その1 倒産企業のリアル物語


やまと


なかなかショッキングな題名ですね。

9月の連休前に新聞の広告で見つけて、速攻でamazon買い。

題名通り、なかなか内容もショッキングな本です。

実は連休何処へも行かず、この本を繰り返し読んでいたのです。

もちろん、「どうしてこの店はつぶれたのだろう?」という点を

自問自答しながら・・・。

 

本日この10月から、コロナ禍の中で日本経済を立て直すために

キャンペーンや入国緩和などいろいろ施策が施されますね。

そんな状況で「こんな物騒な本はやめてくれ・・・」

とは言われるかもしれませんが、あえてこういう本を取り上げたいと

思います。

 

このブログで何度も書いていることですが、

有名な経営者が書いているような「成功体験の本」は

あまり参考にならないものです。

こういう失敗談こそ学ぶべきところが多いのです。

自慢話の本は誰でも書きたいでしょうけど、失敗談なんて

「恥の上塗り」ですから、そんなことは誰も公表したくないでしょう。

また倒産したら、迷惑をかけた債権者など利害関係人が多くいますからね。

「実はこうでした・・・」

何て書ける訳ないではずです。事実、

 

「倒産して自己破産したような人間はお天道様の下を歩くな!

霞を食って生きていけ!」

 

本当にこんな馬事雑言を浴びながら、現在筆者は生きているのです。

そんな状況で、「倒産の事実」なんて、本に詳らかに書けないのが

本当でしょう。

 

そんな波乱万丈の悲劇の主人公は小林久氏。

1962年生まれ山梨県韮崎市出身。

大正元年創業の105年続いたスーパー「やまと」の三代目です。

39歳で当時赤字企業だったやまと社長に就任すると、

経営改善に着手、たった2年で赤字経営をV字回復させたのです。

 

また、今年の7月からレジ袋が有料化されましたね。

ところがこの小林氏は

山梨県で2008年にすでにレジ袋の有料化を

実行させた立役者だったのです。

そのほか環境問題にも取り組み、県の教育長も務めるなど

社業以外にも大活躍。

 

V字回復させた内容はあとで詳細に

解説しますが、その見事な経営手腕ぶりは

なんと

「平成22年度の中小企業診断士の試験問題」

の実例問題にもなったほどでした。

 

そんな日本中の経営コンサルタントがお手本にするような会社が

なぜ倒産・・・・??

 

それをぜひ考えながら読んでみてください。




その2 著者から早速連絡いただきました!


先週このスーパーやまとのネタをアップしたら、

早速元社長の小林様からコメントいただきました。

書き終わってから、メールやお手書きをいただいたことは

あったのですが、こんなこと初めてですね。

うれしいものです。

ありがとうございます。

「余計なこと書くな!」というお叱りではなく、

好意的に受け取り、小林様にエールを送るためにも書き続けてまいります。

 

リンクもされていたので、これもアップしておきましょう。

こちら

です。スーパーやまとの情報がアップされております。

HPにカッコイイ写真もアップされていましたので載せておきましょう。

 

Photo_20201005094701

 

この方ですね。この方が「やまとマン」です。

この「やまとマン」というのは、いわば

「地域に困った人がいたらすぐ手を差し伸べる」ヒーローです。

Yamato_20201005190201

正式ユニフォームはコレです。御本人によく似ていますね。

実に愛すべきキャラです。

山梨県では知らない人がいなかったくらいの

有名人だっだそうです。

 

 

では、このやまとマンが2001年(平成11年)39歳の若さで社長に

就任し、改革を断行していくのですね。

しかし、自ら書いていますが、それまで店先に立ってお客さんと

接していただけの「なんにも専務」だったのですね・・・

(すいません。これは原文のまま)

 

ましてや過去、銀行に勤めていたり、ましてやコンサルタントでも

なんでももなかった方なのですね。

「すぐさま『漫画簿記入門』を読み、決算書の読み方をゼロから

勉強してどこから手を付けたらよいか考えた・・」

と正直に書いてありました。

 

すでに赤字1億円の会社ですから、もう後がないのです。

まず仕入原価の見直しをします。そして驚きの行動に出ます。

 

「やまとの主力の取引先であり親子3代にわたる付き合いで、

おまけに仲人をお願いした地方問屋」

 

を切ってしまうのですね。年間10億円も取引していたというのを

バッサリ変えてしまったというのですからすごいです。

なかなか自分の仲人と喧嘩できないものでしょう。

こんな感じで先代のしがらみをバッサバッサと切り込んでいったと

いうのです。

ついでにメインバンクも変えてしまうのですね。

 

