その1 米中の巨大テクノロジー企業
GAFA(ガーファ)とBATH(バース)のお話です。
GAFAというのはご存知でしょう。
米国のグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンですね。
このブログでも何でか出てきましたね。
ではBATHはご存知ですか?
昔阪神にいた強打者ではありません!(あれはBASS!)
正直に書きます。すいません。私は良く知らなかったのですね。
中国のバイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ。
なかなか中国企業はなじみがないですからね。
米国はともかく中国企業の4社がもはや巨大テクノロジー企業と
なっているのです。
GAFAが世界を動かしているのは何となくわかるでしょう。
でも「この米中の巨大テクノロジー企業8社が世界を動かしている。」
といわれたらどうでしょう?
日本ではなく、中国の巨大テクノロジー企業もグローバルに
活躍しているということなのです。
正直驚きですね。
「日本企業は入っていないの?」
まずそう突っ込みたいですね。
「楽天はどうした?」
「それ以外は??」
本当にそこなのですね。
GAFAのうちグーグルについてはよくいうネタですが、
「グーグルの創業年は1998年。吉田信康税理士事務所も1998年」
わずか20年ほどで世界的な企業に成長したのです。
日本では、吉田信康税理士事務所はともかく、(当たり前ですか・・)
グーグルほど世界的規模に成長した企業はないということなのですね。
何だか悔しくないですか?
著者は田中道昭氏。
立教大学の教授です。
この教授は上智大学卒業後、三菱UFJ銀行、バンクオブアメリカ証券に
勤務後企業経営もされています。
「大学教授×上場企業取締役×経営コンサルタント」
という異色のの方。
テレビ出演も多数のなかなかのタレントです。
巨大プラットホーム企業を学ぶと世界が見えてきます。
しかし、最近多いですが自分の「不得意分野挑戦シリーズ」です。
ご一緒に勉強していきましょう・・・。
その2 5ファクターメソッド
ではその世界を牛耳る8社をこれから見ていくのですが、
この本の面白いところは、その分析手法。
「5ファクターメソッド」という手法です。
中国の古典的戦略論である「孫子の兵法」に基づいたもの
らしいです。
「そんな古い戦略では・・・。」
とつい突っ込みたくなりますが、ソフトバンクの孫会長も影響を
受けていると言われているそうです。
孫子は
「戦いをデザインするにあたって、『道、天、地、将、法』の
5項目が戦力の優劣を分析するカギである」
としているのです。
これを企業経営戦略にそのまま応用しています。
なかなか面白いです。
ではその5つをご紹介しましょう。
「道」とは、
「企業としてどのようにあるべきか」というグランドデザイン
のことです。つまり、企業の「ミッション」ということですね。
企業のトップから従業員までがミッションを果たすことを
常に念頭に置いているかをチェックすることで、その企業の強みや弱みが
見えてくるそうです。
「天」とは、
外部環境を踏まえた「タイミング戦略」のことです。
もっと分かりやすく言うと、
「どれだけ時流に即してスピードを持って対応できるか」
ということです。
「地」とは文字通り「地の利」ということです。
孫子は、戦地が自陣から遠いのか近いのか、広いのか狭いのか、
山地なのか平地なのか、自軍の強みを生かせるのか、そういった
環境に応じて戦い方を変えるべきだといっているそうです。
この戦略をビジネスに応用することなのです。
この本では、「事業領域」として説明しています。
「将」と「法」は、
戦略を実行に移す際の両輪です。
経営学で言えば、「リーダシップ」と「マネジメント」の関係にあたるのです。
「将」については、この本では、「各社トップのリーダシップ」について
説明しています。
「法」については、「事業構造、収益構造」について説明しています。
なかなか経営コンサルタントらしいアプローチ方法ですね。
これはどんな企業にも当てはまるのでしょうね。
参考にしてみてください・・・・。
その3 アマゾンの最先端の動向
まず最初にアマゾン。
アマゾンは以前成毛さんの本で徹底的に研究しましたね。こちら
これはすっと理解できました。
しかしこの田中教授はアマゾン研究をかなりしているそうです。
「長年にわたってペゾスの動画や発言をフォローし、
同社サイトでプレスリリースのチェックもかかせません・・・」
本当に最先端のアマゾンの動向がわかります。
ではアマゾンの「道」、ミッションですね。
これは「地球上で最も顧客第一主義の会社」
すばらしいですね。
「顧客第一主義」を掲げている企業は確かに多いです。
でも「地球上で最も」なんて言える会社は
このアマゾンくらいでしょうね。
不適切販売で今問題になっている日本郵政に
聞かせてあげたいくらいですね・・・・。(!?)
