その1 俺のイタリアンの名物社長 


俺のフイロソフィ



ブックオフ創業者で、「俺のイタリアン、俺のフレンチ」で有名な
俺の株式会社社長 坂本孝氏。


この方はかつて取り上げましたね。こちら
行列ができる「立ち飲み屋」で大躍進している会社です。

この方が、お弟子さん?と思われる上場企業の福井社長と
対談形式に書かれた経営本です。


ですので実に読みやすいです。
すっと読めてしまいます。
でもこういう本がいいのですね。
読みやすいから何度でも読めます。


何よりいいのが、「失敗談」が詳細に書かれているのですね。
ここがポイントなのです。


私の経営者本の判定要素で大事なのはココです。
失敗がいかにたくさん書かれているかなのですね。

成功した経営者は、常に「美談」がお好きです。
カッコ悪いところは見せたくないのですね。

でも経営者にとっては、成功したお話よりも
失敗したお話が大事なのですね。
失敗したお話は、本当にそれが原因で倒産してしまって
誰にも知らされず「お蔵入り」になっているかも
しれないのですから。

 

それとこの「お弟子さん」も盛和塾の会員です。

つまり、京セラの稲盛さんの薫陶を受けている
「稲盛教」の信者なのですね。

本当にこの盛和塾はすごいです。
成功している経営者をあまた輩出しています。

学ぶべきと事は多いですので、
この本は何度も読み返して、「坂本フィロソフィ」を
ぜひ盗み取ってください・・・。





その2 京セラ稲盛さん直伝


ではその「失敗談」から。
坂本社長は30代のころ、オーディオ事業で失敗しました。

失敗した内容、理由は敢えて書きませんが、
多くの経営者はこう思うのです。

「あの取引先が悪かった。あの部下が・・・あの社員が悪かった・・・」と。

これはなんとなくそう思います。
多くの中小企業の経営者を見てきた税理士としても
正直そういう場面に何度も出くわしてきました・・・。
すべて皆人のせいにしてしまうのです・・・。


坂本社長はズバリこう書いています。
若い頃の自分は

「まるで傲慢がスーツ着て歩いていた」

さらに

「社員は自分が採用したし、俺がみんなを食わせてやっているんだ。
俺の言うことは当たり前だ」

そう常に思っていたと・・・。

これは一昔前の経営者に、結構ありがちなことだったと思うのです。
「ワンマン経営者」と言われる方は、皆一様にそうでしたでしょうね。

これは私自身も経験したから分かるのですが、
高度経済成長時代や、バブル時代なら、
「どんな経営者であっても」景気がいいから許されたのですね。

それこそ、ヘマをした部下を

「この給料泥棒が!」

と怒鳴りつけた・・・。(これ本当に実話です。)
そういう経営者だったとしたら、
もし事業に何か失敗があれば、
すべて皆人のせいにするのでしょう・・・。

でも今やこれではダメなのです。
どうしてこれでは

「だめよ〜。ダメダメ。」

なのか・・・(すいません・・・今はやりのギャグ)

分かりますか。
これ大事なことなのですね。

坂本社長は盛和会で稲盛塾長に会って、
これを初めて気が付いたのです・・・。




その3 素直に自分の間違いに気づく


この問題は結構奥が深いのですね。
普通の経営者の方では、なかなか理解できないところ
なのではないでしょうか。


顧問税理士として、幾度と社長が言う
「社員の悪口」を聞いてきました。

誰にも言う人いないから、税理士に言ってしまうのでしょうか・・・。
これはこれで仕方がないとは思うのですが・・・。

「オレが給料払ってやっているんだ・・・。
コンナやつ首にするのはオレの勝手だ・・・・」

こういう場面にも幾度となく遭遇してきました。

ただ何度も書きますが、それでは

「だめよ。ダメダメ。」なんです。(すいません・・・。)


