その1  私の好きな脱サラ本


確定申告で本当に慌しいのですね。もうチョコレートももらう暇もない?
でも、「忙しいから、時間がないから」といって、
まったく本も読まないのもいけないですね。
先に言い訳を言わず、頑張りたくなる本をご紹介しましょう。


SONY


週刊誌で成毛さんの書評を読んでから気になっていた本でした。
「私と正反対の行き方をした方で・・・」
こう評していたからです。
「何が間逆なんだろう?どんな人だろう?」とつい本を買ってしまいました。


著者の辻野氏は1957年生まれ。私より3年先輩。
慶應の在学中にイリノイ大学に留学し、慶應の大学院で
工学を学んでからソニーに入社します。
ですので私と同じ1984年入社。
しかも社内留学制度でまたカルフォルニア工科大学に留学し
マスターを取得されたなかなか優秀な方のようです。


そんな優秀な方がなぜソニーを辞めたかという理由が
前半延々と続きます。


なんだ私の好きな「脱サラの本」かと、妙に納得します。
グーグルの社長にヘットハンティングされたらから
ソニーを辞めたのではないと正直に書いているところが
非常に好感持てます。


「入社当初毎日『SONY』の看板を見るのが楽しみだった。」、
また「さらば愛するソニー」なんて書くあたり
「愛社精神」の塊のような方です。
退職後一人で傷心旅行に出て、
その後職安にも通ったなどの箇所を読むと
何故か泣けます。


実際に22年も大企業に勤めてから脱サラするのは
大変なのでしょうね。
本当はこの方はソニーを辞めたくなかったのだろうと
容易に想像がつきます。


脱サラ心理学というのでしょうか。
愛社精神を持っていたつもりが、
会社の態度が急に変わって戸惑っている方。
そんな方が会社を辞めたくなった時に
読むべき本かもしれませんね。
私も真似して


「税理士で必要なことは、みんな野村證券が教えてくれた」


まあ、こんな本は私は間違っても書かないですけどね・・・。






その2  グーグルがよく分かります


ソニー時代のお話は「サラリーマン出世物語」のようで
面白いです。
本当になかなか個性的な方で、ソニーの自由闊達な社風のなかで
「のびのび育ち」かなりのキャリアを詰まれていきます。


若干40歳ながら、当時ソニーで不採算部門であった「VAIOグループ」の
事業部長に昇進します。
それを見事な手腕で黒字に転換させると、
今度はテレビ部門のグループに移動し、そこで「スゴ録」の開発に携わります。


当時売れていたナショナルの「DIGA」に対抗し
新製品「スゴ録」を作りあげ、それが大ヒット。
普通ならもうこれで、出世物語の最終章、「役員候補」なんでしょうね。


そのあと「ソニーが開発した次世代型テレビ」(コクーン)の
開発に携わるのですが、これがうまくいかなかった。
さらに社内で大反対されつつ進めていたマイクロソフトとの
提携ビジネスも頓挫してしまった。


これは運が悪かったとしか私には思えないですね。
実は当時のソニーの社内体制がかなり激変したのが
要因だったそうです。


結局この方はソニーを辞めてしまうのですが
どうして辞めたかは、本を読んでください。
「ソニーを強くしたい」、「ソニーを変えなければならない」
「新しい流れを作らねばならない」
そんな信念を強くお持ちだった方でしたが・・・。


ただ、この『サラリーマン物語』に私は興味があるだけでないのです。
最先端のパソコンや情報端末など、ソニーでいろいろキャリアを詰まれた方が、
世界最高峰のグーグルに移るのです。


そこで本当のカルチャーショックを受けるのですね。
ソニーで、日本の最先端の技術に携わってきた方が、
世界最先端の企業で、新しい産業を目の当たりにするのです。
正直私の知らない分野ばかりでした。


