その1 負債総額140億円から

 

社長の基本

確定申告時期に読めなかった本をいろいろまとめて読んでいます。
読書は楽しいですね。

特に経営者の方がどうやって企業経営されているのか
必死になって探しています。
「経営に役に立つ本シリーズ」を何年かやっていますが、
多くの成功した企業経営者は意外と同じことを言っていると
感じています。


「経営の神様」松下幸之助から始まり、
「現在の経営の生き神様」京セラの稲盛和夫、
そして「若手経営者のホープ」星野リゾートの星野佳路。
稲盛さんの本はすべて読んだというくらいの稲盛教の信者で
あるくらいの私ですからね。


多くの経営者が松下幸之助から学んでいるのですね。
星野氏もすべての経営書を読まれるくらいの読書家ですね。
会社経営をしながらその経営ノウハウを開示されている
こういう偉大な経営者の本は本当に説得力ありますね。


一方で小山昇をはじめとする経営コンサルタントの方々の本も
時として参考になるものがありますね。
小山さんの本はあらかた読みましたが、同じことを何度も
繰り返しています。

 


こうやって経営者本を読み漁っていると、
「会社経営の基本って何だろう?」
本当に思うことがあります。


私も一応大学(高田馬場の某W大学)で経営学を学んだことが
ありますが、正直まったく実務では役に立たないものです。
(某教授すいません・・・・)

会社経営されている方で、大学で経営学を学んだとか
留学してMBAで学んだ何て方は少ないでしょうね。

 


私の50年来の趣味である囲碁でも「基本」があります。
「基本定石」や「基本手筋」、「基本詰碁」など最初に
学ぶのですね。
囲碁や将棋それこそスポーツでも基本は大事なものと
されていますね。


「では経営の基本って何だろう?」

そう思っているときに出会った本です。
著者は三條慶八氏。1960年生まれですから私と同級生です。

 

20年以上前に神戸、三宮で手広く不動産賃貸業と
飲食業を営んでいるところに、1995年に起こった阪神淡路大震災。
運用資産に40億円以上の大打撃を受けます。

その後のデフレ不況に巻き込まれ、ピーク時には140億円という
巨額の負債を背負った方です。

当然倒産の危機を何度も経験したのでしょう。

その後8年間で、自己破産もせず、自力再生し、ついに完済。


こういった強烈な経験を経て、現在はコンサルタントとして
活躍されている方です。
相談に乗った経営者はその数1000人以上。

その敏腕コンサルタントの言う「経営の基本」を学んでみましょう。





その2 経営理念


ではまず基本の「キ」から。
まず、経営理念についてです。
京セラの稲盛さん初め多くの経営者、コンサルタントが
「経営理念が大事」
といっていますね。

稲盛教の信者の私としてもこの経営理念を
よくお勧めしていますね。

ではここで私の得意な「京セラ流・経営理念ネタ」

 

京セラの経営理念「社是」は

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に
人類、社会の進歩発展に貢献すること。」

なかなか素晴らしいですね。
だからこそ、これを真似すればいいのですね。


では、もしラーメン屋さんだったら

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に
ラーメンを通じて、人類の健康な食生活の進歩発展に貢献すること。」

どうでしょうか?



内装工事屋さんだったら

「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に
リフォームを通じて、人類の快適な住環境の進歩発展に貢献すること。」


意外と簡単にできるでしょう。
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に」
をいれることがポイント。
中小企業は、ワンマン経営者がどうしても多いものです。
「会社=オレ」
と考えている経営者がどれほど多いものか。

「オレの幸せよりもキミたちの幸せをウチは考えているのだよ」

と社長自らいうことはどれだけ従業員をやる気にさせると
思いませんか。


さらに、後半で
「世の中の役に立っているのだ」
と思わせますからね。
何よりも家族が誇らしく感じるのでしょうね。

「ウチのお父さんは社会のために働いているすごい!」
ともし家庭内で思われたらうれしいでしょうね。


小学校の息子がいて、
作文の時間で「ウチのお父さんは・・・」なんて
書かれたら泣いてしまいそうですね。
やはりこれも大事なのです・・・。


三條氏もこの経営理念が大事だと言っていますね。
理念を軽視する経営者も多いそうです。


まず経営理念そのものをバカにする経営者。
特に現場からの叩き上げ社長。

「理念なんかで飯食えれば楽なもんだ」
「四の五のいっていないで、どんどん手足を動かせ!」

そんな経営者本当にいそうですね。


あと抽象的な経営理念ではやはりダメなのだそうです。

「心」とか「誠心誠意」

とかよく分からない抽象的な理念もありそうですね。

 

「企業理念とは、事業を成功に導くためのみんなが
共有できる行動指針」だからなのですね・・・。




その3 人を育てること


「社員をほめて、ほめて、やる気にさせる」

やはり人の問題が一番大切なのですね。
こういうこと書くと、

「オレがつくって、オレが育てた会社だ。
あれこれいわずオレのいうとおりにしろ!」

こういうワンマン経営者は本当に多いものです。


特に年代的に私の世代以上、昭和の時代に入社した世代なら、
よく分かると思いますね。
当時、「パワハラ」とか「セクハラ」なんてなかった時代ですから。

「嫌なら辞めてくれ!」

それぐらいは日常茶飯事でしたからね。
でも今の時代は違うのですね。


ワンマン社長の悪いところ。

「自分が創業し育ててきたという気負いが強い経営者は、
いちいち細かく指示を出すので、社員は指示通り働くだけで
結果自分で考える経験を積めない」

そうです。


「五つ教えて三つほめ、二つ叱る」


二宮尊徳の人を育てる鉄則です。
社員に判断を任せて、ことあるごとにほめるのです。
その結果社員が育ち、事業も大きく伸びていくのです。


叱り飛ばすだけのワンマン経営者では
今の時代はダメということなのですね。
社員のやる気をいかに引き出すのが
社長の大事な仕事だからです・・・。

 


