その1  星野経営術のご紹介


ご存知「星野リゾート」の本です。
これは他の先生のブログを見て知った本です。
結構私も他人の意見も聞く耳を持っているのですね。
ブログを見た瞬間にアマゾンで発注していました。


星野リゾートの教科書.jpg


前々から星野リゾートの経営術に興味があったからなのです。
お客さんに旅館経営者の方もいらっしゃるので
よく旅館経営術を議論するのですが、よくこの星野リゾートの
ことを題材にしています。


最近よくテレビでも取り上げられますしね。
旅館再生のマジシャンみたいな・・。
どうやってやるのだろう?
従業員をどう扱うのだろう?
どういう客層でどういうコンセプトで・・・。
実に魅力的な経営者ですね。


でもやはり本当のところはどうなのだろう?
すべてうまくいっているのだろうか?
テレビ的に、成功したお話しか扱わないのだろうか?
再生に失敗したことはないのだろうか?
やはり実際の本音の部分を探りたかったのです。


星野社長は私と同学年です。
もともと軽井沢にあった星野温泉旅館の4代目の経営者です。
実は、その星野温泉旅館は、私も25年位前の野村證券の高崎支店に
勤務していた時に、社員旅行で行ったことがありました。
当時は申し訳ないですが、どこにでもあるような古ぼけた温泉旅館でした。
それがどうしてこのような「旅館再生」のプロになったか。
その点非常に興味がありました。


題名のとおり、旅館再生の成功の理由は
「教科書にもとづいた経営」だからだそうです。
これは確かに驚きですね。
有名なコンサルタントがついている訳でもなく、
すべて独学で書物から経営術を学んでいるそうです。


これは、他業種の経営にも参考になるので、経営者の方々に
読んでいただきたい本ですね。
では星野経営術を少しご紹介していきましょう。

 


その2  経営に役立つ本を読む

私のブログで「経営に役立つ本」ということで何冊も紹介しています。
「本を読んだだけで、本当に経営に役立つのか!」
そんな反論も一方ではあるかとも、内心思っていたのですね。


でも、この本に出会ったことで、まさに「本は経営に役立つ」と
強い自信が持てました。
星野社長は、「経営判断を誤るリスクを最小限にしたいから」
本を読むそうです。


『企業経営には経営者個人の資質に基く「アート」の部分と
論理に基く「サイエンス」の部分がある・・・。』


ここは「なるほど!」と思いました。
今まで数多くの経営者にお会いしてきましたが、
多くの経営者は個性的です。
だからこそ組織に馴染めず、独立開業したんだと理解できます。
でも「アート」といういわば職人的なセンスだけでは
やはり実際の経営では息行き詰ることも
目の当たりにしてきました。
企業経営を「サイエンス」ととらえ、一方で論理的思考も必要なんだと
星野社長から教えてもらいましたね。


囲碁には「定石」というものがあります。
星野社長はこの囲碁の定石にたとえています。


私は囲碁を多少たしなむので良くわかるのですが、
(囲碁暦40年!7段!すいません。またプチ自慢・・・)
つまり、ここでいう教科書の経営と同じものだといっています。


「定石を知らないで経営するのと、定石を知って経営するのでは
正しい判断に差が出る。」


ここは、実に良く分かりましたね。
囲碁を勉強する時に、まずこの定石を覚えます。
私も小学生の時(!)囲碁の手ほどきを受けましたが、
とにかく定石をまず覚えさせられました。
定石を覚えることで、石の形(これを手筋といいます)を知るのです。
厳密では理屈の世界かもしれませんが、
何度も繰り返し覚えることによって
その石の形から囲碁の打ち方を自然と学ぶことができるのです。
逆に定石を知らないで囲碁を打てないとさえ思います。


そういう意味では、会社の経営者、定石である「経営学」と
いう「サイエンス」を学ぶ必要があるのでしょうね。
これは勉強になりました。


星野社長は

「定石を理解していることで、思い切った経営判断に勇気を持って
踏み切るきっかけを与えてくれる」

これは囲碁をやったことのある人ならよく分かるたとえでしょう。
ではその経営の定石をどうやって覚えるか?
これが大事なのでしょうね。
経営の「定石本」の選び方まで紹介しています・・・。





その3  経営の定石


では経営の「定石本」をどうやって選ぶか?
これはまた参考になりましたね。


私のような選び方、例えば
本屋に行って、「平積み」のものや、アマゾンのランキング、
日経の広告あたりから手当たり次第に買う・・・。
これでは経営に参考になるものに出会わないそうです。
「書店の書棚に一冊だけ置いてあるような本」から選ぶそうです。


これこそが、「流行の波を乗り越えて、評価が定まった本が多いから」
だそうです。
本屋で「平積み」されているような本は、まだまだ評価が定まってない本が
多いということなのでしょう。
囲碁で言う「定石」とは万人が認める「最高の手筋」です。
でも、それが認められるには年月が必要ですからね。