この方はソニーで22年勤め、グーグルに3年間在籍しました。
このグーグルでの3年間で学んだことは本当に大きかったのでしょう。
グーグルのことをこれだけ理解し説明してくれる日本人は
なかなかいないのでしょう。
ここの部分は本当に必見です・・・。






その3  パラダイムシフト


ソニー時代の面白いお話はさておき、この著者が現実に
体験してきた『パラダイムシフト』
これを彼は書きたかったのでしょうね。


『パラダイムシフト』とは
ここ50年の大きなうねりということなのですが
こういう最先端の方の文章はやたらカタカナが多いです。
でも必死になって何度も理解しようと読み返しましてみました。


『アナログからデジタルへ。
オフラインからオンラインへ。
ソニーからアップルへ。
ウォークマンからiPodへ。
マイクロソフトからグーグルへ。
パーソナル・コンピューティングからクラウド・コンピューティングへ。』


まさにその最先端の「大きなうねりの中で」
もまれてきたのですね。『生き証人』ともいえるでしょうか。
そういう方がいう言葉の重みを感じるのです。
内容はこの本でご確認ください。


彼の結論としては、これからの変化を積極的に受け入れていかなければ
ならないということなのですね。



「グーグルはどこへ向かうのか」
そんなことを考えたことありますか?


それよりもまずグーグルの創業年を知っていますか?
1998年9月です!
わずか13年ほど前です。


スタンフォード大学の大学院でコンピュータサイエンスの
博士課程に在籍していた学生が作ったのですね。
その3年前に「検索エンジン」の研究をともに始めたことで
知り合った仲だそうです。


それがわずか10年あまりで、世界で最も成長した会社になったのです。
これは本当に驚異的な成長スピードですね。


日本のどんな上場企業でさえ、この「新興」の会社に「追い抜かれた」
といえるのではないでしょうか。


1998年創業というと、実は私もその年に開業なのです。
1998年3月ですから私のほうが半年「先輩」ですけど・・・。
ということは、おこがましいですが私も「グーグルに抜かれた」のですね!?



でもこれから起業される方に言い続けましょう。強烈な『ネタ』です。


「私が税理士開業した年とグーグルが創業した年は同じです。
チャンスは誰にも平等なのですよ。」






その4  グーグルの秘密


グーグルの急成長の秘密知りたいと思いませんか?


グーグルのホームページに「グーグルの10の事実」という
経営理念を掲載しているそうです。
残念ながら当然英語なのですが、でもこの著者が解説してくれています。


10の理念を全部は載せられないので
いくつか気になったフレーズをご紹介しましょう。



「1.ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」


グーグル内で「ユーザー・フォーカス」という言葉がよく使われるそうです。
「自分達がやっていることはユーザーのことを第一に考えているだろうか」


これを徹底しているそうです。
「顧客第一主義」
「お客様は神様だ」


これは日本の企業もよく言っていすね。
私が取り上げた経営者本からもよく出てくるフレーズです。
ユニクロの柳井社長だって、星野リゾートの星野社長も
言っていることですね。
これは普遍の定理なのでしょう。



「5.情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない」


これは今流行の「モバイル」環境なのですね。
でも日本のお家芸でもあります。日本の誇る最先端時術「iモード」で
世界を牽引してきたのです。ここはキーワードですね。
日本がグーグルに勝てるかどうか・・・。


「7.外にはいつも情報がもっとある」


これは戦略として「ユーチューブの買収」が有名ですね。
グーグルは検索対象の情報空間をウエブから始めてさまざまな領域に拡大しています。
「ストリートビュー」は実に便利だと思いませんか。
全世界の書籍をスキャンしようとしたことさえもありましたね。
「世界の情報を整理しよう!」という崇高な理想から・・・。


「10.すばらしい、では足りない」


グーグルのホームページにはこう掲載されているそうです。

「グーグルの異色な点は、全世界のユーザーがまだ具体的に
イメージしていないニーズを予測して、製品やサービスを開発し、
新たなスタンダードを創り出すことです」


でも、これはソニーが65年前に創業者の言ったことと同じだそうです。
これは感心しました。創業者の一人、井深大氏の設立趣意書。


「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき
自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」


