またまたまた森永卓郎さんの本ですね。
今年話題の森永さんですが、
昨年出した本が
「余命4カ月末期がん患者が・・・」
という触れ込みで、死を決意して書いた
「遺書」
と大々的に宣伝されていましたね。
内容については2回のブログで書いた通りです。
「書いてはいけない」こちら
「ザイム真理教」こちら
まだまだお元気なのはうれしいばかりですが
「ザイム真理教の第二弾」
という触れ込みに
つられてまたポチっと購入。
この1年ばかり総選挙もあったりして
「増税を批判する」動きもかなりでましたね。
「103万円の壁」
で一躍脚光を浴びた国民民主党の玉木氏。
社会保険料の106万円の壁や130万円の壁
これも議論し題していますね。
でも「社会保険料が高すぎる」
とは前々から森永さんが主張されてきたこと。
「何をいまさら」
と思いますね。
ただ前回は
「財務官僚が悪い。この国をダメにした」
という主張だったのですが、
「財務省だけでない。官僚が日本をダメにした」
そういう主張です。
もう森永さんには何も怖いものはいないのでしょう・・・。
その2 国家公務員昇給のお話
官僚の批判をアップしていこうと思ったら
「給与法改正案」が国会を通り、
「国家公務員は3年連続増加」
になりましたね。
国民の反発がまた膨らみそうでしょうね。
103万円の壁の財源問題は必ず出ますが、
国家公務員の昇給の財源問題は議論せず・・・。
森永さんいうところの「ザイム真理教」が
決めたのでしょうね・・・。
しかしここだけではないですね。
たぶんここ読むと皆怒るお話。
実は国家公務員の定年年齢は
2023年まで60歳。
2024年から61歳。
2026年から62歳。
あげられているのですね。
2032年からは65歳
になります。
「強欲すぎる定年延長」
とはっきり批判しています。
私の古巣、某野村證券も60歳定年。
60歳でいったん退職し、短時間勤務職員として
再任用されます。
一般企業でもよくあることですし、
大手金融機関も皆そうでしょう。
でもベースはパート社員並み。
「給料こんなに減ったよ・・・」
そんなボヤキをよく聞きます。
でも国家公務員は違うのです。
「60歳でいったん退職し、短時間勤務職員として
再任用されることも可能。
そのときの給与は、労働時間の減少分を減額されるだけ」
これはヒドクないですか。
しかも退職金も
「60歳以降、何歳で退職しても定年退職扱いの
退職金が支払われるうえに、減額前の俸給月額の
最高額を考慮して退職手当の支給額を算定する
『ピーク時特例』が適用される」
「65歳の定年年齢で退職した場合、これまでの退職金が
保証されるだけでなく、60歳以上勤務した5年間分の
勤続年数に応じた加算もされる」
ちょっと怒り出しそうですね・・・。
その3 キャリア官僚とノンキャリの違い
この本読むと皆さん驚くとともに
怒り続けるのではないでしょうか。
いったい官僚になるといくらもらえるの?
というのがこの表ですね。
「内閣官房内閣人事局」が公表している
「国家公務員の給与(令和5年版)」
に記載されているそうです。
総合職(キャリア官僚)と
一般職(ノンキャリア職員)の平均
というのがミソですね。
ということはもらっている人はもっと
もらっているということ。
早い人(第一選抜)だと30台の早い時期に
年収1000万円を超えるそうです。
40代で課長。年収は1300万円。
その後出世の階段を駆け上ると
最後の年は事務次官となり年収2500万円。
早く出世の階段を駆け上がる仕組みが
昔はありました。
「20代後半で若手官僚を税務署長に就任させていた」
これは税理士の私としても当然知っているお話です。
「右も左もわからない若造をあえて
税務署長に就任させることで給料を
あげていた」
これが真相だったのですね。
私自身も
「どうしてそんな税法も知らない若手を所長にするのだろう?」
それだけ若くして「エリート意識を植え付けさせる??」
不思議な制度だと思っていたのですけど。
給与体系を調整するためとは驚きましたね。
でもその後は
「過剰なエリート意識を植え付けたり、
接待漬けの温床になっているとの批判が高まり、
1999年度から
『原則として税務署長に出すのは35歳以降』
人事方針が変更された」
そうです。
ただ、税理士としてこの件をこれ以上突っ込むのは
やめておきましょう・・・。
その4 毒まんじゅうの餡はカネ・・・
給与のお話はこれ以上はやめておきましょう。
国家公務員の方々から睨まれそうですから・・・。
また昔話の暴露話が結構面白かったですね。
私でもちょっと活字にしにくいお話。
「毒まんじゅうの餡はカネで、皮はオンナで
できている」
「オンナ」ということで正直に書いてありました。
森永さんも大蔵官僚を接待したことあるそうです。
今のお金にして50万円!