さらに、星野社長の教科書=経営の定石本 とは、
「米国のビジネススクールで教える教授陣が書いたもの」
なんだそうです。
これは本の買い方を改めなければいけませんね。
今後ブログ「経営に役立つ本」の選定に悩みそうですね・・・。
アマゾンなんかで買ってはいけないみたいですね。
もう少し難しそうな本から選びますかね・・・。


また彼の「教科書の読み方」も参考になります。
1行ずつじっくり読むそうです。
何度も読み返し、本に書き込みも。
読むポイントとしては、
「自社にどうあてはめればよいのか」
「従業員にどうやって伝えるか」
それを考えながら読むそうです。


これは私自身も納得するのです。
ブログ「経営に役立つ本」を書いていますが、
私自身、どうやってブログで「分かってもらえるか」
考えながら読んでいるのです。
そう思って読むことで
間違いなく読みこなし方が違ってきますよ・・・。


しかし、本を読んだだけで経営がよくなるのでしょうか。
米国の大学教授こそが、すべての経営を理解しているということ
なのでしょうか。
星野社長の意見は参考にはなるものの、
まだまだ私も疑り深いのですね。


囲碁の川柳にこんなものがあります。

「定石を覚えて2目弱くなり」

定石だけに頼っても、返って囲碁が弱くなるのです。
これはこれで囲碁をやるものとして
またよく分かるお話なのですね・・・。





その4  おいしさ保証付き


まだまだ続く星野リゾートネタ。
星野社長がどこまで自社のノウハウを開示しているか分かりません。
ホテル再生のプロである以上、その情報はやはり有料でなければ
ならないはずで、すべてを公開しないかもしれません。


でもこの本を信じて、そのノウハウを考えて見ましょう。
何か経営のヒントになるはずです。


「アルツ磐梯」というリゾートホテルがあります。
もともと第3セクターで運営していたものが、バブル崩壊で星野リゾートが
立て直すことになりました。

この建て直しのために、星野社長が参考にしたのが、米国の経営学者の
クリストファー・ハート氏の論文、「いかにサービスを収益化するか」でした。


いかに「サービス」を収益化するか.jpg


この論文の中に「サービスの100%保証システム」があるそうです。
これをそのまま参考にしています。
どうしたかというと、
「美味しさ保証付きのカレー」をゲレンデのレストランで販売したそうです。


これは実に面白いアイデアですね。
おいしさという主観的なものを保証するというのは難しいことでしょうけど。
まあ通常ゲレンデで食べるカレーなんて、もとから味には
期待しないですからね。
それをあえて「保証」した。
本当に美味しくなかったら返金するそうです。

本当に美味しいのか確かめたくなりますよね。
マズかったら絶対文句言ってやろうとも思いませんか。
でも実際には予想されたほどクレームはなかったそうです。
結果的に、これが1シーズン10万食も出る大ヒットになったそうです。


これがどうしてヒットになったのでしょうか。
星野社長の「教科書経営」の真髄ですね。


ハート氏いわく

「保証すると、サービスを提供する社員がサービスに責任もつようになる」

という効果があらわれるそうなのです。
本当にやってみるには、かなりの度胸が必要だとは思いますが
真似てみたらどうでしょうか。


「おいしさ保証付きラーメン」
「おいしさ保証付きうどん・・・」
飲食店ならどこでも真似できるお話ですね。
やってみませんか。


私もやってみようかなと。
「税理士の保証付き」決算書・・・・!
税務調査で問題になったら決算料全額返金します!?





その5  顧客満足度アップの秘策


星野リゾートが手がける超高級旅館「星のや 軽井沢」があります。
この不景気に、一泊5万もするそうなのですが、大繁盛しているそうです。


どうしてなのか?これも気になりますね。
これは「顧客満足度をトコトン突き詰めた作戦」だからなのです。
その教科書として参考にされたのが
経営コンサルタント、ドン・パパーズ氏の「ワン・ツー・ワン・マーケケティング」
です。


ONE to ONE マーケティング.jpg


この理論に沿ったサービスを展開しようと星野社長は考えたのです。


具体的には
「お客様一人ひとりに合ったサービスを提供しよう」
ということだそうです。
例えば、宿泊の際にタオルをたくさん使った方がいたとしますね。
そうすると次回の宿泊の際には、部屋にはあらかじめタオルを
用意しておくのです。
また、シャンパンを持ち込んだ人がいたとしたら、次回の宿泊の際には
あらかじめシャンパン・クーラーを部屋に用意しておく・・
そんなサービスなのです。
つまり顧客情報をデーターベース化して、常にその方に合った
サービスを展開していくのです。