グーグルで言っていることは、みんなソニーも「65年前に」言っていた・・・





その5  スーツなんか着ていたら・・


最近書評でこの本をよく見かけますね。
日経にもよく広告に出ていますし。


「すべての技術者に読んで欲しい」
「本当に彼にソニーの社長になってほしかった・・・」


もう大絶賛ですね。ということでもう少し続けましょうか。


グーグルの秘密を、もっともっと知りたいと思いませんか?



「9.スーツがなくても真剣に仕事はできる」


日本の会社で「スーツなんか仕事の邪魔だ!」と
ここまで言っている会社はないでしょうね。


「クールビズ」とか「エコ」とか称して「ノータイ」の会社も増えては
いますが、「スーツなんか着なくていい」とまで言ってはいないでしょう。


今の時代、「9時5時」は仕事、それ以外は「アフターファイブ」と分けることに
本質的に意味はないといっています。
ネットの時代だから、ネットにつながっている限り、オフィスにいようが
家にいようが、移動中でも仕事はどこにでもできるということですね。


それどころか、仕事とプライベートを就業規則で時間的に区切るより、
自分でそのバランスを考えながら区切るべきと。


「クラウド・コンピューティング」を実践している会社だからこそ
こういいきれるのでしょうね。
もっといえば
「『在宅勤務』を可能にするオンライン環境を整えることこそも重要だ」
ともいっています。
そうなると、ここで極論かもしれませんが、
「スーツやネクタイは邪魔!」
となるのですね。


日本人的には「フォーマルな服装こそビジネスマナーだ」
という人もいるでしょう。
でも、このフォーマルな服装は
「コミュニケーション自体がフォーマルになる」
この意味お分かりになりますか。


グーグルは
「フラットなコミュニケーションからイノベーションは生まれてくる」


そう信じているからです。
ここでもでてきましたね。
キーワードの「イノベーション」


グーグル的には
「フォーマルな服装なんかしてては自由な発想やコミュニケーションは生まれない」
のでしょうね。


これは感心しました・・・。





その6  有名な20%ルール


グーグルのすばらしさをご理解いただくために、
有名な「20%ルール」をご紹介しましょう。


この「20%ルール」をご存知でしたか?
聞くと誰でも驚くルールです。
正直、私はこの本を読むまで知りませんでした。
この「20%ルール」とは


『自分の持ち時間の20%を本業以外のテーマに使うことを奨励する』 


というまさに「グーグル独自のルール」なのです。
勤務時間が8時間なら、60分×8時間×20%=1時間36分
これを本業以外のテーマに使うのです。


というと本業を残りの6時間24分でやりきらなくては
ならないのですね。初めて聞くと想像つかないと思いますが、
この意味お分かりになりますか?


「本業に追われて四六時中忙しくしているということは
決して良いことではない」
という考えなのですね。
心に余裕や遊びがあって画期的なアイデアが生まれ、
自分のやっていることの本質的な意味や有効性、
ユーザーにとっての価値を見失なわないためだそうです。


素晴らしい考え方、制度だと思いますが、なかなか日本の企業では
導入は難しいでしょうね。
やはりグーグルの創業者がもともと技術者であることから
こういう発想が生まれたのでしょうか。
きっと研究者などはこのルールの効果が著しく発揮されるのでしょうね。


こういう土壌があるからこそ
世界最先端の「イノベーション」が生まれるのでしょう。
事実この20%ルールから、あの「Gメール」も生まれたそうです。


ただ残念ながら、この著者はこの「20%ルール」を
うまく活用できなかったそうですが・・・。


昨日ご紹介した「クラウド・コンピューティング」により
グーグルでは公私の区別が自己責任に委ねられている以上、
この本業(80%)とそれ以外(20%)の切り分けが
本当に難しいのでしょう。