円山花街という花柳界。
どんな接待だったのでしょうね・・・。
ただ有名な
「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」が1998年。
私が某野村證券に見切りをつけ
独立して開業した年ですね。
今から26年も前のお話です。
新宿歌舞伎町のノーパンしゃぶしゃぶ
「桜欄(ローラン)」で銀行から頻繁に
接待を受けたことが発覚したのですね。
ということは
それ以前は「何でもあり」だったのでしょうね。
ちなみに
「毒まんじゅうの量は、抱えている補助金の額や
許認可権限の大きさによって大きく異なる」
「毒まんじゅうの量と天下りの数には
高い相関がある」
ただ
2008年12月31日に
「改正国家公務員法」が施行され天下りに
対する規制が大幅に強化された。
ただ抜け穴が用意されていたのですね。
「天下りそのものを禁止したのではなく、
天下りの『あっせん』を禁じた」
ただその後は激減したと思うのですが
面白い数字を出していました。
つまり、最近は増えているそうです。
2022年度に総務省に届け出のあった再就職者数の
ランキングを見ると、
財務省390人、国土交通省372人、
多いですね・・・。
法務省158人、経済産業省154人、厚生労働省144人、
農林水産省126人、総務省83人となっている。
一方、環境省は13人、会計検査院は10人、
消費者庁は3人、デジタル庁はゼロだ。
天下りのある官庁とまったくないところ。
これは何を意味するのでしょうか・・・。
その5 TSMCの実態は・・・
(日経4月6日記事より TSMC熊本第一工場」
官僚の批判はもうこれ以上はしないとして
非常に気になった記述。
「日の丸半導体大逆転政策のゆくえ」
半導体産業への補助金総額はなんと!
4兆円!!
これだけばらまいていたのですね。
今年2月に開所した日本初の生産拠点となる
「TSMC熊本第一工場」には
4760億円。
さらに第二工場には7320億円。
1兆2080億円もの資金が拠出されるのですね。
これは今年4月6日付の日本経済新聞から
引用したものですが、これ私も原文読んでみました。
台湾のCEOがニコニコして当時の岸田首相と
握手していますね。
それもそのはず、新聞にも書いてあります。
「外資に税金が原資となる巨額の補助金を支払うことに批判もある」
それもそうでしょう。
日本経済新聞には、
「利益がほとんどが台湾に行く」
でも擁護する書き方も
「TSMCの試算では、第一工場、第二工場から発生する
法人税、個人所得税、固定資産税を合わせると補助金額は
2037年までに上回ると見込む」
さて本当でしょうか?
森永さんは
「過去2度にわたって国策会社は大失敗をしている」
「経済産業省は、霞が関のオフイスから、頭の中だけで
考えた半導体戦略を実現するためだけに金を
バラマキ続けている。
もちそん、そうした補助金の先にも天下り先が
控えている」
これ読むとまた国民は怒りますね。
「4兆円という巨額の補助金を社会保障に使ったり、
減税に回せば、どれだけ国民生活が改善するか
分からない。」
まだまだ減税する原資はいくらでもありそうですね・・・。
その6 国税庁の使命
では最後に森永さんはこの官僚の生態に
対してどんな処方箋が必要だと
思っているのでしょうか?
本当にこれが最後の「遺言」だと思って
真面目に考えてみましょう。
「経済財政諮問会議から財務官僚を排除」
政府の予算の骨格は、経済財政諮問会議が
「骨太の方針」のなかで示す翌年度の
財政指針で決められているのですね。
これは小泉内閣の時に作られた仕組み
なんだそうで、
議長は当然総理大臣。
経済財政担当大臣など5人の関係閣僚。
企業経営者や学識者ら4人の民間議員。
これに日銀総裁の合計11人で構成。
つまり、予算の骨格は官僚ではなく、
内閣が決めるべきという発想。
でもいつの間にか
「内閣府が所管しているのだが、
いつの間にかこの会議は財務省に
乗っ取られてしまった」
だから予算編成は財務省の思い通りに
なっている。
「財務官僚を完全に排除する」
これはできるのでしょうか?
「官僚の報酬を3倍に」
キャリア官僚はせいぜい2万人しかいないそうです。
年収1500万円を倍の年収3000万円に。
これは現実的にはたぶん国民の反発を買うでしょうけど
森永さんは
「たかだか総予算は3000億円程度で済む」
のだそうです。
「十分な金銭報酬を支払う代わりに
キャリア官僚に対する毒まんじゅうと
天下りの提供を完全に禁止する」
莫大なコストを民間に負担させ、
癒着の温床となっている天下りを
なくせば3000億円くらい安いもの
と思っているからでしょう・・・。
「国税庁を財務省から完全に分離」
最期にこれは税理士の私としてもアップしにくい
お話ですが・・・・。
「官僚の中で、財務官僚だけが権力を維持し続け、
むしろ拡大している原因は、財務省の外局として
国税庁が徴税の機能を擁しているから」
「予算と徴税の双方の権限を握る官庁を
持つ国を私は日本以外に知らない。」
ふつうの国は、財務省と歳入庁が完全に
切り離されているのだそうです。
アメリカは内国歳入庁。
イギリスは歳入・関税庁。
ドイツは連邦中央税務庁。
フランスは公共財政総局。
これらが徴収を専門に担当してるそうです。
もう一度書きますが私が言っているのではなく、本当に
森永さんが言っているのですから・・・・。
国税庁の使命
「日本を根底から支える」
国税庁は、「国家の原動力」である税を
適正公平に賦課・徴収する使命があります。
「断固として不正を許さない」
大多数の善良な納税者の方々に報いるため
正義感を持って日々働いています。
(国税庁 HPより)
(がんばれ!森永さんシリーズ おしまい)