でもここで肝心なことは、アマゾンがいうところの「顧客」は
アマゾンのサイトで本を買うような一般的な消費者に
限らないということなのですね。
ここを理解することが大事なのです。
アマゾンの顧客とは
「消費者、販売者、デベロッパー、企業・組織、
コンテンツクリエーター」の5つが顧客なのです。
つまり、消費者というのは「B to C」サービスですね。
残りの「販売者、デベロッパー、企業・組織、コンテンツクリエーター」
はまさに「B to B」サービス。
ではアマゾンの「天・地」。
近年に目覚ましいAIの発達はまさに天の時ですね。
そのビジネスチャンスを最大限生かすべく、
「エブリシングストア」から「エブリシングカンパニー」へと
どんどん事業領域を急拡大していっています。
これにより、「アマゾン・エフェクト」という恐ろしい言葉が
生まれているそうです。
アマゾンが事業領域を拡大すればするほど、業績が悪化する
企業が増えてくるそうです・・・。
アマゾンの将は言わずと知れた、ジェフ・ペゾス氏。
世界最高の経営者でしょう。
この方が常に繰り返しいっている言葉が「DAY1」。
「DAY1」とは「創業日」ということです。
またそれに対比する言葉として「DAY2」もよく言うそうです。
「DAY2」とは日本語で言えば「大企業病」
何となくわかりますね。
「今日がアマゾンにとって創業日だ」と言い続けているのは
大企業病から免れようとしているのです。
スタートアップ企業的なDNAが消えてしまえば、
破壊的なイノベーションを継続できなくなるという危機感を
常に持っているからなのですね。
ジェフ・ペゾス氏は本当に恐ろしい経営者だと思いませんか・・・・。
その4 アリババといえばアリペイ
次にアリババ。
アリババというと子供の頃に読んだ「アリババと40人の盗賊」を
思い出しますね。
この奇妙な社名の会社は1999年創業。
グーグルと吉田事務所の誕生した翌年ですね。
アマゾンと同様にEコマースから発展した会社ですが、
特定の分野ではもはやアマゾンをもはや凌駕しているのですね。
特に「金融事業」。
アリババといえば「アリペイ」。
「・・ペイ」というと今まさに日本で浸透しつつある「セブンペイ」や「ファミペイ」
を思い浮かべますね。
まさにそうなのです。
もはや中国では浸透しきっているのですね。
大都市圏ではアリペイでなければ支払できないショップも
珍しくないそうです。
なぜこれだけ浸透したかというと、
まさに「フィンテック」。これは勉強になりますね。
どういうことかというと、アリペイのスマホアプリで簡単に資金を
MMF(マネー・マケット・ファンド)に移動できるように
なったからです。
わずか4年間で資金が世界最大に膨れ上がり、
210億ドルまで増加したというのですから驚きです。
これは日本でも真似できそうですね。
「タダみたいな」金利の普通預金でなく、高利の投資信託に簡単に
資金移動できたら爆発的に資金が集まるでしょう。
アリババグループの一員である銀行、証券、保険などもあるそうで、
すべてこのアリペイのアプリから使えるのです。
しかも、このアリババ2016年からスーパーマーケットを
展開しています。2018年7月時点で中国国内で64店舗。
特長は、会員制のスーパーで、利用するにはスマホアプリで
会員登録が必要なことです。
面白いですね。
もちろん、支払いはすべてアリペイ。
来店客は、店頭の決済端末に向かってスマホのQRコードを
読ませるだけ。簡単で便利ですね。
しかも驚くべきことは店舗から半径3キロ以内から
無料配達なんだそうです。
これはよいですね。
爆発的人気となり、一店舗の売上が年間50億円にもなっているのですね。
でももともとアリババというのはEコマースから出発した会社ですよね。
そのせいか、ここが一番驚いたのですが、6割がオンライン経由。
このネットスーパーはまだ赤字らしいですが、
何を狙っているかというと顧客情報。
アリペイで風上から風下まですべて押さえているですから、
これをAI技術により分析したらどうなると思いますか?