人を育てるもう一つの法則。


「部下の失敗を喜ぶ」

 


なかなかこれは難しいのではないでしょうか。
社長の愚痴で多いのが、


「とにかく、うちぐらいの規模の会社には優秀な人材が
こないのです。
ですから、いつまでたっても、私がやらなければ・・・」


これは私も何度か聞いた愚痴です。
三條氏は明快です。


「中小企業には社長以上に優秀な人は入ってこない」


そう思うしかないのです。
当たり前かもしれませんが、優秀な人は普通なら大企業に行きます。
中小企業に優秀な人材がこないのは宿命だと割り切ること
なんだそうです。

それではどうしたらら良いかというと、


「人を育てていくしかない」


ということになりますね。

ここで大事なこと、


「人を育てる経営者とそうでない経営者の決定的な違いは、
社員の失敗を恐れるか、恐れないか」


ということなのだそうです。

「なるほど!」

と思いませんか。
人は失敗しないと成長しないことを知っているからなのですね。

 

でも社員が失敗ばかりしたら、会社は大変ですよね。
でも、

 


「社員が失敗した時に出ていって対応することこそ社長の仕事・・・」

 


社長さんはやはり大変なのです・・・・。




その4 金融機関との付き合い方



三條社長は負債総額140億円となりながら
自力再建された方です。

「どうやって再建したのか?」

それが一番知りたかったのですが、残念ながらそれは
書いてありません。

 

書きながらまた思い出しましたが、
140億円とまでいきませんが、40億円の借金を
何とか完済したお話がありましたね。
正直こっちのほうが面白いですね。こちら

 


あと参考になるのは金融機関との付き合い方でしょうか。


「資金に余裕があってもなくても借入金融機関をもつ」


これは納得しますね。
中小企業の社長さんは、いろいろな経緯で社長さんに
なっているのですね。
従業員を雇ったことがないどころか、部下を持ったことがない人が
ある日突然社長さんになるのですね。
人事問題に悩んで当然ですね。

同様に借金したことがない方が、ある日突然社長さんに
なることもあるのです。


「借金は嫌いだ!」


といって確かに借金をしない経営者もたまにいらっしゃいますね。


「無借金経営はただの無知。金融機関から適正なお金を
借りているのがよい経営」


と三條氏は手厳しいです。
無借金経営は確かに理想ですが、売掛金がこげついて
キャッシュフロー不足に陥ることもあるかもしれません。

 


「身の丈に合った金融機関と取引している」


これも大事でしょうね。
年商1億円もいかないのにメインバンクに大手都市銀行を
選ぶのは止めた方がよいそうです。
これは本当に思いますね。

年商10億円までは信用金庫がいいそうです。
多くの中小企業が当てはまるかもしれません・・・・。

 

それとこれも参考になるかもしれませんが、
借入先を3行以上に分散させることも大事だそうです。

メインバンクと称して、1行しか借り入れない会社もあるそうですが
それはダメ。
融資の案件があるなら、信用金庫、地方銀行、都市銀行に
持っていくのですね。

銀行との正しい付き合い方を知っているということも
社長さんの基本のようです・・・。






その5 営業力以上に経営力


もう少し銀行ネタ。

「金融機関とへの情報提供の仕方を心得ている」

「金融機関には明るいビジョンを語る」

このあたりは社長さんとして大事なお仕事でしょうね。
借入返済計画書、資金繰り表などデータできちんと
社長の口から説明できることですね。
事業計画書と共に明るいビジョンが話せることが
当然ですが大事なのでしょう。

ただここで社長さんとして耳の痛いお話。

「自社の返済能力を知っている」

これを把握している社長さんは少ないかもしれませんね。

「お金が足りないから銀行で金を借りるので
何か問題あるの?」

そう言われそうですから・・・・。


債務償還年数、つまり、借入金の完済まであと何年かかるかを
見た場合、5〜7年なら「健全範囲」、
10年を超えると「要注意レベル」なのです。
当然そのあたりは銀行は必ずチェックするところですね。


これはよく言われることですが、
「税引き後利益+減価償却費」の10倍までが
借入金の範囲なのですね。


もう一つ耳の痛いお話。

「会社の基本的な数字をつかんでいる」


これもややはり顧問税理士の立場としてお願いしたい
ところですね。


「私は営業は得意だけど経理は苦手で・・・」


そういう社長さんを何人も見てきました・・・。



三條氏の指導は厳しいです。

「相談者には毎月5日までにPLとBSを作成し
中味を十分理解するように・・・」


これをできている会社は正直少ないでしょうね。
要するに「経営とは数字の動きがすべて」という三條氏の
考えです。



では最後に大事なことをご紹介して終わりましょう。


「営業力以上に経営力が大事だと認識している」


独立起業して一番心配な方は「営業力に自信があるタイプ」
何だそうです。

「経営とは何をどうするのか」さえ分からず、ただただ売上を
伸ばすことにエネルギーを注ぐだけになってしまうのです。
一番怖いのが売上が止まった時、攻めから守りに転じたときに
切り替えができず失敗しがちなんだそうです。



ではどうしたらよいのか?


「絶好調のときから、経営についてイチから勉強する努力をする」
ことが肝心なんだそうです。

1冊の本でも経営セミナーを受講するなりすることで、
「経営とは何ぞや」を学んでほしいそうです・・・。



なかなか社長さんは大変なのです・・・・。



(ガンバレ 社長さんシリーズ おしまい)





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