気づかせてくれたのは、京セラの稲盛さんです。
稲盛教の信者でもある坂本社長は、「受け売り」ですが
こう書いてありました。


「経営は考えた理念の実戦で、社長は社員の幸福を理念に捉える。
そして利他の心を持って、社員の幸福のために社長が
一生懸命努力する・・・」


まさにこれが「稲盛教」です。
「利他の心」がキーワードなのでしたね。
何度かこのブログでも取り上げたので、
この利他の心が「すっと」分かります。


「そうしたら、100人規模の中小企業なら、
社員は社長に惚れるよ。」と・・・・。


坂本社長のように50歳代になって初めて
この心が分かった経営者は稀なのかもしれませんね。

それだけ稲盛さんが優れた経営者なのでしょうか・・・・。


事業の失敗を他人のせいにせず、

「自分が悪かったのだ・・・」


そう謙虚に思う経営者はいったいどれくらいいるのでしょうか・・・・。





その4  事業の失敗を他人のせいにしない



「オレが悪かった。」

そう素直に言ってくれる社長は少ないでしょうね。
余程の聖人君主でないと・・・。

でもそんな社長なら社員は必ずついていきますよね。
ここが坂本経営学の一つのポイントです。

もう一ついいことが書かれていました。


「創業社長は、誰もが必ずつらい目にあって、反省をするんですよね。
なぜこんな貧乏くじを、自分ばかりひかなければならないんだろうか。」


これは確かにそうです。
すべての創業社長が最初から順風満帆ということはないのですね。
創業から5年くらいまでに何度かの挫折をしているはずです。
これは税理士としての仕事柄本当に思います。

そこで坂本社長のお勧めの言葉。
そんな時は、


「一人でこもらずに、自分の視野を広げるために、
企業の社長の勉強会や講演会に行って、
いろいろな困難を乗り越えてきた人の体験談を聞くのが、
非常にためになるのです・・・。」


なるほどと思いませんか。
私がなぜ「失敗談を聞くのが大事か」
それを認めていいただいているお話ですね。


そこで稲盛さんのすばらしい言葉ですね。

「もうダメだというときが仕事のはじまり。」


これは実にいい言葉です。
この言葉で奮い立った人が何十人、何百人と本当にいるのですね。

「そうやって壁を乗り越えられるといい人が集まってくる。
広い夜空にしっかりと北極星の位置を見定めて、
まっしぐらに進むべき方向を突き進んでいくと、
どこからか光がさして、周りにいい人が集まってくる・・・。」

 


どうですか。本当に心が奮い立ってきませんか・・・。




その5 理念で会社の進むべき方向を示す



「北極星の位置を見定めて、まっしぐらに進むべき方向を
突き進んでいく」

これなかなかいい言葉だと思うのですね。
社長の仕事で一番大事なのがコレです。

読みながら「エステーの鈴木会長」を思いだしました。こちら


「社長とは火消しの纏(まとい)持ち」


コレなのですね。
纏持ちは、屋根の上で戦況をながめることに徹して、
進むべき方向を指示するのでしたね。

まっしぐらに進むべき方をを従業員に対して
指し示すのです。

このあたり、稲盛さんも鈴木会長も、そしてこの坂本社長も
まったく同じことを言っているのです。

その方向を示すために重要なことは何か?
稲盛さんが何度も言っていることです。
これ分かりますか?

一言でいえば「理念」なのです。
つまり、題名の通り「フィロソフィ」 

稲盛さんの盛和塾では、


「フィロソフィは、まず社長が自分で噛み砕いて体得し、
それを伝えて、従業員とともに共有し、血肉化するという
工程が大事」とされています。


もちろん京セラでも実践されていましたし、JAL再生の
時でもこれを行ったのですね。

それと、稲盛さんの教えでは、その従業員とともに共有するために
行われたことが「コンパ」でしたね。

コンパとは文字通り飲み会です。

坂本社長もこのコンパを実践しています。
ただ単なる飲み会ではないのです。
フィロソフィの共有化のための飲み会・・・・。




その6 仲間のために汗をかく




「フィロソフィ(理念)のない会社は危うい」 

いままで税理士として、いろいろな会社に訪問してきました。
会社の応接間に、「もっともらしい理念」を
額に飾っているところも多いですね。


坂本社長も起業したての頃は、
書店で経営理念集を買ってきて
「どれが一番美しい言葉かな・・・」って選んで
立派な額に入れておしまいだったそうです。


でも理念のない会社は危ういと、あるとき気が付いたのです。
経営理念は社員の心を一つにする拠り所なんだそうです。


題名の通り、「俺のフィロソフィ」という会社の理念集が
ります。
これほしいですね。


10項目に分けてあって、それをさらに60のエピソードに
分かれています。


一番社長が理念として大事と思っていることは


「仲間のために汗をかく」


「へ〜!」と思いませんか。

「お客様の笑顔のために」とか「お客さんに喜んでいただく」
なんかでないのですね。

分かりやすいですね。
京セラの稲盛さんのいう「利他」と同じですね。

ではここで「俺のフィロソフィ」より抜粋します。



経営理念

「飲食事業を通じての地域社会への貢献」
「全従業員の物心両面の幸福の追求」


「地域社会」というのはよくある言葉かもしれませんが
「全従業員のため」というのは素晴らしいですね。
「物心両面」とはなかなか言えないです。
心が満足し、かつ、待遇の面でも満足する・・・。