例えば在庫を持たないで商売もできるのです。
つまり、まったく次元の違う小売ができるのですね・・・。
「アリババと40人の盗賊」は結構恐ろしい物語だったと記憶していますが
それ以上に恐ろしいのが、本家のアリババです・・・。
その5 アップルとファーウェイ
次にアップルとファーウェイ
お分かりの通り、両社はスマホの会社ですね。
グルーバル市場でのスマホ出荷台数は、2018年第3四半期で
韓国サムスン電子が約20%で1位。
次に2位がファーウェイで15%、3位がアップルで13%。
第4四半期では、サムスンが18.7%で1位。
次に2位がアップルで18.2%、3位がファーウェイで16.1%。
これで分かる通り本当にしのぎを削っているのですね。
しかし、アップルとは昔、「アップルコンピュータ」という社名で
まさにマッキントッシュ(MAC)のコンピュータのメーカーだったのです。
それが2007年にiPhonの発売により、劇的に変わったのです。
2018年8月に、世界企業の中で初めて時価総額1兆ドルを突破したのです。
世界で一番企業価値が高い会社になったのですね。
どうしてか分かりますか?
iPhonが高くても売れるからですね。他のアンドロイド・スマホは
安売り競争していますが、iPhonは「言い値」です。
それとアンドロイドではなくiOSを搭載しているところも
その利益の源となっているそうです・・・。
ただこの田中先生はスマホに関してはあまり興味がなさそうです。
力説しているのが、アップルではなくファーウェイ。
ここは勉強になりました。
ファーウェイはスマホ事業はやっているのですが、
実はファーウェイは
「世界最先端のテクノロジーを誇るハードウェメーカー」
だということなのです。
特に移動通信設備は世界ナンバーワンの座にあります。
驚くべきは毎年巨額の研究開発費を計上しています。
2017年の年間の研究開発費は1兆4800億円!
これはアップルやトヨタの研究開発費を上回るレベル。
著者も正直に書いていましたが、
「中国メーカーは海外の真似してばかり」
というイメージが強いですが、実はまったく違いのです。
またファーウェイを理解する上で重要なのは、2020年に
商用化が見込まれる次世代移動通信規格「5G」。
現在の「4G」にくらべてユーザーの体感速度は100倍にも
なると言われているのですね。
「映像配信」くらいで活躍するのかと思うくらいでしょうけど、
これから行われてくる車の「自動運転」にはこの5Gが
かかせないそうです。
となると、このファーウェイが世界的な規模で脅威となってくるのでしょう。
それを一番脅威に感じているのがアメリカなのです。
日中貿易戦争の背景がこれで一つ分かるような気がします。
2018年12月、ファーウェイの実質的経営者の娘のCFOが
米国の要請でカナダ当局により逮捕されましたね。
単なる「スマホの市場争い」だけではないのですね。
5Gの世界は2020年から。
つまり来年から起こる世界の劇的変化を見据えているからなのです・・・・。
その6 フェイスブックとテンセント
次にフェイスブックとテンセント
フェイスブックはお分かりですね。
私もかなりのヘビーユーザーですから。
世界でどれくらいの人がこのフェイスブックを使っているかというと
2018年12月時点でなんと23億2000万人。
すごいですね。
図は2017年と少し古いですが、
フェイスブックがSNSの雄と言われる理由を示すものです。
1年前の利用者は20億7200万人だったのですね。
1年で3億人も増えていることが分かります。
しかも、2番目の「ワッツアップ」も2014年にフェイスブックが
総額218億ドルもの大金を投じで買収したもの。
「メッセンジャー」と「インスタグラム」もこれもフェイスブックの
もの。
ということは世界のベスト5のうち4つもフェイスブックなのですね。
因みに、4番目のウィーチャートは次にご紹介する
テンセントの運営。
フェイスブックがいったい何をして儲けているかというと
広告収入ですね。
フェイスブックを使っていて、何が一番「うっとうしい」かというと
確かにこの広告。
「タダで使っているから仕方がないか・・・」
と諦めていますが、その広告は
「フェイスブックユーザーのデータに基づいて最適化」
されているというのです。
ところでテンセントは「中国のフェイスブック」と呼ばれているそうです。
正直この会社の存在自体知らなかったのですが、
これも勉強になりました。
SNSを起点に、幅広い事業展開をしています。
ゲーム等のデジタルコンテンツの提供
決済などの金融サービス
AIによる自動運転や医療サービス
アマゾンのAWSのようなクラウドサービス
アリババと真っ向う勝負する「新小売」の店舗展開
何だかよく分からない会社ですね。
一言でいうと「テクノロジーの総合百貨店」なんだそうです。
ただ収益構造から見るとやはりSNSが主体なのです。
図で見ると10億人のユーザーを対象として事業展開を
しているのです。そのうち多いのが65%は課金収入。
つまりSNS内で展開するゲームの課金。