さらに先代社長も退職金を支払って辞めてもらいます。

(ほかの本では4000万円支払ったと書いてありました。)

結果的に先代のしがらみで入社した従業員なども

退職してしまいます。

結果的に、

「従業員のやる気にふたをしていた親族を一掃」

させてしまうのです。

 

なかなか優秀な2代目さん(正しくは3代目)です。

同族企業の弊害をよく分かっているようですね。

こういう方は、税理士としても、なかなかお目にかかったことないですね。

 

そうやって人件費、家賃、水道光熱費をすべて見直し、

経費を削減していくのです・・・。

そして2年目についに黒字転換させます。



その3 なんと!中小企業診断士試験にも出題!


社長就任2年目で黒字に転換!

実はこの本で一番興味をもったところがココです。

正直書くと、潰れたお話はいいので、(すいません。)

「こうして店は繁盛した」

という本を、もっと以前にやまとマンさんに、書いてほしかった・・・。

 

ご紹介した通り、この経営改善は中小企業診断士の平成22年度の

問題文に取り上げられました。

たった2年で黒字にしたのだから、きっと有名なコンサルタントでも

つけたのではとつい思ってしまいますね。

この点も気になりました。

 

「先代から付き合いのあった顧問税理士も替え、社会保険労務士も

喧嘩しながら若手に替えた。・・・後に私の死に水を取ることとなる

顧問弁護士と契約したのもこの頃だった・・・。」

 

前回書いたように社長就任の際に、お家騒動があったようですから、

前社長の息がかかった顧問を挿げ替えることは当然だったのでしょう。

でも東京とは違い山梨という田舎ですからね。(失礼!)

特に地方の税理士は、

「巨大勢力を持つ有力事務所」が老舗企業を牛耳っていることが多いのですね。

(どことは書けません・・・)また税務署ともパイプが強いから、

(これも余計なこと書くとマズイか・・・)

なかなか税理士は変えないのですね。

私も税理士稼業を20年以上やって、こういう老舗企業から

オファーが何十社もあったのですが、

最後は古参の番頭さんが反対してオシマイDeath!・・・。(注 オシマイデス)

「先代から付き合いのある税理士」とは絶対的なのです・・・。

 

でも、これら外部コンサルタントのおかげで、

「就業規則も給与規定もなかった会社にきちんとしたルールを

つくって、有給休暇も取れるようにした」

のですね。

 

結果的に、「人員を補充しなくても前より作業効率は上がり、

一人当たりの給与は増えたものの、総人件費は格段に減った」

そうです。

 

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疑い深い私は、さらに確かめるために、

中小企業診断士の出題問題を取り寄せてみました。

申し訳ないですが、出題分の方がより明確に書かれています。

まさに外部コンサルタントがいたおかげなのでしょうか。

それとも社長自ら改革したからなのでしょうか。

(※すべてご本人が考え実行したと教えていただきました。)

 

中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Uより

 

「現社長は、さっそくB社(やまと社)の経営再建に着手し、徹底した

組織内部の制度改革や環境の改善、取引先の見直しを行った。

まず、同族経営にありがちな肥大化した取締役陣に対して、

身内とのあつれきを覚悟で退任を要求し、経営陣のスリム化を図った。

また、パートを含めた従業員に対しては、その能力を尊重した透明性の

ある昇給制度を導入し、給与体系を見直しした。

さらに優秀なパート従業員に対しては、正社員への登用制度を作り、

社員と区別なく能力を評価した。」

 

すごいですね。

ここでは正直に書きますが、中小企業診断士の試験問題を読んだのも

初めてです。

なかなか難しいのですね。

 

設例の1番はコレです。これ明確に答えられる税理士はいますかね・・・?

 

『第1問 B社の現社長は、経営再建策の1つとして、仕入先の精査を行ったが、

具体的にはどのようなことを実施したと考えるか。80字以内で答えよ。』



その4 鳩と戦う雀

中小企業診断士のテストなかなか難しいです。

 

第3問 B社(やまと社)の現社長は、従業員の能力を引き出すために、

インターナル・マーケティングを展開した。実際にどのようなインターナル・

マーケティングを行ったのか。50字以内で2つ答えよ。

 

これ分かりますか?

すいません。「インターナル・マーケティング」なんていう言葉初めて聞きました。

要するに「従業員の満足度を上げ、気持ちよく働いてもらうには?」と

いうことなのでしょうか?

