その1 トヨタのノウハウでカイゼンを!
また大企業のビジネスノウハウをご紹介しましょう。
中小企業の方には、
「大企業の経営ノウハウ何て関係ないさ。そもそも人材も違うし。
中小企業にはそんな優秀な人なんか来ないし・・・。」
どうでしょうか。
中小企業経営者の本音ですね。
私が毎日ブログをアップして、この内容を中小企業経営者にぶつけると
中小企業の実態が分かって面白いのですね。
以前、ユニクロを取り上げて、超巨編のブログを書いて
一人悦に入っていたときがありました。こちら
「ユニクロの仕事ぶりきいても仕方ないし・・・」
ある経営者とアルコール交えた時に伺ったお話でした・・・。
前回ソニーも取り上げましたが、(こちら)
こういうことを、きっとまた言われるのではないかと思い
先に解説しておきます。
「本当に関係ないのでしょうか?中小企業が伸び悩む理由は
そこにあるのではないでしょうか?
確かに中小企業は、資金力や人材力では大企業に圧倒的に
負けます。でもそのノウハウは、
こうやって公表されているものも多いのです。
「当社に何か参考にすべきものはないか?」
常にアンテナを張っていれば絶対に「カイゼン」できるはずです・・・。
・・・すいません。イントロが長すぎましたね。
著者は山本太平(やまもと だいへい)氏。
2004年(平成16年)京都大学大学院卒業後トヨタに入社。
トヨタの新型車の開発業務に携わります。
その後、どういう訳かTBSに転職。テレビ番組のプロデューサーになり、
「日曜劇場」、「レコード大賞」、「SASUKE」などの看板番組を
手掛けます。
その後アクセンチュアに転職後コンサルタントになった
変わった異色の経歴の方。
HPで確認しましたが、見た目結構若く、
いかにも有能なコンサルタントのようですね。
現在は、「戦略コンサルタント・事業プロデューサー」として
ご活躍のようです。
まず、本の題名のように、会議の効率化だけを書いた本ではありません。
ビジネス全般の最適なコミュニケーション方法の取り方など
多岐にわたります。
冒頭、
「何かと悩み多き社会人生活5年以内の方々の力になればと思い・・・」
と書いてあり、要するに若い人向けのビジネス指南書かと思いましたら、
違いましたね。
冒頭理由を説明した通り、
「何かと悩み多き中小企業経営者」にも参考になるのではないでしょうか。
「生産性のない無駄な会議を毎日やっている」とは申しませんが、
コロナ禍で悩み多き中小企業経営者のために、解説していきましょう。
その2 定例会議はムダ!
では本題通り、「会議を30分で終わらせるワザ」から
入りましょうか。
トヨタは本当に「会議は30分!」と
口を酸っぱくして言われているらしいですね。
通常の会社では会議は普通1時間くらいではないでしょうか・・・。
でも議論が白熱すれば30分でも絶対終わらないですよね。
そのための準備が必要なのです。
これは参考になりますね。
「前もってその会議で何を話すのか『議題(アジェンダ)』を周知する」
これは大事でしょうね。
もちろん議題だけですね。
内容の書いたペーパーまでは配布しないのです。
でもこれで「今日は何を議論する場であるか」分かって参加するのですからね。
これなら即座に本題に入れますからね。
本題にも入らずに、社長のつまらないあいさつだけで
会議時間の30分くらい経ってしまった・・・
ということがよくありますからね・・・。
「会議や打ち合わせの最後には『次は何を打ち合わせるのか』を決めて
終らなければならない」
これも大事でしょうね。
「今日何が決まって、次は何について議論するか」が、参加メンバーに
共有されるのですからね。
「無駄な定例会議は行わない」
これはトヨタで実践されていることです。
日本企業には定例会議は間違いなく多いのではないでしょうか。
経営者は大好きですからね。
特にこの定例会議は・・・。
これについても
「毎月の営業数字の確認とマネジメント層による精神論の訓示、
雑談がなされているだけ・・」
とバッサリ。
私もこの仕事して、会社の定例会議に同席したことも何度もあります。
確かにそれは言えますね・・・。
どうでしょうか。
ここまで「会議は30分」、「定例会議は行わない」
これだけでも、トヨタ流のカイゼンが間違いなく行われますね・・・。
・・・ここまで書きながら30年前の某野村證券のことを
思いだしました。(すいません。得意の昔話)
企画の部署だった私は毎日「会議をすること」が仕事でしたね・・・。