ということはテンセントはゲーム会社となるのですね。
あと17%は広告収入。
でもフェイスブックとの対比で考えると実に面白い会社です。
何かここにヒントがあると思いませんか・・・・。
その7 イノベーションのグーグル
次にグーグル。
ずいぶん前にグーグルは勉強したので分かっているつもりでしたが、
やはり、「正解で一番」イノベーションを起こし続けている会社ですね。
まず、2015年に、グーグルが持株会社アルファベットを設立しました。
その持株会社の参加には、グーグルとしての検索部門と
その他の部門(賭け部門)があるそうです。
グーグルはもちろん検索事業で収益を伸ばしてきて、
現在も収益の柱です。
検索サービスの他に、Gメールやグーグルマップ、
ユーチューブなどのサービス、ウェブブラウザサービス(クローム)、
スマホ向けOS「アンドロイド」などのクラウド事業。
これらは皆分かりますね。
一方で「その他の賭け部門」には、いろいろあります。
自動運転車開発プロジェクトを手掛けるウェイモ。
スマートシティ計画を展開するサイドウォークラボ。
アルファ碁を開発したAI企業ディープマインド。
なんだか分からなくなってきましたね。
ただアルファ碁のお話は私も何度も取り上げたので
唯一分かってはいます・・・。
こんなよく分からない方向を打ち出したのには理由が
あります。
2016年開発方針を
「『モバイルファースト』から『AIファースト』」
に転換したからなのです。
特にこのAI技術を優位に活用できるのが「完全自動運転」。
2016年にウェイモを設立して、2018年2月までに
公道で行った試験走行が実に800万キロ!
2018年12月にアメリカで、自動運転のタクシーを
ついに世界で初の商用化をスタートさせています。
さらにAI用半導体の自社開発にも乗り出しています。
・・・しかしグーグルはここ数年でどんな会社に
生まれ変わるのでしょうか。
本当に恐ろしい会社ですね。
ではここでグーグルの行動指針。
10の事実と言われるもの。
ここでは解説しませんが、この行動指針はグーグルで働く人の
全ての行動指針になっているそうです。
じっくり読むとなかなか良いことがかかれていますね。
「悪事を働かなくてもお金は稼げる」
なんて吉本興業の行動指針にしてほしいですね・・・・!?
その8 グーグルのOKR
グーグルのOKRというものもご紹介しておきましょう。
筆者は、このOKRにより、
「グーグルがイノベーションを起こし続けている理由は、
大胆なビジョン、野心的な目標を実現する手段として、
このOKRが機能しているから」
と述べています。
こういうことを言う方を初めてお聞きしました。
そのOKRとは、
「『目標Objectives』と『主要な結果Key Rezult』の
頭文字を取った言葉」です。
つまり、
「社内のあらゆる組織が、同じ重要な課題に全力で取り組むように
するための経営管理手法」
のことなんだそうです。
何だか難しそうですが、これで結果を出しているのです。
その理由は、
「OKRの大きなメリットは仕事の優先度がクリアになること、
また達成度合いの評価を全社で共有するため、透明性が高まる
という効果がある」
からなんだそうです。
このOKRにより、2008年に開発された「グーグル・クローム」は
ブラウザ市場にゼロから算入し、2009年にそのOKRが
5000万人に設定、さらに1億1000万までその目標が高められ
達成したのです。
現在ではクロームの利用者は10億人を超えると言われています・・・。
グーグルでもう一つご紹介したいのが、「マインドフルネス」。
これはグーグルの象徴と言われるらしいです。
「マインドフルネス」というと「禅の瞑想」を指す人が多いのですが
グーグルでは、これをプログラムとして取り入れているのです。
なんだか先日学んだ、佐宗氏の「デザイン思考」を思い出しますね。
世界最先端の企業でもこのようなことをやっているのですね。
社員の研修において、
「EG(情緒的知能)育成プログラムとしてマインドフルネスを
取り入れていて、そのプログラムは『サーチ・インサイド・ユアセルフ』
(己の内を探れ)と名づけられているのです。
グーグルを見ていると令和の新時代が見えてくると
思いませんか。
取りあえず、吉本興業の社長・社員・タレント全員で「マインドフルネス」を
やってもらいたいですね・・・・・。
その9 バイドゥはグーグルの「完全コピー」
では最後にバイドゥです。
グーグルに対抗する世界第二位の検索の会社です。
知らなかったのですが、中国ではグーグルが使えないのですね。
グーグルは中国政府からの検閲を嫌って、2010年に
中国市場から撤退しているのです。
すごい国なんですね。
そうなるとグーグルのいない中国の検索市場では、
当然バイドゥの一人勝ち状態になっています。
ただよく言われているらしいのですが、
「グーグルの検索サービスをただコピーしているだけ」
その後の事業展開もグーグルに酷似しているそうです。
でも真似でもなんでもそれでも売上を伸ばし、
利益を確保しているですからすごいと思いませんか?