能力評価を適正にしたり、パート社員の正社員化などで

従業員のやる気をアップさせるようなことが正解のようです。

 

昨日つい、「優秀なコンサルタントがいたのでは?」

と疑ってしまいましたが、さっそくやまとマンさんから、

ご返事をいただいたのですね。

 

改革当時は、どこのコンサルタントにも相談せず(そんな余裕もなく)

すべて自分の思うままに進めました。(中略)

人間追い込まれると、火事場の馬鹿力が出るものです(笑)

 

さすがですね。

やまとマンさんはきっと中小企業診断士の試験委員もできそうですね。

 

次の問題も難しい。

 

第5問 B社の現社長がエコ活動を続けようとしているのは、B社の経営上、

どのような効果を狙っているのか?2つの視点から具体的に

それぞれ100字以内で説明せよ。

 

「競合店との差別化、地域貢献を掲げることでファン作り・・・」

ということが確かに正解なのでしょうか。

でもこのやまとマンは最後に正直に書いてありました。

「ぶっ殺すリストをつけていたから!」

これが、本人が思っていた「本当の正解」なのだそうです。

中小企業診断士試験には、間違いなく不合格の解答なのでしょう。

でもこの本よく読むと、その「ぶっ殺す」の意味分かりますね。

スーパーマーケットの経営というのは本当に大変なのですね。

半沢直樹ではないですが、

「やり返えさなかったら、やり返される・・・」

そんな感じがしました。

 

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 (かつてあった韮崎駅前ショッピングセンター『ルネス』 注2004年にイトーヨーカドーは撤退)

 

やまとは、もともと韮崎市の駅前商店街の鮮魚店からスタートした小さなスーパーでした。

それが、1984年(昭和59年)に韮崎駅前にショッピングセンターの

核テナントとしてイトーヨーカドーができてからは、戦いの連続だったのですね。

 

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やまとのロゴです。イトーヨカドーの鳩のマークに対抗するために、

やまとの「Y」には雀がデザインされているのですね。

雀が「鳩にやられたら、やりかえす」のです。

 

特に1980年代は、全国規模の大手チェーンも規制緩和の流れで

次々と地方にも出店してきたのです。

売上が奪われた同業他社も、その売上を補うために

さらなる出店を続けます。当然競合他社との価格競争も激烈になってきます。

 

また一方で、コンビニも全国規模で猛烈な勢いで出店攻勢をかけてきたのですね。

まさに、「スーパーマーケット戦国時代」です ・・・。



その5 なかなかのアイデアマン

ではその中小企業診断士の試験委員もうなった「見事な経営戦略」を

もっとご紹介してみましょう。

 

今年の7月から全国の小売店でレジ袋の有料化が始まりましたね。

実は2008年に山梨県はすでにレジ袋の有料化を始めていたのですね。

でも当時は「地球温暖化」がその大義でした。

現在の「プラスチックごみを減らそう」というものとは

ハッキリ違いますね。

 

その先鞭をつけたのが、やまとだったのです。

店頭でゴミ袋を不要とする方には2円のポイント還元をしたのです。

「やまと・マン」はなかなかの「アイデア・マン」ですね。

 

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さらに、家庭で出る「生ごみの回収」まで店頭でやったのです。

その場合は5円のポイント還元。

 

面白いことやるものですから、当然マスコミにも取り上げられます。

また、さらに「調子に乗った」(失礼!)やまとマンは、ホームレスや

障がい者の雇用にも乗り出します。

ただ正直書くと、こういうスタンドプレーは山梨県中のスーパーを

たぶん敵に回したとは思います・・・。

 

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また、一方で山梨県の廃業したスーパーを買い取ることや、

「移動スーパーヤマト」をやることで、いわば「買い物難民」のために

地域経済への多大な貢献もしていきます。

 

このあたりが「弱きを助ける」やまとマンの真骨頂ですね。

 

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あと本業では激安の「298円弁当」を登場させ大ヒット。

さらに、それを進化させた「150円弁当」まで・・・。

 

Vannfare

あと地元のヴァンファーレ甲府のための300円の

「応援どんぶり」も・・。

 

なかなかやまとマンは、ネタ豊富です。

・・・といろいろとやまとマンのことをもっと書こうと思ったら

先日のやまとマンさんからいただいたリンクページに

今までマスコミに登場したものもすべてアップされていました。

動画ですので、これは見ていただいた方が早いですね。

 こちら

おまけに中小企業診断士の試験問題も全部載っていました。

その「解答解説ビデオ」も載っています。

ぜひ見てください。

 

特に日本全国の中小企業診断士の方は必見ですね・・・。

やまとマンは、今後はYouTuberになるのでしょう!?

