その1 「じげん」という会社とは?
手当たり次第に本を読んでいると
また新たな発見があるのですね。
「株式会社じげん」の平尾丈社長のお話。
副題が
「『別解力』で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法」
もうここだけで
「別解力ってなんだ??」
思いますね。
そもそも「じげんって会社は何やっているの?」
まずそれも思いますね。
冒頭、この「じげん」の説明。
「『生活機会の最大化』を目指し、情報の非対称性を解消する
ため、テクノロジーの力でより多くの人への情報を
集約してお届けするライフサービスプラットフォーム事業を
行う企業」
もうこれだけでオジサンはついていけないでしょう・・・。
「生活機会の最大化?」
「情報の非対称性??」
「ライフサービスプラットフォーム事業???」
だから読書は面白いのですね。
今まで単なる「IT企業」で片づけていたカテゴリーに
今流の知識が加わるのですから・・・。
さあ!ついてきてください・・・。
まずその「じげん」。
HPからです。
設立は2006年なのですね。
ということはまだ16年しか経っていません。
しかし、東京証券取引所・市場第一部ですね。
本社は虎ノ門ヒルズ。
この方が社長の平尾丈氏。
真面目そうな感じですね。
パッと見て何だかよくいそうな「銀行員」みたいですね。
とにかく若い。
1982年11月25日生まれ。
現在39歳ですね。
慶応義塾大学環境情報学部卒。
でも在学中に2社のITベンチャーを立ち上げ、
軌道に乗せます。
卒業後はリクルートに入社。
まあ、「鳴り物入りで」リクルートに入社したのでしょう。
ここですぐ思い出しますね。
リクルート出身の上場企業の社長。こちら
北の達人コーポレーションの木下勝寿社長。
彼もビジネスを学ぶためにリクルートに
入社したのですね。
しかし、この平尾社長はすぐ頭角を現します。
23歳で「じげん」の前身となる企業を設立。
25歳でその会社の社長に。
これ聞いてお驚きますね。
ここで学びます。
「ビジネスを若くして学ぶにはリクルート」
ですね。
何処の企業に25歳で社長にしてくれる会社が
あるのでしょうか?
その後30歳で東証マザーズ上場です。
35歳で東証一部への上場を実現しました。
2021年3月時点では連結売上高は
125億円。
グループ社員は700名。
「へ〜!」
素直に驚いてください。
ではその「じげんの秘密」についてせまりたいと思います。
ぜひ「起業家の思考法」を学んでください・・・。
その2 「別解力」とは何?
ではまず、この本の主題である「別解力」から。
まず冒頭で教育問題です。
よく言われていることですが、
「偏差値教育の弊害」をまず挙げていますね。
「知識が正確に覚えられているかを測定する試験に
慣れすぎている」
これではダメなのだそうです。
「ほとんどの学校のテストは問題をつくる人が決めた答えを
当てていく作業なので、正解が決まっています」
この本には全く書いていないところですが、
すぐ思い浮かぶのが、TBSの番組「東大王」ですね。
偏差値教育の最高到達地点が「東京大学」なのですね。
東京大学の方はとにかくクイズが得意なのです。
何といっても知識が豊富・・・。
「へ〜。すごいな!」
本当に尊敬の目で見られますね。
「ウチの子もやはり東大に入れなければ・・・」
多くの教育ママがこの番組見て思うのでしょう。
だからこういう出演者たちが、これから優れた経営者になるか
というとそうではないのですね・・・。
(これは平尾社長が言っているわけではありませんし、
私が東大生をやっかみで言っている訳でもありません。)
平尾社長の小学生時代での体験。これが面白い。
子供の頃、公文式のプリントをよく解いていたようです。
(ウィキペディア情報によると、母親が公文式のFCを
経営していたようです)
そうすると学校の試験は簡単にできるようになります。
たぶん、もともと頭の良い小学生だったのでしょう。
そうなるとテストの時間で
「教えられた方法で正解を出すよりも
みんなと異なる方法で答えを導くこと」
に楽しみをみつけだしたのです。
しかし、先生から返却された解答はバツ。
「どうしてこれがバツなんですか?
