その1 外食産業で大躍進の丸亀旋風


丸亀製麺

サイゼリヤの次は丸亀製麺ですね。

外食産業を支える2大企業を比較すると

なかなか面白いですね。

 

方向性違うことに気が付き

「どっちが正しいのだろう?」

悩んでしまいます。

 

丸亀製麺は

「店内でうどんを毎日打つ」

これで有名ですね。

だから毎日「うちたて」、「ゆでたて」が

食べられる。

確かに安くて美味しいですね。

一方サイゼリヤは早くから

「セントラルキッチン」を作って

いかに原価を下げるかに注力した企業。

これは本当に学んだばかりですからね。

 

「どっちが正しいのか?」

 

考えながら読んでください。

まず丸亀製麺についてですが、

この本の最後の「おわりに」に書いてありました。

 

「これまで出版社から幾度かオファーをいただいた

ことはありましたが、私自身がまだ

挑戦者であるという意識が強く、

経験談を語るには尚早との思いがあり

すべて断っていました。」

 

そうなのですね。

初めて丸亀製麺について社長自身が書いた本

なのです。

 

これ読むと社長の想いが伝わってきます。

 

ではまず丸亀製麺の生い立ちから。

まず「独立して店を持つ」と思ったのが

19歳の時。

 

「大学を中退して住み込みの宅配ドライバー。

深夜まで働き必死になって金を貯めた。

1年で400万円ほど・・・。

このカネを元に和食店の開業セミナーに。

そこから焼鳥屋を開業。」

 

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でもここまで読んですぐ思い出しましたね。

このブログ初めて間もないころ

ワタミの創業者の渡邊美樹会長。

24歳で起業する前に佐川急便で

「一日20時間働いて」

300万円貯めたそうです。 こちら

 

 

「あれっ?」

 

と思いますよね。丸亀製麺の栗田社長は

1961年10月28日生まれの現在63歳。

 

ワタミの渡邊美樹会長は1959年10月5日生まれ

現在65歳。

それほど年代的には違いはないのですね。

私が64歳ですからほぼ皆同世代。

因みに1960年10月25日生まれ。

奇しくも皆10月生まれです。

 

栗田社長が1985年創業。

ワタミも1984年創業。

この二人はほぼ同時期に

「死に物狂いで金を貯めた」

のがスタート。

 

ところがワタミ株式会社が先に

わずかたった12年ほどでの1996年で

日本証券業協会に店頭登録。

そこですぐ栗田社長は邊美樹会長に栗田社長は会いに行くのです。

 

「焼鳥屋をやっている栗田貴也と申します。

詳しくお話を聞かせてもらえませんか」

 

必死さが伝わってきますね。

2000年にワタミは東証1部へ。

 

「その時の日本経済新聞の全面広告の

切り抜きを、茶色く変色するまで

ずっと壁に貼っていました・・・」

 

2000年はトリドールが上場を目指した年。

ワタミを目標に丸亀製麺は成長してきたのです・・・。

 

私も税理士開業前の1年間で

もし宅配ドライバーでもやっていたら、

「税理士法人」が上場してたかもしれないです・・・!??





その2 最初はカウンターだけの焼鳥屋だった



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(丸亀製麺の創業時の手書きの看板)

 

栗田社長がワタミ渡邊社長に会った

くだりが面白い。

渡邊社長から

「PLとBSを持ってきてください」

と言われたのですが、

当時その意味も栗田社長はまったく知らなかった。

 

顧問税理士に

「PLとBSってやつある?」

と聞いて出力したデータをもって

会いに行きました。

 

創業して10年以上経っていますね。それでも

PLの意味もBSの意味も何も分からなかった。

 

顧問税理士として海より深く反省しなければ

いけないネタでしょう・・・。

 

でもそれから10年後の2006年。

トリドールは上場してしまうのですね。

 

「PLとBSの意味も分からない人が

その後10年で上場」

 

この事実に私自身も驚きました・・・。

そんなところをツッコムのは私だけでしょうけど

創業から栗田社長が何をしてきたか。

ここを学び取っていただきたいのですね。

 

話を戻しますが

1985年8月24日創業。

まだ23歳ですね。

オープンする前の2週間前に結婚。

いいですね。

こういう無鉄砲なところが若者の特権。

開業して失敗するなんて一ミリも頭にないのです。

 

銀行からは借りられず、保証協会のサポートで

300万円を融資。

働いてためた400万円とあわせて

元金800万円で開業。

場所は地元の兵庫加古川市。

カウンターが10席だけの炭火焼き鳥居酒屋。

 

店名が

「トリドール3番館」

 

「こんな店を3軒持ちたいと命名」

 

現存するこの看板は本社に飾ってあるそうです。

開業時の思い入れが伝わってきますね。

 

最初は同級生が来てくれたそうですが、

すぐ誰も来なくなります。

 

これ私のこのブログでいうネタですね。

 

