その1 プレゼンの極意をたった1400円で
今朝は1億人が皆サッカー評論家になっていますね。
「夕べのサッカーを1分で話せ」
と言われたら・・・??
アマゾンの連続ランキング1位を見て速攻買いです。
何かあるから売れているのですね。
1分で話すとなると、たぶん「結論から話せ」ということかな・・・。
何となく想像つきますが、やはり読むと違いますね。
なかなか参考になります。
本当に、プレゼンの極意を教わることができましたね。
個人的には私は営業マンではないので、プレゼンをやる機会は
まずありません。
ただ税金や会計の講師をやることがあるのですね。
話し方や説明の仕方を結構意識してやってきたつもりです。
そういう私でも
「なるほどそうか・・・」
納得することは多かったです。
まず著者は伊藤羊一氏。1967年生まれですから50歳。
東大卒後旧日本興業銀行に勤務ですからエリートですね。
2015年からヤフー株式会社でYahoo!アカデミアの学長を
務めているそうです。
2011年にソフトバンクの孫正義社長の発案で、
孫社長の後継者を育てるという
「ソフトバンクアカデミア」
があったのですね。
その最終選考まで残って、孫社長の前でプレゼンし合格!
すごいですね。
ということは孫社長の将来の後継者候補でもあるのでしょうか・・・。
まさにプレゼンのスペシャリストなのですね。
そんな極意がたった1400円で手に入るのですから
読書はやめられないのですね・・・。
この本がこれだけ売れている理由はこれも想像がつきますね。
たぶん多くの事業会社で
「この本を読んで来週この本で得たことを1分でプレゼンしなさい」
と新人教育に使われているのではないでしょうか・・・・。
その2 相手はどんな人か
ではその極意を。
伝える前に、つまり話す前に、「相手はどんな人か」
をまず考えるのだそうです。
これはすごいですね。
1. どんな立場の人なのか?
2. 興味は何か?
3. 自分には何を求められているのか?
4. テーマについて理解していることは何か?
5. 何に対してネガティブか?
ここまで分析するのですね。
わずか1分で伝えなければならないのですが、
事前準備をこれだけしっかりするのですね。
「1分で話す前に準備を10分」
とまでは書いてはありませんが、
これだけのことまでを考えるのですね。
となると初めて会う人にプレゼンするときは
困りますね。
どうするかというと、
「社外で講演する時、始める前に可能な限り聞き手の方々と
コミュニケーションをとり、聞き手との距離を縮めておく」
ということを良くやっているそうです。
また社内でプレゼンするときはどうするかというと、
「上司に何か提案する際には、事前に可能な限り
『こういう話をするんだ』という情報を細切れで
投げ続け、『心の準備』をしてもらう」
ということまで。
このお話なんかサラリーマンの処世術として大事ですね・・・。
それで最後に一番大事なことは、
「ゴールは何か」
コレです。
相手に「プレゼンの内容を理解してもらう」ということは
決してゴールではないのですね。
この点はこの本の最重要ポイントですね。
「理解した上で何をしてほしいのか」
ここなのですね。
プレゼンして相手が動いてくれなければそのプレゼンの意味がないのです。
つまり、プレゼンは単なる「お勉強会」ではないということなのです。
相手が動くためにできることはすべてやりきるのです。
もちろん、そのために事前準備をやりきるのですね。
「1分の準備を10分どころか100分くらいする」ということなのでしょう・・・。
その3 ピラミッドで考える
この本の最大のポイントですね。
このピラミッドのような図を
「ピラミッドストラクチャー」
というのだそうです。
1分で話せない人、サッパリ伝わらない人は
「てっぺんのないピラミッド」
になっているからなのです。
「Aさんもいいと言っていました。」
「お得意さんも喜んでいました。」
「実際に数字も上がっています。」
で終わる人も多いのです。
聞いている人は
「それで??」
「あなたは何が言いたいの?」
となりがちになるのです。
結論を先にそれから根拠を示すということなのですね。
結論と根拠の意味がつながっていることが当然大事。
これは「ロジカルシンキング」の基本なのだそうです。
さらにプレゼンで
「理由は3つあります」
というテクニックを薦めています。
例えばコレ。
「私は田中さんと仕事がしたい」
という結論があって3つの根拠を述べるのですね。
「理由は3つです。」
という根拠を示せば聞き手も納得するのです。
プレゼンの際にその3つをメモさせることも
大事なテクニックです。
聞き手がその根拠を3つ聞いたら考えますよね。
「結論はこういうことだな。」
「そしてその根拠が3点あって、それぞれこういうことだな。」
とそのピラミッドの骨組みを伝えていけばいいのだそうです。
つまり、プレゼンというのは
「自分が伝えたいことを『伝えていく行為』ではなく、
相手の頭の中に、自分が伝えたいことの骨組みや中身を
『移植していく』作業」
なんだそうです・・・。
その4 小学生でも納得させるには
A 分析したのですが、Aはこんな状況で
Bこんな状況なのです。
B 現段階ではAのプランを優先させるべきです。
さあ! どちらが伝わるでしょうか?