私は早速登録しました。

あとぜひ、この解答解説ビデオの本当の解説をしてください。

 

「教科書では・・・。でも実際の実務では・・・ですよ。」




その6 ではなぜ倒産?


ハイ。ここまでがイントロです。

マスコミに取り上げられた「やまとマン」の面白いお話でした。

 

そろそろ本題に入りましょう。

では、「なぜスーパーやまとがつぶれてしまった?」のでしょうか。

私なりの考えをアップします・・・・

やまとマンさん怒らないでください。

「倒産Youtuber」に送るエール(ネタ?)だと思ってください。

(※ただご本人はYoutuberにはなるつもりはないらしいです・・・)

 

 

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この図は本の裏表紙に載っているものです。

この表を何度か見ることでいろいろ分かってきました。

すいませんが勝手にアップして私なりに注書きをつけてみました。

本ではA社とかオブラートに包んでいましたが、

すいませんが東京人には何のことかさっぱり分かりませんので

私の責任で実名を載せます・・・。

(これもA社とはAEON『イオン』のことだと教えていただきました)

 

 

左から説明します。

もともとスーパーやまとは売上50億円、店舗数の7店舗の

スーパーチェーンでした。

それが2001年にやまとマンが就任し、ご紹介したように

たった2年間で黒字化します。

しかも懸案の本店もすぐ閉鎖します。

(閉鎖店舗は青、開店は赤で色付けしています)

 

2005年から戦略を変えてきます。

2007年までで居抜き店舗5店舗購入することで

売上は急増します。

売上64億4300万円の過去最高を達成するのですね。

 

この間に、「やまとマン」として「298円弁当」、「生ごみ処理機」、

「レジ袋有料化」など取り組み、マスコミに取り上げられ脚光を浴びます。

2010年度の診断士試験に出題されたのもこの頃です。

この間、結局居抜店舗を合計7店舗購入。

100周年記念行事となる2012年に「甲府2店舗」、「韮崎1店舗」

の合計3店舗を加え、合計16店舗がMAXです。

 

店舗数のグラフと売上のグラフが一緒になっているので

よく分かりますね。

店舗数が2012年まで増えているのに、実は売上は2007年から

下降線です。

 

特に2007年からの5年間は店舗数が5店舗も増えているのに、

売上はどんどん下がっています。

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理由はあえて実名で書いておきましたが、

大型ショッピングセンターの開店の影響が大きかったのでしょう。

韮崎駅前のルネスから移転したオギノ(年商744億円店舗数49店舗・

山梨県最大のスーパー)がライフガーデンにらさきでの開店、

何よりイオンモール(年商8兆円!日本最大の総合スーパー)が甲府昭和に開業した

巨大ショッピングセンターの開業とその増床の影響が大きかったはずです。

しかも、そんな圧倒的な劣勢にいながら「負け戦」を覚悟に、(すいません。)

甲府店と韮崎店の計3店舗の出店が最後のトドメだったのでしょうか・・・。

 

2013年頃から「バンクミーティング」を行うことで、

店舗閉鎖を進めるのですが、負のスパイラルは一気に加速・・・。

 

ただここで経理の専門家として、

「売上は分かったが、では利益はどうだったの・・・?」

ここが大問題・・・。



その7 本当に儲かっていたのか?


では、スーパーやまとは儲かっていたのでしょうか?

ココが問題ですね。

「最後は倒産したくらいだから結局は儲かっていなかったのでは?」

これは誰でも立てられる仮説です。

 

儲かっていたかどうか突っ込む前に、気になった巻末の社長の倒産理由。

5点書かれていましたが、そのうち、

 

「第一に、営業方針や人事管理、資金繰り等社長がすべて行い、

部下に任せなかったこと」

 

まず典型的な「ワンマン社長」であることが分かりますね。

これは中小企業にはよくあるので、次の倒産理由。

 

「第三に、社内の財務の専門家を置かず、日銭商売のやり繰りに

甘えて抜本的な改革が遅れたこと」

 

これは経理の専門家として、「厳しく」突っ込みたいところですね。

社長就任時の売上は、約40億円です。

しかも6店舗も営業していますね。

社内に財務の専門家を置かずに、まずこれは正確な経理処理はできませんね。

 

「総務は実の妹に任せ、経理も契約社員の女性が日々入力作業・・

事務処理も3名の女性社員・・・このメンバーで最盛期年商64億円の

事務作業をしていた・・・」

 