「3日・3月・3年の法則」

 

最初の3日は必ず知り合いが来てくれます。

勝負の時は開業して3か月。

そして更なる決断の時が3年後・・・。

 

「誰も来てくれない日もあった・・・」

 

「仕方がないので深夜営業。2時まで開いて・・・」

 

ここも「あれっ?」と思いますよね。

前に京都の老舗割烹「菊乃井」の三代目の

本を紹介しました。こちら

今では三ツ星の有名割烹だって、

 

「誰も来てくれないの深夜2時まで営業して・・・」

 

皆最初は同じなのです。

安心しましたか・・・。

 




その3 鳥インフルでたまたま「うどん店」



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「どうやって丸亀製麺は誕生したのだろう?」

 

そう思って読むと独立開業の実によい事例と

なるのでしょうね。

 

カウンターだけの焼鳥屋を開業したのが

1985年。

3年目に2号店。

社名の通り3軒目ができたのが7年後。

実はまだ個人事業なのですね。

社長自身もまだ30歳。

どこにでもいる居酒屋の兄ちゃんです。(失礼)

「洋風焼鳥酒場」だったのです。

そこから「ファミリーレストラン風の居酒屋」へ

方向転換。

会社設立が1995年。

創業からわずか10年後。

書いたように「PLもBSも分からない」居酒屋の兄ちゃん。

その5年後にいわゆるITバブル到来。

社長自身も「上場を目指す」。

 

でもここで驚くのは

「うどん」ではないのですね。

焼鳥チェーン店なのです。

 

2000年に実験店舗として

「丸亀製麺1号店」

を加古川で開店。

 

私も香川県で「セルフうどん」を食べたことは

ありますが、当時はまだ全国的には

「釜揚げうどん」や「ぶっかけうどん」

なんて知られていなかったですね。

まだまだ実験店舗どまり。

 

 

でもこの時点ではうどんチェーン店ということは

まだまだ思いついていなかったはずですね。

栗田社長は大阪出身。父親が香川出身らしいですが

うどんを食べて育ったのでも何でもないのですね。

 

会社にとって「ラッキーだった」と思うのは、

2003年の鳥インフルエンザの世界的流行。

「ラッキー」というと語弊があるかもしれませんが

この本読んでもし、鳥インフルエンザがなかったら

あのまま「焼鳥チェーン」で上場したのでしょう。

 

でもこれも前に勉強しましたね。

「鳥貴族」ですね。こちら

 

そう簡単には「焼鳥チェーン」だけでは成功

できないのですね。

本当にどうなったのだろうと思いますね。

 

上場が延期され、ショッピングモールの

フードコートへ出店依頼。

そこで丸亀製麺を出店。

 

フードコートは今でもそうですが、

店内後方のキッチンで作ったものを出す

というのが一般的ですね。

 

そこで丸亀製麺は、製麺機を持ち込んで

打ち立て、茹でたてのうどんを出した。

その製麺所の風情が受け

たまたま大ヒットした・・・。

 

上場が2006年。

計画が2年遅れということだったみたいですが

2004年にただの「焼鳥チェーン」で上場していたら

どうなっていたのでしょう・・・。





その4 原価ははたしていくら?


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ではここで得意のEDINET分析。

驚くべきことが分かりました・・・。

 

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まず丸亀製麺だけの売上と利益。

コロナ禍で若干の落ち込みはあったものの、

売上863億円。経常利益86億円。

 

ただ安定して利益は出ているものの、

それほど売上は伸びていないですね。

 

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連結見たらすぐ分かりました。

サイゼリヤと一緒です。

ここも海外への比重が多くなっています。

連結売上も2319億円。

 

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国内でのうどんチェーン競争に勝ったものの、

たぶん飽和状態なので海外へシフトしているのでしょう。

7800人のうち75%6000人が海外ですね。

 

丸亀製麺の原価どれくらいなのだろう?

これ非常に気になりますよね。

ざるうどん390円。

釜玉うどん500円。

自分でうどんの玉買ってきて作ったら

100円もかからないはずですよね。

それを自家製麺ですから原価いくらで作っているの?

 

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まず丸亀製麺の製造原価。

売上高863億円に対して493億円。

原価率57%

 

こんな高くはないだろう?