2017年の売上高は130億ドル。
利益は240億ドルもです。
なぜ日本でも「真似してやろう!」という会社が
いままで現れなかったのでしょうか・・・。
ただバイドゥの時価総額は、2019年3月8日時点で
571億ドルです。
BATH4社のうち、アリババ4537億ドル、テンセント4208億ドル
に比べたらかなりの差ですね。
ここ数年ネガティブなニュースが続いているので、
株式市場での評価につながっているそうです。
そこで起死回生を期して勝負をかけているのが「自動運転を含めたAI事業」。
グーグルも自動運転に取り組んでいるはご紹介したとおりですが、
これもまさに「真似・経営」。
まずグーグルがやっているように、「検索の利便性を計るAI」。
さらに2017年、音声AIアシスタント「デュアOS」を発表。
これは話しかけるだけでAIにアシスタントしてもらえるもの。
分かりますね。まさに「バイドゥ版アマゾン・アレクサ」
本当にどこまでも「真似・経営」。
しかし、自動運転プラットフォーム「アポロ」というのがすごいです。
まさにアメリカの「アポロ計画」の真似。
これは中国政府から委託を受けているのですね。
実は国家戦略。
「2030年には人工知能の分野で中国が世界の最先端になる」
と中国政府が宣言しているからです。
驚くべきことが記述されていました。
「2018年に自動運転バス商業化をスタートさせた」
のですね。
中国では自動運転バスが本当に走っているのです。
その点ではグーグルが2018年12月にようやく、
自動運転タクシーを限定的な条件のもとでスタートしたばかりですからね。
バイドゥの強みはこれが「国策プラットフォーム」という点です。
恐るべしバイドゥ・・恐るべし中国・・・。
その10 日本企業はどうする?
このシリーズもついに「その10」。
熱く語りすぎましたか?
でもこれだけ熱弁する理由がこの本にはあるのです。
世界のインターネット業界は、このGAFAとBATHの8社が
間違いなく動かしているのです。
もっと言えば、米国主導と中国主導の二つに分断されているのです。
ここで正直書くと、中国企業がこれほどまで進化しているのを
脅威に感じませんか。
なぜこの8社がこの短い期間で急成長を遂げたのか。
これをぜひ参考にしていただきたいのです。
田中教授は
「ミッションが事業を定義し、イノベーションを起こす」
と結論づけています。
ミッションとは孫子の「道」でしたね。
8社の「道」はそれぞれ違います。
アマゾンは顧客志向。
グーグルやアリババは社会問題解決思考。
アップル、フェイスブック、テンセントは新たな価値提供志向、
バイドゥとファーウェイは技術志向。
でも、8社共通点があるのです。
プラットフォーム志向であること。
ビックデータ×AI志向であること。
それぞれの分野でデジタルトランスメーション(DX)を
先導していること。
カスタマーエクスペリエンスを最重要視していること。
何かここにヒントがあると思うのです。
ただ一方でこの8社への強い逆風が世界的に起こっているのも
事実です。
プライバシー問題などデータ規制包囲網がでてきていますね。
私なんかfacebookの広告が実にうっとおしく感じていますから。
自分の閲覧履歴など勝手に第三者に売られていることに反感すら感じています。
税務的に見ても「デジタル課税」についても国際税務の重要課題に
なっています。
どうなろうと、この米中のメガテック企業のビジネスそのものに
目を向けることは必要だということです。
では、日本人や日本企業はどうこの8社と戦っていくのでしょうか。
最後に面白い絵を見せて終わりましょう。
「孫子の兵法」の全体構造です。
「戦わずにして勝つ」ということが孫子の兵法の本質
なんだそうです。
ただ単に傍観して「戦わずにして勝つ」というのは
不可能だと筆者も言っています。
メガテック企業のデジタル化、ネット化、無店舗化等の戦略に
対してどう戦うかを考えていくことなのです。
例えば、信頼、信用、社会性、持続可能性、プライバシーへの配慮など
本来は日本人が美徳とするところなのです。
こういうところにも何かヒントがありそうです。
本当にこの本は勉強させていただきました。
ありがとうございました。
(日本のメガテックもがんばれ!シリーズ おしまい)