「入力の済んだ会計帳簿を翌月顧問税理士に見てもらい、営業成績が確定する。」

40億円から64億円まで急増した理由は、

居抜き店舗を5店舗買い取った(引き取った?)からですね。

 

システムも経理処理も違う5店舗も買い取って、

通常の経理業務なんかできる訳ありません・・・。

「抜本的な改革」ということは、

「システム統合しなければどの店がいくら儲かって、

どの店がいくら赤字なのか瞬時に分からない」

ということではないでしょうか。

 

しかも冒頭書きましたように、社長さんは、社長就任時に

「すぐさま『漫画簿記入門』を読み、決算書の読み方をゼロから勉強した」

いわば、経理については素人なのですね。

ワンマン社長ですから相談する相手も置きません。

 

「顧問税理士が見ていた」と書かれていますが、

年商64億円の月次決算を、翌月までキチンとやることは通常無理ですね。

こう書くと大変申し訳ないのですが、かなり「適当」ではなかったのでしょうか?

ワンマン社長は、たいていは税理士の言うことは聞きませんから・・・

(すいません。そうでなかったことを祈ります・・・)

 

あと専門家として突っ込みたいところは、小売業や卸売業の

経理上の弱い部分は「棚卸」ですね。

システムがきちんと確立していなかったら、「棚卸」なんて

毎月面倒でやり切れないのです。

 

私の経験則で書きますが、20年前に初めてコンビニの顧問に

なったときに、

「万引きされても、何が何個取られたかなんてすぐ分かります」

それを聞いて驚愕したことがあります・・・。

コンビニ行くと分かりますよね。すべての商品にバーコードが

ついているから、あの「ピッ」とやるとすべて分かるからなのです。

 

つまり、何が言いたいかというと、システムが確立されてなければ

小売業というのは、利益が的確に瞬時に算出される訳がないのです。

先月急成長した「ワークマン」を徹底的に勉強しましたが、

まず改革したことは「データ経営」でしたからね。

 

ましてや経理の現場責任者もいない会社です・・・。

経理財務にコストを掛けられなかったのか、

システム投資をする余裕がなかったのか、

 

それすべてに該当するのかもしれませんが、

こういうワンマン社長のたいていは、

そもそも経理財務にコスト掛けること自体

重要視していないことが多いのです・・・。

(やまとマンはそうではなかったことを祈ります・・・)



その8 半沢直樹がいたら・・・


「半沢直樹がいなかったからやまとがつぶれた」

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ドラマ半沢直樹は倒産寸前の伊勢志摩ホテルを立て直しましたね・・・。

やまとマンに怒られるかもしれませんが、

これも検証してみましょう。

 

半沢直樹を論証するまでもなく、

「銀行との関係」これは中小企業にとって大変大事なところですからね。

 

山梨県に105年と聞いたとたんに、山梨県の地銀とは当然お付き合いは

あったのでしょう。

実名で書きますが、山梨中央銀行ですね。

山梨県には地銀は一行しかありませんから、当然ココを指しますね。

 

でもこの本読む限り、最初から関係はよくなかったのでしょう。

「この状態の会社に貸す銀行はないですよ・・・」

社長就任直後、支店長から馬鹿にされてしまうのですね。

 

ただその2年後、ご紹介した通り黒字転換。すると

 

「取引のなかった銀行から、信用の会社のみが許される『社債発行』

の提案を受け、こちらもお願いしなくても資金が集まるようになった」

 

すると、当時のやまとマンは非常に若くて元気でした。

すぐメインバンクをそっくり変えてしまうのですね。

「気を付けた方がいいぞ、都市銀行はすぐ手のひらを返すからな」

そういう周りの忠告もあったそうですが・・・。

 

「社債発行」と聞いた瞬間思いました。すいませんが、以下本音で書きます。

 

「やまとマンも毒饅頭食わされたのか」

 

 

今から10年位前からでしょうか。

都市銀行は、確かに優良中小企業に対して「社債発行」の提案を

することが大変多くなりました。

会社の業績が良くなってくると、本に書いてあるように

 

「信用高い会社のみが許される社債を発行しませんか?」

 

提案してくるのですね。

中小企業の社債発行とは、別に社債を発行してそれが流通される訳でも

何でもないのです。いわば融資の変形ですね。

 

銀行が何故これをやりたがるかというと、

表面金利は確かに低いものの、高額な社債発行手数料と、多額の保証料が

発行会社(つまり融資先)から取れるからなのです。

営業成績を上げたい銀行マンには格好の商品なのです。

 