当時は「会議は120分!」でしたね。
トヨタの4倍ですね。
1日にうち朝8時からの「朝の定例会議」に始まり、
午前中10時からの会議
午後1時からの会議
午後3時からの会議
午後5時からの会議
このローテーションの繰り返しでしたね。
会議のための準備の会議もあったりして本当にワープロで
資料作りばかりしていました。
あの頃はワープロ専門の派遣社員もたくさんいましたからね。
しかし、会議の資料つくりに翻弄されて毎日終電。
でも午後5時からの会議は2時間ではまず終わりません。
だいたい8時くらいまでかかってから
「ちょっと行くか・・・」
と上司の一言で銀座に繰り出します・・・。
もう一軒とハシゴすることも多くまた午前様・・・。
今思えばあの頃私はヒラ社員。
年上の上司と会議で議論したりして面白かったですね。
バブル絶頂期ですから、どこで飲食しても、
またタクシー代(すいません。ハイヤー代も有)までも
全部『社費』でしたし・・・(内緒)
副社長や社長との「定例会議」もいい経験でした。
給料もらいながら経営を学んだともいえるでしょうか・・・。
ただ、これだけ会議好きの会社はその後どうなったかは
守秘義務があるので書きません・・・。
無駄な会議ばかりの会社は、やはりダメなようですね・・・。
その3 余計な忖度は不要!
読みながらいろいろ思いましたが、
まず、今コロナ禍ですよね。
リアル会議はあまり行われなくなり、リモート会議が主流になりつつ
ありますよね。
数年後、通信環境が6Gの世界に突入したら、リアル会議というものが
なくなってくるかもしれませんね。
ただ、リアルであれ、リモートであれ、本質は変わらないとは思いますので
そのあたりを踏まえて続編をお願いしたいと思いますね。新刊本は
「トヨタのリモート会議は20分!」
どうでしょうか・・・・。
あと冒頭ご紹介したように、この本は入社数年の若い社員向けですね。
まあ、そのあたりは参考になる点だけ押さえて、
あとは読み飛ばしてもいいのでしょう。
非常に参考になった点は、トヨタの社風です。
「忖度文化の日本では貴重な社風」
忖度がうまい人が出世する会社は多いものですね。
でもトヨタは違うのです。
「空気を読む力はあるけれど、あえて読まない判断するやつこそが、
本当に『空気の読めるやつ』なんだ」
トヨタのある役員の発言らしいですけど、本当にトンチ話のようですね。
これ何度も読み返して考えてください。難しいですね。
トヨタの社員だった山本氏も当時分からなかったそうです。
この言葉の意味は、その後転職を繰り返してアクセンチュアに入社して
初めて分かったそうです。
アクセンチュアはグローバルに展開する大手コンサルティングファームですね。
そこには
「Think Straight Talk Straight」(シンク・ストレート トーク・ストレート)
という企業文化、モットーがあるそうです。
実に、分かりやすい英語ですね。
「真っ直ぐに考え、直言せよ」という直訳となりますが、
「余計な忖度は不要、直球で議論し、行動しよう」
という意味ですね。
これを知って山本氏は気が付いたのですね。
先ほどの
「空気を読む力はあるけれど、あえて読まない判断するやつこそが、
本当に『空気の読めるやつ』なんだ」
と実は同じ意味なのです。
分かりやすく言うと、
「自分の経験や知見、気づきなどから、違うと感じたら、
あえて空気を読まず、むしろ空気をぶち壊しにいく姿勢が大切」
ということなのです。
「ストレートな物言いがお互いにできる社風や文化は、
とかく内向きになりがちな日本社会では貴重なもの」
だからだそうです。
でも一方で
「思ったことをそのまま言ったら、喧嘩になってしまう。」
「上司との関係が壊れてしまう。」
という反論がくることは、山本氏は分かっています。
でも
「相手に同調することではなく、人とは違う気づきや
アイデアをどんどん提案して、上書きしていくのが仕事」
なのです。
そういう議論をする場が、「会議」であるべきなのですね。
ここで、私の熱心なブログファンなら、すぐ気が付きますね。
私自身もこの瞬間に、トヨタとソニーはつながりました・・・・。
前回ご紹介した平井前ソニー社長も、同様な考え方を
言っていましたからね。こちら
トヨタの表現は、部下の立場からの考え方ですね
「相手に同調することではなく、人とは違う気づきやアイデアを
どんどん提案すること」を、ソニーの平井氏は「意見」ではなく
「異見」という表現をしていました。
