が出てこないと、

支店長以上の方など絶対に相手にしてくれないですからね・・・。

 

でも「取引する銀行を選ぶ際にも、規模や知名度に

惑わされず、どういう人と、どういう付き合いができるか」

そんな面から選べばいいそうです。

 

それで選んだのが地元の京都銀行。

都市銀行でもなく、地方銀行ですね。

素晴らしい銀行みたいですね。

京都では戦後ベンチャー企業が勃興したのですね。

ご紹介した京セラだけでなく、オムロン、任天堂、村田製作所、

ワコールなど今や大企業に成長した企業ばかり。

これら企業を支えたのが京都銀行ですね。

京都で起業したくなりましたか・・・。

 

京都銀行をべた褒めしているのですが、

「私が京都銀行を気に入っているのはなぜか?

それは過去に数えきれないくらいのいさかいがあったから」

 

永守会長は銀行をよく分かっていますね。

「金融機関は元来変わり身が早い。特にリスクには敏感で、

危ないと思うとすぐ方針を変更してしまう。

一方ベンチャー企業は我が道を進もうとする。

経営者は自らの事業に誇りと自信があるからわがままである」

 

そうなるとそもそも性格が異なるのだから

当然銀行とベンチャー企業はうまくいくはずがない・・・。

まあそうでしょうね。

 

それと大事な点

「金融機関との付き合いは『ギブ&テイク』ということを

忘れてはいけない」

 

自分の方でお金を借りておいて、銀行に何の見返りもなく、

文句言ってばかりではダメということなのでしょう。

 

ここで「テイク」は分かりますが、「ギブ」とはなんでしょうか。

これは勉強してください。

 

「ギブを接待と勘違いしている人がいる」

 

これにはテキビシイです。

永守会長は「接待費を使わない会社として有名」とハッキリいっています。

 

「お金を貸してくれた金融機関に対してできる最も大きな

お返しとは、それは業績を上げることに他ならない。

ひたすら経営努力して企業を成長させることである」

 









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