本当に素晴らしいですね。こんなところで働きたいと心から
思いませんか・・・。




その7 やはりアメーバ経営




「俺のフィロソフィ」に載っている
大事な4項目をご紹介します。


経営達成のための4か条

1 一つの部門のメンバーが全員自分の部門の目標を知っていること
2 部門の数字がメンバー全員に分担されていて、
  全員達成意欲を持っていること
3 メンバーは自分の数字に責任を持っていること、
  リーダーは数字のチェックを日常的にやっていること
4 目標のために常にミーティングにより衆知を集めていること


これ読んだ瞬間、

「あっ! やっぱりやっているな!」

すぐ感じましたね。
何だかお分かりになりますか?
すぐお分かりになる方は、「稲盛通」です。
稲盛さんの経営は、「フィロソフィ」と「アメーバ経営」
なのですね。


飲食店にアメーバ経営を取り入れているのか!
つい感心してしまいました。
製造業以外でも十分通用する経営術なのですね。
飲食店の方が分かりやすいでしょう。


きっと各店競わせているはずです。
事実面白い戦略が紹介されていました。


携帯電話に全社員に対して、毎日「日報メール」が届くそうです。

もちろん、売り上げ目標と実績、客単価、回転数・・・。
それだけでなく、

「今日はシェフの○○さんが、○○という料理を投入したところ、
一番人気でした。」

「××さんが素晴らしいホスピタリティを発揮して、
お客様からお褒めの言葉をいただきました。」

そんな情報まで・・・。
これはすぐにでも真似出来そうなお話ですね。

しかし「日報メール」は実はすぐれた効果がなるのです。
料理人は職人気質の人が多く、数字に興味がないのが実際です。
そういう人に数字に興味を持たせる戦略なのですね・・・。




その7 なぜ真似しない?


坂本経営学も結構奥が深いです。
ここでアメーバ経営を取り上げると止まらなくなってしまうので
そろそろ「無理やり」まとめましょう。

坂本社長は、「パート・アルバイトの戦力化」では
日本で有数の優れた経営者です。

ブックオフを退任した時に次の社長がパート出身の
橋本真由美氏が就任したのは有名なお話です。
(我々の年代だと、歌手の『あのねのね』の清水国明氏の
お姉さんということでも有名ですね。古い??)

この本を読んでいても
「そうやって人材育成しているのか・・・」
そう感心しています。

「俺の戦略」でも間違いなくその人材育成の能力を
発揮しているように思います。


今年4月に、銀座の本社ビルに「俺の食アカデミーGINZA」を
立ち上げ、辻料理学校や服部料理学校の卒業生を30名採用しました。

実は料理学校出ても10年後に飲食の世界で料理人として
生き残っているのは1割も満たないそうです。
理由はいまだに封建的な色合いが残っているからなんだそうです。

例えば料理学校出たら誰でも3年間は皿洗いをさせられる・・・。
料理の技なんか教えてくれず、
ジャガイモの皮むきばかりをさせられる・・・。
よく聞くお話ですね。


坂本社長はそのあたりすごいですね。
目のつけどころが違います。
わずか20カ月で1人前の料理人として育て上げるプログラム
を作り上げたそうです。

これは、もし飲食業で成功したいのなら、
坂本社長のところで5年くらい学んだらよいのですね。

そのまま俺ので幹部として残るか、
「坂本フィロソフィー」を全部盗んで、

「わいのイタリアン」!?

を「銀座以外で」開店すればいいのですね。
立ち飲みレストランなんて小資金でできますよ・・・。


そんな夢のある飲食業界にぜひともしてほしいのですね。

 

どうですか? 私は坂本社長に勇気をもらいました。
坂本社長ありがとう!



「ガンバレ 74歳のチャレンジャーシリーズ おしまい」
























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