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詳しく見てみました。

売上原価の中味です。

493億円のうち

原材料が348億円

地代家賃108億円

減価償却費37億円

 

正直に出ています。

つまり実際に材料費348億円だから

直接材料の原価率は40%。

釜玉うどん500円に200円もかけている・・・。

ちょっとこれも驚きですね。

「打ち立て 茹でたて」

を提供するためのコスト。

だからこそ「地代家賃や減価償却費」も

立派な原価なのです。

 

丸亀製麺の店舗はどこも広いです。

家賃も高額でしょう。

しかも巨大な製麺機をどこの店舗でも。

これを原価として把握しているのですね。

 

普通の飲食店ではまずここまでの計算は

しないでしょう。

 

社長がいみじくも言っていましたが

「セントラルキッチンを作って

大量にうどんを生産すれば

原価率は下がるはず・・」

 

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事実ライバルの「はなまるうどん」も

うどんの自社工場を持っています。

 

どんなコンサルタントでも指摘するでしょう。

 

「打ち立て 茹でたて」

の美味しさを維持し、他社では真似のできない

丸亀製麺躍進の秘密ですね・・・。

 



その5 はまなるに勝つため・・・


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(はなまるうどんの業績推移 HPより)

 

丸亀対はなまる。

これよく比較されるお話ですね。

でもこれも勉強になりますね。

 

はなまるうどんは2000年創業。

丸亀製麺よりやや早く先行していますね。

それに対して丸亀製麺は2006年に上場するや

一気に出店攻勢をかけます。

 

この本で勉強した通り、大型店で

店内調理のために莫大なコスト。

しかも自家製面のために原価率をかけた。

 

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(茹でたての店内調理)

 

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(揚げたての店内調理)

 

すべてはなまるうどんに対抗するため。

はなまるうどんは吉野家の傘下です。

早くからうどん工場を作り、牛丼と同様に

すべてセントラルキッチン方式。

 

はなまるうどんも調べましたが、

2019年(平成31年)に500店舗を

達成したもののその後伸び悩んでいますね。

 

これはなまるのHPからですが、2020年コロナで

大幅に落ち込んでようやく売上は回復したものの、

店舗数は418店舗(2024年2月期)

それに対して丸亀製麺は829店舗(2023年3月期)

とほぼ倍です。

 

 

 

「仮に丸亀製麺が店内調理をやめて

工場で大量生産した冷凍麺を使用したら?

茹で釜を無くしたら?

これらの施策は、調理時間の短縮や水道光熱費の

コストカットにつながります。

現在の冷凍技術であれば、かなり状態の良いうどんを

出すこともできるでしょう。」

 

「しかし、チェーン化には標準化の罠があります。

個人店で繁盛している店がチェーン化する際、

店が増えるにつれ人気が落ちていくのを見たこと

ありませんか?

それは希少価値が薄れたこととよりも、

標準化することで店の強みが失われるから」

 

これ大事なところでしょう。

 

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 (業務スーパーなら5玉で100円)

 

うどんを業務スーパーで買えば、

「5玉100円」程度で結構あります。

それをなぜ一杯500円も出すのか?

 

「立ち食いうどんとの差は何か?」

 

冷静に考えますからね。

ここは外食ビジネスの厳しさと

栗田社長から教わりましたね・・・。

 



その6 外食産業の常識を変える


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(丸亀うどん弁当)

 

丸亀製麺は一気にはなまるうどんを

引き離しにかかっていますね。

 

このところの新商品に驚くばかりですね。

 

コロナ禍で大ヒットした

「丸亀うどん弁当」

実に美味しそうですね。

 

Photo_20241127133802

 

「丸亀うどんシェイク」

これもつい食べて見たくなる

ビジュアルです。

まさに「インスタ映え」しますね・・・。

 

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最近のヒット商品は

「丸亀うどーなっつ」

 

うどんのドーナッツなんて実に斬新です。

 

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それと最近のCMご存じですか?

「丸亀麺職人」

麺職人は全国で1700人以上いるらしいのですが

(2024年5月現在)

これは「一つ星」。

それ以上の「二つ星」は全国で9人だけ。

それ以上の「三つ星」、「四つ星」はまだいないそう。

 

自動茹で釜で茹でているのは間違いないのですが

人間の手で打っていると聞くと、

確かに美味しそうですね。

二つ星の麺職人の作ったうどんを食べたくなります。

 

このあたりは、はなまるうどんの

セントラルキッチンとの圧倒的な違いです。

原価をかけてでも美味しさを確保する。

 

人に対して投資することと、

「離職率を下げる」

これは重視しているようです。

 

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(焼肉キングの配膳ロボット)

 

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 (くら寿司のセルフレジ)

 

面白いことに

「チェーン店では配膳ロボットや

セルフレジの導入など省人化が

猛スピードで進んでいます。

しかし、トリドールはその反対を

行こうとしています。」

 

 

「一律に人手不足に対して省人化という答えを

出すのは顧客不在の考え方ではないでしょうか」

 

 

「他の人がやらないということは、

やりぬけばオンリーワンの存在になれる」

 

素晴らしいですね。

 

また前に申し上げた通り海外へも進出しています。

 

Photo_20241127134002

 

(2011年にオープンしたハワイ・ワイキキ店)

 

 

「海外に出るリスクより国内に留まるリスクの

ほうが大きい」

 

参りました・・・。

 

500円の釜玉うどんを食べながら

これからも応援していきましょう・・・。

 

(がんばれ! 日本のソウルフード・
うどん シリーズおしまい)














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