実際に自分が宿泊した時に、もしそういう状況に遭遇したとしたら
間違いなく喜ぶでしょうね。満足度が上がるわけです。
またぜひ次も泊まりたいと。
実際に「星のや」に宿泊したお客さんの5割は1年以内に
再び宿泊するそうです。


星野リゾートでは、それを「CRMキッチン」と呼ぶそうです。
「料理メニューを作るようにお客様のメニューを作る」
そんな意味です。
ただ、この本ではそれ以上の情報は公開していません。
残念ながら極秘情報なのでしょうね。


ホテル・リッツカールトンもそんなサービスをしていると
聞いたことがあります。
常連顧客のデーターベースがあるということです。


一泊数万円の高級旅館だから出来るサービスなのでしょうか。
これは他の業種でも間違いなく真似できることなのですね。
例えば得意先の方にお子さんがいたとしますね。
その子の名前や年齢をデータとして持っていれば
その方に会った時に

「〇〇チャンは今年小学校ですね。おめでとうございます。」
ということが、自然に言えたら相手も感激するはずですよね。


そういうことなのですね。
星野リゾートや高級ホテルだけのお話ではないと
私も思います。
これはぜひ真似してください。





その6  社員掌握術


「社員の気持ちを一つにまとめる方法」とは?
これは参考になりますね。

星野社長は社員に経営ビジョンを繰り返し語っています。
本当に社員は耳にタコができるくらいだそうです。

この考え方は、ジェームス・コリンズ氏らの書いた
「ビージョナリー・カンパニー」を教科書としているそうです。


ビジョナリーカンパニー.jpg


星野社長の経営ビジョンとは、一言でいうと
「リゾート運営の達人」です。


しかも、この経営ビジョンの実現にどれだけ近づいているかを
自ら決めた「3つの尺度」で求めています。
それは

「顧客満足度」(客のアンケート結果から数値化)
「売上高経常利益率」(20%を目標)
「エコロジカル・ポイント」(環境基準に関する達成度を数値化)
ということです。

顧客満足度をあげるために、コストも脹らみます。
そうなると売上高経常利益率も下がります。これは矛盾していますね。
その売上高経常利益率も20%とかなり高い目標数値です。


エコというのも時代を追っていますね。リゾート開発とは
まさに環境破壊につながりかねない矛盾点です。
その相反する命題をクリアすることが、まさに「リゾートの達人」ということ
なんだそうです。


それを社員に徹底させるためにどうしているか?
これは笑えました!

「星野リゾート目覚まし時計」を作って、社員に配っているそうです。

アラームの音の代わりに、
「起きてください」という言葉と
先ほどの「顧客満足度」「経常利益率」「エコロジカルポイント」の
目標数値が流れます。
それでも起きないと、社長の声です。

「リゾート運営の達人を目指して今日も一日頑張りましょう!」

社員は毎朝イヤでもこれを聞かされるのです・・・。
星野社長!さすがです。参りました・・・。

 


その7  従業員の議論から


これだけしつこく星野リゾートを取り上げる理由は
なぜだかお分かりになってきたでしょうか。
星野社長は、この教科書に沿った経営で成功されているのです。
しかも、星野社長が経営の「定石」として考える本を公開しているのです。
だからこそ、経営者の方々は、真似すればいいと思うのです。


こういうことを知らないで経営をしていることは、
まさに定石を知らないで囲碁を打っているのと同じなのです。
定石は覚えればなんでもないことなのです・・・。


「熱狂的なファンをつかむためにはコンセプトを作る」
これも参考になります。


コンセプトは社長が作るのでなく、その施設で働くスタッフが
主役になって決めます。
これが大事なのです。
テレビで何度かこの星野リゾートが取り上げられていますが、
必ずスタッフのミーティング風景が映し出されます。
ここで喧々諤々言いたいことを言いあうのです。
相手が社長であっても遠慮せず発言し、議論を深めるそうです。

この考え方は、米国の経営学者ケン・ブランチャード氏らが書いた
「1分間顧客サービス」という教科書からです。


一分間顧客サービス.jpg


星野社長はこの議論の際に意識することは、「スタッフの気づき」だそうです。
出てきたアイデア自体ではなく、このアイデアが好きだ、共感できると
気づいてもらうことが重要らしいです。

一方で星野リゾート流のマーケティング調査のデータなども分析しながら
スタッフが何度も議論を重ね、予約、サービスメニュー、食事、
家族市場、周遊市場など,こまかなコンセプトを決めていきます。


結果どうなるのか。

「スタッフが自分たちで考えてコンセプトを決めるからこそ、
納得感があるし、共感できるようになる。それはスタッフが自分たちでの力で
施設をよくしようとするモチベーションにつながる・・・」


なるほど!
そう思いませんか。
スタッフの力をどうやって引き出しているのか。
これはぜひ真似してください・・・。




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