それとこれを発行すると、万が一業績が悪くなって利益が出てこなくなると

銀行は露骨に嫌な顔してきます。

「財務制限条項に抵触するので・・・」

と婉曲的に粉飾を要求してきます。

 

担当者はこの社債を何回も発行させて、営業成績を上げたい一心で

いうのですね。

だからこそ「毒饅頭」と申したまでです。

 

あと、この社債発行の問題は、返済方法ですね。期間5年で1億円を発行したら、

半年ごとに1000万円を返済し続けなければならないのですね。

一度に1000万も返済するのは資金繰り的には大変ですよね。

そうなると、その返済のために別から金を借りなければならないことも・・・。

本当に利益が出ている優良企業なら調達コストが下がって有利でしょう。

でも、現実に業績が悪くなってくると社債の償還さえ

要求してきます。

 

まさに、「銀行の晴れた日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」

大和田常務が得意とする必殺「手のひら返し」!

 

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でもやまとの場合はどうだったのでしょうか?

社債を発行したがゆえにかえって大変だったのではと

思ってしまいます。

利益が出続けていたとは、まったく思わないからなのです。

 

また、銀行の指導の元?もし一度粉飾してしまうと、

以降は本当に会社が儲かっているかどうか分からなくなってしまうのです・・・。

 

すいません。これも、やまとがそうでなかったことを心から祈ります。

これは、一般論としての税理士としてのつぶやきです・・・。



その9 頼まれたら選挙以外は断らない


やまとマンは何ていい人なのだろう。

本当に思います。

 

「頼まれたら選挙以外は断らない」をモットーに

「買物難民」を防ぐために地域のつぶれたスーパーを次から次へと買い取り、

最後には移動スーパーまで実施してしまいます。

 

「お人好しの性格から断ることができず、次から次へと

リクエストに応えていった。」

 

「地域密着」どころか「地域土着」と表現して、

買物難民のために赤字覚悟のビジネスを続けます。

 

何だかこれは行政がやるべき仕事ではないでしょうか。

「営利企業としてビジネスとしてどうなの?」

やはり会社経営者である以上、慈善事業ではいけないのですね。

 

結果的には

「総務省から地域経済賞エコロジー賞までいただいた」

「県の教育長を拝命し・・・」

 

確かに素晴らしいことだと思います。

 

「銀行の担当者が半沢直樹だったら、どう言っただろう?」

 

「私が顧問税理士だったらどうしたろう?」

 

本当に読みながらこれは考えてしまいました・・・・。

 

お人好しの性格が挙句の果てには、甲府市から頼まれて、

中心街にある商店街に出店してしまいます。

 

当時の会社の財政状況は間違いなく厳しかったと思います。

それをあえて「100周年記念事業として」やってしまうのですね。

 

どこの地方都市でも、駅前の商店街は、郊外にある大型商業施設に

客は奪われているのですね。

いわゆる「シャッター通り商店街」などは日本全国どこにでもあるのです。

それを、「市から要請された」からといって、「補助金ももらわずに」

客も来るはずがないこんな場所にあえて出店すること自体は

無謀だったのではないしょうか・・・。

 

しかも韮崎市出身のスーパーとしては、甲府市内は完全アウエーなのですね。

「よそ者」としてそこまでやらなければいけなかったのでしょうか?

「シャッター通り商店街」の活性化などは、まさに行政の仕事ですからね。

しかもよく読むと、イオンの戦略に、まさにはめられた感じもします。

 

それでも商店街活性化のためにイベントまで企画してあげます。

 

やまとマンは、オヤジバンドを招いて商店街で

「山梨オヤジロックフェスティバル」をやるのですね。

 

しかし、商店街でロックを歌っているやまとマンを

半沢直樹なら胸倉つかんで怒鳴ったでしょう。

 

これは池井戸潤がやまとを題材に脚本書いたら、

「半沢直樹5」くらいでてきそうな場面ですね。

 

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「あなたが守りたいのは何ですか?」

 

「甲府の商店街ですか? 会社の300人の従業員ですか? 

それとも100年続いたのれんですか・・・?」




その10 何を学ぶべきか


またやまとマンさんからまた「突込み」が来てしまいました。

 

守りたいもの…、特にありません(^^;

半沢直樹なら…「やれ!」と言ってくれたかも知れません(笑)

商人としての人生。

今、私はかつてないほど周りの皆さんから良くして頂き、とても幸せです!