でも日本で、もしこの制度を導入してみると、本業と「サボリ」の区別が
非常にしにくくなると思うのは、凡人の私だけでしょうか・・・。





その7  アメリカンドリーム


グーグル本社はアメリカ「シリコンバレー」にあります。


建物の戸外の木陰にはテーブルやベンチが置かれ、野菜畑があり、
人々が自転車で行きかいます。
社員には食事やスナックが無料で提供され、マッサージ室や専属のトレーナーの
いるスポーツジムもあり、休息用にビリヤード台やエスプレッソマシンの
おかれたラウンジもあります。
散髪もクリーニングも、保育所もペットの美容院まであり、
歯科医のほか、身体的ケアまで行う医者も5人いるそうです。


こんな素晴らしい企業に誰でも勤めてみたいと思いますよね。
事実毎年数百万人を越える応募者があるものの、その採用の難しさは
いまやアメリカ最難関のハーバート大学に入るより大変らしいです。


グーグルは2005年に株式公開しました。
公募価格85ドルは初値100ドル。それがあっという間に数倍に。
社員に与えられた「ストックオプション」の行使価格がわずか49セント
ということから、社内に900人もの億万長者がでたそうです。
先ほどご紹介したスポーツジムに勤めるマッサージ師までも
億万長者になったという有名なお話もあります。


本当に「アメリカン・ドリーム」そのものの会社ですよね。
ただ、世界一すばらしい会社だと思いますが、
一方で「世界一過酷な会社」だと思うのは私だけでしょうか。
創業して13年あまり。この13年間も勤め続けた人も
少ないのでしょうね。


グーグルには


『自分より優秀な人材を採用せよ』


という厳格なルールもあるそうです。
社員全員が入社と同時に採用する側に回るのです。
これは自分より優秀な人を採用するということは、
自分はいらなくなる訳ですよね。


高額年俸のスター選手ばかり集めるヤンキースみたいなものです。
気を抜いたら、すぐスタメン落ちどころか、即刻「クビ」なのでしょうね。


そういう厳しい会社で、この著者は3年間「も」勤めたのもすごいですね。
勤務時間の8割で成果を上げ、さらに残りの2割でも別な業績も上げる。
同時に自分が採用した優秀な人以上に成果を上げなければならない・・・。


当然そこには、日本的な「派閥も」「しがらみ」もない、まさに能力主義。


どうですか?
グーグルで働いてみたくなりましたか?





その8  頑張れ!辻野さん!!


グーグルのことをお話し出したらとならなくなってしまいましたね。


「グーグルを見ると明日が見える」
本当にそう思います。


年初からグーグルの本も読んでいます。
昨日のネタは別の本からです。
ただ、私が「クラウド・コンピューティング」のことを知ったかぶり
する訳にはいかないので、もう少し研究してから発表します。


ただグーグルの強さは、
「会社全体が、インターネットやクラウド・コンピューティングの将来について
ゆるぎない確信を持っていること」
ということは間違いないと思います。


さてこの辻野さんのこれからが楽しみですね。
日本が生んだ世界企業のソニーとアメリカが生んだ世界企業のグーグルの
経験者です。
彼自ら
「ソニーのいいところと、グーグルのいいところを併せ持ったような
21世紀のまったく新しい会社をつくる」
と宣言しています。


最後に彼の趣味もマラソンです。
第一回の東京マラソンで完走して人生観が変わったようです。
ドックイヤー(犬は人間の7倍の年齢ということ)といわれるこの業界に
あって、これから力強く走り続けるでしょう。


本当に頑張ってほしいですね。
彼の理想とする会社


「井深さんがソニーを作った時の精神を共有し、真面目なエンジニアや
デザイナーが、その才能を最高度に発揮できる自由闊達で愉快な会社」


これをきっと作り上げていくのでしょう。



(グーグルシリーズおしまい)

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