その理由を納得できるように説明してください。」
なかなか生意気な小学生ですね。
先生のバツを付けた理由は
「学習指導要領に載っていないから」
まったく納得ができなかったようです。内容はよくわからないところですが、
小学生で習う算数の問題を中学生で習う「連立方程式」で解答したのでしょうか。
「じゃあ同じこと書いても、習っていない小学生はバツで
中学生になって習ったらマルになるのですか?」
結構食い下がりますね。
だんだん先生と仲が悪くなったり、それこそ問題児として
扱われるようになったそうです。
「小学生ながら、思考の自由を奪われてはいけないと考え
ずっと戦ってきました」
ココがすごいところですね。
「先生の言う通り正解を出すことに軌道修正していたら、
いまの平尾丈はいません」
ハッキリとそう書いてありました。
そうなのかもしれませんね。
平尾少年が先生の言うことを聞く素直な子だったら
優れた経営者にはならなかったのでしょう
きっと東大に入って「東大王」になっていたかもしれませんから・・・。
(何か東大生にやっかみを感じているようでスイマセン・・・)
その3 芸人になることと起業することは同じ!?
ここで教育問題を取りあげ
「東大をピラミットの頂点とする知識偏重の偏差値教育」
に問題提起している訳ではないのです。
起業家にとって必要な「別解力」をぜひ学んでください。
ではその「別解力」を、さらに深堀りしていきます。
「別解力」とは
『自分で問題や課題を発見し、その答えのない問いに対して
自分の持っている知識や経験を活用して、
自分なりの答え(=別解)を見出していく力』
なのですね。
ここで今更説明するまでもないと思いますが、
「別解力」が必要とされているのは、
情報化のさらなる進展、SNSなどの個人メディア化、
ロボット化、AI化などによって
「誰もが思いつく実現可能な選択肢」を選んでいるだけでは
どんどん人自身が無価値になってきているからなのです。
分かりやすく言えば、ビジネスの世界では
「誰もがやらないような、より創造的な打ち手を繰り出さなければ
勝負にならなくなってきている」
というのです。確かにそうでしょうね。
平尾社長は分かりやすい図で表現しています。
「優れたやり方」とは世の中に
「大きい、多い、早い、安い、高い」など
受け入れられるやり方ですね。
でもそれだけではダメなのだそうです。
これは分かりやすいですね。
ではその「別解力」を身につけるためにはどうするのか。
これは勉強になりました。
平尾社長は
「学生時代に起業していた頃は、毎日ビジネスアイデアを
三つ考える時間を作り、訓練を重ねました」
なかなかこういう学生はいないでしょうね・・・。
このヒントは
「ソフトバンクの孫社長も毎日一定の時間を充て、
必ずひとつはアイデアを出すことを続けた」から。
孫社長に見習って、しかも負けないように3倍の努力を
してきたというのです。
これにより、そのアイデアを書き留めたメモ帳が
「芸人さんが持っている『ネタ帳』のように」
なったというのです。
「そんな誰もがアイデアを考えつけるの?」
まずそう思いますよね。
でもそれなら
「芸人さんがいつでも面白いことを言えるのはなぜ?」
と考えたことはありますか?
やはりどんな芸人さんでも「ネタ帳」は持っていて
常に考えているそうです。
日々面白いことを考え、それをネタ帳に書き写しながら
それをさらにブラッシュアップしていく・・・。
日々のトークの中で、その整理されたネタが
場面に応じて自然と出てくるようになるのです。
では、
「芸人になることと起業することは同じですか?」
と突っ込まれそうですが、
ここは正直勉強になりました。
平尾社長から教わったのです。
ある意味同じなのでしょう。
ただその別解を引き出すやり方が、実にこと細かに
書いてありました。
なんと「31のヒント」もありました。
それを全部書くと著作権に触れそうですから
ぜひ読んでみてください。
申し上げたいことは、
これから起業したい方は
ぜひ「ネタ帳」を毎日つけてください・・・。
その4 「昭和ガンバリズム」の終焉
(テレビCM『ヒラメ筋』より)
「別解力はコロナ後の目指す方向だ!素晴らしい!」
とご理解いただけたでしょうか。
でも、そう思ってもそろそろ反撃をされるのでしょうね。
会社で若い社員から
「別解力が大事です。もっと当社らしく個性を出しましょう!」
というと上司、つまり私のような「昭和オジサン族」から
「だから若い奴はダメなんだ!
いままでこうして頑張ってきたから
ウチは伸びてきたんだ。
何もわかっていない!」
そう怒られるのがオチなのでしょうね。
つまりそういうオジサン族は
「みんなと同じことをオペレーティブやった方が伸びる」
という高度経済成長期の成功体験が忘れられないのですね。
もっと具体例が出ていました。
私のような昭和オジサン族はうれしくなるような例です。
まさに「昭和ガンバリズム営業」!