もちろん、Bの「結論を先に」ということなのですね。
では「結論を先に」ということはどういうことなのでしょうか?
これは勉強になりましたね。
Aは結論のない「てっぺんのないピラミッド」なのです。
でもBは言いたいことは分かるのですが、根拠がないですよね。
よって、現実には
Bのようにいって、「Aの方が○と×と△の点で優れています」
となるのでしょう。
ここで大前研一さんの例えが紹介されていました。
「知識とはすでに自分の中にあるデータ」
「情報とは自分の外にあるデータ」
ということだそうです。
つまり、
「考えるということは、自分の中にあるデータや
自分の外にあるデータを加工しながら結論を導き出すこと」
ということなのです。
???ここは難しいですか?
では、分かりやすい例で出ていました。
「情報」として、「今日は曇っている」
というのがあったとします。
「知識」としては、「曇りの後は大抵雨だ」
となります。
それで「結論」として
「傘を持っていこう!」
ということになるのですね。
ではここで「吉田流のプレゼン」!
もっと分かりやすく書きます。
お母さんが子供にプレゼンをやったとします!?
「学校に傘を持っていきなさい!」
ということが結論なのですね。
ではそのために、いきなり子供に
「今日は曇りですよ!」
というお母さんはいませんね。
余程賢い子ども出ない限り、
「今日は曇りだか学校に傘を持っていこう」
ということはないはずなのです。
正しいプレゼンとしては
「今日は傘を持ってきなさい。朝から曇りだから。」
ということになりますね。
子供は
「そうか。今日は曇りだから雨が降るのか。」
そう納得して傘を持っていくわけです。
もし何も考えていない子供なら
「またお母さんが何か怒っている・・・」
と傘を忘れてしまうのですね・・・。
お分かりになりますか?
「傘を持って行かせる」
という「相手に動いてもらう」ことが結論なのですね。
小学生でも納得させることがよいプレゼンなのでしょう・・・・。
その5 スッキリ カンタン
結論である「相手に動いてもらう」
にはどうするか?
それが分かればあとはテクニックなのですね。
なかなか参考になるテクニックばかりだと思います。
「スッキリ カンタン」
プレゼンには大事なことですね。
まず「スッキリ」というのは、使うスライドや話す言葉の
両方にいえるということだそうです。
スライドではエクセルで作成したグラフを必ず加工するそうです。
目盛、罫線、グラフの太さなど、相手にとって見やすく、
しかも相手にとって必要な情報だけを強調して表示するのですね。
スライドに使う言葉も、
「読まずに頭に入ることを目指す」
そうです。
これも参考になりますね。
細かい字で目いっぱい書いてあるスライドを
良く見ますからね。
「カンタン」
とは「中学生が理解できるレベルの言葉しか使わない」
のだそうです。
これも納得しますね。
商売柄、年に50時間は税務関係の研修会に出席します。
講師によっては、やたら専門用語を並べる方が良くいます。
専門家相手の講習会ですから、
「私はここまで詳しく知っているのだ・・・」
と自慢げにわざと難しくしているのでしょうけど、
聞いている側はたまったもんではないのですね。
難しい単語、知らない言葉がでてくると、人は皆
「それ?どういう意味かな?」
とそこで止まってしまうのです。
講師はそんなこと構わず先に行ってしまうから、
そこから内容が分からなくなるのです。
短い時間のプレゼンなら尚更ですね。
そう言えばこの本も本当に平易な言葉で書いてあります。
コンサルタントはやたら横文字を並べる人が
非常に多いのですからね。
意識して書いているのでしょう。
「カンタン」ということで私自身も、講師の時やお客さんへの説明の際にでも
気を付けていることなのですね。
例えば、相続税の説明をするときに、よく税理士が
「被相続人」や「相続人」というような言いかたしますね。
「被相続人」というのは亡くなった方を指すのですが
普通の人はこんな単語知らないですよね。
私の場合はこんな言葉使わずに、ご主人が亡くなっていた場合なら
「お父さん」という言い方しますね。
「相続人」とはまさに残されたご家族のことなのですが、
遺されたご家族が子供二人なら、「ご兄弟」という言い方のが
圧倒的に分かりますからね・・・・。
その6 リトルホンダをつくる
「リトルホンダを作る」
サッカーのワールドカップに合わせて
サッカーの本田ネタですね。
「リトルホンダ」って知っていますか?