とかく評判の悪い「甲州商人」として、最後までやり尽くしました。

従業員はすべて再就職が決まり、私は自己破産して法的に責任を取りました。

会社はいつかはなくなるものでしょう。

経営に関してはそれほど適当にしていた訳ではなく、命懸けでやっていました。

いわゆる「自滅型経営者」の典型でしょうが。

本ではワンマン社長に見えるでしょうが、特に暴君的な存在ではありません。

なにせ子供たちの見本となるべき教育委員長ですから(^^)

この本は「こんなバカがいた」という反面教師の物語ですm(_ _)m

 

 

もう、このようにご指摘を受けた以上、勝手に憶測では書けませんね。

経営者として真剣に生きてこられた方に失礼ですから。

でもご要望通り「反面教師」として、この本を読んだ方に

どこを学んでいただきたいか書いて終わりましょう。

 

2つ申し上げたいと思います。

一つ目は、

 

「黒字倒産の実例」

 

ということです。

まさに、スーパーやまとは、これに該当します。

銀行から一部債権放棄を取り付けながら、再生の道を歩んでいたのです。

ようやく黒字転換したばかりでした。

ただ、その復活を面白くないと見た仕入先(ライバル企業?)から、

資金を搾り取られたためにつぶれてしまったのです。

このあたりは読んでいて非常になまめかしい・・・。

 

「黒字倒産」のことは、別の表現で何度も説明してきたつもりです。

 

「キャッシュ・イズ・キング 赤字で会社はつぶれない

キャッシュが尽きた時がつぶれる時」

 

 

このネタは、以前本を読んで、こちら ことあることに講習会で

説明しているのですが、経営者の方にはなかなか「腑に落ちない」

箇所のようです。

すべての中小企業経営者に「倒産の現実」として、やまとから

ぜひ学んでいただきたいのです。

 

税理士として、

「赤字になるとマズイのですか?」

もう何百回、何千回と聞かれたでしょう。

「赤字=倒産」ではないのですね。

もっというと、「赤字」→「銀行が手を引く」→「倒産」 でもないのですね。

 

「キャッシュを残す」という意味を、ぜひよく考えてほしいと

思うのです。

 

会社にキャッシュを貯めるか、もしくは個人でキャッシュを蓄財しておく。

つまり、役員報酬をたくさん取って、個人資産を蓄財しておく。

又は、逆な意味で、会社はできるだけ多くの利益を出して、

税金払ってでも会社にキャッシュを貯めておく・・。

その他いろいろありますね。中小企業の財務体質は実に脆弱だからです。

 

そんなことまったく考えない経営者から、

「交際費をたくさん使った方が節税でいいですよね・・・」

「会社でベンツ買った方が節税になりますか・・・」

こういう会社には億単位の借金があることもザラです・・・。

 

先月取り上げたサイゼリヤの決算発表が昨日ありました。

コロナ禍で今期は赤字36億円なのだそうです。

でもあの会社にはキャッシュが260億円もあるのですね。

しかも、いままで無借金できたのです。

そういう会社は間違いなく強いのです。

コロナ禍でもビクともしません。

 

最後に、やまとマンから再度「突込み」を受ける前に書きます。

やまとマンはベンツにも乗らないで、交際費も使わず質素に

「命懸けで」やってこられた方です。

それでも・・・・。



その11 これからの日本の縮図


もう一つご説明したいことは

 

「少子高齢化」

 

ですね。

今回舞台となった地域は山梨県韮崎市です。場所分かりますか?

 

Photo_20201016092901

 

韮崎というと、私の年代では、サッカーの中田英寿選手ですね。

やまとマンも韮崎高校出身なのですが、その後輩の超有名人ですからね。
 

20201007-103757

 

韮崎市の人口は現在28,930人ですね。


20201008-163758

 

申し訳ないですが、そういう大変ローカルな所のお話なのです。

正直書くと20年後、30年後の日本の縮図を見ている気がしました。

 

 

Photo_20201016092902

 

韮崎市の人口ピラミッドです。

驚きます。かなりいびつですね。一番多い層は70代なのですね。

子供も少ないし、まさに「少子高齢化」です。

やまとマンは、「移動スーパー」をやった理由がココですね。

 

 

20201015-175229

 

韮崎市のHPで見つけましたが、あと20年後には

人口が2万人ほどになるとさえ予想しています。

そんなところに、「今ショッピングモールまで作って、

将来どうなるのだろう?」

そう思いませんか・・・・。(すいません。)

 

Photo_20201016093001

 