「1日に10件のアポイントを入れ、これを20日間続けば、
1か月に200件のアポイントが達成できる。
その歩留まりを考慮して受注する」
1か月の受注数を倍にしたければ、1日に20件のアポントを入れるか
人員を2倍にすればいい・・・。
昭和の上司が必ずいう言葉ですね。
「営業はヒラメ筋が大事。靴底減らしてどれだけ
訪問したかが大事なんだ!」
私も40年近く前の営業マンだった頃は
「電話の本数と訪問件数が営業の数字につながる・・・」
怖い営業部長からよく怒られたものです。
「そんな昭和のやり方古いのではないですか!」
さすがに昭和の怖い営業部長には言えないのでしょうね・・・。
つまり、「社内や業界でトップを取った人」は
別解を使わず、『必死に頑張ったから』勝てたのです。
悲しいかな、別解を理解できる上司は、なかなか周りにはいないでしょうね。
上司が怒れば怒るほど
「別解は誤り、もしくはリスクが高いと思われてしまう」
そうなのでしょうね。
営業部長から怒られるくらいなら、
皆と同じように朝から晩まで営業電話をかけて
靴底すり減らして訪問するしかないのでしょうか。
「みんなと同じ方が心地良い、考えない方が楽だ。
違うことを自分一人で主張するのは面倒くさい・・・」
今の若者は皆そう思うのでしょうか・・・。
平尾社長は
「マイノリティ」と「マジョリティ」という言葉で
分かりやすく解説していました。
「マジョリティに安住している人は、周囲の流れに乗ることが
楽で安心できると思っているかもしれないが、それは間違い」
「マジョリティではなくマイノリティを目指すべし」
確かにこの「マイノリティ」を評価してくれる会社でなければ
「別解力」を主張しても存在意義がないのです。
もしくはこの「別解力」を重視する社長さんに出会うしかなさそうです。
いっそ、じげんにでも転職するしか手はなさそうな気もします・・・。
その5 正解などまだ銀河にもない
「別解力」ばかり説明していましたが、
平尾社長の主張する「起業家の思考法」は
5つあります。
別解力のまえにまず問題を見つける「発見力」ですね。
「実現力」は当然必要でしょう。
さらに「成長力」も・・・。
一つ一つは説明しません。
ここで大事なのは「発見力」でしょう。
そもそも
「目的を達成するために、解くべき問題を発見する発見力」
が必要であるのは分かるでしょう。
ここでピータードラッガーの名言をあげています。
「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを
出すことではなく、間違った問いに答えることだ」
問題に対する立ち位置が間違っていると、最初からある程度
失敗することが決まっているのですね。
それもそうでしょう。
さらに
「問いは人によって異なる」
「問いは環境とともに変化する」
「問いは作業を進める中で進化する」
これも大事でしょうね。
ここでいう「人」とは、サラリーマンであれば上司も入ります。
とんでもない上司に使えると、無駄な「問い」に答えることに
なりますからね・・・。
さらに「人」には当然クライアントも含まれます。
常に「問い」は変化していくので、それを転換させていく力が
大事なんだそうです。
一般論だけでは分かりにくいですね。
具体的に考えてみましょう。
「このコロナ後のわが社の営業はどう変わるべきか?」
そんな「問い」を考えてみたら分かるでしょうね。
クライアントがどう変わるかによって当然変化するでしょうし、
社長や上司に考え方にもよるでしょう。
「ウクライナ情勢の後の平和に対する考え方はどう変わるか?」
そんな「問い」もあるでしょうし、それに対するビジネスの変化・・。
いろいろ「問い」はあるかもしれませんが、
「無駄な問い」を考えている暇もないのでしょう・・・。
言えることは、コロナ後やウクライナ後はまた
世界が大きく変わろうとしているのですね。
まさに「正解がない時代」に突入してくのですね。
昭和のオジサン族では経験もしたことなのない新しい時代に
こういう起業家の思考法は役に立つと思うのです。
我々オジサン族も若い起業家の考え方に学ぶべきところも
あると思うのです。
最後に昨日テレビ見てはっとしたことを
書いて終わりましょう。
絶対オジサン族には知らない子とですから・・・。
今の中高生に圧倒的支持を受けているバンドに
RADWIMPS(ラッドウィンプス)という4人組の
バンドがいるのですね。
数年前にアニメ「君の名は」で大ヒットしましたからね。
その「正解」という歌ですね。
あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ ♪
そのせいだろうか 僕たちが知りたかったのは ♪
いつも正解などまだ銀河にもない ♪
あぁ 答えがある問いばかりを 教わってきたよ ♪
だけど明日からは 僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ ♪
また逢う日まで ♪
また若い方から教わりましたね。
コロナ後の生き方です。
答えがある問いはないのです。
「僕だけの正解をいざ 探しにゆくんだ!!」
(がんばれ! 別解力シリーズ おしまい)