さらに、ソニーの経営者側の立場では
「異見を発見し、どうやって経営戦略に昇華させ実行させるか」
これこそが経営者の仕事としていましたね。
もっと言うと、
部下からの「異見」を得るためには、「EQ」
(心の知能指数 Emotional Intelligence Quotient)
が高くなければならない、のでしたね。
上司は、部下の忖度を簡単に見破るくらいの「EQ」も
必要ということでしょう。
実は、世界的な企業であるトヨタとソニーは
「仕事」とは同じ考え方だったのです・・・。
その4 コロナ後の世界はコミュニケーションが大事
最後に本音書きます。
「Think Straight Talk Straight」
(シンク・ストレート トーク・ストレート)
「余計な忖度は不要、直球で議論し、行動しよう」
これは素晴らしい考え方だと思うのですが、
トヨタのような社風でない会社、それこそ中小企業で
実践したら難しいでしょうね。
社長に対して「ストレート」に意見言ったら
それこそEQの高い社長ならいいですけど、
「オマエいらない!辞めてくれ!!」
と言われるかもしれませんからね・・・。
ワンマン社長は中小企業に圧倒的に多いです。
上司と部下の関係でもストレートなものいいだと、
それこそ今なら「パワハラだ!」と訴えられたり、
逆に「うつ」の社員を増幅させるかもしれませんね・・・。
前提となる永年培われた「トヨタのDNA」があることを
忘れてはいけませんね。
トヨタの経営術というといくらでも本が出ていますからね。
「現地現物」、「トヨタ生産方式」、「カイゼン」・・・。
特にこの本で勉強しましたが
「トヨタの工場内『よい品よい考え』という創業時代からのメッセージ」
があるそうです。
この「よい品よい考え」とは文字通り、「よい商品はよい考えから生まれる」
ということなのですが、この言葉を「錦の御旗にして」、遠慮なく厳しく
「ストレートに」部下を指導してくるカルチャーがあるのですね。
工場の現場では怒鳴りあいながら若手を指導するのです。
これはびっくりですね・・・。
そういう土壌のある会社と一般の中小企業とは違いますからね・・・。
「トヨタは飲み会の多い会社」
だそうですが、怒鳴りあいながら部下を育て、そのフォローのために
飲み会が頻繁に開かれる・・・。
「お酒を飲みながら率直に話し合い、『あのときのしこり』を解消することが
明確に意識されていた・・・」
私自身も某野村證券でも、そういう意味では社風が近く
そのようなことを経験しましたが、もう30年以上前のお話です。
申し訳ないですが、かなり「昭和な会社」ですね・・・。
以前京セラを何度も取り上げましたが、稲盛経営学では
この飲み会を「コンパ」と称して推奨していましたからね。
まあこのコロナ禍なかなか大変でしょうね・・・。
でも令和の時代にあって、やはり「古臭い社員教育」のように感じるのは
私だけではないと思います・・・。
「お酒を飲まなくてもオンラインでも構わない」
と書いてありましたが、オンラインで「しこり」は取れるのでしょうか・・・。
この書でも要するに結論としては、このコロナ禍にあっても
「コミュニケーション能力が大事」
ということなのでしょう。
しかし、令和の時代でビジネスのコミュニケーションが変わってきましたね。
年賀状や中元歳暮、年末年始の挨拶などの儀礼的な交流も必要最低限なもの
だけが残るなど、無駄が排除されてしまっていますからね。
またテレワークの功罪もあります。
「テレワークというのは交流したくない人との接触をかなりの程度、
自らの裁量で減らせる」
のですね。これは確かにそう感じています。
「テレワークとAIの組み合わせによって、今後ますます定型的、
儀礼的なコミュニケーションは半自動に処理されるようになり、
AIが担当できない人対人の深いコミュニケーションだけが
残るようになります。」
これは以前徹底的に勉強しましたね。
AIを使いこなす「デジルケンタウロス」だけが生き残る世界・・・こちら
間違いなく、そうなります。
「平成の時代の業務のIT化で膨大に増えたビジネスコミュニケーションの
機会が、令和の時代には逆に厳選されて減少し、意外と昭和の時代に
近いくらいの頻度と密度に戻っていくのではないか・・・」
そうかもしれませんね。
コロナ後の世界は、コミュケーション能力がすべて
のように感じています。
勉強になった本でした。
ぜひ一度30分でお読みください・・・。
(ガンバレ! トヨタシリーズ おしまい)