2014年に本田選手がACミランに移籍する際に、
「心の中のリトルホンダに聞きました。
そうしたら『ミランでプレーしたい』と答えた。
それが決断した理由です。」
と言ったのですね。
当時その「リトルホンダ」が結構話題になりましたね。
このリトルホンダこそが、プレゼンの極意なのですね。
図にするとこうです。
通常は相手がいて自分ですから、自分の主観で話すのです。
それをもし、客観的な立場の自分=リトルホンダ がいて
自分をみることができたらよいというのですね。
かんたんな言葉で例えていました。
「相手の気持ちになる」ということなんだそうです。
それなら分かりやすいですね。
さらに
「俯瞰(ふかん)」ということです。
「相手に憑依(ひょうい)するような感じの自分がいて、
相手からみて自分がどう映っていて、どんな話をしてほしいのかを
感じながら客観的な自分が自分をみながらいうべきことを
決めている」
のだそうです。
プレゼンをやる前に「相手の席に座る」のがいいそうです。
しかし、ここまで書いて私の熱心なブログファン(?)なら
もう気が付いていますね。
「あれだ!」
と分かりましたか?
ジャパネットたかたの高田社長のいう「世阿弥」
ですね。こちら
能の世界から3つの視点があるのでしたね。
「我見の見」、「離見の見」、「離見の見」
の3つ。
上記@、A、Bがそれぞれ該当するのでしょう。
きっとプレゼンの神様の高田さんの推奨する
世阿弥の「離見の見」をこの伊藤さんも勉強したのだと思います。
本田選手も今晩客観的に自分が見れれば、
大活躍してポーランド戦に勝てるのでしょうね。
ぜひリトルホンダにも頑張ってほしいです・・・。
その7 300回練習する
「プレゼンは動かしてなんぼ」
そうなのですね。
プレゼンの最終目的ですね。
そのために考えられることはすべてやるということですね。
ここで大事なことは
「伝えたいことはあるのか」
まさに「想い」を相手に伝えることなのです。
これ分かりますよね。
「自分の存在をかけるくらい」のつもりを持つんだそうです。
「これから伝えようとすることは、自分が一番詳しいし、
自分はそのコンテンツに一番自信を持っているし、
一番好きだ」
くらいの強い気持ちです。
さらに相手を動かすためには
努力をおしまないのです。
プレゼンの資料は「スッキリ・カンタン」に
相手に伝わるよう、ブラッシュアップしていく・・・。
パワーポイントの資料を徹底的にこだわるのだそうです。
聞き手が、一発で図表やメッセージを頭に入れ
理解し、動いてもらうために何度も修正するのですね。
これ一番驚いたのは、孫社長のプレゼンの際には
なんと300回も予行練習したのだそうです。
10回に一回は録音して、聞き返して、どううまく伝わるか
何度も練習したのだそうです。
すごいですね。
これだけの執念があればプレゼンは大成功するのでしょう。
・・・たった1分のプレゼンでも奥が深いですね。
1分のプレゼンの準備に100分も1000分をかけるのです。
これはプレゼンだけのテクニックではないですね。
「営業で取引先と接する」
「社内のプレゼン」
「上司への提案」
などなどいろいろテクニックが紹介されていました。
これは営業マン必見ですね。
売れている理由が良く分かりました。
プレゼンや日頃の営業や、社内営業にも実践してください。
(がんばれ! プレゼン日本一!シリーズ おしまい)