韮崎市ではピンとこないでしょうから、山梨県の人口で

見てみましょうか。

山梨県の人口は約80万人です。

(本では82万人と書かれていましたがもっと減っています)

この本では山梨県の人口と世田谷区の人口の比較が出ていましたね。

世田谷区はそれより多い92万人なのですね。

 

山梨県の80万人しかいない小さなマーケットに

今でもスーパーやドラッグストア、ホームセンター、

ショッピングモールが、次々に開店しているというのです。

 

20201007-155734

山梨県には9月末現在で137店舗もありました。

中小のスーパーがいかに大変なのは分かるでしょうか。

でも人口が80万人いても面積は約4000kuです。

世田谷区はわずか約50kuですからね。

面積で約80倍も広いので比較する方がおかしいです。

山梨県は南北で90キロもあるのですから、

車で2時間もかけてスーパーに買い物に行く人はあまりいないでしょう。

 

Photo_20201016093101  

 

世田谷区の人口ピラミッドも探してみましたが、

こっちは若いですね。30代〜50代が多いのです。

 

20201007-160231

 

世田谷区のスーパー数は全国2位でした。

それでももし私がイオンの出店企画担当だったら、20年後、30年後を考え

山梨県ではなく迷わず世田谷区に出店するでしょうね・・・。




その12 今後のスーパーマーケット業界


最後にスーパーマーケットの現実と将来展望を考えながら

終わりましょう。

 

20201007-160015

 

ネットで見つけたデータです。

同業者の有名なコンサルティング会社(山田グループ)からです。

スーパーマーケットの市場規模は12兆円あって、

そのうちダントツの2強が

イオンとヨーカドー(セブン&アイHD)です。

この2社の売上高足してもこれだけで15兆円となってしまいますね。

今後はますます合併や淘汰が行われていくという、

実にM&A会社らしいシナリオですね。

 

この通りかもしれませんが、まさに「スーパーマーケット戦国時代」です。

これにコンビニエンスストアの業界の表を加えたらもっと明確でしょうか。

ダントツのセブンイレブンに追随する2位のファミリーマートと

3位のローソンまで3社で完全に寡占状態ですから。

 

このコンビニ業界と、最近話題の「業務スーパー」や

もっと小規模の「ミニスーパー」まで入れたらまさに

「オーバーストア」状態が続いているというのです。

おまけにamazonを始めとする「eコマース」という

強力な新興勢力も台頭してきています。

 

今後の「少子高齢化」の世の中で、どこも生き残りに必死なのは

分かりますね。

既存の小売店だけでなく、

飲食業界のマーケットに侵食していることもお分かりでしょうか。

でももっと冷静に考えたら、卸売業や製造業、物流など、

ほとんどの業種にも影響を受けてくると思うのです・・・・。

 

 

お話が広がりすぎたので、最後に山梨県のマーケットに戻ります。

やまとを攻め滅ぼして(すいません。)甲斐の国(山梨県)の統一を

目論んでいる県内最大手のオギノも、イオンという強大な敵が攻めてきて、

厳しい状況が続いています。

イオンこそ、まさに長篠の戦で武田軍を破った織田信長のようですね。

 

いずれ、もう一つの大軍ヨーカドーグループ(徳川軍?)と、

天下分け目の「関ケ原の戦い」でもやるのでしょうか?

 

 

ただ460年前なら「鉄砲」が最大の武器であり戦術だったでしょう。

でも現在はそれより恐ろしい「情報戦術」があるのですね。

 

コロナ禍で皆朝からテレビを見ています。

朝から晩まで、グルメ情報や旅行情報番組が盛んです。

特にスーパーマーケットの情報が毎日のように流されています。

 

「トップバリュの餃子は安くて最高に美味い!」

「セブンプレミアムのスイーツは最高だ!」

 

タレントが実に美味しそうに食べるものですから、誰でも買いたくなりますよね。

巨大資本がマスコミと手を組んだら負けるはずがありません。

 

でも本当にそれでいいのでしょうか?

日本の小売業はこれでは衰退してしまいます・・・。

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きっといつかやまとマンが、救いに来てくれるのでしょう。(写真はウルトラマン)

やまとマンが、ウルトラマンのようにもっと強くなって戻ってくれることを

心から願います。

 

やまとマン様、おつきあいいただき誠にありがとうございました。

韮崎には、弱きを助ける心優しき「やまとマン」がいたことを

皆絶対に忘れないと思います。

 

(がんばれ! やまとマンシリーズ おしまい)






 




















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